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6. 日本の港湾防災

6.2. フィリピン国における日本の経験・知見の適用

6.2.1. 港湾防災政策・計画の策定

日本では台風、地震、津波などの大規模な自然災害により港湾は度々の被災を経験してきてい る。6.1.2に示すように、大規模な災害に対しては、ハザードの分析とともに、港湾の被災状況や 原因分析やその社会影響について調査研究を行い、そこから得られる教訓をもとに、防災機能の

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一層の向上を図るための基本方針、政策を取りまとめてきている。その下で、技術基準の評価、

設計手法の改善、被災施設の復旧が図られてきた。また、予防的措置の計画的な実施も図られて いる。

日本と同様、繰り返し災害に見舞われるフィリピン国においては、災害による被害を防ぐある いは減少させるための施策が求められる。港湾が災害に見舞われた際には、被災状況や原因また 社会的影響等についての調査、分析を行い、それを踏まえ災害に対する港湾機能の強化を計画的 に図っていく必要がある。

その際、日本の港湾防災に関する政策の内容や政策策定への取り組み方などは参考になると考 えられる。

6.2.2. 設計基準の適用

設計基準 (1)

フィリピン国では PPA が 1995 年に作成した技術基準に基づき港湾施設は設計されている。

6.1.3に示すように日本の設計基準は、一定の期間をおいて内容をレビューし、必要な改定を行っ

てきている。

地震、台風に関する科学的知見は時代とともに深まり、また、港湾分野における技術も進展す ることを考えると、フィリピン国においても、技術基準の内容を定期的にレビューして、必要に 応じ改定することが必要といえる。その際、PPA等港湾関係機関が中心となり、関係の行政機関、

研究機関、大学、基準利用者等との協力のもとで進められることになると思われる。最新の日本 の技術基準の内容と併せ、技術基準検討の体制は、フィリピン国において技術基準の検討をする 上で参考になると考えられる。

フィリピン国における地震検討 (2)

現在、フィリピン国の港湾基準では、地震に対する構造物設計は震度法を用いて設計している。

設計震度の算定手法は以下の通りである。

設計震度 = 地域別震度×地盤種別係数×重要度係数

地域別震度:フィリピン国全土を0.05, 0.10, 0.15の3種類に分割 地盤種別係数:0.80, 1.00, 1.20の3種類に分割

重要度係数:1.5, 1.2, 1.0, 0.5の4種類に分割

フィリピン国においても地震動を考慮した地震設計法の考え方を導入すべきであると考えるが、

フィリピン国の情報(過去の地震の記録、観測データの内容、被害想定等)特に震度計の設置箇 所、情報蓄積、地盤調査等地震動を考慮した設計法はまだ課題が多い。

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例えば、日本では地域別震度は5段階(0.15, 0.13, 0.12, 0.11, 0.08)の設定になっている。フィ リピン国においても既存の地震被災履歴、火山情報、断層情報等を利用して現在の3 段階から5 段階に細分化は可能と考えられる。これにより地震発生予測の精度が上がり対策の過不足が緩和 され効率的な対応が可能と考えられる。

(3) 津波

後述の 8.想定災害の OCD による津波予測によれば対象地域の津波予測高さはレイテ州では 2

mから5mの間で分布し最も高い津波はボホールのJagnaで8.1mである。

港湾施設に及ぼす津波波圧は5港湾災害で述べたとおり常流と射流で大きく変化する。 Jagna 港の津波予測高8.1mに対する最大波圧は24t/m2にも達する可能性があり港湾施設が大きな被害 を蒙ることも予測される。

フィリピン国においても津波による被害を最小限にするため今後津波対策の検討を進めること が重要と思われる。また港湾施設の津波対策同様、津波発生時の避難等ソフト面における対策も 同時並行して進めることが重要と考えられる。

6.2.3. 防災拠点港湾の計画的整備

フィリピン国は島国であることから、市民生活、産業活動が港湾に依存している地域が多くあ る。災害により港湾が機能を停止した場合には、島民の生活や産業に重大な影響を及ぼすことに なる。そうした地域では災害に強い港湾の整備は不可欠である。しかし、災害に強い港湾は一般 に多くの資金を必要とする。そのため、そうした機能を有する港湾の整備は、長期的な政策の基 で計画的に進めることが必要となる。6.1.4に示すように、日本の国土交通省は全国で336バース の耐震岸壁の配置計画を作成し、その下で毎年度予算により耐震岸壁の整備を進めてきている。

多くの島に多くの港湾が立地するフィリピン国の場合、全国的な視点で災害拠点港湾の配置計 画に基づき、計画的に進めることが必要である。その際、日本の耐震岸壁の配置計画とその実施 方法は参考になると考えられる。

6.2.4. 先進的な日本の港湾防災施策の適用

日本の港湾防災の政策は、6.1.2 に示すように、度々の被災経験や当時の社会的要請を反映し、

その内容が深化するとともに重点が変化してきている。災害大国フィリピン国においては、日本 の港湾が被災を経験する中で深化させてきた港湾防災に係る最新の施策を組み入れることで港湾 防災対策を効果的に進めることが求められる。

ハード施策とソフト施策を一体にした港湾防災対策や港湾 BCP の策定とそれに基づく災害対 応における近年の日本の施策は、フィリピン国において参考となる部分が多いと考えられる。

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