7.2. 句レベルの統語論(Phrase structure)
7.2.1. 名詞構造(Noun phrase)
7.2.1.1. 名詞における文法関係( Grammatical relations in noun )
最も 高い も そして たぶん Coo 2SG Dem CL 靴 だいたい 最高的也就,可能跟你这双鞋差不多,
一番高いのでも、たぶんこの靴と変わらないんじゃない?
· 好像 ~のようだ(何らかの根拠がある推測)
Ztq:
爸爸 落 房里。 落 箇阿,落 娭啧 房里。 落 后背。 好像。708
お父さん いる 部屋の中 いる Loc いる 祖母 部屋の中 いる 後ろ たぶん 爸爸在房里,在那儿。在奶奶房里。在后边儿。好像。
お父さんは部屋にいるよ。そこにいる。おばあちゃんの部屋だ。後ろにいるよ。たぶん。
7.2.1.1.1.名詞の数
名詞の数は名詞句で表わされるが、単数と非単数の区別はある範囲に限って必要である。
我 有 书,
709
1SG ある 本
我有书,
私は本を持っている、
例
709
は「あなたは本を持っているの?」のような質問文或いは「あなたは本を持って いないけど、私は持っているよ」のような対比の場合に使われる。一般に「私は本を持っ ている」という意味を表わしたい場合は、例710
になる。我 有 一 本 书。
710
1SG ある Num CL 本
我有一本书。
私は一冊の本を持っている。
非単数の区別は下記のような数量詞をつけて表わす。
丫
// 「少し」
蛮多 // 「とても多い」
好多 // 「大変多い」 些 // 「たくさん」
我 有 些 格 书。
711
1SG ある たくさん Poss 本 我有很多书。
私はたくさんの本を持っている。
我 只 有 丫 啧 书。
712
1SG ただ ある Num DM 本
我只有一点儿书。
私は少しの本しか持っていない。
数のマークは文法的に要求されるが、数が「一」である場合、むしろ示さないほうが普 通である。これは定指示、主語などになる場合である。例
713
と例714
の意味はほとんど 同じであるが、地元の人には例713
のほうが好まれる。例715
のようなものはあまり見られない。
本 书 毛 啊哒。
713
CL 本 Neg Rea
那书没了。
その本はなくした。(聞き手はどの本か知っている) 箇 本 书 毛 啊哒。
714
Dem CL 本 Neg Rea
那本书没了。
その本はなくした。(聞き手はどの本か知っている)
一 本 书 毛 啊哒。
715
Num CL 本 Neg Rea
上記の用例における「本」は主語で、定であるため、数字の「一」が使えないと考える こともできるが、「本を一冊なくしたが、どの本かはわからない」というような不定な場合 は下記のようになる。ここでもやはり「一」はないほうが自然である。
毛 过 本 书
716
Neg Perf CL 本
丢了一本书。
本一冊なくした。
上述したことから見ると、平江城関方言にとっては数が「一」である場合、「一」を言わ ないほうが好まれる。下記の用例でも「一」がないほうが自然である。
我 买 哒 本 书。
717
1SG 買う Perf CL 本
我买了本书。
私は本を一冊買いました。
我 买 哒 一 本 书。
718
1SG 買う Perf Num CL 本 我买了一本书。
私は本を一冊買いました。
このような構造は湘語(長沙方言、岳陽方言、新化方言等)、贛語(宿松方言、南昌方言、
都昌方言等)、呉語、粵語、客家語梅県方言など多くの南方方言に見られる。
7.2.1.1.2.所有者
所有者のマークは一般名詞では“格”である。
人+格
我 格 书
719
1SG Poss 本 我的书
私の本
爹爹 格 单 车
720
お父さん Poss 自転車 爸爸的自行车
お父さんの自転車
親族呼称、所属機関 単数人称+俚=複数人称
我 俚 老 妹
721
1SG -PL 妹
我妹妹。
私の妹/私たち(Excl)の妹
我 俚 公 公
722
1SG -PL 祖父
我爷爷。
私の祖父
/
私たち(Excl
)の祖父 我 俚 学 校723
1SG -PL 学校
我们学校。
私の学校/私たち(Excl)の学校
複数人称+格(家の)
我 俚 格 井
724
1SG -PL Poss 井戸
我家的水井。
「私の家の井戸」
/
「私たちの井戸」他 俚 格 牛
725
3BSG -PL Poss 牛 他家的牛。
「彼の家の牛」/「彼らの牛」
所有表現に見られる特徴は下記のようなものである。
名詞はそれらの所有者に一致しない。所有者は所有されている名詞にも一致しない。
譲渡可能と譲渡不可能所有物の間には、区別が見られない。
所有者が語彙名詞であるときに、通常、所有されている名詞の前にくる。
7.2.1.1.3.
指小辞/指大辞平江城関方言において、名詞か名詞句における指小操作を示す指小辞“啧”がある。こ の操作は小動物の場合を除いては義務的ではないが、場合によっては、意味が変わる。詳 しくは後述(
8.1.2.1.2
)するが、ここでは簡単に紹介する。幼児語では一般名詞にこの“啧”が付くと、大きいものはそのものが普通おもちゃにな る。身体名詞に付くと、その身体名詞は「こどもの」という意味になる。
汽车 車 汽车 啧 車の玩具
飞机 飛行機 飞机 啧 飛行機の玩具
手 啧 子供の手 脚 啧 子供の脚
幼児語以外は一般的に小さいものにつけて、そのものがかわいいという意味になる。一 般名詞はそのまま付ける。物によっては必ず必要である。特に、動物の仔には必要である。
牛 啧
仔牛
狗 啧
仔犬
必須ではないが、自分より下の親族呼称につけることも可能である。
老 弟 啧
弟
女 啧
娘
7.2.1.1.4.名詞修飾
一般に形容詞が名詞を修飾するときは、形容詞-名詞の順番になる。
大 热头 強い日差し 大 水 洪水
大きい 日差し 大きい 水
细 雨 弱い雨 冷 饭 冷たいご飯
小さい 雨 冷たい ご飯
しかし、そのまま名詞を修飾できない形容詞“多、少”もある。その時は副詞が必要で ある。
蛮多人