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各手法の使い分け

ドキュメント内 I (ページ 124-127)

第 8 章 その他の手法 87

11.2 各手法の使い分け

11.2.1 Estimand に基づく手法の整理

本報告書で扱ってきた各手法がどういう状況で使用できるか,について,本報告書の3章で示したMallinckrodt (2013)の6種類のestimandに沿って整理する1.なお,estimand 1から順番に述べるのではなく,類似した手 法が使用できるものについてまとめて説明する.最初に,3章で示した6種類のestimandに,それぞれ用いら れる主解析を追記したものを表11.1に示す.

1このestimandは大うつ病性障害(Major Depression Disorder, MDD)をもとにして定義されたものである.

表11.1:Mallinckrodt(2013)のMDDに対する6種類のestimandと対応する主解析 Estimand有効性の指標推測の対象被験者評価時点rescuemedication後の主解析の方法 データを主解析に含めるか 1effectiveness割り付け群全被験者計画された含めるMMRM (治療方針)時点ANCOVA 2efficacy最初に割り付け最初に耐えられた計画された含めない(MAR)MMRM,PMM(ACMV),MI-ANCOVA, られた治療被験者のみ時点   MI-MMRM,wGEE (MNAR)SM,PMM(ACMV以外),SPM 3efficacy最初に割り付け全被験者計画された含めない(MAR)MMRM,PMM(ACMV),MI-ANCOVA, られた治療時点   MI-MMRM,wGEE (MNAR)SM,PMM(ACMV以外),SPM 4effectiveness最初に割り付け全被験者未定義含めないt検定,ANOVA,ANCOVA,LMM られた治療 5effectiveness最初に割り付け全被験者未定義含めないt検定,ANOVA,ANCOVA,LMM られた治療 6effectiveness最初に割り付け全被験者計画された補完することがpMIANCOVA,pMIMMRM られた治療時点望ましいBOCFANCOVA,BOCFMMRM

11.2.2 Estimand 3

まず,本報告書の10章の感度分析でprimary estimandとして提示したestimand 3について考える.全症例が 投与を完了したと想定した場合の,計画された時点での群間差の評価が目的である.欠測メカニズムにもよる が,MARを仮定した手法としては

MMRM(9章)

PMM (ACMV)(6章)

MI ANCOVA,MI MMRM (6章)

wGEE(8章)

などが考えられる.上記のうちどの手法が主解析として適切であるか,については,12章のシミュレーション 等を参考に,試験ごとに計画段階で十分な検討が必要である.

次に,MNARを仮定した方法としては

SM(5章)

PMM(ACMV以外)(6章)

SPM(7章)

が考えられる.また,適切に正当化できる場合には

LOCF ANCOVA

の使用も考えられるが,計画段階で十分な検討が必要である.正当化については,4章および12章参照のこと.

11.2.3 Estimand 2

次に,active run-inを設定するestimand 2であるが,estimand 3と同様の手法が用いられる.欠測が少ないこ とが想定されるため,estimand 3の項で示した各手法を用いて解析を行った場合,LOCF ANCOVAとそれ以外 の手法の推定値の違いは,estimand 3より小さくなることが想定される2

11.2.4 Estimand 1

Estimand 1は,計画された時点での割り付け群(治療方針)の影響を評価するものである.治験薬の投与中

止後も,計画された時点までデータを取り続けることが重要であり,欠測が発生しないように計画するべきで ある.そのため,理想的に実施された状況では欠測が発生せず,解析時に欠測に対する考慮が必要ない.その 場合,

MMRM(9章)

ANCOVA3 等が使用可能である.

一方で,十分に計画・実施された試験においても,欠測が発生してしまうことは十分に起こりうる.そのよ うな場合は,「Rescue medicationの使用有無別に『参照群』を作り,controlled imputationにより欠測を補完す る」方法がMallinckrodt (2013)の11章で提案されている.欠測が補完された後は,上記解析方法を用いるこ とが考えられる.

2結果的に想定より欠測が増えてしまうこともあるため,計画段階で「LOCF ANCOVAを使用してよい」ということが常に言えるわけ ではない点には注意が必要である.また,欠測の少なさがLOCFの使用を正当化する根拠となりうるか,という点も検討が必要であろう.

3LOCFによる補完は理想的状況では行われないため,その場合LOCFの妥当性は問題とならない.

11.2.5 Estimand 6

Estimand 6は,最初に割り付けられた治療の影響の因果効果に注目して,計画されたエンドポイントでの

effectivenessを評価するestimandである.投与中止後のデータも基本的には収集し,データの解析に含める方

向ではあるものの,興味の対象は最初に割り付けられた治療であるため,rescue medication使用後のデータは 使用せず,その後は無治療(対照群と同様の治療)であることを想定する.そのため,rescue medication使用 後のデータに対しては,「無治療」と考えられるような値で補完を行う必要がある.そのための方法として,

BOCFによる補完(4章, 6章)

プラセボ群を参照群としたcontrolled imputation (pMI)による補完(6章)

等が考えられる.どのような補完方法・補完モデルがよいか,は疾患領域・薬剤の特性を踏まえ,試験ごとに 検討が必要である.

11.2.6 Estimand 4

投与期間と応答変数を1つに合わせたAUCで評価するため,各被験者で使用できる応答変数の値は1つ

(ベースライン値を合わせると2つ)である.そのため

t検定

ANOVA

ANCOVA

を用いることが考えられる.施設等を変量効果として用いる場合は,

LMM(Appendix A)

による解析も可能である.

11.2.7 Estimand 5

治験薬の投与された最終時点のデータが評価の対象のため,estimand 4同様,各被験者で使用できる応答変 数の値は1つ(ベースライン値を合わせると2つ)である.そのため

t検定

ANOVA

ANCOVA

を用いることが考えられる.施設等を変量効果として用いる場合は,

LMM(Appendix A) による解析も可能である.

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