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制約条件 (NFMV) の利用

ドキュメント内 I (ページ 64-69)

第 6 章 Pattern-Mixture Model 50

6.7 制約条件 NFMV を仮定した PMM

6.7.2 制約条件 (NFMV) の利用

NFMVにおけるパターンtに対しての完全データの同時密度関数を下記に示す.

ft(Y1, ..., YT) = ft(Y1, ..., Yt)ft(Yt+1|Y1, ..., Yt)ft(Yt+2, ..., YT|Y1, ..., Yt+1)

= ft(Y1, ..., Yt)ft(Yt+1|Y1, ..., Yt)

T s=t+2

ft(Ys|Y1, ..., Ys1) (6.13) 一つ目の同時密度関数は,観測されたデータを用いて特定可能である.よって,二つ目及び三つ目の密度関数 を特定するのに制約条件が必要となる.まず二つ目は現在の未特定の分布のため,何からの制約のもと分布を

特定することになる.また,三つ目に(6.11)式を適用すると,特定できない部分が残るが,その部分にも二つ 目の部分に対して用いた制約条件を用いることで特定可能となる.

具体的に,T = 4時点の最終観測時点R= 1の場合を例に示す.

f1(Y1, Y2, Y3, Y4) = f1(Y1)f1(Y2|Y1)

4 s=3

f1(Ys|Y1, Y2)

= f1(Y1)

| {z } 1

×f1(Y2|Y1)

| {z } 2

×f1(Y3|Y1, Y2)

| {z } 3

×f1(Y4|Y1, Y2, Y3)

| {z } 3

1:特定可能な分布,2:NFMVで特定しきれない分布,

3:NFMVで特定される分布

ここで,制約条件NFMVの(6.11)式を詳しく見ていくことにする.

s=t+ 2,…, T に対して

ft(Ys|Y1, ..., Ys1) = f(Ys|Y1, ..., Ys1, R≥s−1)

= fs1(Ys|Y1, ..., Ys1) (6.14) また,この式を下記のように書き換えることが可能となる.

s=t+ 2, ..., T に対して,

fs1(Ys|Y1, ..., Ys1) =

T j=s1

αjfj(Y1, ..., Ys)

T j=s1

αjfj(Y1, ..., Ys1)

=

T j=s1

αjfj(Y1, ..., Ys1)

T l=s1

αlfl(Y1,· · ·, Ys1)

fj(Ys|Y1, .., Ys1)

=

T j=s1

ωsjfj(Ys|Y1, ..., Ys1) (6.15)

ただし,

ωsj= αjfj(Y1, ..., Ys1)

T l=s1

αlfl(Y1,· · ·, Ys1) ,

αj :パターンjにおいて観測されている割合

である.MNARのとき,観測されたデータに基づく未観測のデータの条件付き分布は,何らかの仮定により特 定する必要がある.従って,NFMVの仮定のもとで,現在観測されなかった(最初に未観測)データの条件付 き分布は,何らかの仮定により特定する必要がある.すなわち,(6.12)式は特定されていない分布となるため,

何らかの仮定が必要となる.

ここで4時点までの経時測定データにおいて,NFMVの制約条件を用いた4つのパターンの同時密度関数を 示す.ただし,(6.15)式及び(6.11)式において,(6.12)式のような特定されていない分布の密度関数を何らか の関数gを用いて示す.ただし,f2(1234)については細かく示し.他の分布については,同様に展開する.な お,ω21+ω22+ω23+ω23= 1, ω32+ω33+ω34, ω43+ω44 = 1である.簡単のため,後ほどδ:=ω43とし,

ω44= 1−δとおく.

f4(1234) = f4(1234)

f3(1234) = f3(123)f3(4|123) =f3(123)g3(4|123) f2(1234) = f2(12)f2(3|12)f2(4|123)

= f2(12)f2(3|12)f3(4|123) (∵NFMV)

= f2(12)g2(3|12)f3(4|123) (NFMVで特定しきれない分布をg2とおく)

= f2(12)g2(3|12) [ω43·f3(4|123) +ω44·f4(4|123)] (∵(6.15))

= f2(12)g2(3|12) [

δ·g3(4|123) + (1−δ)f4(4|123) ]

(∵ω43=δ, ω44= 1−δ)

(さらにNFMVで特定しきれない分布をg3とおく)

f1(1234) = f1(1)f1(2|1)f1(34|12)

= f1(1)g1(2|1)f1(3|12)f1(4|123)

= f1(1)g1(2|1)f2(3|12)f3(4|123) (∵NFMV)

= f1(1)g1(2|1) [ω32·f2(3|12) +ω33·f3(3|12) +ω34·f4(3|12)]

×[

ω43·g3(4|123) +ω44·f4(4|123) ]

(∵(6.15))

= f1(1)g1(2|1) [

ω32·g2(3|12) +ω33·f3(3|12) +ω34·f4(3|12) ]

×[

δ·g3(4|123) + (1−δ)f4(4|123) ]

(∵ω43=δ, ω44= 1−δ)

ただし,δを用いた理由は以下のように二つのパラメータω43, ω44を一つのパラメータδで表現するためである.

δ=ω43= α3f3(123)

α3f3(123) +α4f4(123), 1−δ=ω44= α4f4(123) α3f3(123) +α4f4(123), ω32= α2f2(12)

α2f2(12) +α3f3(12) +α4f4(12), ω33= α3f3(12)

α2f2(12) +α3f3(12) +α4f4(12), ω34= α4f4(12)

α2f2(12) +α3f3(12) +α4f4(12)

NFMVのもとではg1, g2, g3の関数を規定することで,すべての時点のデータの分布が特定されることにな る. Kenward et al. (2003)において示されているNFD1は下記のCase 4に該当し,NFD2が下記のCase 5に該当 する.NFD1及びNFD2はinterior familyにおけるCCMVやNCMVとは異なる.NFD1とNFD2で特定される 分布の表を以下に示す.表6.5に登場したNFMVで特定されていない「?」の部分について,完了例に基づく CCMV又は一番類似のパターンに基づく補完であるNCMVにより,全ての分布が特定される(表6.6,6.7).

表6.6: NFD1 (NFMV + CCMV)で特定される分布

時点1 時点2 時点3 時点4

パターンA f4(1) f4(2|1) f4(3|12) f4(4|123) パターンB f3(1) f3(2|1) f3(3|12) f4(4|123) パターンC f2(1) f2(2|1) f4(3|12) f4(4|123) パターンD f1(1) f4(2|1) (1ω33(12))f4(3|12) +ω33(12)f3(3|12) f4(4|123)

表6.7: NFD2 (NFMV + NCMV)で特定される分布

時点1 時点2 時点3 時点4

パターンA f4(1) f4(2|1) f4(3|12) f4(4|123) パターンB f3(1) f3(2|1) f3(3|12) f4(4|123) パターンC f2(1) f2(2|1) f3(3|12) f4(4|123) パターンD f1(1) f2(2|1) (1ω34(12))f3(3|12) +ω34(12)f4(3|12) f4(4|123)

下記にNFMVと合わせた,いくつかの制約条件と4時点までの同時密度関数を示す.

Case 4: NFMV+CCMV (NFD1)

g1(2|1) =f4(2|1), g2(3|12) =f4(3|12), g3(4|123) =f4(4|123)

このときの4時点までの経時測定データにおける同時密度関数は以下となる.

f4(1234) = f4(1234)

f3(1234) = f3(123)f3(4|123)

= f3(123)f4(4|123) f2(1234) = f2(12)f2(3|12)f2(4|123)

= f2(12)f4(3|12)f3(4|123) (∵CCMV, NFMV)

= f2(12)f4(3|12) [ω43·f3(4|123) +ω44·f4(4|123)] (∵(6.15))

= f2(12)f4(3|12) [

δ·f4(4|123) + (1−δ)f4(4|123) ]

(∵ω43=δ, ω44= 1−δ, CCMV)

= f2(12)f4(3|12)f4(4|123) f1(1234) = f1(1)f1(2|1)f1(34|12)

= f1(1)f4(2|1)f1(3|12)f1(4|123)

= f1(1)f4(2|1)f2(3|12)f3(4|123) (∵NFMV)

= f1(1)f1(2|1) [ω32·f2(3|12) +ω33·f3(3|12) +ω34·f4(3|12)]

×43·f3(4|123) +ω44·f4(4|123)] (∵(6.15))

= f1(1)f4(2|1) [

ω32·f4(3|12) +ω33·f3(3|12) +ω34·f4(3|12) ]

×[

δ·f4(4|123) + (1−δ)f4(4|123) ]

(∵ω43=δ, ω44= 1−δ,CCMV)

= f1(1)f4(2|1) [

(1−ω33)f4(3|12) +ω33·f3(3|12) ]

f4(4|123) (∵ω32+ω33+ω34= 1) 4時点までの経時測定データにおけるCase 1: CCMVの密度関数では,全ての未観測データの分布が欠測パ ターンR= 4の分布で補完される形になっているのに対して,Case 4: NFD1の密度関数では,f1(3|12)の未 観測のデータの分布が欠測パターンR= 3の分布f3(3|12)と欠測パターンR= 4の分布f4(3|12)の混合分布 で補完する形となっていることが分かる.このように表6.2を表6.6と比べると,NFD1はCCMVとは異なり,

完了例のデータの分布による補完だけではないことが分かる.

Case 5: NFMV+NCMV (NFD2)

g1(2|1) =f2(2|1), g2(3|12) =f3(3|12), g3(4|123) =f4(4|123) このときの4時点までの経時測定データにおける同時密度関数は以下となる.

f4(1234) = f4(1234)

f3(1234) = f3(123)f3(4|123) =f3(123)f4(4|123) f2(1234) = f2(12)f2(3|12)f2(4|123)

= f2(12)f3(3|12)f3(4|123) (∵NFMV)

= f2(12)f3(3|12) [ω43·f3(4|123) +ω44·f4(4|123)] (∵(6.15))

= f2(12)f3(3|12) [

δ·f4(4|123) + (1−δ)f4(4|123) ]

(∵ω43=δ, ω44= 1−δ,NCMV)

= f2(12)f3(3|12)f4(4|123) f1(1234) = f1(1)f1(2|1)f1(34|12)

= f1(1)f4(2|1)f1(3|12)f1(4|123)

= f1(1)f2(2|1)f2(3|12)f3(4|123) (∵NFMV)

= f1(1)f2(2|1) [ω32·f2(3|12) +ω33·f3(3|12) +ω34·f4(3|12)]

×43·f4(4|123) +ω44·f4(4|123)] (∵(6.15))

= f1(1)f2(2|1) [ω32·f2(3|12) +ω33·f3(3|12) +ω34·f4(3|12)]

×[

δ·f4(4|123) + (1−δ)f4(4|123) ]

(∵NCMV, ω43=δ, ω44= 1−δ)

= f1(1)f2(2|1) [

ω32·f3(3|12) +ω33·f3(3|12) +ω34·f4(3|12)

]×f4(4|123) (∵NCMV)

= f1(1)f2(2|1) [

(1−ω34)f3(3|12) +ω34·f4(3|12)

]×f4(4|123) (∵ω32+ω33+ω34= 1)

4時点までの経時測定データにおけるCase 2: NCMVの密度関数では,全ての未観測データの分布が類似の欠 測パターンの分布で補完される形になっているのに対して,Case 5: NFD2の密度関数では,f1(3|12)の未観測 のデータの分布が欠測パターンR= 3の分布f3(3|12)と欠測パターンR= 4の分布f4(3|12)の混合分布で補 完する形となっていることが分かる.このように表6.3と表6.7を比べると,NFD2はNCMVとは異なり,類 似の欠測パターンの被験者のデータの分布による補完だけではないことが分かる.

 ここで4時点のデータにおけるCase 4,5の補完イメージを図6.3及び図6.4に示す.

図6.3: Case 4の補完イメージ図

図6.4: Case 5の補完イメージ図

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