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受入れ機関へ配属前の研修

ドキュメント内 1(看護師国家試験の誤答原因調査) (ページ 32-37)

第2章 経済連携協定(EPA)に基づく看護師候補者の受入れ

2.2 看護師候補者の受入れと処遇

2.2.6 受入れ機関へ配属前の研修

本節では,看護師候補者が受入れ施設で就労・研修するまでの各種研修について三国を 比較しながら述べる。まず,2.2.6.1において訪日前日本語研修について述べ,2.2.6.2で

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は訪日後日本語研修について述べる。2.2.6.3においては看護導入研修について述べる。

2.2.6.1 訪日前日本語研修

インドネシア・フィリピンの場合は,雇用契約を締結した看護師候補者は,来日前に 6 か月間の訪日前日本語研修を受講する。ただし,一定の日本語力のある看護師候補者は,

訪日前研修を免除されることになっている。

訪日前日本語研修は,外務省により指定された日本語研修機関11が実施する。国際交流基 金ウェブサイト12によると,EPAでは来日後6か月間の日本語研修(筆者注:訪日後日本語 研修と同義)を受講することが定められているが,6か月間では就労・研修開始時点の日本 語能力が十分ではないという指摘を受け,日本政府は2010年度から現地で,訪日前日本語 予備教育(筆者注:訪日前日本語研修と同義)を開始し,当初より国際交流基金が研修を担 当し,初級から中級程度の日本語教育を実施しているという。開始当時はインドネシア 3 か月,フィリピン2か月だった訪日前日本語研修は,2018年現在,両国とも6か月間実施 されるようになっている。

さらに,訪日前日本語研修は,訪日後日本語研修を効果的に実施するための準備段階と 位置づけ,来日後の日本での生活と国内研修に必要な日本語能力と社会文化能力を身につ けることを目的として実施しているという。訪日前日本語研修は,看護師候補者と介護福 祉士候補者との混合クラスで行われており,同ウェブサイトには,看護師・介護福祉士候 補者に必要な日本語を,「日常生活の日本語」「業務(仕事)に必要な日本語」「看護師・

介護福祉士国家試験の日本語」とし,それら全ての基礎となる日本語の基礎知識(初級後期 修了程度)と運用能力を 4 技能バランスよく身につけることを目標にしていると記載され ている。また,就労後の看護師・介護福祉士候補者を取り巻く学習環境・支援体制には,

施設ごとに違いがあることを挙げ,看護師・介護福祉士候補者が目標に向かって「自律的 に学習できる習慣」をつけることを重視しているとも述べられている。

2018年度入国の看護師候補者を例にとると,訪日前日本語研修は,インドネシア人看護 師候補者は,2017年11月27日から2018年5月29日までの6か月間,フィリピン人看護 師候補者は,2017年11月9日から2018年5月22日までの6か月間実施されている。た

11 インドネシア・フィリピンは,独立行政法人国際交流基金の日本語教育事業の一環として実施されて いる。ベトナムは毎年,入札で決定される。

12 国際交流基金ウェブサイト「EPA(経済連携協定)日本語予備教育事業-事業概要-」

https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/education/training/epa/about.html,(201939 日閲覧)

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だし,日本語能力試験N4以上取得者,または,法務大臣が告示を持って定める日本語教育 機関において12か月以上の日本語教育を受けた候補者は免除される。

『受入れパンフレット』(p.20)によると,インドネシア人看護師候補者に対する訪日前 研修の内容は,基本的な日本語の知識・運用能力,および看護・介護の基本的な語彙・表 現784時間程度,社会文化理解66時間程度である。なお,フィリピン人看護師候補者の訪 日前日本語研修については記載されておらず,研修内容は不明であるが,訪日前日本語研 修は国際交流基金が行っているため,インドネシア人看護師候補者と同様だと推測できる。

これに対し,ベトナム人看護師候補者は,来日前に12か月間の訪日前日本語研修を受講 する。ただし,日本語能力試験N2取得者は,研修が免除されている。訪日前日本語研修は,

外務省により決定された日本語研修機関が実施する。ベトナム第1陣(2014年来日) から アークアカデミーが担当している。

アークアカデミーウェブサイト13によると,第1陣は11月から訪日前研修が開始されて いるが,その後は,毎年12月から実施されており,2018年度入国の看護師候補者は,2016 年12月から2017年12月までの12か月間,訪日前日本語研修が実施されている。研修内 容は『受入れパンフレット』(p.19)によると,基礎・一般および専門日本語研修(1500時 間程度),日本社会・生活習慣および日本式看護・介護の理解を内容とする社会文化・職場 適応研修(300時間程度)となっている。

2.2.6.2 訪日後日本語研修

訪日後日本語研修は,外務省または経済産業省により決定された日本語研修機関が実施 する14

インド ネシア 人お よび フィリ ピン人 看護 師候 補者は ,海外 産業 人材 育成協 会(The Association for Overseas Technical Cooperation and Sustainable Partnership, 以

下,AOTS)が,看護師候補者受入れ当初から担当しているが,年度によっては,他の日本語

教育機関も担当している。訪日後日本語研修は,国別,および,看護師候補者と介護福祉 士候補者を別のクラスにし,それぞれ異なるAOTSの研修施設で実施している。期間は6か 月間であるが,日本語能力試験N2以上取得者,および,法務大臣が告示を持って定める日 本語教育機関において12 か月間以上の日本語教育を受けたものは免除される。2018 年度

13 アークアカデミーウェブサイト「EPA事業への取り組み」,https://kenshu.arc-academy.net/epa,

(2018129日閲覧)

14 三国とも毎年,入札で決定される。

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入国のインドネシア人候補者向けの訪日後日本語研修は,2018年6月7日から12月3日 まで6か月間(休日を含め180日間)実施され,研修内容は,『受入れパンフレット』(p.20)

によると,オリエンテーション,一般日本語および看護・介護専門日本語研修675時間程 度,日本社会・生活習慣の理解・適応研修50時間程度,職場への理解・適応研修90時間 程度,研修成果を図るテストとなっている。

一方,ベトナム人看護師候補者は,前述のアークアカデミーが訪日前日本語研修に続き,

訪日後日本語研修も,ベトナム人看護師候補者受入れ当初から担当している。ベトナム人 看護師候補者は,日本語のレベルに関係なく全員,訪日後日本語研修を受講することが定 められている。2018年度入国のベトナム人看護師候補者の訪日後日本語研修は,2018年6 月1日から7月26日まで実施されている。研修内容は,日本の病院・介護施設における就 労・研修活動に円滑に従事できるよう日本語によるコミュニケーション力,看護・介護に 関する知識,さらには,職場での心構え等を習得することを目的として実施され,その内 容は,看護・介護専門日本語研修,日本社会・生活習慣・職場への理解・適応研修(280時 間程度)とのことだが,それぞれの詳細な時間配分は記載されていない。

表4は,インドネシア人およびベトナム人看護師候補者が受講した訪日前日本語研修と 訪日後日本語研修の時間数を比較したものである。インドネシア人およびベトナム人が受 講した研修では,内容が全て一致しているわけではないが,研修内容の概要を把握するこ とが出来る。

表 4 訪日前日本語研修および訪日後日本語研修時間の比較(インドネシア・ベトナム)

看護師候補者の国籍 インドネシア ベトナム

学習期間 12か月

(訪日前6か月+訪日後6か月)

14か月

(訪日前12か月+訪日後 2か月15)

[a]基礎・一般および専門日本語研修 1,459時間

(訪日前約784時間+訪日後675時間)

1,500時間(訪日前)

[b]日本社会・生活習慣の理解・適応研修 職場文化の理解・適応研修等

206時間

(訪日前約66時間+訪日後約140時間)

300時間(訪日前)

その他 [a]+[b] 280時間16(訪日後)

総時間数 1,665時間 2,080時間

公益社団法人 国際厚生事業団『受入れパンフレット』(p.19,20)を参考に筆者作成

15 ベトナム人看護師候補者は,入国後2.5か月(日本語研修2か月および看護導入研修10日間)の研修 を受講する。

16 公益社団法人 国際厚生事業団ウェブサイト 「平成30年度 EPAに基づく外国人看護師・介護福 祉士候補者受入れパンフレット」 https://jicwels.or.jp/files/EPA_H30_pamph-r.pdf,p.21

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表4より,訪日前日本語研修および訪日後日本語研修期間を合わせると,インドネシア 人看護師候補者の場合12か月であるが,ベトナム人看護師候補者の場合は14か月実施さ れている。総時間数を比較すると,インドネシア人看護師候補者の場合は1,665時間,ベ トナム人看護師候補者の場合は2,080時間となり,ベトナム人看護師候補者のほうが約400 時間も多いことがわかる。また,インドネシア人看護師候補者が受講する12か月間の訪日 前日本語研修および訪日後日本語研修とベトナム人看護師候補者が受講する同期間の訪日 前日本語研修を比較すると,[a]基礎・一般および専門日本語教育は,ベトナム人看護師 候補者のほうが約40時間多く,[b] 日本社会・生活習慣の理解・適応研修,職場文化の理 解・適応研修等は,約100時間多いことがわかる。このように,同じ12か月の日本語研修 においても,インドネシア人看護師候補者とベトナム人看護師候補者とでは,研修時間に 140時間の差があり,さらに,ベトナム人看護師候補者は,訪日後 280時間の日本語研修 を受講していることがわかる。

2.2.6.3 看護導入研修

看護導入研修は,厚生労働省から委託されたJICWELSが,インドネシア人・フィリピン 人に対し,訪日後日本語研修中に10日間ほど実施する。訪日後日本語研修免除者であるイ ンドネシア人・フィリピン人看護師候補者も看護導入研修は受講する義務がある。一方,

ベトナム人看護師候補者の場合は,前述したように来日後に実施される2.5か月間の訪日 後日本語研修および看護導入研修は,全員参加することが定められている。ベトナム人看 護師候補者に対する看護導入研修は,訪日後日本語研修が完全に終了してから,JICWELS に よって10日間ほど実施される。

『受入れパンフレット』(p.21)によると,看護導入研修は,日インドネシア語・日英・

日ベトナム語対訳テキストを使用し,健康に関する指標,社会保障の理念と基本的構造,

医療保険・介護保険・その他の社会保険,主な看護活動展開の場と看護の機能,医療機関 と医療従事者の職務と機能の役割,社会福祉諸法の理念と施策,保健活動,老年看護,在 宅看護,精神看護,国家試験対策の導入部分に相当する基本的な知識・技能を修得するこ とを目的に実施すると記載されている。

これらの研修を受講した看護師候補者は,それぞれの受入れ施設で就労・研修すること になる。ベトナム人看護師候補者は,日本語能力試験のN3以上に合格した者,および訪日 前日本語研修免除者(N1またはN2取得者)が来日し,さらに2.5か月間の看護導入研修 を含む訪日後日本語研修を受講している。しかし,インドネシア人看護師候補者は,日本

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