第 10 章 反復する創造
進歩、知性、そして人生そのものも、すべて基本的水準においては、
ブートストラップ、自己創造、オートポイエーシス、オートジェネシ スで支えられている。これらはいずれも反復的構成を意味する言葉で ある。ペーター・ウィニワーター (Peter Winiwarter) の 1986 年の論文
"Autognosis (pdf)"(自己分析)で各種の自己構成の一覧を見つけた。
形式の形式。
寸法の寸法。
自然の法則を支配する自然の法則。
システムのシステム。
制御の制御。
階層の階層。
不思議な環の環。
意識の意識。
組織の組織。
進化の進化。
構造の構造。
証明の証明可能性。
創造の創造。
一見したところ、これらの用語は撞着的(自己矛盾)あるいは同語反 復(無意味な繰り返し)のように思える。しかし、よく考えてみると、
撞着的でも同語反復でもなくて、「ネットワークのネットワーク」がイ ンターネットだと言っているのと同じことである。"Cosmic Jackpot:
Why Our Universe Is Just Right for Life" (宇宙の大当たり:なぜこの 世界は生命に最適なのか)という本の中で、ポール・デイヴィーズは宇
第 10 章 反復する創造
宙の自然法則を支配する法則に関する彼の研究について述べている。先 に示した多数のメタ形式(形式の形式)と同様に、その効力はどこに存 在するのかという問題がある。それは循環の中にあるのか、それとも外 にあるのか? 140 億年前に宇宙ができたとき、メタ法則(法則の法則)
は宇宙の中にあったのか、それとも外にあったのか? 自然法則を構成す る法則が宇宙の外にあったとすれば、それは何を意味するのか?
すべてのシステムからなるシステム、あるいはすべての形式が従う形 式、あるいは制御のための何らかの制御、すべての組織を組織化する方 法があるはずだ。証明の構造は証明可能だろう。範疇の種類というもの は何らかの範疇に該当するはずだ。
すべてのものにメタがあるのか?
さらに、メタのメタは? ヒンドゥー教の創造の塔では、宇宙を支え る亀の下にそれを支える亀が次々といなければならないことになる、と ウィリアム・ジェームズが言ったそうだ。これと同様に、メタの上には
第 10 章 反復する創造
亀やメタの塔というのは、この累積を考える方法としては良くない。な ぜならば、法則を形成する法則、さらにそれを形成する法則は、最後に は最下位の法則で形成されることになってしまう。デイヴィーズが指摘 しているように、実際には人間の観察が宇宙の法則を形成する。見通し のきく正しい地点から見れば、メタの循環はその上位のメタレベルを巻 き込んで拡大しており、すべてのものはそれ自身の上に大きな循環とし て戻ってくる。
宇宙の最大と最小の両方の尺度において、いずれも量子力学が影響し ているらしいという不可解さは、非常に大きな再帰的循環の現れである。
テクニウムにとってこれが意味するのは、見えない再帰的循環、生成 的メタレベル、自己創造などがそこに組み込まれていればいるほど、テ クニウムは人生や知性のような自己創造的システムで見られるのと同じ ように活性化されるということである。
さらにフィードバックが不思議で奇妙なものになるというまさにその 時点で、何か重要なことが起こりうる。遺伝子が遺伝子を制御したり、
法律が法律に命令したり、ソフトウェアがソフトウェアを書いたり、知 性が知性を設計したりするような状況を人間は期待しているのだ。その ような不思議の環の中では、メタが飛躍する。
(初出: http://memo7.sblo.jp/article/22899194.html) (原文: Recursive Generation)