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○花岡 淳

1

、堀本 かんな

1

、林 一喜

1

、白鳥 琢也

1

、片岡 瑛子

1

、五十嵐 知之

1

、大塩 恭彦

1

、 橋本 雅之

1

、寺本 晃治

2

1滋賀医科大学呼吸器外科、2滋賀医科大学臨床腫瘍学講座

【はじめに】巨大胸壁腫瘍に対する手術アプローチでは術野展開の困難さ等から方針決定に苦慮することが多 く,病変の占拠部位が胸頂部であれば尚更である.今回、胸腔内外へ進展する胸壁発生孤立性線維性腫瘍に 対し,胸骨正中切開に transmanubrial osteomuscular sparing approach(TMA)を併用し,難渋しながらも 腫瘍摘出術を施行した症例を経験したのでビデオで供覧する.【症例】76 歳,男性.約 30 年前より左胸頂部 腫瘤を指摘されていた.2013 年 5 月,階段より転落し左肋骨・肩甲骨骨折および外傷性血気胸を受傷.画像 検査で増大する腫瘤と胸水貯留を指摘された.その後,上気道炎を契機に酸素療法が必要となったため紹介 となった.胸部 CT で第 1 肋骨の溶骨性変化を伴った内部が不均一に造影され胸腔内外へ進展する巨大腫瘤 が認められ,生検で孤立性線維性腫瘍が疑われた.FDG!PET では高度集積像が見られ,悪性転化の可能性 も否定出来ず,腫瘍血管塞栓術施行後に手術療法を行った.腹臥位で第 1,2 胸椎レベルの横突起および肋骨 小頭を切除,仰臥位にした後,胸骨正中切開に TMA の併用アプローチを用いて腫瘍の摘出術を施行した.

術中,視野展開は困難であり,また,栄養血管からの出血のコントロールにも難渋した.術後は 8 日間の人 工呼吸器管理が必要であり,正中・尺骨神経および左反回神経麻痺を合併した.術後 1 年を経過した現在も 再発の徴候は認めておらず,残存する尺骨神経麻痺に対しリハビリ施行中である.【考察・まとめ】TMA は 血管系に隣接する胸頂部腫瘍に対して有効なアプローチ法の 1 つである.しかし腫瘍が胸腔外に進展あるい は胸頂部を充満するような場合は,さらなる工夫が必要と考えられた.

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

Transmanubrial approach(TMA)を加えた胸骨正中切 開下に切除した右肺尖部浸潤肺癌の 1 例

○朝戸 裕二

1

、清嶋 護之

1

、鈴木 久史

1

、北原 美由紀

1

、雨宮 隆太

2

1茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター呼吸器外科、2雪谷大塚クリニック

症例)63 歳、男性。右胸部痛自覚後に検診胸部レントゲン写真で右肺尖部の腫瘤陰影を指摘され、当院受診。

胸部 CT では右鎖骨下動脈に広く接し、鎖骨下静脈浸潤を疑う腫瘤を認め、左肺上葉にも結節陰影を認めた。

PET!CT では共に FDG の集積を認めたが明らかなリンパ節転移は認めず、右肺腫瘤からの生検では低分化 肺腺癌であった。左肺結節は気管支鏡下・CT ガイド下生検共に困難な部位に存在し、胸部痛もあることか ら右肺癌に対して同時化学放射線治療を開始した。CDDP+S1 による化学療法 2 コース、56G 放射線照射後 の再評価では左右とも軽度縮小するも効果判定は SD、新たな病巣の出現は認めなかった。多発肺癌の可能性 を重視し、切除の方針となった。手術)仰臥位とし、審査胸腔鏡で播種のないことを確認後、右頸部襟状切 開+胸骨正中切開を行った。左肺上葉結節を部分切除後に右 TMA を追加、腫瘤は鎖骨下静脈と接していた が動脈との剥離は可能で椎骨動脈も確認温存。腫瘤と静脈の剥離時に静脈を損傷し、中枢・末梢に血管鉗子 をかけ静脈を一部切除して腫瘍と静脈を分離、静脈は 6"0 プロリンで修復。反回神経は温存しえたが、横隔 神経は腫瘍に巻き込まれており切離、第 1 肋骨も一部切除し、腫瘍を上縦隔より剥離。続いて上葉切除、上 縦隔リンパ節郭清施行。手術時間 6 時間 1 分、出血量は 524cc。術後経過)特に合併症なく経過し、術後 8 病日に退院。病理所見では右は低分化肺腺癌 ypT1aN0M0"Stage IA、左は扁平上皮癌 ypT2aN0M0"Stage IB。

考察)胸骨正中切開に TMA を加えた手術経路は良好な視野を確保でき、肺尖部腹側縦隔浸潤肺癌の手術で は有用と思われる。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

Transmanubrial approach を応用し切除した胸鎖関節腫 瘍の 1 例

○佐々木 高信、照屋 孝夫、國吉 幸男

琉球大学医学部第2外科

Transmanubrial approach(以下,TMA)は胸骨柄を L 字(もしくは逆 L 字)に切離することにより,鎖 骨の離断を行わずに胸鎖関節ごと外側に授動するアプローチ法で,1997 年に Grunenwald らが報告した.通 常 TMA は肺尖部腫瘍(SST)などに対し用いられるが,今回我々は左胸鎖関節部の腫瘍に対し,TMA を応 用することにより切除し得た症例を経験したので,手術ビデオを供覧し,報告する.症例は 60 歳,男性.口 腔癌(左舌縁癌)に対し,当院耳鼻科にて 2009 年に根治術が施行され,以降外来フォローされるも,左胸鎖 関節部に腫瘍の再発をみた.腫瘍は左腕頭静脈への浸潤も認められた.再手術であり胸骨裏と左腕頭静脈と の癒着も疑われたため,まず胸腔鏡を用いて剥離操作を行った.次に胸骨丙から左第 1 肋間までを L 字に切 開し,第 1 肋軟骨を切断,鎖骨及び鎖骨下静脈を離断した.離断した胸骨・鎖骨近位端及び左腕頭静脈ごと 腫瘍を摘出した.腫瘍切除後の胸壁欠損部には大胸筋弁を作成し,充填した.特に合併症なく手術後 32 日目 に退院となった.TMA 原法は鎖骨の離断を伴わず胸腔頂の良好な視野を得られるものであるが,今回は胸 鎖関節部の腫瘍であったため鎖骨の離断を必要とした.術後病理は扁平上皮癌で,切除標本の断端は陰性で あった.

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

化学療法後に Transmanubrial osteomascular spar-ing approach にて胸壁合併切除を行った T3 肺癌の 1 手術

○徳永 義昌、奥田 昌也、池田 敏裕、伊藤 公一、喜田 裕介、藤原 敦史、松浦 奈都美、

笠井 由隆、中野 淳、劉 大革、後藤 正司、呉 哲彦、横見瀬 裕保

香川大学医学部

【はじめに】化学療法後に Transmanubrial osteomascular sparing approach および後側方開胸にて第 1 肋骨 を含む胸壁合併切除と左上葉切除+リンパ節郭清を経験したのでビデオで供覧する。【症例】71 歳男性。左 胸痛を自覚し近医受診。気管支鏡下生検で腺癌の診断を得、当科紹介となった。CT 上、鎖骨下動静脈に浸 潤はないものの第 1!5 肋骨に浸潤する左上葉の腫瘍を認めた。PET では主腫瘍 SUV max15.80、左腋窩リン パ節 5.14 の集積を認め、左腋窩リンパ節は FNA にて転移の診断であり、左上葉肺腺癌 cT3N0M1 と診断し た。化学療法(CBDCA+PEM+BEV)4 コース施行し、画像上 SD であったが、腫瘍マーカーは CEA24.3 から 8.7 へ低下した。左腋窩リンパ節は切除可能と判断し、salvage 手術を行った。手術は頸部 L 字切開、胸 骨柄を鈎型に切断し胸鎖関節はそのままに鎖骨を跳ね上げる形で肋鎖靭帯を切離。1 肋骨、2 肋骨後方を切断 し一旦閉胸。続いて後側方開胸とし、2 肋骨後方および 3、4、5 肋骨を切断し、左上葉と一塊に切除。胸壁 欠損部は Gore!Tex soft tissue patch で補填し閉胸した。ypT3N0M0 の診断であった。【結語】本アプローチ は Superior Sulcus Tumor の切除に有用である。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

肺尖部前方浸潤肺癌に対する胸骨正中切開に頚部切開を加えた アプローチ〜シンプルかつ汎用性が高い〜

○塩見 和

1

、三窪 将史

1

、松井 啓夫

1

、園田 大

1

、中島 裕康

1

、近藤 泰人

1

、小野 元嗣

1

、北村 律

2

、 佐藤 之俊

1

1北里大学医学部呼吸器外科、2北里大学医学部心臓血管外科

【はじめに】肺尖部前方の胸壁浸潤肺癌(SST)に対して,Transmanubrial アプローチに加え肺葉切除のた めの別アプローチを併用した方法が選択されることが多い.しかし,腫瘍浸潤部位は様々であり,アプロー チもそれに応じて必要十分なものが選択されるべきである.今回我々は,右腕頭静脈(BCV)から右鎖骨下 動脈(SCA)への浸潤が疑われる症例に対し,胸骨正中切開に頚部切開を追加することで良好な視野を得て,

人工血管再建術を含む切除術を施行したので報告する.【症例】63 歳女性.喫煙指数 800.子宮頚癌の既往あ り,その経過観察中に胸部 CT で右 S1 縦隔側に右 BCV に浸潤かつ右 SCA に接する 34mm の腫瘤影を認め た.全身精査で右原発性肺癌疑い(cT4N1M0!IIIA)の診断となり手術を施行した.【手術】右第 5 肋間より カメラを挿入し播種のないことを確認後,胸骨正中切開を行った.腫瘍は瘢痕様に固く,可動性不良で明ら かに右 BCV に浸潤し,かつ SCA とも固着していた.生検で悪性の診断を得た.腫瘍尾側で,上大静脈,左 右 BCV,右横隔神経,右迷走神経にテーピング.右頚部に皮膚切開を延長し,右前頚筋群と胸鎖乳突筋胸骨 枝を切離し,胸骨柄の挙上で頭側の視野を確保した.鎖骨下動静脈,迷走神経を露出しつつ,腫瘍周囲の剥 離を行った.最終的に,右 BCV,右横隔神経を合併切除し,右 BCV は人工血管で再建した.その後,右上 葉切除(ND2a!1)を施行した.【まとめ】前方 SST の中でも,本症例のように右 BCV から鎖骨下動静脈中 枢付近までの浸潤を示す症例において,胸骨正中切開に頚部切開を加えたアプローチは有効である.