• 検索結果がありません。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

クラムシェル開胸下に切除を行った巨大縦隔脂肪肉腫の一例

○戸田 道仁、泉 信博、水口 真二郎、小松 弘明、井上 英俊、山本 寛子、岡田 諭志、西山 典利

大阪市立大学呼吸器外科

【はじめに】縦隔原発の脂肪肉腫の発生頻度は前縦隔腫瘍の 1% 以下とされている.被膜に覆われ浸潤傾向が 少なく緩徐に増大することから自覚症状が現れにくく,縦隔に発生した場合発見されたときには巨大な腫瘍 となっている報告も散見される.完全切除を行うことで比較的良好な予後を得られるといわれている.【症例】

64 歳男性.2008 年より健診で心拡大を指摘されるも未精査であった.2014 年に再度健診で心拡大を指摘,

また呼吸困難も出現したことから胸部 CT で精査したところ前縦隔から右肺中下葉,左肺上下葉を圧排して 進展する 360×180×100mm の巨大縦隔腫瘍を認めた.脂肪成分が主であったが,内部に 2 か所の充実成分 を認めた.エコーガイド下に腫瘍生検を行い,atypical lipomatous tumor との診断であった.転移を疑うリ ンパ節腫大は認めず,切除可能と判断し手術施行した.第 4 肋間にてクラムシェル開胸を行い,両側胸腔内 へ突出する腫瘍を周囲組織と少しずつ剥離し受動させた.周囲臓器への浸潤傾向は認めなかったが,左腕頭 静脈を腫瘍が全周性に取り囲んでおり剥離困難であったため合併切除した.切除した腫瘍は重さ 3500g,組 織診断で Dedifferentiated liposarcoma であった.今後は外来にて厳重に経過観察をおこなっていく。今回我々 が経験した巨大縦隔内脂肪肉腫の切除症例に対して文献的考察を加えて報告する.

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

pure VATS anatomic pulmonary resection の出血に 対するトラブルシューティング

○井貝 仁

1

、上吉原 光宏

1

、河谷 菜津子

1

、伊部 崇史

1

、清水 公裕

2

1前橋赤十字病院呼吸器外科、2群馬大学大学院臓器病態外科学

【はじめに】胸腔鏡下肺切除(pure VATS)の術中出血に適切に対応することは手術の安全性を高めるとと もに開胸への移行率を下げることとなるが、その具体的な対応方法に言及した報告は少ない。今回我々は、pure VATS において術中出血をきたした症例の詳細について検討した。【対象と方法】2012 年 4 月から 2014 年 11 月に当科で 3 ポート pure VATS(部分切除は除く)を施行された 136 例のうち術中に有意な出血を認めた 25 例を対象とし、出血部位、止血方法について検討した。また、周術期結果について、非出血 111 症例と比較 した。【結果】術式は葉切除!区域切除:20!5 例、出血部位は肺動脈!肺静脈!その他:12!10!5(2 例において 2 ヶ所の出血部位あり)ヶ所であった。止血方法はタコシール組織接着用シート(以下、タコシール)貼付!

圧迫のみ!クリッピング!ステープリング!結紮:17!4!2!2!1 ヶ所であった。4 例が開胸にコンバートされた(出 血部位は V1!A3!BA : 2!1!1 例)。術中出血(")例と比較し、有意に術中出血量(出血+!":253!56cc,p<

0.0001)は多く、手術時間(出血+!":255!224 分,p=0.02)、術後ドレーン留置期間(出血+!":5.0!3.3 日,

p=0.003)が長かったが、術後在院日数(出血+!":10.1!10.8 日,p=0.83)、術後合併症発生率(出血+!": 28.0!18.9%,p=0.46)に差を認めなかった。【まとめ】pure VATS の術中出血に対して、適切に対応すれば 安全性は担保され開胸コンバートが回避可能となる。止血にはタコシールを用いることが多く、その方法に 習熟する必要がある。開胸移行となった 4 例はいずれも視野不良のため出血点を正確に確認できず、このよ うな場合は開胸へコンバートした方が安全と考える。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

Thoracoscopic major pulmonary resection における 肺動脈出血の原因と対処方法

○松浦 陽介、文 敏景、山崎 宏継、平井 慶充、中尾 将之、上原 浩文、中川 健、奥村 栄

がん研有明病院呼吸器センター外科

【緒言】Thoracoscopic surgery(TS)の低侵襲性・根治性は確立されつつあるが、依然 TS への安全性を危 惧する声がある。TS がより安全で確実に遂行されるためには、TS 特有の knack and pitfall を共有すること が重要と考える。【当科のシステム】倒立対面式 2 モニター、4 ports(7!7!15!30mm)、30 度硬性斜視鏡を使 用し、3 名で手術を担当。【出血時アルゴリズム】圧迫にて出血コントロール可能→そのまま圧迫、Fibrin sheet、結紮、縫合を併用(場合により血管テープによる血流遮断)。圧迫での出血コントロール不能、出血 点不明、損傷個所 2 箇所以上、出血量 500ml 以上は開胸移行とした。【対象】2008 年 4 月"2014 年 3 月までに 当科で施行した Thoracoscopic major pulmonary resection(葉切!区切)718 例。【結果】肺動脈出血は 14 例

(1.9%)に認め、内訳は、血管剥離時!血管切離時!葉間形成時!リンパ節郭清時=5!6!2!1 例。原因としては 手技の未熟(確認不足含め)が主な要因であった。開胸移行 2 例(0.2%、共に左 A3 損傷)。術中出血量 med.

30(0"2900)ml。手術関連死亡 0 例。全例で予定手術を完遂した。【考察】視野外での操作や加速度を付けた 操作など、TS において出血に繋がり得る操作は存在し、それらを細部に渡り、Surgeon のみならず Scopist,

Assistant の全員が共有・理解し、術中に指摘しあえる環境が重要と考える。それに付加する形で、出血時ア ルゴリズムを遵守し、Scopist の視野確保・4 つ目のポートからの Assistant の役割を周知させ、緊急時に冷 静に対処が可能な手術室全体のチーム作りが重要と考える。【結語】出血例を振返り、その原因の把握と対応 法を共有することは安全な TS の普及に必須である。当科での経験を供覧する。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

原発性肺癌に対する Pure VATS lobectomy! segmen-tectomy での肺動脈損傷例の検討

○矢島 俊樹、茂木 晃、東 陽子、飯島 岬、小野里 良一、八巻 英、高坂 貴行、田中 司玄文、

桑野 博行

群馬大学 大学院 病態総合外科

【背景】近年、低侵襲手術としての Pure VATS の有用性が示されているが、肺動脈損傷による致命的な報告 も認められる。当科でも 2009 年から導入し、現在 8 割の症例で行っている。過去 3 年間に Pure VATS lobec-tomy!segmentectomy を行った原発性肺癌で、肺動脈損傷例の原因、対処法を検討したので動画供覧する。【方 法】2011 年 1 月〜2014 年 11 月までに行った Pure VATS lobectomy!segmentectomy(3cm window+3Ports)

の 175 例の内、原発性肺癌 154 例を対象とした。葉切!区切は 135!19 例で、肺動脈損傷例は葉切の 4 例(2.6%)

だった。症例 1 は、69 歳女性の右上葉切除。上行肺動脈を切離時に自動縫合器の不良(縫合針の 2 重充填)

で打針後、外せなくなった。そのまま開胸し中枢と末梢の血管を確保してからはずし、フィブリン糊シート で止血した。症例 2 は、67 歳女性の左上葉切除。A4"5 を視野が不十分のまま剥離を行い出血。ソラココッ トンで圧迫後、鏡視下のままフィブリン糊シートで止血。症例 3 は、72 歳男性の左上葉切除。縦隔型の A4"

5 が、A3 と A1+2ab と太い共通管で、確保時に出血し肺で圧迫した。開胸し中枢と末梢の血管を確保し自 動縫合器で切離した。症例 4 は、84 歳女性の左上葉切除。リンパ節が A1+2ab 根部に固着し剥離時に大量出 血した。肺で圧迫しながら開胸し、中枢と末梢の血管を確保しクランプ後、切離し縫合閉鎖した。【考察】鏡 視下手術における術中出血に的確に対応するためには、常に開胸セットと各種血管鉗子を準備しておく、出 血部の把持・ピンポイントの圧迫は避け、圧迫止血中に次の最善の一手を冷静に考える、カメラ視野を術野 中心に維持する、そして何より開胸への移行は躊躇せず行う事が重要である。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

完全胸腔鏡手術における肺動脈損傷時の対処法〜適切な修復ア ルゴリズムと開胸タイミングを考える〜

○荒木 邦夫、松居 真司、松岡 佑樹、高木 雄三、春木 朋広、三和 健、谷口 雄司、中村 廣繁

鳥取大学医学部胸部外科

当科では完全胸腔鏡下手術を導入した 2009!1 から 2014!10 までに完全胸腔鏡下肺葉切除,区域切除を 292 例に行った.うち 16 例が開胸に移行したが(移行率 5.5%),その中で肺動脈出血が開胸の理由となった症例 は 5 例であった.この 5 症例の出血原因は,1.自動縫合器先端での右肺動脈上幹根部の損傷,2.左肺動脈 上幹分枝の鋏による損傷,3.エネルギーデバイスによる右肺動脈上幹の損傷,4.固着リンパ節剥離時の右 A7 の損傷,5.葉間形成時の右 A6 の損傷であった.出血量は 100"1620ml(平均 487ml)となったが,開胸 後の修復処置により重篤な合併症を生じることなく終了した.経験した症例を教訓として,我々が常々考え ている肺動脈損傷時の修復アルゴリズムを提示する.1.出血の制御:近傍の肺実質を折りたたんで圧迫する ことで出血を制御する.またはコットンなどで出血部を適度に圧迫する.2.止血の準備:出血を制御してい る間に,タコシール,血管遮断鉗子,縫合糸,輸血の準備,術前 3D CT で血管の走行や周囲臓器位置関係 の確認を行う.3.止血操作:鏡視下での止血が可能と判断した場合は,タコシールを出血点に貼付し圧迫す る.鏡視下操作が困難である場合は,出血を制御しながら速やかに開胸へ移行する.開胸後可能な限り肺動 脈本幹のテーピングを行ってから縫合等の適切な修復を実施する.出血時の開胸コンバートのタイミングと しては,1.出血がコントロールできない時(出血点が不明,出血量が多い),2.損傷の部位:肺動脈上幹根 部,3.肺動脈とリンパ節に癒着がある時,4.術者・施設の技量での判断と定義している.以上に示したア ルゴリズムに則り修復を行った症例を提示し,出血時の対処法を考察する.