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○正岡 俊明、石原 良

鶴岡市立荘内病院 呼吸器外科

【はじめに】小型肺癌の増加や温存手術の要望により縮小手術としての区域切除術が普及しつつあるが手技方 法は施設間で違いがある。当院での区切について標準手術である葉切と比較しやすい右上葉例で検討した。【当 院の方法】1 ; 3 ポート VATS。2;術前の 3DCT にて区域間静脈と腫瘍の関係を把握。3;腫瘍に近い側の区 域間静脈を切離して隣接葉に切り込む。4;肺瘻防止のため区域間は stapler で切離。【症例動画】59 才女性、

右 S2a 末梢で V2a に近く S1b 寄りの 15mm の GGO。A2 を処理後、含気虚脱法で区域間を確認。S2!3 間は V2c を温存し含気虚脱線で stapler にて切離。S1!3 間は V2a を根部で切離し含気虚脱腺を越えて S1b に切り 込んで stapler で切離。マージンは十分であった。【結果】最近 4 年間の VATS 右上葉肺癌切除例を区切群・

葉切群に分けて比較。区切 15 例、葉切は術後化療例を除く 16 例。性別・年齢・手術時間・出血量・術前肺 活量と一秒量はほぼ同等。術後合併症は、ドレーン留置が 1 週以上の肺瘻が区切 2 例、葉切 4 例。同様の乳 び胸が葉切で 2 例。遅発性肺瘻による再手術が区切で 1 例。呼吸機能は 1"3"6"12 か月で測定。肺活量損失率 は区切群が 0.87"0.92"0.91"0.91、葉切群が 0.78"0.86"0.9"0.9。一秒量損失率は区切群が 0.87"0.92"0.9"0.9、葉切 群が 0.79"0.87"0.91"0.89。両値ともに術後 1 か月で有意差を認めたが、以降は葉切群での肺気量回復が良好な ため差がなかった。区切例に再発はなかった。【まとめ】当院での右上葉区切は、上葉切に比べて術後早期の 肺気量損失が少なく合併症も少なかった。区域切除術は機能温存効果に優れた術式であると思われた。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

3!dimensional simulation software(VINCENT)を 用いた複雑肺区域切除術

○永田 俊行、徳永 拓也、原田 亜矢、脇田 和博、青木 雅也、大塚 綱志、横枕 直哉、狩集 弘太、

中村 好宏、佐藤 雅美

鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科呼吸器外科学分野

近年の CT 機器の進歩とコンピューター処理能力の向上により詳細な診断や解剖学的把握が容易となっ た。呼吸器外科領域では、手術の安全性・確実性を高めるために、肺動静脈・気管支の 3D!CT を活用し手 術シミュレーションを行う施設が増えている。当科では種々の肺切除手術において、3!dimensional simulation software(富士フイルム社製 SYNAPSE VINCENT(以下 VINCENT))を用いて手術シミュレーションを行っ ている。特に肺区域切除術においては解剖学的把握が肺葉切除以上に重要であり、複雑である。まず、病変 の位置から切除区域を決定するが、病変部と切除断端との距離が十分に確保できるかを見極める必要がある。

これを CT の水平断・前額断・矢状断のみから理解・把握することは容易ではなく、かなりの修練を要する。

区域切除術において、肺動静脈,気管支の分岐様式,走行の術前把握や術中同定、また術中の病変部同定や 切離縁確保のために様々な工夫や試みがなされているが、まずは術前の画像から病変との切除縁が十分に確 保される区域・亜区域切除術を計画することが最低限必要なことである。今回われわれは、CT から想定し た肺区域切除術を、VINCENT を用いた手術シミュレーションで充分な切除マージンが確保できなかったた め区域切除術から複雑区域合併切除術へ変更した症例を提示する。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

右上中葉切除後右下葉肺癌に対する S10a 亜区域切除の一例

○森川 明男、阿藤 一志、奥村 征大、吉村 昌記、北原 弘恵、唐澤 幸彦、織井 崇

昭和伊南総合病院 外科

<はじめに>肺癌治療成績の向上により、葉切除後残肺に発生する 2 次肺癌にしばしば遭遇する。残存肺機 能など QOL を考慮して縮小手術が行われる場合が多い。今回我々は右上中葉切除後に、右下葉に発生した肺 癌に対して、S10a 亜区域切除を施行した。難易度の高い区域切除と考えられるが、いくらかの工夫により安 全に施行できたので報告する。<症例>69 歳女性、9 年前右上葉 S3、2.7cm 腺癌(野口 typeC),T1N0M0,

Stage1A について右上中葉切除,上縦隔郭清の既往あり。転移再発なく経過していたが、経過観察 CT で右 下葉 S10a に徐々に増大する径 7mm の GGO 結節を認め、肺癌を疑い手術施行した。術前 3DCT(VINCENT)

で S10a 区域切除により十分なマージンで切除できることを確認し、区域間を形成する肺静脈、肺動脈気管支 の走行および切離すべき脈管を確認した。これにより術中のオリエンテーションを迷わずに手術施行できた。

手術は後側方 8cm 小開胸、肺門後方からアプローチした。下肺静脈を露出し V6c 沿いに S6S10 間を切開し た。A10,B10 を確認し A10a,B10a,V10a を処理した。切離面からの出血はバイポーラソフト凝固で止血 した。重要血管が近い部位での止血は、切れない特性ためソフト凝固は安全に無血野を確保できる。区域間 は末梢側気管支にコブ付カテーテル挿入し送気し区域間を同定し電気メス及びステイプラーで区域間を切離 した。病理は BAC 主体の肺腺癌。外科断端は陰性。術後 8 日退院。1 年経過で術前同等の QOL で健存中で ある<考察>3DCT による術前検討とバイポーラソフト凝固による無血野の確保により、複雑に思えた亜区 域切除が容易に施行できるようになった。根治性を損なわぬよう適応に注意して行うことが肝要である。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

比較的困難な底区域領域の区域切除:右 S8+9 切除

○藤原 俊哉、荒木 恒太、西川 仁士、小谷 一敏、松浦 求樹

広島市立広島市民病院呼吸器外科

【緒言】近年,20mm 以下の末梢性小型肺癌に対して積極的に区域切除が行われるようになってきた.このた び登録完了となった臨床試験の結果により肺癌標準手術の新たなエビデンスが構築されることが期待され る.切除区域によって難易度は異なり,下葉殊に底区域は比較的困難な領域であると考える.その理由とし て,肺底静脈の variation が多く同定しづらいこと,それに伴い肺動脈や気管支の同定に肺静脈を指標にしづ らいことが挙げられる.また分岐形態によって,S9+10 切除のように二区域切除を行ったほうが易しい場合 や切除断端距離を保つために複合区域切除を余儀なくされる場合などがあり,術式の選択には症例ごとに慎 重な検討を要する.今回,S8,S9 区域間に存在した末梢性小型肺腺癌に対し,S8+S9 切除を行った.【症例】

67 歳,男性.喫煙歴 15 本!50 年間.1 年前,腹部大動脈瘤にてステント内挿術施行.経過観察の CT で右肺 下葉 S8,S9 区域間に 20mm 大の不整型結節を指摘され,当科紹介となった.PET では肺結節に SUV max 4.7 の FDG 集積を認めた.肺癌を強く疑い,術前診断 cT1aN0M0 stageIA で手術の方針とした.気管支は最も 頻度の高い B8,B9+10 の分岐形態であり,B8,B9 を個々に処理し,それぞれに隣接する区域との含気虚脱 ラインを描出した.また S6b に近い病変であったため,S6b に切り込む形で S8+S9 切除を行った.病理では 腺癌,pT1aN0M0 stage IA であった.【考察】底区域領域の区域切除において,肺静脈の同定・切離を先行 せず,気管支の同定はしやすいため含気虚脱ラインを描出して区域間を確認した.S6b 亜区域切除を併施す る選択肢もあった.【結語】比較的困難な底区域領域の二区域切除を経験した.

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

不分葉の葉間部腺癌に対する複合区域切除症例

○安孫子 正美、片平 真人、塩野 知志、佐藤 徹

山形県立中央病院呼吸器外科

【はじめに】葉間部に存在する肺癌の手術は、術式の方針決定に戸惑うことがある。今回、不全分葉部中央に 存在する肺腺癌において、肺門前方からのアプローチのみで舌区・S8 複合区域切除を行った症例を供覧す る。【症例】症例は左中肺野の結節影を指摘された 54 才の女性で、CT で左 S4 に長径 23mm 大のスリガラス 影を含む結節影を指摘された。気管支鏡下生検を試みたが、B4 からも B8 からも鉗子が到達せず、薄切 CT の再検では、高度不全分葉であることが判明、その葉間ほぼ中央と推定される乏血管野に病巣が存在してい た。当院では長径 2cm 以上の肺癌は原則肺葉切除としているが、本症例では優位肺葉が判定できず、舌区・

S8 複合区域切除の方針とした。【手術】創長 7cm の前方小切開による胸腔鏡補助下に行った。葉間やや背側 に痕跡程度の fissure を認め、その前方の不全分葉部に結節を触知した。肺門前方からアプローチし、まず上 肺静脈と下肺静脈の間隙を剥離して気管支上下分岐部を露出。V4+5 を結紮切離後、舌区気管支に気管支鏡 で選択的送気を行い、舌区支を自動縫合器で切断した。上区・舌区区域間で含気虚脱ラインが明らかとなり、

電気メスで区域間を切離した。次に舌区気管支断端背側で葉間肺動脈幹を確認し、A4+5 の分岐を結紮切離。

さらに末梢で A8 を結紮切離。下葉気管支を末梢へ追い B8 を同定、選択的送気後に B8 を結紮切離した。下 葉側の含気虚脱ラインを電気メスで区域間切離を進め、肺門部で V8 を確認して結紮切離した。背側の葉間 部のみ自動縫合器を 1 回使用し、複合区域切除を完了した。病巣は葉間胸膜の欠損する葉間部中央に存在し、

微小浸潤肺腺癌であった。