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○松岡 弘泰、松原 寛知、宮内 善広、市原 智史、椙村 彩、鈴木 章司、中島 博之

山梨大学医学部付属病院第二外科

【はじめに】神経根から発生した脊髄腫瘍は、椎間孔から胸腔内へと進展することでダンベル型を呈すること がある。その場合、胸腔内・背側いずれからのみのアプローチでは摘出が困難なことが多い。今回われわれ は、2000 年以降に当科で経験した 3 例の胸腔内ダンベル型腫瘍について検討を行ったので、これを報告する。

【症例 1】10 歳代女性、健診レントゲンで異常を指摘され、CT で右第 6!7 胸椎椎間孔を茎とする後縦隔腫瘍 を指摘され手術方針となった。後側方切開でアプローチし、胸腔内操作のみで行ったが、椎間孔部の腫瘍摘 出に難渋し、第 7 肋骨の椎体からの切離を要した。【症例 2】20 歳代女性、健診レントゲンで異常を指摘され、

CT で右第 5!6 胸椎椎間孔を茎とする後縦隔腫瘍を指摘され手術方針となった。最初に胸腔鏡下に胸腔内突出 部分を切除摘出し、その後に当院整形外科による後方アプローチにて残りを切除した。【症例 3】60 歳代女性、

健診レントゲンで異常を指摘され、CT で右第 3!4 胸椎椎間孔を茎とする後縦隔腫瘍を指摘され手術方針と なった。最初に胸腔鏡下にアプローチし、癒着していた右上葉を部分切除し、胸腔内突出部分とともに切除 摘出した。その後、当院脳神経外科による後方アプローチにて残りを切除した。【考察】当科の最初の症例で は、胸腔内からのみのアプローチを施行し、椎間孔にはまり込む部位の摘出に難渋したため、それ以降は他 科との合同による胸腔内および後方アプローチによる手術を行うこととした。後方アプローチを併用するこ とで、硬膜を直接観察できるため、同部位からの出血や髄液漏の観察・対処が安全かつ確実に可能であり、

有用な手術方法であると考える。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

消化器外科と合同手術を行った食道内発生の神経鞘腫の 1 例

○川村 知裕、井上 匡美、高畠 弘幸、福井 絵里子、舟木 壮一郎、別所 俊哉、新谷 康、南 正人、

奥村 明之進

大阪大学 呼吸器外科

【背景】神経鞘腫は主に後縦隔に発生する頻度が高く,肋間神経や交感神経から発生することが多い.しかし 食道内発生の神経鞘腫は希な腫瘍で,本邦の報告例では 40 例に満たない.今回食道神経鞘腫に対し,消化器 外科と合同手術を行った症例を経験したので報告する.【症例】22 歳女性.2014 年 4 月学校検診の胸部レン トゲンにて異常陰影を指摘.近医胸部 CT にて後縦隔腫瘍指摘.精査加療目的にて当院紹介受診となった.

胸部 CT 上,気管分岐部レベルから下肺静脈レベルまで,傍食道に 30×53×55mm の境界明瞭辺縁整の腫瘍 であった.上部消化管内視鏡にて,胸部中部食道に粘膜下腫瘍を指摘.EUS では食道外病変との診断であっ た.PET!CT では腫瘍に SUVmax5.0 の集積を認め,食道腫瘍の可能性が示唆された.閉所恐怖症のため MRI は施行できなかった.後縦隔腫瘍,食道腫瘍両方の可能性が示唆されたため,消化器外科と合同で手術の方 針とした.【手術】(ビデオ供覧)腫瘍は気管分岐部背側に認め,可動性は良好で周辺組織への浸潤はなかっ た.縦隔胸膜を切開すると腫瘍表面に縦走する筋層を認め,腫瘍は食道内発生と判断した.食道筋層を徐々 に切開し腫瘍に到達.肉眼的に腫瘍は神経鞘腫と考えられた.食道粘膜損傷に注意しながら,食道壁内より 腫瘍を核出.食道筋層を縫合した後,縦隔胸膜を縫合閉鎖.摘出標本は 40×21×95mm で最終病理は神経鞘 腫であった.術後 6 日目より流動食から食事を開始.術後 7 日目ドレーン抜去.その後経過良好で,術後 14 日目で退院となった.【結語】希な食道内神経鞘腫に対し,消化器外科と合同手術で安全に手術が可能であっ た.

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

胸骨上半正中切開により切除し得た上縦隔発生限局型 Castle-man 病の 1 例

○馬場 峻一、小林 正嗣、中島 康裕、高崎 千尋、石橋 洋則、大久保 憲一

東京医科歯科大学呼吸器外科

症例は 39 歳男性。健診で腫瘍マーカー高値を指摘され、精査目的で前医を受診した。CT で上縦隔腫瘍を指 摘されたが、穿刺吸引細胞診で診断がつかず、確定診断および加療目的で当院紹介受診となった。CT 上腫 瘍は気管左側に存在し、異所性胸腺腫またはリンパ腫を疑われたため、診断・治療目的に摘出の方針となっ た。腫瘍が上縦隔に限局していたことから、術式は胸骨上半正中切開を選択した。手術所見:頭側より胸骨 を第 4 肋骨レベルまで縦切断し、小開胸器で術野を確保した。胸腺を剥離し、腕頭動脈、左腕頭静脈、左反 回神経をテーピングした。腫瘍は左反回神経と接していたが剥離可能であり、周囲の胸腺・脂肪織と一塊に して腫瘍を摘出した。術後経過良好で嗄声を認めず。術後病理で、Castleman 病(hyaline!vascular type)の 所見を認めた。上縦隔腫瘍に対する胸骨上半正中切開アプローチの報告は少ないが、腫瘍に到達しやすく視 野の展開も容易であり、有用な術式と考えられる。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

胸腔鏡下に切除した中縦隔 Castleman 病の一例

○塩 豊

1

、渡邊 譲

1

、武藤 哲史

2

、武藤 亮

1

、石井 恒

1

、押部 郁朗

1

、宮澤 正紹

2

、又吉 一仁

1

、 武藤 淳

1

、鈴木 弘行

2

1福島労災病院外科、2福島県立医科大学呼吸器外科

【はじめに】Castleman 病は 1956 年 Castleman がリンパ増殖性疾患として報告した比較的稀な疾患である。

今回中縦隔に発生した症例に対して胸腔鏡下に切除を実施可能であったので報告する。【症例】49 歳男性.

転倒による外傷性クモ膜下出血のため救急外来を受診した際に CT で縦隔腫瘍を指摘され、外傷の加療後に 当科紹介となった。既往に非外傷性クモ膜下出血と脳梗塞がありアスピリンを内服していた。勤労者であり PS0 だった。術前検査中に糖尿病を認めた。画像検査では CT で中縦隔に長径 4.5cm の石灰化を伴う腫瘍を 認めた。MRI ではほぼ均一な造影効果を認め嚢胞性変化は無かった。以上のことから術前診断は神経原生腫 瘍とした。手術:左側臥位として 3port で開始し、後に port を 1 本追加した。周囲への浸潤は無いが炎症性 癒着が強く、手術時間 4 時間 10 分、出血量は 250g だった。摘出標本の迅速病理診断で Catsleman 病だった。

術後の病理診断で Hyaline!vascular 型 Castleman 病と確定した。経過は良好で術後 4 日目に退院した。【結 語】中縦隔 Castleman 病の 1 例を報告した。術前に診断はできなかった。中縦隔腫瘍は周囲に重要な臓器が 多く慎重な手術操作が要求されるが胸腔鏡下に摘出可能だった。

第32回日本呼吸器外科学会総会(2015年)

左腕頭静脈頭側の胸腺腫瘍に対して右胸腔鏡下胸腺全摘術の 1

○岡崎 直人、河野 匡、藤森 賢、横枕 直哉、池田 岳史、原野 隆之、鈴木 聡一郎、飯田 崇博、

酒井 絵美、古賀 修平、前田 裕介

虎の門病院呼吸器センター外科

【はじめに】胸腔鏡下胸腺全摘術の際、視野確保のために CO2 送気や胸骨吊り上げを行うことが多い。当科 では、現在同手技は併用せず胸腺上極およびその周囲に存在する腫瘍の処理は、右内胸動静脈および右腕頭 静脈の三角のスペースを開放することで良好な視野を得ている。左腕頭静脈より頭側の腫瘍の位置により、

胸腔鏡手術に加え頸部切開を併用している。今回三角のスペースを開放したことで、胸骨頸切痕の高さに存 在する胸腺腫瘍に対して胸腔鏡下のみで胸腺全摘術を施行できたので手術ビデオとともに供覧する。【症例】47 歳女性。肺塞栓症に対するフォロー中に胸部異常陰影を指摘。胸部 CT で左腕頭静脈から胸骨頸切痕にかけ て存在する造影効果を伴う充実性の前縦隔腫瘍を認め、6 か月の経過で 15×15 mm から 22×20 mm に増大 傾向を示した。他院で頸部より生検で胸腺腫と診断され紹介受診。手術は、右側からの完全モニター視 3!port 胸腔鏡下に行った。左腕頭静脈に剥離を進めると充実性腫瘍を認め、同部位への浸潤は認めなかった。腫瘍 および胸腺上極の剥離の際、右内胸動静脈、右腕頭静脈に囲まれる三角のスペースを開放し、周囲組織の剥 離および流入血管の処理が安全に施行できた。腫瘍上縁の処理は、体表の胸骨頸切痕より 1 横指頭側まで術 者鉗子が触れることができ、頸部切開を追加せず胸腺全摘術を施行した。手術時間は 95 分、出血量は 50 ml、

胸腔ドレーンは非留置。術後経過良好で、4 日目に退院。最終病理診断は胸腺過形成であった。【結語】右内 胸動静脈および右腕頭静脈に囲まれる三角のスペースを開放することで、症例によっては、CO2 送気や吊り 上げ行わず胸腔鏡下のみで手術が可能である。