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第 2 章 既存地域熱供給システムの東京特別区内の建物の省エネルギーに対する影響分析

2.3 東京都区別区における既存地域熱供給システムの CO 2 排出量及び効率の推移

2.3.1 分析概要及び方法

東京都特別区内の地域熱供給システムにおける、1998年度~2015年度の販売熱量と原・燃料使用 量、及び供給地区面積と供給延床面積を調査し、熱供給システム効率とCO2排出量を算出した。調 査には、一般社団法人日本熱供給事業協会が発行する熱供給事業便覧の 1999 年度版(1998 年度の データ記載)から2016年度版(2015年度のデータ記載)を用いた。

調査対象は、東京都特別区内の地域熱供給システム61地区において、熱供給事業便覧上に原・燃料 使用量、販売熱量の内訳が記載されているシステム効率が算出可能な 46 地区とした。残りの 15 地区は販 売熱量と原・燃料使用量の内訳が不明なため分析対象外とした。

販売熱量は温水、蒸気、直接蒸気、冷水、給湯の項目に分かれており、単位が[GJ]で統一されてい る。一方、原・燃料使用量はガス[千㎡]、LPG[t]、石炭[t]、灯油[kℓ]、重油[kℓ]、再生油[kℓ]、購入排熱[GJ]、 電力[千kWh]、その他[GJ]の項目に分かれており、各項ごとに単位が設定されている。

地域熱供給システムの効率を算出するためには、原・燃料使用量から一次エネルギー消費量[GJ]を算出 する必要があるため、表 2.3.1に示す一次エネルギー換算係数を原・燃料使用量に乗じて算出した。この値 は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」で設定されている値を用いた。

なお、販売熱量は一般家庭用と業務用に分かれているが本研究では一般家庭用と業務用を足した値を 用いた。

表 2.3.1 一次エネルギー換算係数

原・燃料使用量 一次エネルギー換算係数

電力[千kWh] * 9.76[GJ/千kWh]

ガス[千m3] * 45[GJ/千m3]

LPG[t] * 50.8[GJ/t]

石炭[t] * 29.4[GJ/t]

灯油[kl] * 36.7[GJ/kl]

重油[kl] * 39.1[GJ/kl]

*エネルギーの使用の合理化等に関する法律

(1) CO2排出量の算出方法

熱供給事業便覧に記載されている調査対象地区の1998年度から2015年度までの原・燃料使用量

に、表 2.3.2に示すCO₂換算係数を乗じ、各地域熱供給システムの年度ごとのCO2排出量を算出し

た。

電力のCO2排出量の算出では、東京電力が公表した2015年度の調整後CO2換算係数0.491 [kg-

CO2/kWh]を用いた。この値は、発電事業者の電源構成比とともに年度ごとに変動しており、1998年

度は0.315[kg-CO2/kWh]と2015年度に対して35%小さい値であった。本章では電力由来のCO2

出量を同一の条件で分析するため、各年度の電力消費量に 2015年度の換算係数を乗じ CO2排出量 を算出した。

そして、ガスのCO2排出量の算出は、東京ガスのガス種類13A・中圧供給のCO2換算係数2.19 [kg

-CO2/m3]を用いて算出した。また、LPG・灯油・重油のCO2排出量の算出は、「地球温暖化対策推 進法」の関連法令である「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関す省令」

に基づき、表 2.3.2に示す CO2換算係数を用いて算出した。また、CO2排出量を供給範囲内の事務 所延床面積の合計値で除し、単位面積当たりのCO2排出量を算出した。

表 2.3.2 CO₂換算係数

CO2換算係数 係数値

電力* 0.491 [kg-CO2/kWh]

ガス** 2.19 [kg-CO2/m3]

LPG*** 0.059 [t-CO2/GJ]

灯油*** 0.068 [t-CO2/GJ]

重油*** 0.069 [t-CO2/GJ]

*東京電力HP 2015年度値

**東京ガスHP 13A中圧供給

***特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令別表第 1

(2) 熱供給システム効率の算出方法

地域熱供給システムの熱供給システム効率の算出に用いた式を式(1)に示す。本研究において熱供 給システム効率は、販売熱量の合計値から熱供給事業便覧に記載されている原・燃料使用量を基に 算出した一次エネルギー消費量を除すことで算出した。また、本研究では排熱の一次エネルギー換 算係数をゼロとした。

また、本研究では地域熱供給システムのシステム効率を、表 2.3.3 に示す「地域熱供給システム の熱供給システム効率の評価基準」を用いて評価し、熱供給システム効率評価の推移を分析した。

この評価基準は、2002年度に東京都環境局が策定した「新しい都市づくりのための都市開発諸制 度活用方針」で定められたものである。これにより東京都の地域熱供給プラントは、熱供給システ ム効率を基にAA、A⁺、A、A⁻、B、Cの6段階に評価が格付けされた。

NE=(CL+HL+DS+S+HW)/(E+G+PG+C+H+K+O) ... (1) NE:熱供給システム効率[-]

CL:冷水販売量[MJ]

HL:温水販売量[MJ]

DS:直接蒸気販売量[MJ]

S:蒸気販売量[MJ]

HW:給湯用温熱販売量[MJ]

E:熱源システム電力消費量[MJ](換算係数:9.76[MJ/kWh]) G:熱源システム都市ガス消費量[MJ](換算係数:45[MJ/m3]) PG:熱源システムLPG消費量[MJ](換算係数:50.8[MJ/kg]) C:熱源システム石炭消費量[MJ](換算係数:29[MJ/kg]) H:熱源システムA重油消費量[MJ](換算係数:39.1[MJ/ℓ]) K:熱源システム灯油消費量[MJ](換算係数:36.7[MJ/ℓ]) O:熱源システムその他燃料消費量[MJ]

表 2.3.3 熱供給システム効率値の評価基準

熱供給システム効率の値 評価

0.9以上 AA

0.85以上~0.90未満 A⁺

0.80以上~0.85未満 A 0.73以上~0.80未満 A⁻

0.65以上~0.73未満 B

0.65未満 C