2.3 特別企画
2.3.5 世界初のスマホ連動映画『貞子 3D2 スマ 4D』はどのように作られたか!?77
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(2) スマ 4D とは
講師:今安氏
スマ4Dとは、映画「貞子3D2」スマ4D版の上映中に、専用のスマホアプリを起動す ると、本編に連動した別次元の恐怖が楽しめるシステム。
スマ4Dの説明にあたり、スマホを持っている方に「貞子3D2」のアプリをインストー ルしてもらい、実際のスマ4Dを体験できる映像を上映した。
(3) 企画について
1作目は貞子が飛び出すことで考えたが、2作目の企画にあたって英監督から3Dだけで はないことがやりたいとの話があった。(今安氏)
1 作目そのままではダメだろうと思い。アトラクションホラーとして次の何かを見せた かった。初めはスマホを利用するというアイデアは無かった。(英氏)
いろいろアイデアを考えたが、皆が体験できるようにするという条件が難しかった。カ ヤックとエヴィクサーのテレビでのACRの取り組みを知って相談した。(今安)
(4) ACR 技術について
講師:鈴木氏
ACR とは機会がコンテンツを認識する技術。例えばスマホが雑誌やテレビを認識して、
ECサイトに誘導(O2O)することなどができる。
エヴィクサーが提供するコンテンツ認識の SDK には、音認識、画像認識、動画認識が あるが、今回のスマ 4D ではそのうちの音認識を利用した。音認識には Audio Finger
Printingを使ったものと音響透かしを使ったものがある。
今までのO2Oのシステムでは演出の起動タイミングはそこまでは重要ではなかったが、
今回のスマ4Dでは映画館で見るため、見ているみんなのスマホがほぼ同時に演出を起動 する必要があるという技術的な課題があった。そこで音響透かしによるコンテンツ認識の 提案をした。音響透かしによるコンテンツ認識はデータベースも必要なくデータも軽いた め、今回のような仕組みに適している。また普通に聞いただけでは透かしが入っているか どうかわからない。今回の音響透かしの技術は、可聴領域と非可聴領域のどちらでもサポー
トできるFrequency Free、スマホ間の同期をとるためのSync Free、映画の尺であれば
ラップトップPCで埋め込み対応可能なProcess Freeという特徴を持っている。
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(5) アプリ紹介
スマ4Dでは以下のような今まで映画館ではできなかった演出を実現した。色々なアイ デアを出したが、そのうちの1/3くらいが残った。(佐藤氏)
スクリーンの中で電話をかけると、観客のスマートフォンに着信が来る
勝手にカメラが起動し、スクリーンに向かってフラッシュ撮影する
大声で叫ぶとスマートフォンが光る(終わった後に録音されているデータを聞くこと ができる)
スクリーンには映らない画面(登場人物が見ている手紙・写真)をスマートフォンで 確認できる
また呪いの演出として以下のような演出をした。(英氏)
スマートフォンが感染している
友人から大量のPUSH通知
突如データが削除されてしまう
また、映画の終了後に夜中の0時に貞子から着信がある演出を入れたが、これに関して は、いくつか問い合わせがあった。(今安氏)
(6) 苦労した部分
映画が出来上がっていない最中の開発であったため、大変だった。(今安氏)
それぞれが違う分野のため言語が違うところがあった。映画館に映画を見に来ている方 に、スマホの演出をどの程度入れるべきかのバランスが難しかった。(英氏)
(7) 劇場運営について
携帯の電話を入れたままにすることに関しては、映画館の側が受け入れてくれるか心配 だったが、思った以上に面白がってくれる方が多かった。また劇場によってはマニュアル を独自に作成してくれたところもあった。映画館の外のロビーで起動しないように、後半 30分に関しては電子透かしをなくすなどの対応をした。映画の始まる前には、スマ4Dを 利用するためのガイダンス映像を流した。(今安)
(8) スマ4D の今後について
スマ4Dでは、セカンドスクリーンのフラッグシップを見せていただいた。もっといろ
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いろなところでこうした仕組みが広がればと思う。(鈴木氏)
スマホだけでなく、ウェラブル端末と連携するようにしたい。(佐藤氏)
「貞子3D2」は満足しているが、最初の段階からスマ4D有り機で考えられたらもっと 良くなったのではないかと思っている。スマ4Dだけの映画というのもあるのではないか と思っている。(今安氏)
大勢の人で見るということに対するサービスが始まった気がする。スマ4Dがあること で劇場に一体感が生まれる。ホラーだからこうした仕組みが合っているわけではないと思 うので、まだまだいろいろできると思う。(英氏)
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2.3.6 HMD で変わるコンテンツの未来
日 時:10月26日(土)14:45~15:50
場 所:日本科学未来館 1F センターステージ 登壇者:清川 清(大阪大学准教授)
矢部 俊男(森ビル株式会社 都市開発本部 計画統括部 メディア企画部 部 長)
藤井 直敬(理化学研究所 脳科学総合研究センター 適応知性研究チーム チームリーダー)
近藤 義仁(株式会社エクシヴィ 代表取締役)
参加者:156名 概要:
Google Project Glassや、Oculus Rift に 代 表 さ れ る 安 価 な HMD(head mounted display)の 登 場 に よ っ て 、 HMD がプラットフォームとして注目を 浴びている。
本セミナーでは、そうしたHMDの普 及がコンテンツ産業にどのような影響を 与えるかについて、ゲームのようなエン ターテインメント産業だけなく、産業分
野での活用や学術分野での研究までを含めて最新の動向と今後の展望を紹介した。
(1) HMD で変わるコンテンツの未来
講師:清川氏
HMD を大きく分けると、ウェアラブル用途で利用されるスカウタタイプ(単眼)、AR 等で利用される電脳メガネタイプ(両眼シースルー)、完全にバーチャルの世界に入り込む 没入タイプ(両眼クローズド)などがある。
HMDの歴史としては、1960年代にアイバン・サザランドが開発した「究極のディスプ レイ」が始まりで、その後1980年代に、EyePhone(アイフォン)と呼ばれるHMDが市 販された。
近年はHMDなどが安価に手に入ることになり「VRの民主化」が実現されている。
HMDの利点としては、手軽に360度の見まわしができる、一人用の映像を提供できる、
代替現実(SR)などありえない視覚体験を提供できることなどがある。また今後は音や映 像だけでなく匂いや味も感じることができるHMDが登場するだろう。
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HMD の欠点としては、わずらわしい、重い、汗臭い、酔う、据え置き型ディスプレイ と比較して映像品質が低い、正しく見せることが意外に難しいといったことがある。
これからのHMDは、もっと小さく軽くリアルに進化し、音やにおいなどのマルチモー ダルに対応し、TPOに合わせて見せ方を切り替えるようになることを期待している。
(2) 都市開発での HMD の可能性について
講師:森氏
森ビルでは、東京など都市のジオラマを作成しているが、その成果物として大量のデジ タル化されたテクスチャを所有している。またそうしたテクスチャとCGを利用した映像 も制作している。
都市開発では、建物のCGデータをどんな建物を作るかのシミュレーション、資金調達 などの際のプレゼンテーション、販売時のセールスプロモーションなどに利用しているが、
建物が完成した後のデータは不要になっている。
そうした都市開発の過程で作られるCGデータを有効利用してHMD用のコンテンツを 生成することにコスト面での可能性を感じている。
まずは文化施設の建物の有効利用から考え、Oculus Riftを使ったシステムを開発した。
(3) 現実のなかの仮想(SR 技術の紹介)
講師:藤井氏
SR(Substitutional Reality)とは代替現実のことで、視覚と聴覚を覆って制御するこ とで新しい体験を生み出している。
SR 技術は過去に記録されたパノラマ映像やCG 等の仮想空間を、現在の自分の時間の 延長として地続きに体験できる装置。今までのアプローチは仮想空間のクオリティを現実 に近付けることが多かったが、SR では現実のクオリティを仮想空間のクオリティに近づ けた。それによってクオリティの差を無くすことができた。
SRによる体験は、Visuomotor coupling(頭の動きに合わせて見ているものが動くこと)
によって、脳内にマップが構築され記憶のワークスペースになることで、視聴ではなく主 観的体験となる。
(4) 未来のエンターテインメント体験
講師:近藤氏
低価格(300$)のHMDであるOculus Riftが、昨年Kickstarterで募集され話題を呼
んだ。Oculus Riftは、110度の広い画角と頭の動きを遅延なく追従するヘッドトラッキン
83 グ技術で圧倒的な没入感を実現している。
HMD以外にも、Omniという自分が歩くことで入力装置になるデバイスやSTEMとい うポジショントラッキング機能付きのワイヤレスコントローラなど様々なデバイスが登場 している。
今後は、こうしたパーソナルVRが普及することによって、自宅に居ながら360度のラ イブを観戦したり、スカイダイビングやスキューバダイビングをしたり、旅行に行ったり することが可能になるのではないか。またUnityなど開発ツールも充実しており、ユーザー 自らVRコンテンツを作ることができるようになる。