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5 結果

5.2 インタビューの結果と定性分析

5.2.1 三郷金属工業株式会社のインタビュー内容

①資源・強み技術

ISO/TS16949 認証に基づく自動車業界から要求されるサプライチェーンマネジメント

(品質管理)、世界 No1 企業との取引実績、研究開発から海外生産、多品種変量生産までの 柔軟な対応、精密溶接についての課題解決力、コスト力の 5 つに整理している。

②ソーシャル・ネットワーク

児島社⾧が商工会議所、大手電気メーカーの協力会社の会、一般社団法人レーザー・プラ ットフォーム協議会のほかコンサルタントや出版関係者など幅広いネットワークを構築し ている。

③情報発信

不特定多数への情報発信では、現有の自社技術、サービスの内容、特⾧等と 5 つに整理し た自社の強みについてウェブサイトで文字だけでなく写真や動画も用いて情報発信してい る。ウェブサイトの管理と問合せへの対応は社員が担当して行っている。また、展示会では 技術の特⾧がわかりやすいサンプル等も用いて情報発信している。その結果、新規顧客獲得 だけでなく、現在の製品で対応できない案件の問合せも得られた。

ソーシャル・ネットワークの特定の関係者への情報発信では、自社の技術や車載規格品質 管理や柔軟な生産対応等の強み、取り組みについて、社⾧が各種会合での紹介や面談で会話 している。その結果、自社の強みに関連のある案件の相談が得られ、新サービスの開発、顧 客獲得につながった。

④新製品・新サービス

1)レーザー・クリーニング・サービスの事例

レーザー・クリーニング・サービスは不特定多数への情報発信への問合せの中にあった、

現在の製品で対応できない案件を起点に生まれた。ウェブサイトへの問合せの中に塗膜剥 離の案件があった。現在の製品の溶接ではないが、担当の A 氏はこの案件に着目しレーザ ー技術を用いれば可能ではないかと考え、問い合わせ元に訪問しニーズと市場があること を聞いて社⾧に相談した。社⾧のネットワークのレーザー専門家からシーズ技術情報と、顧 客候補を紹介してもらい、情報収集して塗膜剥離と錆び除去を行うレーザー・クリーニング の市場やニーズを確認して、レーザー・クリーニングという新サービスのコンセプトを創造 した。技術開発を行い、デモ機を導入して、展示会で PR して顧客探索し、レーザー・クリ ーニング専用のウェブサイトを立ち上げサービスをはじめた。

2)ISO のコンサルティングと教育を行う新サービスの事例

所属する商工会議所の関係者へも、自社の技術や車載規格品質管理や柔軟な生産対応等の 強み、取り組みについて、社⾧が会合での紹介や面談で会話し情報発信していたところ、あ る会員から車載用規格取得について相談を受けた。ISO 規格取得の支援、コンサルティング のニーズを知り、社内での指導者であった担当者 B 氏を講師、コンサルタントとするシー

ズを適合させ、ISO のコンサルティングと教育を行う新サービスのコンセプトを創造し、B 氏が教育プログラムを開発して、相談元を手始めに新サービスを始めた。

3)医薬品、化粧品製造の一部を請け負う新サービスの事例

協力会社の会の関係者へも、自社の技術や車載規格品質管理や柔軟な生産対応等の強み、

取り組みについて、社⾧が会合での紹介や面談で会話し情報発信していた。その会のメンバ ー企業から、製造している医薬品、化粧品関連の製品が短期間で入れ替わることで困ってい ると相談を受けた。自社の強みシーズである変種変量生産対応力に、医薬品及び医薬部外品 の製造管理及び品質管理の基準である GMP(Good Manufacturing Practice)の適合認定の 取得を付け加えて、この変種生産へのニーズに適合させて、医薬品、化粧品製造の一部を請 け負う新サービスのコンセプトを創造した。実際に GMP 適合認定を取得し、相談元の企業 から紹介も得て製薬メーカーから受注した。

⑤知識結合能力については上記④の 3 つの事例の経緯から当てはまる内容を抽出して表 13 にまとめた。

⑥社⾧のマネジメント

「溶接(つなぎ)屋」を企業ビジョンとして掲げ、顧客ニーズに応じて難易度の高い物と 物の溶接を行い、さらに者と者、物と者を溶接(つな)いでいくというビジョンを社内で共 有し社外にも公表し、PR もしている。情報共有、自発的チャレンジ、権限移譲、リーダー シップ教育、社内外コミュニケーション、提案といった点に注力し社員を育成している。ま た、ウェブサイトや営業の人材の補強も行っている。具体的には、経営会議のメンバーに部

⾧クラスだけでなく課⾧クラスも入れて、情報共有のスピードアップと当事者意識醸成お よび権限移譲を行っている。連絡、報告よりも相談を多用して社内のコミュニケーションを 円滑にしている。社員がやりたいこと、面白味のあることに自発的にチャレンジすることを 推奨し、目標、責任と権限を全社員に設定している。部署横断のプロジェクトを毎年設定し て、リーダーを若い人に任せ、毎週決まった時間を設けてプロジェクトメンバーと周りでサ ポートしながら活動することで若い人を育てている。営業や技術開発の社員が顧客との会 話、コンタクト回数を増やし、客先の工場へ出向いて現場を見て VA(Value Analysis)提案 を行うといった活動も進めている。新しいことへの挑戦は最初にプランを立てるのが困難 だったりプランを立てても変更が多かったりするので、仮説検証型でチェック、修正しなが ら CAPD(チェックーアクションープラン 実行)を高速で回して進めている。