AF非接続時および一相接続時の 3次高調波電流の挙動を述べる。AFは従来の高 調波補償,すなわち,近傍負荷の高調波電流抑制を行うものとする。また,負荷は平 衡状態であるものとする。
3.2.1 AF 非接続時の 3 次高調波電流の挙動
各高調波発生源から発生するn次高調波電流を以下式で定義する。
iLab n =ILab ncosθLA n+ jILab nsinθLA n (3.14) iLbc n =ILbc ncosθLB n+ jILbc nsinθLB n (3.15) iLca n =ILca ncosθLC n+ jILca nsinθLC n (3.16)
High-voltage grid
a
b c
isa 3
isb 3
isc 3 iab 3
ibc 3
ica 3
iLab 3
iLbc 3 iLca 3
図3.2 3次高調波電流の経路(平衡負荷)
平衡負荷時において3次高調波は零相となるため,以下の関係が成立する。
ILab 3 =ILbc 3 =ILca 3 (3.17)
θLA 3=θLB 3 =θLC 3 (3.18)
また,AFが存在しないため各相電流は高調波発生源が発生する電流と等しくなり,以 下式も同様に成立する。
Iab 3 =Ibc 3 =Ica 3 (3.19)
θA 3 =θB 3 =θC 3 (3.20)
上記の関係式を(3.10)–(3.13)式に代入し,線電流に含まれる3次高調波の正相·逆相 成分を計算すると以下式が得られる。
[i+abc 3 i−abc 3 ]
= [0
0 ]
(3.21) 以上より,平衡負荷時においては3次高調波電流は三相系統へ流出しないことがわか る。図3.2は負荷平衡時における,三相回路内の3次高調波電流経路を示す。図中の 矢印は,平衡負荷時における3次高調波電流の経路を示している。図3.2に示される ように,すべての3次高調波電流は三つの単相負荷により構成される∆abcを環流す ることで,∆abc外部への流出は抑制される。(3.2)式において,零相電流が含まれな いのは上記に示した∆結線内を環流する性質があるためである。
High-voltage grid
a
b c
isa 3
isb 3
isc 3 iab 3
ibc 3 ica 3
iLab 3
iLbc 3 iLca 3
AF I
iAF I 3
図3.3 従来制御法を適用したAF I接続時の3次高調波電流の経路(負荷平衡)
3.2.2 AF 一相接続時の 3 次高調波電流への影響
図3.3は検討回路において,AF Iのみが接続された回路を示す。図中の矢印は,負 荷平衡時における3次高調波電流の経路を示している。従来の高調波電流抑制は近傍 負荷の高調波電流を補償するため,AF Iが出力する3次高調波電流iAF I 3 は以下式で 与えられる。
iAF I 3 =iLab 3 (3.22)
その結果,相電流iab は3次高調波を含まない電流となり,Iab 3 = 0が成り立つ。結 果として,Ibc 3 およびIab 3 が零でないとすると,各相電流の振幅の関係は以下のよ うになる。
ILab 3(= 0)̸=ILbc 3 =ILca 3 (3.23)
(3.1)式おいて,(3.23)式および(3.18)式を考慮することで,各線電流に含まれる3次 高調波電流isa 3,isb 3,isc 3 が以下式で得られる。
isa 3
isb 3 isc 3
=
−ica 3
ibc 3 ica 3−ibc 3
=
−ica 3
ibc 3 0
(3.24)
上式からわかるように,AF一相接続時においてはisa,isbに3次高調波成分が含まれ る。これは,図3.3に示されるように,AFの動作によって3次高調波の電流経路が三
相変圧器を介した経路に変化するためである。
前項と同様に(3.10)–(3.13)式に代入し,線電流に含まれる3次高調波の正相·逆相 成分を計算すると以下式が得られる。
i+abc 3 =
√3 3
{(
−
√3
2 Ibc 3cosθB 3− 1
2Ibc 3sinθB 3
)
+j (
1
2Ibc 3cosθB 3−
√3
2 Ibc 3sinθB 3
)}
(3.25)
i−abc 3 =
√3 3
{(
−
√3
2 Ibc 3cosθB 3+ 1
2Ibc 3sinθB 3
)
+j (
−1
2Ibc 3cosθB 3−
√3
2 Ibc 3sinθB 3
)}
(3.26) 上式より,AFを一相接続した際には正相および逆相の3次高調波電流が発生し,三 相変圧器および電源に流入してしまうことがわかる。