・外壁や窓の断熱性
・以下の設備の性能 ・暖冷房
・給湯 ・換気 ・照明
・太陽光発電等による創エネルギーの取組
総合的に評価
(1)住宅の判断の基準(性能基準)
●外皮の熱性能に関して(性能基準)
今まで断熱性能に関する指標については床面積 当たりの熱損失量である熱損失係数(Q値)でお こなっていましたが、外皮表面積あたりの熱損失
(換気による熱損失量を除く)である外皮平均 熱貫流率(UA値)に変更されます。また、今まで 日射遮蔽性能に関する指標については床面積 当たりの日射熱取得量である夏期日射取得係数
(μ値)でおこなっていましたが、外皮表面積あ たりの日射熱取得量である冷房期の平均日射熱
取得率(ηA値)に変更されます。それぞれの基準 の地域毎の値は表 9、表10のとおりです。
表 9 平成11年の基準値
地域 Q値
[W/(m2・K)]
μ値 [-]
Ⅰ 1.6 0.08
Ⅱ 1.9 0.08
Ⅲ 2.4 0.07
Ⅳ 2.7 0.07
Ⅴ 2.7 0.07
Ⅵ 3.7 0.06
表10 平成25年の基準値 地域 UA値
[W/(m2・K)]
ηA値 [-]
1 0.46
-2 0.46
-3 0.56
-4 0.75
-5 0.87 3.0 6 0.87 2.8 7 0.87 2.7
8 - 3.2
光・熱・省エネルギー
3 - 6
WEB計算プログラムで選択可能な窓ガラス代 表構成と窓の熱性能値は表11のとおりです。
カーテンなどの付属部材に関しては建物建築後 に居住者が自由に変更可能なものであり、計算 には使用いたしません。計算対応可能な付属部 材は和障子、外付けブラインドに限ります。
外皮の熱性能計算例を以下に示します。外皮性 能基準策定のためのモデル住宅(図 7)を選定 し、6地域(旧Ⅳ地域:東京)で検討しました。窓 の取得日射量補正係数※は定められた係数を使 用しています(冷房期0.93、暖房期0.51)。
※ 窓の取得日射補正係数は庇寸法を入力する計算法も有 ります。
表12と図 8に計算結果を示します。
UAやηAの値には窓の開口部熱性能が大きく 影響することが判ります。6地域のUA値基準 0.87W/(m2・K)以下に関しては、どのガラスで もクリアしましたが、ηA値基準2.8以下に関し ては、クリアするためにLow-Eペア(日射遮蔽)
の使用が望ましいことがわかります。Low-Eペア
(日射遮蔽)は当社商品では高遮熱断熱Low-E 複層ガラス サンバランスアクアグリーンが対 応します。
外皮計算結果は、窓以外にも住宅の外皮性能面積、方位 などの影響が複雑に関係しています。条件設定によっては、
本計算結果と異なる場合もあります。本計算結果はあくま でも参考値です。
モデル住宅の窓ガラス別冷房期の平均日射取得率比較計算結果 図 8
表11 WEB計算プログラムで選択可能な窓ガラス代表構成
窓ガラス種類 熱貫流率[W/(m2・K)] 日射熱取得率[−]
アルミサッシ 透明複層 A6 4.65 0.79
アルミサッシ 透明複層 A12 4.07 0.79
樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射取得) A6 3.49 0.64
樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射遮蔽) A6 3.49 0.40
樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射取得) A12 2.33 0.64
樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射遮蔽) A12 2.33 0.40
樹脂サッシ Low-Eペア(日射取得) Ar12 1.90 0.64
樹脂サッシ Low-Eペア(日射遮蔽) Ar12 1.90 0.40
樹脂サッシ Low-E 3層ペア(日射取得) 1.70 0.59
樹脂サッシ Low-E 3層ペア(日射遮蔽) 1.70 0.37
表12 モデル住宅の窓ガラス別の外皮性能計算結果
窓ガラス種類 旭硝子対応ガラス商品
外皮平均 熱貫流率UA
[W/(m2・K)]
外皮平均 熱貫流率UA
判定
冷房期の 平均日射熱
取得率 η[−]A
冷房期の 平均日射熱 取得率判定
アルミサッシ 透明複層 A6 透明複層ガラス FL3+A6+FL3 0.83 ○ 3.6 ×
アルミサッシ 透明複層 A12 透明複層ガラス FL3+A12+FL3 0.78 ○ 3.6 ×
樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射取得) A6 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+A6+LP3 0.72 ○ 3.0 × 樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射遮蔽) A6 高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+A6+FL3 0.72 ○ 2.1 ○ 樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射取得) A12 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+A12+LP3 0.61 ○ 3.0 × 樹脂金属サッシ Low-Eペア(日射遮蔽) A12 高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+A12+FL3 0.61 ○ 2.1 ○ 樹脂サッシ Low-Eペア(日射取得) Ar12 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+Ar12+LP3 0.57 ○ 3.0 × 樹脂サッシ Low-Eペア(日射遮蔽) Ar12 高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+Ar12+FL3 0.57 ○ 2.1 ○ 樹脂サッシ Low-E 3層ペア(日射取得) 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+Ar6+FL3+Ar6+LP3 0.56 ○ 2.8 × 樹脂サッシ Low-E 3層ペア(日射遮蔽) 高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+Ar6+FL3+Ar6+FL3 0.56 ○ 2.0 ○
省エネ基準策定のためのモデル住宅
平成25年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説Ⅱ住宅より引用 図 7
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 2.83.0 3.5 4.0
高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+Ar6+FL3+Ar6+FL3 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+Ar6+FL3+Ar6+LP3 高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+Ar12+FL3 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+Ar12+LP3 高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+A12+FL3 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+A12+LP3 高遮熱断熱Low-E複層ガラス サンバランスアクアグリーン LQ3+A6+FL3 高断熱Low-E複層ガラス サンバランスピュアクリア FL3+A6+LP3 透明複層ガラス FL3+A12+FL3 透明複層ガラス FL3+A6+FL3
ηA2.8以下で 基準値クリア
3-6-6
光・熱・省エネルギー
3 - 6
●一次エネルギー消費量に関して (性能基準)
住宅の一次エネルギー消費量[MJ/年]は、暖房 設備、冷房設備、機械換気設備、照明設備、給 湯設備、その他のエネルギー使用量と太陽光発 電によるエネルギー削減量を計算し、それらを 合計して算出します(図 9)。平成25年基準で は、実際の住宅の設計仕様で算定した設計一次 エネルギー消費量が、基準仕様で算定した基準 一次エネルギー消費量以下になることを基本と します(図10)。
また、WEBツールを使用して得られた値のう ち、UA、ηA以外のq(単位温度差あたりの外皮 熱損失量)、mc(単位日射強度あたりの冷房期 日射熱取得量)、mH(単位日射強度あたりの暖 房期日射熱取得量)は暖冷房設備の一次エネル ギー消費量に影響を与えます。建築研究所の WEBツールにおいて「一次エネルギー消費量算 定WEBプログラム(住宅用)」があり、これを使 用することで一次エネルギーの検討は、可能で す。
住戸の一次エネルギー消費量 図 9
(引用) 一般社団法人 日本サステナブル建築協会 住宅の改正省エネルギー基準の建築主の判断基準と設計・
施工指針の解説
※自家消費分のみ評価、またコージェネレーション設備も対象となる 単位住戸の一次エネルギー消費量
=
+
冷房設備の一次エネルギー消費量+
給湯設備の一次エネルギー消費量+
照明設備の一次エネルギー消費量-
太陽光発電による再生可能エネルギー導入量等※ 暖房設備の一次エネルギー消費量+
機械換気設備の一次エネルギー消費量+
家電等の一次エネルギー消費量住戸の基準一次エネルギー消費量と設計一次エネルギー消費量の算定
(引用) 一般社団法人 日本サステナブル建築協会 住宅の改正省エネルギー基準の建築主の判断基準と設計・
施工指針の解説 図 10
基準一次エネルギー消費量 ≧ 設計一次エネルギー消費量
【共通条件】
・地域区分
・住宅の床面積(主たる居室、その他居室、非居室)および床面積に応じた居住人数
・暖冷房方式(全館連続、居室連続、部分間歇)
基準一次エネルギー算定条件 設計一次エネルギー算定条件
基準適合の評価
暖房・冷房・換気・照明・給湯・その他(家電・調理)・太陽光発電 等 基準一次エネルギー算定 設計一次エネルギー算定
【基準一次エネ算定条件】
・平成11年基準相当の躯体の熱性能
・暖冷房方式に応じた運転方法
・ 平成24年時点において各地域で一般的な種 類・性能の設備機器
【設計一次エネ算定条件】
・躯体の実際の熱性能
・設置する設備機器の種類・仕様
・省エネ対策
・エネルギー消費に係る気候特性 等 一次エネルギーとは?
一次エネルギーとは、自然界に存在するまま の形でエネルギー源として利用される化石 燃料や自然エネルギー等によるエネルギー のことである。建築では主に電力、都市ガ ス、石油などが使用されるが、これらは一次 エネルギーを加工(変換)して得られるエネ ルギーであり、二次エネルギーと呼ばれる。
二次エネルギー消費量は加工(変換)に要す るエネルギー等を勘案して定められた一次 エネルギー消費量換算係数を使うことによ り、相当する一次エネルギー消費量に換算 することができる。
省エネルギー基準では建物で使用するエネ ルギー消費量を一次エネルギー消費量に換 算して評価を行っている。一次エネルギー消 費量に換算することにより、例えば電力消費 量とガス消費量など、二次エネルギーとして は足し合わせることができない異なる種類 のエネルギー量を合計して評価することがで きる。なお、一次エネルギー消費量の単位に は、メガジュール(MJ)やギガジュール(GJ)
等が使われる。
光・熱・省エネルギー
3 - 6
(2)住宅の設計・施工の指針(仕様基準)
今回の省エネ基準改正で住宅の仕様基準は、
「住宅に係るエネルギー使用の合理化に関する 設計、施工及び維持保全の指針」の附則として 平成25年10月1日に施行されています。この中 には外皮性能の基準と1次エネルギーの基準が 記載されています。外皮基準は平成11年基準の 設計・施工指針では、部位毎の断熱性能、及び 日射遮蔽性能の基準により適合判定がされてい ましたが、平成25年基準の設計施工指針では、
開口部面積大小が住宅全体の外皮性能に与え る影響が大きいことから、部位毎の基準に加え て外皮面積に占める開口部面積の比率を適用条 件として定めています。
また、一次エネルギー消費量の基準は、外皮性 能基準を満たした上で設置する設備の仕様を告 示で示す設備仕様以上とすることが前提となり ます。
なお、この仕様基準は、後述する低炭素建築物 の認定基準には適用できません。また、適用期 間も「当分の間」と規定されています。
●外皮の熱性能に関する適合条件 (仕様基準)
下記のいずれの基準にも適合すること。
・開口部比率の基準
・「部位の熱貫流率基準」、若しくは「断熱材の 熱抵抗基準」
・「開口部の断熱性能基準」、及び、「日射遮蔽仕 様に関する基準」
ただし以下の場合を除く。
・鉄筋コンクリート造等(組積造などを含む)に おいて、過半の床が外気、または外気に通じる 床裏に接している場合。
●一次エネルギー消費量に関する適合条件 (仕様基準)
下記のいずれの基準にも適合すること。なお、
上記の外皮の熱性能に関する基準に適合してい ることが前提となる。
・外皮面積比率の基準
・暖房、冷房、全般換気、照明及び給湯の設備 に関する基準
(太陽光発電、コジェネレーション設備を設置 したい場合は、設計・施工指針[附則]は使用 できず、判断基準によらねばならない。)
図11に設計・施工指針の適合確認の手順(フ ロー)を示します。
設計・施工指針の適合確認の手順(フロー)
(引用) 一般社団法人 日本サステナブル建築協会 住宅の改正省エネルギー基準の建築主の判断基準と設計・
施工指針の解説 図 11
開口部比率の算出
外皮性能基準適合 外皮面積比率の算出
設備機器の効率等の確認
・暖房 ・冷房 ・全般換気 ・照明 ・給湯
一次エネルギー消費量基準適合 適合
適合
適合 躯体の各部位の
断熱性能等の確認 開口部比率の
区分の確認 開口部の断熱性能、
日射遮蔽仕様の確認 適合
②躯体の断熱性能に関する基準 熱貫流率の基準
又は 断熱材の熱抵抗の基準
③開口部比率ごとに定められた基準 熱貫流率の基準 ガラス、付属部材、
及び庇、軒等の基準
⑤設備機器の基準 暖房設備の
基準 冷房設備の
基準 全般換気の
基準 照明設備の
基準 給湯設備の 基準
① 開口部比率の
基準 NG 非適合
非適合 適否判定 NG
④ 外皮面積比率
の基準 NG 非適合
非適合 適否判定 NG
外皮性能 一次エネルギー消費量
3-6-8
光・熱・省エネルギー