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トップライトに用いられるガラスは、一般の窓ガ ラスに比べて次のような理由から、使用条件は 大変厳しいものとなります。ガラスを長く安全に ご使用頂くために、耐風圧・熱割れの検討の他、

ガラス寸法やサッシの雨仕舞など十分にご検討 頂きますようお願い致します。

●法規上の理由でエッジ強度の比較的弱い網入 板ガラスを使用せざるを得ない。

●自重により、ガラスに長期の応力がかかる。

●大きな日射量によって、熱応力を生じる。

●結露発生や排水設計の難しさから、網入板ガ ラスのエッジに錆が発生する可能性が高い。

●垂直使用によるガラスに比べて施工性が著し く悪い。

なおトップライトのガラスの上には、絶対に乗ら ないでください。

トップライトに用いられるガラスについて

品種

居室に用いられるトップライトは、「屋根」の扱 いとなるため、「耐火構造の構造方法を定める 件(平成12年建設省告示第1399号)」にあって は、網入板ガラス等を使用することが求められ ています。また、法規上の規制がない場合でも、

万一ガラスが破損した場合にガラス片が頭上か ら落下することのないように、網入板ガラスま たは合わせガラス等のご使用をお願い致しま す。

寸法

建築現場における施工性(メンテナンス含む)

や厚い板厚の使用による熱割れ等を考慮して、

AGC旭硝子ではトップライト用ガラスの寸法に ついて次のように推奨しております。

●ガラスの短辺寸法が1000mm程度以下

●ガラス面積が1.5m2程度以下

その他

トップライト用のサッシは雨仕舞、排水設計が難 しく、雨水浸入により、網入板ガラスの網に錆 が発生し熱割れ強度を低下させることがありま す。サッシの設計にあたっては、ガラス溝内に雨 水が浸入しないよう、また万一浸入した場合は 速やかに排水されるよう、十分ご留意ください。

また、プール、浴室など特に条件の厳しい部位 に用いる場合は特殊な小口防錆処理も必要です ので、お問い合わせください。

トップライトの強度検討の考え方

トップライトに用いられるガラスの強度検討は、

次の3ケースについて検討を行います。応力計算 によって発生応力を求め、全てのケースが許容 応力(長期または短期)以下となるようにガラス 厚を選定します。(図10)

●ケース1 

{ガラス自重G+積雪荷重S}による発生応力 が、板ガラスの長期許容応力を超えないこと

●ケース2 

{ガラス自重G+積雪荷重S×0.35+正の設計 風圧P}による発生応力が、板ガラスの短期許 容応力を超えないこと

●ケース3 

{負の設計風圧P−ガラス自重G}による発生応 力が、板ガラスの短期許容応力を超えないこ と

※ケース2において、積雪荷重に0.35が乗じて あるのは、積雪と強風が同時に作用する場合 に積雪の低減を考慮したものです。(板硝子協 会による)

トップライトガラスの作用荷重

ガラスの自重(G)の算出

G=24.5・t・cosθ {G=2.5・t・cosθ}

G:ガラスの自重 N/m2{kgf/m2} t :ガラスの板厚 ミリ(中空層は除く)

θ:ガラスの傾斜角度(度)

積雪荷重(S)の算出

積雪荷重は積雪の単位重量に垂直積雪量を乗 じ、さらに屋根勾配による屋根形状係数を掛け た値としてもとめます(令第86条第2項)。

S=Wa×d×μb

S :積雪荷重 N/m2{kgf/m2} Wa:積雪の単位荷重 N/m2{kgf/m2}

〔令第86条によると積雪量1cmごとに20N/m2 {積雪量1mごとなら2000N/m2}以上で実状に 応じた数値(特定行政庁が規則で定めた場合は その数値)とすることとなっています。〕

d:垂直積雪量 m

〔地域ごとに特定行政庁が定める数値:(告示第 1455号)による〕

(参考)垂直積雪量を求める式(m):

d=α×ls+β×rs+γ

α・β・γ:告示第1455号による地域ごとの係 数

ls:区域の標準的な標高(m)

rs:地域ごとの半径R(告示第1455号による)内 の標準的な海率(湖も含む)

μb:屋根形状係数 μb=√‾cos(1.5β)

β:屋根勾配(度)、屋根勾配が60度を超える場 合においてはμb=0とします。

トップライトのガラス面に作用する荷重と強度設計 図 10

ケース3

自重

対して安全か?

短期許容応力に 負の風圧力

ケース3

自重 対して安全か?

短期許容応力に 負の風圧力

積雪荷重 自重

短期許容応力に 対して安全か?

ケース2 正の風圧力

積雪荷重 ×0.35

×0.35

長期許容応力に 対して安全か?

ケース1

自重 積雪荷重

ケース3

自重 対して安全か?

短期許容応力に 負の風圧力

ケース3

自重

対して安全か?

短期許容応力に 負の風圧力

積雪荷重 自重

短期許容応力に 対して安全か?

ケース2 正の風圧力

積雪荷重 ×0.35

×0.35

長期許容応力に 対して安全か?

ケース1

自重 積雪荷重

ケース3

自重 対して安全か?

短期許容応力に 負の風圧力

ケース3

自重

対して安全か?

短期許容応力に 負の風圧力

積雪荷重 自重

短期許容応力に 対して安全か?

ケース2 正の風圧力

積雪荷重 ×0.35

×0.35

長期許容応力に 対して安全か?

ケース1

自重 積雪荷重

強度・安全

4 - 2

設計風圧力(W)の算出

「4-1板ガラスの耐風圧設計」を参照し、設計風 圧力(W)を求めます。ただし、正のガスト影響 係数Gpeの取り扱いについて以下の通り注意が 必要です。

設計風圧告示1458号における屋根ふき材の風 荷重の計算方法では、建物本体の高さH(建築 物の高さと軒の高さとの平均)と屋根ふき材が ある部位の高さを同一にしています。しかし、

トップライトの場合、建物本体の高さHとトップ ライトがある部位の高さが異なる場合がありま す。

トップライト計算の場合には、建物本体の高さ でのGpeの係数を選択してピーク風力係数を求 め、これから求められる風圧を正の設計風圧と することにします。つまり、トップライトの高さ は、建物本体の高さHに置き換えて計算します。

W=q×C^f

W:設計風圧力 N/m2{kgf/m2} q:平均速度圧 N/m2{kgf/m2}

q=0.6×Er2×(Vo×y)2 Er:市街地の状況による係数

(面粗度区分 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ別に算出法は別途告示 第1454号による)

y:再現期間による係数

<4-1-3表 2参照>

Vo:基準風速

(30〜46m/sの範囲で告示第1454号による地 域別の数値)

C

^f:ピーク風力係数 C

^f=Cpe×Gpe−Cpi×Gpi

(C^fが最大となるようにCpi×Gpiを選びます)

Cpe×Gpe:ピーク外圧係数(正・負)→トップラ イト計算では表 8〜表10に示す通りとなりま す。

Cpi×Gpi:ピーク内圧係数(閉鎖型の建物=0お よび−0.5、開放型の建築物=1.5および−1.2)

隅角範囲の求め方

隅角範囲a′:2Hとbのうち小さい値 但しa′が30を超える時はa′=30とします。

H:建築物の平均高さ(m)

b:建物平面の短辺長さ(m)

注)建築物の高さとトップライトの高さが異なる 場合、トップライトの高さはHとする。

表 8 切妻屋根面、片流れ屋根面および のこぎり屋根面における正のCpe θ 10度以下 30度 45度 90度

Cpe 0 0.2 0.4 0.8

線形補間

表 9 屋根面の正圧部のGpe

(H:建築物の高さと軒の高さとの平均(m))

粗度区分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ、Ⅳ

H≦5 2.2 2.6 3.1

5<H<40 線形補間

40≦H 1.9 2.1 2.3

表 10 切妻屋根面、片流れ屋根面およびのこぎり屋根面における負のCpe×Gpe Cpe×Gpe

θ θ≦10度 15 θ=20度 25 30度≦θ

−2.5

−3.2

−4.3 −3.75 −3.2

−3.2 −4.3 −5.4 −4.3 −3.2

注)表に掲げるθの値以外のθに応じたCpe×Gpeは表に掲げる数値を直線的に補間した数値とします。

θ 0.1a

0.1a

0.3a0.3a

0.3a

θ

H H

0.1a 0.1a

0.3a 0.3a

0.3a 0.3a

0.3a

θ 0.1a

0.1a

0.3a0.3a

0.3a

θ

H H

0.1a 0.1a

0.3a 0.3a

0.3a 0.3a

0.3a

切妻屋根面

図 11 図 12 片流れ屋根面

トップライトの強度検討に関する注意事項

建物本体の高さとトップライトがある部位の高さが異なる場合、屋根面の正圧部Gpe、隅角範囲a′を求め る際に用いるHはトップライトの高さではなく、建物本体の高さH(建築物の高さと軒の高さとの平均)と します。

4-2-6

強度・安全

4 - 2

ガラス自重(G)の算出

 (G)=24.5×6.8×cos(0)=167[N/m2] 積雪荷重(S)の算出

 (S)=20×30×1=600[N/m2] 設計風圧力(W)の算出

・平均速度圧 q=0.6×Er2×(Vo×y)2

ここで地表面粗度区分をⅢ、再現期間100年とすると、

市街地の状況による係数 Er=1.7×(40/450)0.2=1.0477 基準風速 Vo=34

再現期間による係数 y=1.07 q=872[N/m2

・ピーク風力係数 C^f=Cpe×Gpe-Cpi×Gpi 正のCpe=0 (表 8参照:水平は0度<10度以下)

正のGpe=2.3

 (トップライト高さは建物本体の高さに置き換えます。この場合、表 9 のⅢ、Ⅳ地域で40≦H)

正のCpe×Gpe=0

負のCpe×Gpe(一般部)=-2.5 (表10参照)

Cpi×Gpi=0 or -0.5

 (閉鎖型建物なのでC^fの絶対値が大きくなるように選択)

・正圧 

(P+)=C^f×q=(0+0.5)×872=436

・負圧(一般部)

(P-)=C^f×q=(-2.5-0)×872=-2180

<計算例>

東京23区内の高さ40m、幅20mの建物の高さ4mの一般部位置にある矩形四辺支持水平トップライト(ガラスサイズ1200×900:網入磨き板ガラス6.8ミ リ)について積雪が30cmある場合の検討は次のようになります。

【ケース1】の検討

設計荷重q1より発生応力σ1maxを求め(4-2-3

3

①の計算式)、網入磨 き板ガラスの長期許容応力との比較を行います。

q1=(G)+(S)

=167+600=767[N/m2

σ1max=0.4157×767×10-6×9002/(6.82) =5.6[N/mm2

長期許容応力:7.8[N/mm2] 5.6≦7.8より、【ケース1】の判定:○

【ケース2】の検討

設計荷重q2より発生応力σ2maxを求め(4-2-3

3

①の計算式)、網入磨 き板ガラスの短期許容応力との比較を行います。

q2=(G)+(S)×0.35+(P+)

=167+600×0.35+436=813[N/m2] σ2max=0.4157×813×10-6×9002/(6.82) =5.9[N/mm2

短期許容応力:19.6[N/mm2] 5.9≦19.6より、【ケース2】の判定:○

【ケース3】の検討

設計荷重q3より発生応力σ3maxを求め(4-2-3

3

①の計算式)、網入磨 き板ガラスの短期許容応力との比較を行います。

q3=(G)+(P-)

=2180-167=2013[N/m2

σ3max=0.4157×2013×10-6×9002/(6.82) =14.7[N/mm2

短期許容応力:19.6[N/mm2

14.7≦19.6より、【ケース3】(一般部)の判定:○

●総合判定

一般部 ケース1、ケース2、ケース3のすべての判定で発生応力が許容 応力以下なので使用可能。

計算の流れ

トップライトの計算フローをまとめると、以下のようになります。ケース1〜3の検討を行った上で、総合判定を行います。

【ケース1】の検討 【ケース2】の検討 【ケース3】の検討

ガラス自重(G)の計算

積雪荷重(S)の計算

設計風圧力W(正圧:P+)の計算 設計風圧力W(負圧:P-)の計算

【ケース1】ガラス発生応力の計算 【ケース2】ガラス発生応力の計算 【ケース3】ガラス発生応力の計算

長期許容応力との対比 短期許容応力との対比 短期許容応力との対比

【ケース1】判定 【ケース2】判定 【ケース3】判定

総合判定

強度・安全

4 - 2