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ルートン空港(Luton Airport)

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第 9 章 フランスの事例

3. ルートン空港(Luton Airport)

事業分野 空港(既存、一部増設)

発注者 ルートン自治区議会

事業者 London Luton Airport Operations Ltd(出資者:Abertis、Aena)

事業概要 英国で5 番目に大きな空港であるルートン空港の拡張(ターミナルの新設、誘導 路及び航空機の駐車設備の増設)と、空港全体の運営・維持管理を事業者が実 施する事業。発注者が施設を所有する。事業者が利用料金を徴収し、事業者は 初期投資を全て利用料金で回収する。

事業類型 独立採算事業、ただし運営期間に交通量に応じた支払を発注者に行う 発注者から事業者への支払い なし

事業者から発注者への支払い 契約時 :不明

運営期間:交通量に応じて四半期に一度支 払を行う。

事業期間 1998年契約、1999年運営開始 コンセッション期間30年間 事業規模 建設費約1.4億ドル

事業者の資金調達額約1億ポンド 資金構成 民間資金100%

事業の特徴 ・ 事業者は交通量に応じて、発注者に四半期ごとに料金を支払う契約となっ ており、将来の空港の成功によるメリットを、発注者が事業者とシェアできる仕 組みとなっている。

・ 運営開始後 15 年以降は、発注者は事業者に過失がなくとも契約解除が可 能となっている。

・ 運営開始後の旅客数は増加傾向にあり、2009年には運営開始当初の2倍 以上になっている。これに伴い、事業者の収入も増加傾向にある。

347 Robin de la Motte「RWE-Thames profile」(2003) Public Services International Research Unit, University of Greenwich

① プロジェクトの概要 ア. 発注者

ルートン自治区議会(Luton Borough Council)

イ. 事業者

London Luton Airport Operations Ltd(London Luton Airport Group Ltdが100%所有する)

London Luton Airport Group Ltdの出資者 事業者決定当初:348

Barclays Private Equity Ltd、Barclays UK Infrastructure Fund 65%349

2001年3月にBechtel Enterprises LtdとTBI plc(英国の空港マネジメント会社)

に1.31億ユーロで売却された350 Airport Group International

Bechtel Group Inc 2001年3月時点:351

TBI plc 過半の出資者となる。

2005年1月

Airport Concessions & Development Ltd(ACDL)(Abertis Infaestructurasが90%、Aena Internacionalが10%所有、いずれもスペイン) 過半の出資者となる。

ACDLがTBI plcを買収したこたことによる。

ウ. その他関係者

・ BechtelがEPC(設計調達建設)サービスを実施する。第1期の工事の業務範囲は、国際線・国 内線の旅客出発ビルの新設、既存の国際線・国内線の旅客ターミナルの改修、駐車設備及び 連絡道路、エプロン、誘導路の新設で、契約額は約1.4億ドル。352

・ 事業者の財務諸表353によると、事業者は2009年時点で534人の従業員を有しており、運営の 一定割合は事業者が自ら行っていると推察される。従業員の内訳は以下のとおりである。

運営 433名

維持管理・サポートサービス 55名

技術サービス 46名

348 DealogicDB 349 Barclays(HP) 350 LLAOL(HP) 351 DealogicDB 352 Bechtel(HP) 353 LLAOL FS(2009)

以上の関係を図示すると以下のとおりである。

Abertis Infaestructuras

90%

London Luton Airport Operations

Ltd London Luton Airport Group

Ltd 100%

Luton Borough Council

agreement 事業者 発注者

出資者

Bechtel 建設業者

Airport Concessions

100%

Aena Internacional

10%

エ. 事業費

事業者の資金調達額は約1億ポンド。

建設費は約1.4億ドル354

契約時の支払いの有無、および額は不明。

オ. 事業期間

1999年11月から2028年8月まで30年間 カ. 分野・対象施設

空港(既存、一部増設)。

事業者のホームページ355によると、空港の概要は以下のとおり。

354 Bechtel(HP)

355 LLAOL(HP) Airport History

ルートン空港は、英国で5番目に大きな空港であり、年間920万人(2009年実績)の旅客を扱う。

国際旅客87%を占める。就航している航空会社は以下のとおりで、ヨーロッパ、アフリカ、中東などを

含む90航路以上の便がある。格安航空便が85%、従来の航空便が10%、チャーター便が 5%の 構成。

定期運行便:easy Jet、Ryanair、Wizz Air、Monarch Scheduled、Thomson、Aer Arann、

Fly Be、EL AL、Blue Air

チャーター便:Thomson、First Choice、Monarch、Sun D’Or、Onur Air

1938 年に開港。旅客数を増やすため、1990 年代に入ってから設備投資が行われた。それ以上 の拡張を行うには、追加の投資は別の担保が必要な状況となり、PPP のスキームが取られた、とされ ている。

(出典:Bechtel(HP))

キ. 事業実施場所

英国ベッドフォード州ルートン

(出典:Google Map)

② 事業スキーム ア. 施設所有

・ 施設の所有権は、発注者が有する。

イ. 業務範囲、リスク分担

・ 事業者は、コンセッション契約により、本空港で空港ビジネスを行う排他的権利を得る356

・ 事業者は、ルートン空港の拡張(ターミナルの新設、誘導路及び航空機の駐車設備の増設)と、

空港全体の運営を行う。

・ 事業者は空港に係る収入を得る権利を有する。

 旅客に係る収入は、以下で構成される。357

 航空機からの収入(交通量収入):旅客を通じて徴収される。

 旅客数からの収入(商業収入):小売業者・は以前業者、駐車場運営業者からの賃借 料(消費額に応じた額を支払われる取り決めとなっている)

356 LLAOL FS(2009) p.21 357 LLAOL FS(2009)

ウ. 支払いメカニズム358

a 発注者と事業者の間の支払い

・ 事業者は発注者に対して、交通量に応じて四半期に一度支払いを行う。この支払い方法により、

発注者は将来の空港の成功によるメリットを事業者とシェアすることができる。2009年度の支払 額は、2,199万ポンドであった359

b 事業者の収入

空港からの事業収入(交通量収入、商業収入)

エ. 事業者の本事業からの退出に係る主な規定

不明だが、当初の筆頭株主であるBarclaysは2001年に株式を売却し本事業の出資者から退出 している。

オ. 契約解除に関する主な規定

競争政策委員会のレポート360によると、事業契約には、一方的な解除条項が設けられており、

2014年以降は特に事業者に過失がなくとも契約解除が可能であるとのことである。

事業者の財務諸表361によると、発注者が上記の解除する場合には、事業者に対して12ヶ月前 に通知することが必要である。また、発注者は事業者に対して、コンセッション終了までの間に期 待される株主への分配金の現在価値にあたる金額の支払い、事業者の負っている未払い負債の 支払い等を行わなければならない。

以上の条件を表に整理した。

リスクの種類 官 民 備考

資産の所有 ○

新規施設整備 ○ 拡張工事分のみ

資金調達 ○

需要リスク △ ○ 発注者も需要増によるメ

リットをシェアする。

料金設定権限 ? ? 不明

料金徴収 ○

運営 ○

維持管理・修繕・更新投資 ○

358 Bechtel(HP) 359 LLAOL FS(2009) 360 CC(2007)

361 LLAOL FS(2009) p.21

③ 調達手続き

1997年8月に事業者が決定し、1999年11月に事業開始した。

1997年9月 入札期限 1998年8月 事業者決定 1999年11月 運営開始

④ 資金調達・会計処理 ア. 資金調達方法・担保

事業者は1998年12月に、株主資本を含み1億ポンドの資金調達を行った。ローンのレンダーはリ ードマネージャーがBarclays CapitalでBank of Scotlandが参加した。

2003年7月にリファイナンスされた。リファイナンス時のリードマネージャーはBarclays Capitalで、

Kreditanstalt fuer Wiederaufbauやその他数行が参加した。

a 1998年12月時点の資金調達362

借り手:London Luton Airport Group Ltd

£ 1億 資金調達総額 1) £ 8,500万 タームローン(15年間)

2) £ 1,500万 株主資本

b 2003年7月時点の資金調達363

借り手:London Luton Airport Group Ltd

£ 9,000万 資金調達総額

1) £ 9,000万 タームローン(5年間)

イ. 事業者の会計処理

事業者の財務諸表364によると、会計処理は以下のとおりとなっている。

・ 事業者は、リース資産にかかる全てのリスクと恩恵を事業者が負っている場合、そのリース資産 を「ファイナンスリース」として扱い、賃借料の現在価値を貸借対照表の有形固定資産に計上す る。賃借料は、損益計算書に計上される費用的要素と、貸借対照表に計上される資本的要素に 分けて計上される。

・ そのほかのリース資産は、「オペレーティングリース」として扱い、賃借料を損益計算書にリース 期間中定額で計上する。

362 DealogicDB 363 DealogicDB

364 LLAOL FS(2009) p.11, 19,21

・ 有形資産は、以下の耐用年数による定額法で見積残存価額まで償却されて計上されている。

滑走路、誘導路、その他類似構造物 15年から30年

建物 10年から30年

設備、機械、機器 2年から10年

車両 3年から20年

2009年度は有形資産として11,067.5万ポンドが計上されており、その内訳は以下のとおり。

(単位:£) コスト 減価償却額

(当該年度)

減価償却額

(累計)

計上される 有形資産 短 期 リ ー ス 資 産 、 土

地、建物 7,791.5万 362.2万 2,917.9万 4,873.6万

滑走路、誘導路、その

他類似構造物 6,127.3万 373.6万 1,886.9万 4,240.4万 設備、機械、機器、車

両 5,063.2万 498.1万 3,109.7万 1,953.5万

合計 18,982.0万 1,233.9万 7,914.5万 11,067.5万

2009年12月31日付の最新の財務諸表365は以下のとおり。

365 LLAOL FS(2009)

a 貸借対照表(単位:千ドル)

b 損益計算書

⑤ 成果・課題

ア. 事業実施状況(存続、中止等)

存続

イ. 運営状況

a 実績

事業者のホームページ366、事業者の財務諸表によると、年間旅客数の推移は以下のとおり。

旅客数は、20009年を除き基本的に増加傾向にある。2009年にはコンセッション開始当初の1999 年時点の2倍以上の旅客数となっている。

旅客数 前年からの増減の理由など 1995-1996年 190万人

1997-1998年 349万人 1998-1999年 449万人

2005年 920万人 easyJet、Ryanair、WizzAirの拡大により増加

366 LLAOL(HP) Airport History

2006年 940万人 WizzAirの拡大により増加

2007年 994万人 easyJet、WizzAir の 拡 大 、SkyEurope と SilverJetの就航により増加

2008年 1,020万人 WizzAir の拡大、2007 年 10 月から就航した SkyEuropeとの契約により増加

easyJet の容量減少、チャーター便の減少によ

り減少

2009年 920万人 easyJetがSkyEuropeを廃止(2009年9月1 日)したこと等に伴い減少

b 料金設定、収入

事業者の財務諸表367によると、交通量収入、商業収入、テナント収入の推移は以下のとおり。

事業者の収入は、交通量収入、商業収入とも2009 年を除き基本的に増加傾向にある。収入金 額は、2004年と比較して2009年には80%もの増加となっている。

合 計 ( 万

£)

交通量収入 商業収入 テ ナ ン ト 収 入 ( 万

£)

合 計 ( 万

£)

単価(£/

人)

合 計 ( 万

£)

単価(£/

人)

2004年 5,484.0 2,706.4 2,242.8 534.8

2005年 7,702.1 3,512.5 3.84 3,373.6 3.69 816.0 2006年 8,217.2 3,702.0 3.92 3,649.1 3.87 866.1 2007年 9,372.5 4,399.7 4.43 4,108.4 4.13 864.4 2008年 10,430.6 4,975.4 4.88 4,512.8 4.42 942.4 2009年 9,852.5 4,583.0 5.02 4,284.7 4.69 984.8

なお事業者が財務諸表にて記載している増収の理由について以下のようなものがある。

交通量収入

・新規航空会社の就航により増加 商業収入

・新設ターミナルによる効果により増加

367 LLAOL FS 2009~2005

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