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グルノーブル水道

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第 9 章 フランスの事例

5. グルノーブル水道

① プロジェクトの概要 ア. 発注者

グルノーブル市

イ. 事業者

Compagnie de Gestion des Eaux du Sud-Est(COGESE) 出資者 Suez-Lyonnaise

ウ. その他関係者

公共サービス国際研究所のレポート306によると、COGESE からの下請け契約を Lyonnaise des

Eaux(後の Suez)が独占し、また、事業者はアニュアルレポートにてこの契約による利益につき説明を

しなかったとのことである。

以上の関係を図示すると以下のとおりである。

Suez-Lyonnaise

COGESE Ville de Grenoble

agreement

事業者 発注者

出資者

Suez-Lyonnaise 運営等

エ. 事業費

事業者は市に「エントリーフィー」として2.26億フランスフランを支払った。307 オ. 事業期間

1989年から25年間

306 PSIRU(2001) 307 PSIRU(2001)

カ. 分野・対象施設

グルノーブル市の上水道事業。人口約15万人。水源の100%を地下水による308

グルノーブル市においては、水道事業の運営は19世紀後半から1989年まで自治体が行っていた。

公共サービス国際研究所のレポート309によると、1989 年までの経営状態について、料金設定は低い にもかかわらず利益を出して市の歳入に寄与する状態であり、効率的であったとされている。

キ. 事業実施場所

フランス グルノーブル市

② 事業スキーム

本事業の契約内容は以下のとおりである。なお、特に注記がある場合以外は公共サービス国際研究 所のレポート310による。

ア. 施設所有

アッフェルマージュ契約であり、市が所有する。

イ. 業務範囲、リスク分担

アッフェルマージュ契約である。

ウ. 利用料体系変更の条件・手続きに係る主な規定

公共サービス国際研究所のレポート311にて、事業者が指標を操作して料金を高く設定したとの指摘 があることから、事業者が何らかの取り決めに従い料金を設定する権利があったと考えられる。

公共保全センターのレポート312によると、事業者は消費量が年間 1,280 万㎥を下回ったら、料金を

(即刻)値上げしてよいこととなっていた。

エ. 支払いメカニズム

e 発注者と事業者の間の支払い

事業者から市に「エントリーフィー」として2.26億フランスフランを支払った。

公共サービス国際研究所のレポート313によると、これは消費者に転嫁されたとされている。1999年 5月、グルノーブル管理法廷は「エントリーフィー」を回収するために事業者により課された料金の 一部を不法とした。これは今日ではフランスで一般的に不法とされている。

308 Watertime(2006) 309 PSIRU(2001) 310 PSIRU(2001) 311 PSIRU(2001) 312 CPI(2003) 313 PSIRU(2001)

f 事業者の収入 料金収入

以上の条件を表に整理した。

リスクの種類 官 民 備考

資産の所有 ○

新規施設整備 ― ―

資金調達 ○

需要リスク ○

料金設定権限 △ 取り決めに従う

料金徴収 ○

運営 ○

維持管理・修繕・更新投資 ○

③ 調達手続き ア. 調達手続き

公共サービス国際研究所のレポート314によると、グルノーブル市長であるAlain Carignonが、市 の水道事業をCOGESEにより民営化することを強力に推進したとされている。なお、過程では強力 な反対があったとのことである。

なお、COGESEとの契約手続きは不明だが、COGESEとの契約解除後に事業契約を締結した

SEG・SGEAとの契約について、その契約手続きが公募・競争にかけられていないとされていること

からも、その前のCOGESEとの契約手続きも公募・競争にかけられていなかった可能性があると考 えられる。

公共保全センターのレポート315によると、1987年10月3日に、グルノーブル市長を含むメンバ ーによるランチミーティングにて、Suezの子会社としてCOGESEを設立しそこへ民営化するという 話がまとまった、とされており、契約手続きに競争性がなかった可能性を裏付けている。

1989年11月 COGESEとアッフェルマージュ契約締結 1996年 SEGとアッフェルマージュ契約締結

1998年 SEG・SGEAとの契約について、その契約手続きが公募・競争 にかけられていないとされた。

2000年 事業契約が解除され、再公営化された

④ 成果・課題

ア. 事業実施状況(存続、中止等)

2000年にアッフェルマージュ契約は解除され、公営に戻った。

314 PSIRU(2001) 315 CPI(2003)

公共サービス国際研究所のレポート316によると、契約解除前後の経緯は以下のとおりであり、事業 者との契約の過程で、汚職があったことが1995年に発覚したことが引き金となっている。公営に戻るま でに5年以上かかった。解除までの間、Suezが再度関与する形でアッフェルマージュ契約が締結され た。

1995年 事業者が市長の選挙運動に係る献金・その他の合計 1,900 万フランス フランの賄賂を行っていたことにつき、市長と事業者の役員が有罪とな る。

1996年 COGESE に替わる事業者としてSociété des Eaux de Grenoble(SEG) が設立された。出資比率は 51%市議会、49%Suez-Lyonnaise であっ た。SEGはSuez-Lyonnaiseが100%出資するSociété Grenobloise de l’Eau de lAssainissement(SGEA)と 15 年間の下請け契約を行った。

SEGからSuezへの支払いは、6年目、11年目に支払いが増加する契約 となっていた。また、法務・会計・プロパティマネジメント・人事・顧客サー ビス・技術支援・車両・機器調達・IT・SGEA の経営等について Suez に 高い委託費を支払い、SGEA は赤字を計上した。これは、SEG・SGEA の損失は発注者が事業契約を終了させるという取り決めにより守られ た。

1997年 COGESEとの契約が不法とされた。

1998年 SEG・SGEA との契約について、その契約手続きが公募・競争にかけら

れていないとされた。

2000年 アッフェルマージュ契約を解除し、水道事業を再公営化することを議会 が可決。

イ. 運営状況 a 料金設定

公共サービス国際研究所のレポート317によると、料金の推移は以下のとおりである。

・ COGESEが事業者であった期間に、料金は63%上昇した。

・ SEGが事業者であった期間に、料金は7%上昇した。

・ 再公営化されてからは、料金はほとんど変わっていない。

1㎥あたりの金額(ユーロ)

316 PSIRU(2001) 317 PSIRU(2001)

(出典:PSIRU(2006))

公共サービス国際研究所のレポート318によると、COGESE が事業者であった期間の高い料金設定 に関して主に以下の点が指摘されている。25年間事業が続いた場合、納税者に10億フランの余計な コストが生じることとなったとの分析があるとのことである。

・ 事業者は市に「エントリーフィー」として 2.26 億フランスフランを支払い、これが消費者に転嫁さ れた。

 なおこの点については、1999年 5月、グルノーブル管理法廷は「エントリーフィー」を回収 するために事業者により課された料金の一部を不法とした。これは今日ではフランスで一 般的に不法とされている。

 エントリーフィーを消費者に転嫁することが不法とされた結果、料金は下げられたとされて いる。

・ 事業者は以下のように指標を操作し、高い料金設定とした。1989年から1995年に請求された料

金のうち 51%は、これらの操作により高く請求され、その額は2,100万フランスフランに上ると分

析されている。

 基準料金を1989年7月ではなく1989年1月で設定した。これにより4~5%料金が高く なったと分析されている。

 利用者は、消費した時点ではなく、料金請求の時点における指標が適用され料金が請求 された。これは、1999年5月にグルノーブル管理法定において不法であるとされた。

ウ. 事業者による運営の改善・サービスの向上

公共サービス国際研究所のレポート319によると、設備投資額の推移(千ユーロ)は以下のとおりで ある。公営に戻ってから、設備整備額が大幅に増えている。この情報を見る限りでは、アッフェルマ

318 PSIRU(2001) 319 PSIRU(2001)

ージュの事業者の設備投資額が適正量よりも少なく押さえられていたのか、再公営化された後の市 の設備投資額が課題なのかを判断することはできない。

設備投資額の推移(千ユーロ)

(出典:PSIRU(2006))

10 章 英国の事例

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