δr
(a)節点結合前 (b)節点結合後 図4.3 メッシュサイズ変更法における節点結合ルール
表4.1 メッシュサイズ変更法を用いた最適化計算のパラメーター
δa σa τa r0 δr N Nˆ T0 η s ϕˆ pcross ˆg
4cm 217N/m2 125N/m2 1.2m 0.6m 100 100 10 0.98 10 5 0.8 50 数をなるべく小さく抑えることが可能である.これにより,最終的なメッシュサイズを小さ く設定した場合でも,局所解に滞りにくくなり,細密な形状をもった最適解を効率良く探索 することが期待できる.
4.1.2 位相と形状の変更ルール
本手法では,従来法と同様に連続的位相変化モデル(58)に類似した考え方に基づいて節点 の結合や分離を行うことで探索個体の位相と形状を同時に変化させる.メッシュサイズ変更 法では,節点の周辺に辺長δrの正方形の結合範囲を設ける.いま,図4.3aに示すような探 索個体において,赤色の節点を移動させた結果,青色の節点を中心とする節点結合範囲内に 移動したとする.このとき,図4.3bに示すように両節点間の中間点に最も近い格子点に両 節点を移動させ,1個の節点に結合する.メッシュサイズ変更法では,結合した節点の位置 を中心として局所設計領域を取り直す.結合した節点は,節点が再び分離するまでは同じ局 所設計領域内で移動するものとする.なお,3つ以上の節点が互いに結合範囲内に存在する 場合も同様に処理する.一方,節点の移動に伴って結合されていた節点が結合範囲外に出た 場合には,節点同士を分離した上でそれぞれの節点毎に局所設計領域を取り直す.
ηは温度更新係数,sはSAの収束判定で用いられる探索個体の改善割合の観測数,ϕˆは希 少度の計算に用いられる閾値,pcrossは交叉確率である.なお,初期節点移動範囲の辺長r0 および節点結合範囲δrについては値の定義が前章までと異なるため,計算条件として同等 の領域を示すように設定し直している.局所設計領域の大きさやメッシュサイズの設定に関 しては,メッシュサイズ変更法の適用が容易となるように設定した.制約関数および目的関 数の計算に対しては,前章までと同様に骨組構造の各一様はりを適切に分割し,集中系にモ デル化した上で一般化伝達剛性係数法を適用している.
本章では,従来法(Conv.)と従来法にメッシュサイズ変更法を導入した方法(以下では,
これをメッシュサイズ変更法と呼ぶ)の計算性能について比較を行う.解析にあたり,従来
法ではModel 1, Model 2ともにメッシュサイズを15.625 mmに設定した.一方,メッシュ
サイズ変更法では従来法に合わせて最小メッシュサイズをd =15.625 mmとし,初期メッ シュサイズd0は250 mm, 125 mm, 62.5 mm, 31.25 mmの4通りに設定した(以下,それぞ れMesh(250), Mesh(125), Mesh(62.25), Mesh(31.25)と呼ぶ).そして,それぞれの手法によ り500世代までの試行計算を10回ずつ行った.各試行計算において,第1世代の最適化計 算では,それぞれ同一の基本構造をもつN個の初期探索個体を与えて計算を開始した.な お,本論文の例題程度の規模であっても,総当たり計算を実施して真の最適解(パレート最 適フロント)を得ることは計算量的に極めて困難であるため,各手法による試行計算で得ら れた全ての計算結果から非劣解の集合を選択し,これを近似的にパレート最適フロントとみ なす.
4.2.1 Model 1の計算結果
4.2.1.a パレート最適フロント
まず,図2.15に示すModel 1を対象として,各手法により最適化計算を行い,得られた全
ての結果を統合してパレート最適フロントを求めた.その結果,パレート最適フロントに は17種類の位相が含まれていた.それぞれの位相の種類をG1からG17で区別し,位相の 種類毎の代表的な形状を図4.4に,目的関数空間における位相別のパレート最適フロントを 図4.5に示す.各手法による試行計算の結果を比較したところ,チャンピオンデータのラン クや位相の種類に関して手法毎に差違が見られた.
図4.6は,各手法で最終世代までに得られたG10の位相に関するチャンピオンデータを目 的関数空間上にプロットした結果である.ここに,図中の黒色の点は10回の試行計算で得 られた全てのチャンピオンデータを示し,赤色の点はパレート最適フロントに対応する最適 解を示す.従来法の結果を見ると,試行計算毎の結果のばらつきが大きくなっており,いず れの試行計算でもパレート最適フロントに含まれる最適解は求められていない.一方,メッ シュサイズ変更法の結果でも試行計算毎のばらつきは生じているものの,従来法に比べると
G1 G2 G3 G4 G5
G6 G7 G8 G9 G10
G11 G12 G13 G14 G15
G16 G17
図4.4 パレート最適フロントに含まれる位相(Model 1)
First natural frequency [Hz]
Total weight [kg]
0 300 600 900
0 300 600 900
0 300 600 900
0 300 600 900
G1
G6
G11
G16
0 10 20 30 40 50
G2
G7
G12
G17
0 10 20 30 40 50
G3
G8
G13
0 10 20 30 40 50
G4
G9
G14
0 10 20 30 40 50
G5
G10
G15
0 10 20 30 40 50
図4.5 位相毎のパレート最適フロント(Model 1)
その程度は小さい.また,メッシュサイズ変更法は従来法に比べて全体的に優れたチャンピ オンデータが得られており,Mesh(125), Mesh(250)ではパレート最適フロントに含まれる最 適解が求められている.この他の位相に関するチャンピオンデータについても多くの位相で
First natural frequency [Hz]
Total weight [kg]
18 20 22 24 26
Conv.
14 18 22 26
Mesh(31.25)
14 18 22 26
Mesh(62.5)
14 18 22 26
Mesh(125)
14 18 22 26
Mesh(250)
14 18 22 26
図4.6 G10に分類されるチャンピオンデータ(500世代目,Model 1)
表4.2 パレート最適フロントを構成する位相が求められた試行計算の回数(500世代目)
Method G1 G2 G3 G4 G5 G6 G7 G8 G9 G10 G11 G12 G13 G14 G15 G16 G17
Conv. 10 5 6 7 2 1 0 4 0 9 0 4 1 1 1 1 1
Mesh(31.25 ) 10 2 10 7 2 0 0 5 0 9 0 5 2 0 0 0 0
Mesh(62.25) 10 4 9 8 1 0 0 7 0 8 0 8 5 0 0 0 0
Mesh(125) 10 6 8 8 0 0 0 3 0 9 0 7 4 0 0 0 0
Mesh(250) 10 8 3 2 0 3 3 3 1 10 2 7 4 0 0 0 0
同様の傾向が見られることを確認している.
表4.2は,各手法においてパレート最適フロントを構成する位相が求められた試行計算の 回数を位相の種類毎に示している.ただし,図4.6に示したように,たとえパレート最適フ ロントを構成する位相が求められていても,そのチャンピオンデータがパレート最適フロン トに到達しているとは限らない.この結果から,求められる位相の種類に関しても,手法毎 にばらつきが大きいことがわかる.とくに,図4.6で示したG10の位相に関しては,各手法 で試行計算によらず良く求められているものの,G9,G11,G14,G15,G16,G17などの位相は 手法によっては1度も求められていないものもある.
以上のことから,従来法とメッシュサイズ変更法の結果には何らかの有意な差違があると 考えられる.そこで,両手法の計算性能について計算効率や計算精度の観点から具体的に評 価するために,2.7.1項で述べた評価指標および3.5節で述べた収束率を用い,以下の節にて 比較検討する.
4.2.1.b 評価指標を用いた性能の検討
従来法とメッシュサイズ変更法の計算性能の比較を行った.まず,各手法の試行計算で得 られた計算結果に対して6種類の評価指標を求めた結果を図4.7に示す.SA/GAハイブリッ ド最適化手法の計算手続きでは,探索個体が改善される頻度に応じてSAの計算を終了させ るため,SAの計算回数(ステップ数)は世代毎に異なる.このため,図4.7の横軸には各 世代における手法毎のステップ数の平均値(以下,これを平均ステップ数と呼ぶ)をとって
いる.また,縦軸には同一世代における6種類の評価指標を順番に示しているが,R¯に関し ては視認性を向上させるため対数変換した値(log10R)¯ をとっている.また,凡例に示す通 り,曲線の色の違いが手法の違いを表し,曲線上の丸印はメッシュサイズが変更された世代 であることを意味している.
まず,Nallに関する結果を見ると,ステップ数の全体にかけて従来法の方がメッシュサイ ズ変更法の計算結果よりも大きな値をとっている.メッシュサイズ変更法では,初期メッシュ サイズが大きいほど初期の世代でチャンピオンデータの個数が少ない.しかしながら,メッ シュサイズが変更される度に個数が大きく増加しており,ステップ数が大きくなるにつれて いずれも従来法との差がかなり減少している.また,R¯に関する結果を見ると,メッシュサ イズ変更法の方が従来法よりも小さくなっている.とくに,Mesh(31.25)以外の結果では,従 来法よりもメッシュサイズが大きい段階でもlog10R¯の値が従来法よりも小さくなっており,
Mesh(250)の結果が最も小さい値をとっている.次にNoptに関する結果を見ると,従来法
では最も早くNoptが増加しており,メッシュサイズ変更法ではメッシュサイズが小さくな るにつれてNoptが増加している.次に被覆率CRに関する結果を見ると,計算の初めは初 期メッシュサイズが大きい手法ほどCRが小さいものの,5000ステップ付近からはいずれ の手法も従来法と同等の被覆率となっている.次に,位相の種類数NGに関する結果を見る と,従来法の方がメッシュサイズ変更法よりもやや大きくなっており,従来法の方が得られ る位相の数が多いことがわかる.しかしながら,NGoptに関する結果を見ると,両手法の値 にあまり差が無いことから,従来法ではパレート最適フロントに含まれていない位相が多く 求められているのに対して,メッシュサイズ変更法では,発生した位相の多くがパレート最 適フロントに含まれる位相であることがわかる.以上の結果から,メッシュサイズ変更法の
うちMesh(250)によれば,従来法と同程度の位相の種類数を維持しつつ,従来法よりもラン
クの高いチャンピオンデータを数多く求めることができることがわかる.
次に,上に示した傾向を再確認するため,3.4.2.a項と同様にウィルコクソンの順位和検定 を適用する.その際,等しい繰り返し計算回数において手法同士を比較するため,2.7.2項 と同様に各手法の試行計算毎にkステップを超える最小の世代のチャンピオンデータを部分 集合とする集合族χ(k)を構成し,この集合族χ(k)内で手法間の比較を行った.図4.8に,
kを500から1800まで変化させたときの検定結果を示す.横軸はステップ数k,縦軸はp1値 を示している.なお,検定に際しては3.4.2.a項と同様の片側検定を適用している.Nallに 関する検定結果を見ると,ステップ数が少ないうちはp1値が1に近いため,メッシュサイ ズ変更法を用いた場合に従来法よりもNallが小さくなる確率は非常に小さいといえる.一 方,5000ステップ以降になるとややp1値が小さくなっており,従来法よりも大きなNallの 値が得られる確率がやや増えていることが確認できる.次に,R¯に関する検定結果を見る と,比較的初期の段階から,特にMesh(62.5), Mesh(125), Mesh(250)では非常にp1値が小さ