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メッシュサイズを変更した場合

ドキュメント内 坂本, 裕一郎 (ページ 78-83)

本節では,メッシュサイズdmの変更がチャンピオンデータへ与える影響について検討す る.その際,GAの親個体の選択法は前節で有効であると確認されたRL|RAを用いるもの とし,メッシュサイズのみdm =100 mm(前節の10倍)に設定してModel 1により計算を 行った.メッシュサイズを除く計算条件は,全て前節と同様である.以後,メッシュサイズ をdm =100 mmとして計算を行った結果をMesh(100),dm =10 mmとして計算を行った結 果をMesh(10)と呼ぶ.

まず,解の個数Nallを図3.11に示す.図の横軸は,1世代から500世代までの区間を10 等分し,各区間のNall を箱ひげ図により示している.箱ひげ図の見方については付録C.3 を参照されたい.また,メッシュサイズdmの違いは凡例に示すように色を用いて分類して いる.なお,図中ではMesh(100)の結果を示す箱ひげ図が常にMesh(10)の結果を示す箱ひ げ図よりも左に位置しているが,これは両者の箱ひげ図が重ならないようにしているだけ であり,隣接する2つの箱ひげ図はどちらも同じ区間のデータを示している.この図から,

Mesh(100)で計算を行った場合には,Mesh(10)で計算を行った場合よりも常に得られる解の

個数が少ないことがわかる.これは,Mesh(100)の場合には設計変数のとり得る値の数が少 ないため,発生し得る解の数がMesh(10)よりも少ないことからも容易に理解できる.また,

Mesh(100)では,100世代目以降Nallの値がほぼ変化していないのに対し,Mesh(10)の場合

Generation Nall

200 400 600 800

[1,50] (50,101](101,151](151,201](201,250](250,300](300,350](350,400](400,450](450,500]

Mesh(100) Mesh(10)

図3.11 メッシュサイズを変更した場合のチャンピオンデータの個数

には,500世代近傍でも比較的緩やかにNallが増加する傾向にある.

次に,ランクの平均値を比較したものを図3.12に示す.図の表示方法は図3.11と同様で

ある.Mesh(100)の場合には早期にランクの値が小さくなる傾向にあることから,より早い

段階で解がフロント側へ進んでいることがわかる.また,図3.13には,最終世代における 全ての試行計算のチャンピオンデータを目的関数空間にプロットしている.なお,1次の固 有振動数が20 Hzから40 Hzの領域について図中に拡大図を設けている.特に拡大図に示し た領域では,最も優れた解が得られるのはMesh(10)の場合であるものの,試行計算によっ

てはMesh(10)は局所解に滞っていることがわかる.

次に,1世代あたりのステップ数を比較したものを図3.14に示す.この図からは,Mesh(100) の方が,1世代に要するステップ数が少ないことが分かる.探索個体が更新される頻度の少 ない手法ほど少ないステップでSAが終了するため,Mesh(100)では比較的早い世代からチャ ンピオンデータがそのメッシュサイズにおける最適解(局所解)へ収束していると考えられ る.このことを確認するため,新たに収束率(28)を導入する.

いま,g−1世代およびg世代の最終ステップまでに得られたチャンピオンデータの集合 をそれぞれPg−1およびPgとする.このとき,Pg−1およびPgの和集合をとり,それぞれの 解のランクを求めて非劣解を抽出する.そして,Pg1に含まれる全要素数に対してPg1の 中から非劣解として抽出された要素数の割合を求める.以下では,この割合をg世代目にお けるチャンピオンデータの収束率と呼ぶ.すなわち,収束率が1に近い値となっていれば,

その世代において新たなパレート最適解が発見されにくくなっているものと判断できる.

上記の計算手続きによって得られた収束率を図3.15に示す.SA/GAハイブリッド最適化

Generation

R

4.5 5.0 5.5

[1,50] (50,101](101,151](151,201](201,250](250,300](300,350](350,400](400,450](450,500]

Mesh(100) Mesh(10)

図3.12 メッシュサイズを変更した場合のランクの平均値

First natural frequency [Hz]

Total weight [kg]

200 400 600 800 1000

10 20 30 40 50

Mesh(100) Mesh(10) 20

25 30 35 40 45 50

20 25 30 35 40

図3.13 500世代目のチャンピオンデータ(メッシュサイズを変更した場合)

Generation

Step number

30 40 50 60 70 80

[1,50] (50,101](101,151](151,201](201,250](250,300](300,350](350,400](400,450](450,500]

Mesh(100) Mesh(10)

図3.14 メッシュサイズを変更した場合の1世代あたりのステップ数

手法ではSAの計算回数(ステップ数)が世代毎に異なるため,各世代までに要した総ス テップ数を世代毎に試行計算の平均値を求めて横軸に示している.また,縦軸には収束率の メッシュサイズ毎の平均値を示しており,50世代毎に丸印をプロットしている.これによ り,同一の繰り返し計算回数における収束率を比較することができる.図から,Mesh(100)

の方が,Mesh(10)と比較して早い時期に収束率が大きくなる傾向にあることがわかる.特

に,Mesh(100)の場合は7500ステップ以降はほぼ収束率が1であるのに対し,Mesh(10)の 場合には7500ステップ以降も常にゆるやかに収束率が増加している.これは,メッシュサ イズが大きい場合にはチャンピオンデータが早く収束することを示している.

以上のように,メッシュサイズを大きくした場合には得られるチャンピオンデータの数が 少なくなるものの,速く収束する傾向にあることがわかった.このことから,計算開始時に はメッシュサイズを大きく設定し,計算の経過に伴って段階的にメッシュサイズを小さくす れば,各段階での最適解へと早期にチャンピオンデータを収束させつつ,メッシュサイズが 小さい場合と同程度のNallを得ることが期待できる.この方法の具体的な検討については 第4章で述べる.

3.6 まとめ

第2章で提案したSA/GAハイブリッド最適化手法に対して,位相毎に分類された探索解 とチャンピオンデータを利用した親個体の選択法を新たに提案した.その際,各手法の性能 を適切に評価するために,ウィルコクソンの順位和検定に基づく性能評価法を提案した.こ の方法によれば,6種類の評価指標に対しウィルコクソンの順位和検定を用いることで,各

Total step

Convergence ratio

0.80 0.85 0.90 0.95 1.00

0 5000 10000 15000 20000

Mesh(100) Mesh(10)

図3.15 メッシュサイズを変更した場合の収束率の比較

手法の性能の違いが適切に判定できることが確認された.そこで,数値計算結果を基にそれ ぞれの選択法を評価した結果,親個体1の選択に希少度(RL)を用い,親個体2をランダ ム(RA)に選択する手法(RL|RA)を用いれば,解の多様性を維持しつつパレート最適フ ロントを効率的に求められることがわかった.

さらに,メッシュサイズの変更がチャンピオンデータに与える影響について調べるため,

メッシュサイズを10 mmおよび100 mmの2通りに設定し,それぞれ10回の試行計算を行っ た.その結果,メッシュサイズが大きい場合には得られるチャンピオンデータの数が少なく なるものの,そのメッシュサイズにおける最適解へと速く収束する傾向にあることが確認さ れた.

第3章までに述べたSA/GAハイブリッド最適化手法(本章では以後,従来法と呼ぶ)で は,得られる最適解の形状の細密化を図るためには図2.1に示すメッシュサイズdmを小さ く設定する必要がある.しかしながら,3.5節で述べたように,dmが小さい場合にはSAの 計算手続きにおいて生成可能な探索個体の数が膨大となるとともにチャンピオンデータが局 所解に滞りがちになり,優れた解を素早く求めることが困難となる.そこで本章では,この 問題の対策として,従来法の計算アルゴリズムにメッシュサイズ変更法を新たに導入するこ とを試みる.なお,SAによる計算手続きの中で節点の移動を行う際,第3章までは移動す る節点の周辺に円形の節点移動範囲を設けていたが,メッシュサイズ変更法では節点の周辺 に正方形の節点移動範囲を設け,その中にある格子点へランダムに節点を移動させることと する.ただし,節点移動範囲の大きさはメッシュサイズの変更に伴い変化するものとする.

また,従来法では節点の周辺に円形の結合範囲を設けていたが,メッシュサイズ変更法では 節点の周辺に正方形の結合範囲を設け,その領域内に複数の節点が存在した場合にはそれ らの節点を結合する.これ以外のSAおよびGAに関する計算手続きについては,基本的に 第3章に述べた従来法と同様である.ただし,GAの遺伝的操作では,前章で有効性が確認 された親個体の選択法,すなわち親個体1を希少度で選択肢し,親個体2をランダムに選択 する手法を用いる.

ドキュメント内 坂本, 裕一郎 (ページ 78-83)