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影響や依存度を検討する

4.2  アクション

4.2.1 マテリアルとなりうる自然資本への影響や依存度をリストする

4.2.2 マテリアリティ評価の基準を明確にする

4.2.3 関連情報を収集する

4.2.4 マテリアリティ評価を完了する

4.2.1 マテリアルとなりうる自然資本への影響や依存度をリストする

マテリアリティ評価において最初に行う事は、選択した目標とスコープに対し、関係ありそうなすべての影 響と依存度を考えることである。

ここでは、影響要因、影響パスウェイ、依存度パスウェイの概念を紹介する。自然資本評価を行う上で、こ れらの用語は必ず理解しておかなければならない。

本書において、影響要因とは生産へのインプットとして使われる天然資源の計測可能な量(例:建設に使 われる砂と砂利の体積)、またはビジネス活動の計測可能な製品以外のアウトプット(例:製造施設から 大気中に排出されるのNOxの質量)である。本書の文脈外では、環境「アウトプット」は、「残留物」と呼ば れることもある(例:UNSEEA(国連環境経済統合勘定)の文書など)。

影響要因は一般に定量単位(例:kg、m3、ha)で表され、すでに会社の非財務報告書に盛り込まれている か、ライフサイクル評価を通して作成されている可能性がある。

影響要因は影響と同じではない。影響は影響要因の結果として起こる自然資本の量または質の変化であ る。一つの影響要因が複数の影響に結び付いていることがある。

用語集

影響要因本書において、影響要因とは、生産へのイ ンプットとして使われる天然資源の計測可 能な量(例:建設に使われる砂と砂利の体 積)、またはビジネス活動の計測可能な製 品以外のアウトプット(例:製造施設から 大気中に排出されるNOxの質量)である。

・ス・スステステ用語ョン

用語集 影響パスウェイ

影響パスウェイは、あるビジネス活動の結 果、特定の影響要因がどのように自然資本 の変化を引き起こし、またこれら変化がど のようにさまざまなステークホルダーにど う影響を与えるかを示す。

ボックス4.1 影響および依存度パスウェイ 影響パスウェイ

影響パスウェイは、あるビジネス活動の結果、特定の影響要因がどのように自然資本の変化を引き起こ し、またこれら変化がどのようにさまざまなステークホルダーに影響を与えるかを示す。

図4.1は、産業の典型的な非製品アウトプットである大気汚染の影響パスウェイを示している。この例で は、ビジネス活動は化成品の製造であり、特定の汚染物質が排出される(ステップ05で計測する影響要 因)。こうした排出物は大気の質を劣化させ(ステップ06で計測する自然資本の変化)、現地の環境によ ってはさまざまな人々に重大な影響を及ぼす(ステップ07で価値評価する影響)。ビジネス活動に起因 する自然資本の変化は、「アウトカム」とも呼ばれる。

この例では、大気汚染がマテリアルな影響かどうか、もしそうならどの汚染物質と影響が最も関連する かを理解するため、マテリアリティ評価が必要になる。

図4.1:

影響パスウェイにおける一般的ステップ (出典:PwC 2015)

化成品製造工場でのビジネス活動は影響要因で ある大気汚染物質を排出する。

ステップ05: 影響要因を計測する ステップ06:自然資本の変化を計測する

ステップ07:影響を価値評価する

影響要因は自然資本の変化(この場合 は大気質の劣化)を起こす。

自然資本の変化は影響(この場合は健 康上の問題)を招く。

ボックス4.1 影響および依存度パスウェイ(つづき)

依存度パスウェイ

依存度パスウェイは、あるビジネス活動が自然資本の個々の要素にどう依存しているかを示す。自然資 本について観察されている、もしくは今後観察されると考えられる変化が、ビジネスを行うコストや便益 にどう影響するかを明らかにする。

図4.2は、コーヒー農場の授粉を例として依存度パスウェイを図式化したものである。森林破壊による自 然の花粉媒介者の個体数が減少し、コーヒー生産量の減少や生産コストの増加(商業的な花粉媒介手 段に頼らざるを得ない)が起こる状況を描いている。

この例のマテリアリティ評価では、生産量の減少や花粉媒介の追加コストが、他の考えられる依存度と 比較してビジネスに重大な影響を及ぼしうるかを検討する。

図4.2

依存度パスウェイにおける一般的ステップ (出典:PwC 2015)

下の表4.1と4.2は、選ばれたいくつかの影響要因と依存度をまとためものであり、何がビジネスにとってマ テリアルか検討する際に参考にしてほしい。ビジネス活動(例:水利用)には、影響と依存度の両方をもた らす可能性があるため両方の表に記載されているものがある。分かりやすさのため、本書ではそれらを別 々に取り上げているが、実際の評価では、両方を同時に検討する必要があるかもしれない。

用語集 依存度パスウェイ

依存度パスウェイは、あるビジネス活動が 自然資本の個々の要素にどう依存するか を示す。自然資本にについて観察されてい る、もしくは今後観察されると考えられる 変化が、ビジネスを行うコストや便益にど う影響するかを明らかにする。

コーヒー生産工場におけるビジネス活動はコーヒーの授粉 に依存する。

自然資本の変化 はビジネスの依 存度に影響する ため、花粉媒介 サービスを外部 から持ち込む。

花粉媒介

自然資本の変化 は、以下の理由に より蜂の個体数を 減少させる。

- 企業自身 (例:農薬の 過剰利用)

- 自然の変化 (例:異常気象)

- 他社の活動 など、人為 的な変化 (例:生息環 境の変化)

ステップ05: 依存度を計測する

ステップ07: 依存度 を価値評価する

ステップ06: 自然 資本の変化を計測 する

・ス・スステステ用語ョン

表4.1影響要因の例

ビジネスのインプ ットまたはアウト プット

影響要因の分類 計測可能な影響要因の例

インプット 水利用 地下水、地上水の利用量など

陸上生態系の利用 農業用地のタイプ別面積、植林地のタイプ別面積、露天 掘り採鉱場のタイプ別面積、など

淡水生態系の利用 水浄化や魚の繁殖などの生態系サービスを提供するの に必要な湿地帯、池、湖、水路、河川、泥炭地の面積。

橋やダム、防潮壁など、河川と湖を使うために必要なイ ンフラの面積、など

海洋生態系の利用 水産養殖地のタイプ別面積、海底採掘地のタイプ別面 積、など

その他資源の利用 鉱物の採掘量、天然捕獲した種ごとの漁獲高、天然捕 獲した種ごとの哺乳類捕獲数

アウトプット 温室効果ガスの排出 二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、 六 フッ化硫黄(SF6)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs) 、 パーフルオロカーボン類(PFCs)、など

温室効果ガス以外の大気汚染物質 微粒子物質 (PM2.5) および粒子状物質 (PM10)、揮発 性有機化合物(VOCs)、窒素酸化物 (NOとNO2、一般に NOxと呼ばれている)、二酸化硫黄 (SO2)、 一酸化炭素 (CO)、など

水質汚染物質 水塊に放出される栄養素(例:硝酸塩とリン酸塩)やそ

の他物質(例:重金属と化学物質)の量

土壌汚染物質 土壌に放出され一定期間残留する廃棄物の量

固形廃棄物 分類別(無害、危険、放射性)、構成素材別(鉛、プラス

チック)、または廃棄方法別(埋め立て、焼却、リサイク リング、専門業者による処理)の廃棄物の量

生活妨害 影響下にある場所の騒音の音の大きさ(デシベル)と期

間、光の明るさ(ルーメン)と期間、など

表4.2依存度の例

ビジネスのイン

プット 依存度の分類 個々の依存度

消費材 エネルギー 太陽、風力、水力、地熱、バイオ燃料、化石燃料

淡水 (地中、地表、雨)または海水

栄養素 人間または動物の食べ物

ミネラル 木材繊維、遺伝資源、金属、鉱物、植物/動物原料

非消費財 物理環境の調整 洪水の減衰、水質調整

生物環境の調整 作物の害虫抑制、授粉

廃棄物と排出物の調整 廃棄物の分解吸収、騒音や粉塵の抑制

経験 自然を生かしたレクリエーション、観光業

知識 自然からの情報(例:バイオミミクリー)

福利と精神的/倫理的価値 従業員の満足度とストレス解放、社内のスタッフや業務 を支える神聖な場所やその土地特有の伝統

注: 上記のリストはあくまで一例であり、ここに記載されてなくても、関連性がある影響や依存度は考慮す る必要がある。