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ヘド ニ ッ ク 価格 法は、自然資本が市場で販売している商品の価格にどのような影響を与えるかを価値 評価するための有益な顕示選好アプローチである。例えば、風光明媚な場所の近くと遠くで住宅地の市 場価格が異なるのは、そうした場所の快適さという価値も含まれているからである。市場で販売されている 商品の価格に影響を及ぼすさまざまな要因を解明するため統計分析が使われる。これら要因とは、ベッド ルームの数、宅地面積、風景、川や公園といった重要な環境要素からの距離などである。

主なステップ:

1. データを照合する(例:不動産価格や、価値評価の焦点である環境特性を含む一次調査のデータセッ ト)。

2. 一連の説明変数を使い不動産価格の回帰分析を実施する(環境財/サービスを含む)。

3. 総合的なインプリシット物価関数を導出する。

4. 関心のある特性に対する需要曲線を推計する。

5. (需要曲線を統合することで)環境財/サービスにおける限界変化に起因する総合的価値の変化を推 計する。

注:

このアプローチを正しく実施するには膨大なデータと時間が必要になる。

• もっと簡単な方法は、現地の不動産業者に、特定の環境属性に対して価格が何パーセント上乗せされる か概算を出すよう依頼することである。

• 他のサイトから証拠を移転することで得られる概算は低コストであることがあり、ニーズを満たすには十 分だと思われる。例えば、既存の調査は緑地に近接していることは不動産の価値を一定の比率押し上げ ることを示唆しているかもしれない。このような証拠を使う場合は、あとで必ず価値移転のガイドライン に従うようにしてほしい。

・ス・スステステ語集ョン

トラベルコスト法(TCM)も顕示選好アプローチの一つであり、公園や釣りに行くなど、消費以外で使う自 然資本のレクリーションやアメニティの価値を求めることができる。TCMは、個人にとってレクリエーショ ンでどこかに行くことの価値は、少なくともそこに行くのにかかるコスト(時間その他のコスト)と同じくら い大きな価値であるという考えに基づいている。適切な構成のアンケート調査を駆使してビジター情報を 収集することで、需要曲線(旅費に応じて行く回数がどう変化するか)から、レクリエーションの個別、平 均、ならびに総合価値を推測できる。個別または地域別のTCMを実施できる。前者の方が一般的であり、

ここで説明しているのも前者である。このアプローチが適切か判断する前に、現地へのアクセスのしやすさ や、近隣の観光スポットに一緒に訪れる可能性など、さまざまな点を考慮する必要がある。

主なステップ:

1. アンケートの構成を決める(収集するデータは居住地、人口統計、態度情報、目的、頻度、目的地訪問 の期間と費用など)。

2. ビジターにアンケート調査を実施する(サンプル数が十分であることと、幅広いビジター層を表してい ることに注意)。

3. データを分析し、現地を訪れるすべてのビジターを代表する需要関数を推計する(訪問の頻度や現地 までのコストなどの要因をもとに需要関係を求める計量経済学の手法を使用)。

4. レクリエーションの平均的価値を推計する(一個人当たりの娯楽の平均価値を推計するため需要曲線 より下の部分を「統合」することで推計)。

5. (一定の期間)個人の平均価値にビジター数を乗算することでレクリエーションの総価値を求める。

注:

• トラベルコストの調査を始める前に十分考えてほしい。この調査は人々の行動に基づくとはいえ、人々が 目的地を訪れる理由はたくさんある。訪問の頻度や費やした時間、支出額は、必ずしも人々がその目的 地に感じている完全な価値を反映しているわけではない。

• トラベルコスト法は表明選好法と組み合わせることができる。2つの価値評価を比較することで結果の 信頼性をテストし向上させることが可能となる。

• 例えば、ビジターのコスト(例:旅行の費用と時間)をビジター数で乗算することで、おおよその概算を 適用できる。ビジターのコストの推計が他の目的地から移転されている場合、価値移転のガイドライン に従う必要がある。

表明選好アプローチ

表明選好アプローチは、特定の人口の代表的なサンプルにアンケート調査を行い、特定の財やサービスに 対する好みを聞き出す方法である。これらの手法は、自然資本における量または質のわずかな改善に対す る消費者の「支払い意志」(WTP)、もしくはわずかな低下に対する「受け入れ意志」(WTA)を確かめる ためによく使われる。

表明選好の調査には主に2つのタイプがある。

仮想評価法(CV)は一般に、消費者に物事(通常は市場で流通されないさまざまなレベルの便益を提 供する代替オプション)に対するWTPまたはWTAを直接表明するよう求めるやり方である。

選択実験法(CE)(または選択モデリング)は回答者に一式の選択肢からどれか一つの選好オプション を選ぶよう求める。5つか6つの異なる属性(パラメータ)があり、そのうちの一つは回答者が支払わなく てはならない価格である。計量経済学によるモデル化を通して、各属性のさまざまなレベルの金銭的価 値を導くことができる。

上記アプローチの主な利点としては、環境的、社会的、経済的な資産または影響を柔軟に価値評価できる ことがある。実際、これらは非使用(もしくは「存在」)価値を求められる唯一の価値評価法である。さら に、CVとCEでは特定の課題に対応する一次データ収集と価値評価を行うことができ、得られる結果が影 響を受ける人々を代表するものであるように設計することができる。

表明選好アプローチの欠点は、これを包括的かつ評価・検証に耐えうる調査にするには時間とコストがか かることである。これは、一つには架空のシナリオにおいて、信頼性の低い、または無意味な結果を招かな いよう、さまざまな潜在的バイアスの原因を克服する必要があるからである。例えば、回答者があえて意図 的に高い、もしくは低い支払い意志を表明しているかもしれず、また何を評価するよう求められているのか よく理解しておらず、結果的に正しくない回答になってしまうこともありうる。また、結果は回答者の実際の 行動ではなく、あくまで意向に基づいているにすぎないことも認識しておく必要がある。

とはいえ、表明選好法の活用は急速に普及しており、信頼性が向上しコストは低くなっている。さらに、イ ンターネットによる調査が一般化したことも、さらなるコストダウンにつながっている。

CEまたはCVの主なステップ:

1. 何を価値評価するかのスコープを把握するため、最初のリサーチを行う。ここで、価値をより理解する ため、価値移転を通して既存の関連する価値評価の証拠とその使用についてレビューすることもでき る。

2. 調査方法(例:対面、郵便、電話)と価値評価の手法(CVまたはCE)を選ぶ。

3. サンプルリングの母集団(インパクトによって影響を受けるすべての人々(例:現地を訪れる人々)または 特定の地域や国の全世帯など)とサンプリング方法(例:ランダムまたは層化抽出)を選ぶ。

4. アンケートの構成と形式(例:WTPのフリーアンサー、ペイメント・ラダー)と支払い方法(例:請求書、

税金、寄付、駐車場での請求)。

5. アンケートの言い回しと理解度をチェックするため、フォーカス・グループ(特に新たなトピックの場 合)とパイロット・テストを使い、アンケートをテストする。

6. 統計上有意な結果を得るため、十分な大きさのサンプルを使って本調査を実施する。

7. 異常値(例:極端に高い値付け)や、異議票(例:提示されたシナリオの拒否)などを特定する作業を 含む、計量経済分析を行う。

8. 有効性と信頼性をテストする。

9. 集計・報告する。

・ス・スステステ語集ョン

注:

• 表明選好法の設計と結果の分析は、適切な訓練を受け、経験を積んだ専門家の関与を求めること。一 見簡単そうでも、せっかくのアンケートが無意味な結果に終わる設計をしがちである。分析の質が低かっ たり、偏見に基づく回答に誤った対処をした場合も結果の有益性を阻害することになる。

• 調査結果が代表的な集計値を得られるように、調査サンプルが対象とする集団を代表していることを 確認する。

• 適切かつ妥当なサンプルサイズを選択するようにする。質問の数は250個程度にすることを推奨する(

最大100万人の母集団、95%の信頼区間と仮定)。ただし、適切な注意事項を付けることで、100程度の サンプルサイズでも有益な結果を導けることがある。

• 架空、情報、戦略、開始点、支払い形態のバイアスなど、このアプローチに伴う大多数のバイアスを克服 するために十分努力すること。

• 調査を構成するときは、価値評価の対象を分かりやすく説明するため、シンプルかつ効果的な視覚情報 を使うことを考えるとよい。

• 支払いシナリオが現実的で政治的に受け入れられるものであることをチェックする。置かれた前提が控 え目で分かりやすく記述されているか確認する。