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第 4 章 課題解決のプロセス 13

4.5 ピンホール投影機

この章では、ピンホール投影機の制作として、以下のような作業を行った事について述べる。

恒星球制作

台座制作

電源・光源

改良

天の川投影機

(※文責:鈴木陽亮)

恒星球制作

ピンホール投影機を制作するにあたって、まず投影する星について考えた。今回は(厚木と中野 ではたらく准教授牟田淳のページ、ブラトン式プラネタリウムを作ろう)で紹介されている厚紙 データを元に制作することとした。ここでは正十二面体の恒星球使って制作するピンホール投影機 の制作方法が紹介されており、これを参考に制作に取り掛かることとした。

 まず、その厚紙データをダウンロードし、Illustratorというソフトを使って微調整を行い、その データを元に恒星球の制作に取り掛かった。恒星球は、厚紙を使って制作し、形は正十二面体とし た。恒星球の素材の候補として、厚紙、黒ラシャ紙、アルミ板、アルミボール、天球儀、黒のプラ スチック板、リスフィルムなどが挙げられたが、今回は厚紙を使用して制作を行った。

 厚紙を使用する理由として、光沢がなく、遮光性とある程度の厚みがあるということが挙げられ る。ある程度の厚みがないと光が漏れてしまったり、恒星球を制作した際の強度が不十分となって しまう。厚みは厚すぎても投影した際に像が二重になってしまうことがあるため気をつける必要が ある。また、穴を開けやすく、初心者にも制作しやすいという利点もある。

 また、正十二面体にした理由として、恒星球の形として一番メジャーな形だというものがある。

その他の形として、球形、円筒型、円筒円錐台型、ちょうちん型、などがある。正十二面体の恒星 球は、多面体型というものに分類されるが、多面体型にはほかに正二十面体で制作するものもあ る。また、球状で制作した場合、球状にするための作業が必要となり手間がかかってしまうという ことも正十二面体で制作することとした背景としてあった。

 恒星球を制作するにあたり、一つ一つ手作業で穴を開けた物の方が手作り感がでるが、膨大な時 間がかかる上、調整が非常に難しくなってしまう。そこで今回は、制作にレーザーカッターを使用 することとした。厚紙をダウンロードしたデータの通りにレーザーカッターを使用して切り取り、

穴を開けた。型紙の形は、五角形が複数個つながっているような形で、他のパーツと貼り付けるた めののりしろ部分がある。(図4.33)その型紙を4種類切り取って星と投影するための穴を開けた。

穴の大きさは、星の大きさごとにそれぞれ変えた。

 今回制作した恒星球はおおよそ500個程度の星を投影することができるもので、約50種類の星 座を投影することができるものであった。レーザーカッターで切った厚紙を位置を間違えないよう に貼り合わせると、恒星球が完成する。貼り付けを行う際には、隙間があったり、すぐに剥がれて しまったりしないように注意しながら行った。

4.33 恒星球設計図

台座制作

恒星球が完成したら、次に台座の制作に取り掛かった。台座は安定性があり丈夫なものにするた めに木材を使って制作することとした。まず、どのようなものにするかを考え、設計図を制作し た。(図4.34)この図の通りに木材を加工し、組み立てる。下の空間には、光源につなぐための電 池を置いた。また、恒星球を光源にかぶせて置くためのスペースも、塩化ビニルパイプに取り付 け、恒星球の真ん中に光源が位置するように大きさと調整しながら設置した。

4.34 ピンホール台座設計図

電源・光源

次に、電球をつけるために、市販の電池ボックスと単1電池を二本、銅線を準備した。電池ボッ クスに単1電池を二つ入れ、それと電球を銅線でつなげ電球に電気を送るようにした。スイッチ部

分にはレトロスイッチを採用し、それを半田ごてを使って台座に固定した。

 また、光源と光源をつないだ動線を通す柱として、市販の塩化ビニルパイプをちょうどいい長さ に加工し、その中に線を通すことで、外からの見栄えを考慮した。今回使用した電球は、マグライ トに使用されてるクリプトン球というものであった。

 その理由として、まずフィラメントが小さいということが挙げられる。フィラメントとは白熱電 球の発光部分のことで、フィラメントが大きすぎると、ピンホール効果でフィラメントが像に写り こんでしまう場合がある。それを防ぐためにフィラメントの小さいものを電球として使用してい る。もうひとつの理由として輝度が高いということが挙げられる。ある程度の光量が確保できない とドームに映し出される像が薄く見づらくなってしまう。それを回避するためにある程度の輝度が あるクリプトン球を採用した。

改良

完成したピンホール投影機を実際に中型ドーム内で投影を行ってみたところ、ドームに映った像 がぼやけてしまっており、はっきりと投影することができなかった。そこで、解決策を考察してみ たところ、恒星球の大きさが小さかった事と、レーザーカッターであけた穴の大きさが大きかった ことが原因だということがわかった。原因がわかったのでそこを修正しつつ改良版の制作に取り掛 かることにした。改良版では、恒星球の直径をおおよそ10センチ程度大きくし、星によって多少 の差はあるが、穴の大きさを1等星が2.5mm2等星が1.5mm3等星が0.8mm程度で制作した ところ、はっきりとドームに投影することができた。

4.35 恒星球比較

4.36 ピンホール投影機

天の川投影機

中型ドーム内で展示を行う天の川投影機はピンホール投影機で使用した厚紙と同じ厚紙を使用し て制作を行った。天の川投影機は初めから自分たちで設計等をし、制作した。

 まず、厚紙を長方形に切り取り、投影する天の川の形を取ってそれを手作業で切り抜く。その 後、その厚紙を円柱状にして、両方の底面を塞ぎ、片方の底面に光源であるライトを入れるための 穴を開ける。しかし、このまま光源を円柱内にいれて、投影したのでは光が直接当たりすぎて、像 がうまく投影することができない。そこで、円柱の中を二層構造とすることを考えた。

 一層目では光源から光が直接当たらないよう光をぼかすための紙を挟み、二層目で天の川の形に なるように投影する、となるようにした。ピンホール投影機と同時に投影することを考慮して、明 るすぎたり暗すぎないように一層目での光量の調整はとても重要となった。いくつかプロトタイ プを制作し、実際に投影を行ってみた。しかし、なかなか思っているような天の川を投影すること ができなかった。その後、インターネットを使って調べたり、光源を変えてみたりなど行ってみた が、結局、思うような天の川投影機は完成させることができなかった。

(※文責:鈴木陽亮)