第 2 章 高気圧マイクロプラズマとその診断手法
2.4 光学的手法による高気圧マイクロプラズマの診断
2.4.1 レーザー計測法
2.4.1.2 トムソン散乱
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となる.
普通の原子では,ω0は紫外線域に属すため,(2.13) 式は可視光あるいは赤外光につ いて成り立つ式である. この式は, 光の散乱が波長の 4 乗に反比例することを示して おり, レーリー散乱の式と呼ばれる. レーリー信号は中性粒子からの信号である. こ れを測定することで中性粒子に関する情報が得られる. また, 散乱光強度が粒子の数 に比例するという性質より, レーリー散乱断面積がわかっている気体を既知の圧力だ け詰めてレーザー光を入射し, 散乱された散乱光強度を測定することで, 受光光学系 の絶対較正が可能となる.
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(2.15)
(ここに, eは素電荷, mは電子の質量である)で加速され, 電磁波を放出する. 波動帯
(wave zone | | ≫ | |)にある検出器位置 での散乱波の電磁界は, 次式のように表わ
せる.
, μ
4π ′
d ′
d μ
4π
(2.16)
, 4πε (2.17)
ここに, μ0, ε0はそれぞれ真空中の透磁率および誘電率, cは光速, R=| |である. 遅延時 刻t'は,
′ t′ /
(2.18)
と表わされる. また, ω / / であり, ω / / は散乱波の波数ベ クトルである( ω / / ). ここでは可視光の散乱を考えているので, 電子 への運動量の移行は無視できて, | | | |である(ω ≪ )であるからコンプト ン効果は無視できる. したがって, kの大きさは散乱角をθS用いて次のように表わさ
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図2.8 レーザー散乱の座標系 z
x
y E0
k0, ω0
z
x
y R
ks, ωs φ
ψ
rl
散乱波
プラズマ
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れる.
≡ | | 2 sin
2 (2.19)
次に, N個の電子による散乱波の電磁界は, (2.16) 式, (2.17) 式のlについて和をとって, 次式で与えられる.
, 4πε
(2.20)
, (2.21)
(2.20)式, (2.21)式から散乱波のポインティングベクトルは,
, 1
ϵ | | (2.22)
となる. 検出器に達する平均パワーは, 〈 〉 d |〈 〉| dΩ(ここでdsは検出器の面 要素ベクトル, dΩは検出器の張る立体角,記号〈 〉は電磁波の周期に比べて十分長い時 間にわたる時間平均あるいは透過的なアンサンブル平均である)となる. ここで求め たいものは検出器に達する散乱パワーの周波数分布(パワースペクトル)であるが, こ
れはWiener=Khinchineの定理によると, 場の変数(電界)の自己相関関数のフーリエ
変換を用いて次式のように表わされる.
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, 1
2π ∞d ε 〈 , ⋅ ∗ , 〉 (2.23)
(2.23)式に(2.20)式, (2.21)式を代入し, 微分散乱断面積σ ,ω を,
, d dΩ σ ,ω dωdΩ (2.24)
(ここで, ε | | は入射波強度である)で定義すると, σ ,ω は次式のように表 わされる.
σ ,ω
4πε
1 2π
∞
〈 ∙ ω
,
∙ ∙ ω 〉
σ φ ,ω (2.25)
ここに, / 1 sin cos sin , はRのxz面への射影がz 軸となす角, はEとRのなす角であり, σ / 4πϵ sin はトムソン散 乱の微分散乱断面積である. 実際のスペクトルを考える上で重要となる動的形状因子
(dynamic form factor)S(k, ω)は,
,ω 1
2π
∞
〈 ∙ ω
,
∙ ∙ ω 〉
1 2π
∞
〈 ∙
,
∙ ∙ τ 〉
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1 2πN
∞
〈 , ∗ , τ 〉 (2.26)
と表わされる. ここで, 電子密度 , をδ関数表示で , ∑ δ と あらわし, そのフーリエ変換 , ∑ exp j ∙ を用いた. (2.26)式で角周波数 はω ω という形で表れているので, 差角周波数∆ω ω ω を定義し, 以下では動 的形状因子を ,Δω と表わす.
(2.26)式に示されているように, 散乱光スペクトルは, 散乱系の形状で決まる波数
ベクトルkと同じ波数ベクトルを持つ電子密度揺動の空間フーリエ成分をとり, その 自己相関関数を時間についてフーリエ変換したものとして得られる. すなわち, 散乱 光スペクトルを求めるには, プラズマ中の電子密度揺動のスペクトルを求めることが 問題となる. プラズマ中の電子およびイオンはクーロン相互作用で互いに関連しあっ ており, その影響の及ぶ範囲は電子のデバイ長λ 程度である. このため散乱スペクト ルを決める電子密度揺動の波長(1/k)のλ との大小が散乱スペクトルの性格を決める のに重要であり, パラメータα≡ λ が導入された. 電子と一種類のイオン(質量 M, 電荷Ze. 以下ではZを荷電と呼ぶ)からなる, 等方的で無衝突のプラズマを考え, 電子およびイオンはそれぞれ温度Te, Tiのマクスウェル分布をしている場合のS(k, Δω) は, Salpeter近似を用いて次式のように表わされる.
, ∆ω ∆ω 1
π / Γα 1
π /
α
1 α Γβ (2.27)
ここに, Γα
1 α α πα , ≡ 2
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≡∆ω 2κ
/ , ≡∆ω
2κ
/
, α 1
λ ,β α
1 α
/
であり, κはボルツマン定数である. (2-27)式第1項の周波数広がりは, 電子の熱速度に よるドップラー広がり 2κ / / 程度であり, これはイオン項と呼ばれる. これら の項のスペクトルを決める関数Γγ x を図2.9に示す.
動的形状因子およびその電子項とイオン項を各周波数について積分し, それぞれS(k), Se(k), Si(k)を書くと, それらはαの関数として次式のように表わされる.
(2.28) 1
1 α (2.29)
α
1 α 1 α 1 / (2.30)
図2.10にいくつかの条件下でのSiとSeの値を, αの関数として示している.
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図2.9 Γγ関数
0 1 2 3 Γ
γ(x )
x 1
0
γ=1 γ=2 γ=3
γ=0
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図2.10 (a)Te=TiでのSi (Z=1, 2, 4, 8)およびSeのα依存性. (b)Te=Ti, Z=1, 4でのStotal(=Si+Se) およびSi, Seのα依存性. (c)Ti=Te, Ti=2Te, Ti=4TeにおけるSiのα依存性(Z=1).
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
0 1 2 3 4 5
Si, Se
α
Si(Z=1) Si(Z=2)
Si(Z=4) Si(Z=8)
Se
Si, Se
α
(a)
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
0 1 2 3 4 5
Si, Se, Stotal
α
Si(Z=4)
Si(Z=1) Se
Stotal (Z=4) Stotal (Z=1)
(b)
α Si, Se, Stotal
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
0 1 2 3 4 5
Si, Se
α
Te=Ti 2Te=Ti 4Te=Ti
α
Si
(c)
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