第 4 章 協同的トムソン散乱イオン項スペクトルの計測
4.1 はじめに
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れていないのが現状である. EUVリソグラフィー実用化にむけて, どちらの方式にお いても最も重要なことは, 入力エネルギーに対するEUV光出力(変換効率CE)の向
上にある. CEの向上は, EUV光出力の向上や, LPPであれば, ドライブレーザーである
炭酸ガスレーザーの, DPP であれば放電装置の小規模化を実現し, 装置コストの低減 につなげることができる. CE向上の重要性は光源開発当初から指摘されており, 早く から実験やシュミュレーションによる研究がなされてきた. その結果, ターゲットに はSnを用い, そこからの4d-4fまたは4d-4s遷移を最大化するプラズマ状態を実現し, さらにEUV光の自己吸収が少なくなるよう, LPPではドライブレーザーに低いカット オフ密度を持つ炭酸ガスレーザーを使用することが提唱された. 現在では, デブリの 影響を最小限にすべく, 必要最小限の液滴Snを, プレパルスレーザーで膨張させ, 可 能な限り炭酸ガスレーザーの吸収効率を高める方式が取られている.
LPP, DPPどちらの方式でも光源として利用するためには, 直径0.5 mm程度のマイ
クロプラズマである必要がある. また, EUV光源の生成時間は100 ns以下と短い. そ のため, 計測には100 μm以下の空間分解能, および10 ns程度の時間分解能が求めら れる. このような要求を満たすプラズマ診断法として, レーザートムソン散乱法は適 している. 本研究では, まずDPPに対しトムソン散乱法の適用を図り, その後, LPPに 対しても適用を行った. どちらの EUV 発生方式でも, 計測用レーザーに可視光を用 いた時, その散乱領域は協同的となる(2章参照). 協同的散乱領域では, トムソン散 乱光はイオン項と電子項から構成される. 電子項は迷光の影響を受けにくいが, 単位 波長あたりの信号強度が小さい. 一方, イオン項は迷光除去で困難が生じるが, 単位 波長あたりの信号強度が大きいため, プラズマ発光とのSN比の点で有利に働く. DPP へのトムソン散乱適用当初, 迷光除去の点で有利な電子項計測を行ったが, プラズマ 生成直後(<100 ns)では, プラズマ発光が電子項スペクトルよりも圧倒的に大きくな り, 電子項スペクトルは計測困難であることが分かったので, イオン項の計測を行っ た. イオン項は電子項と同程度かそれ以上の信号強度を持ちながら, スペクトル拡が
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りが小さいので単位波長あたりの信号強度は電子項より100倍程度大きくなることも ある. 一方で, その狭いスペクトル幅は, イオン項計測における問題点でもある.
EUV光源用プラズマとしては, 電子温度は40 eV程度を予想する. その時, イオン項 スペクトル幅は200 pm程度であり, スペクトルの構造を検出するためには100 pmを 大きく上回る高い波長分解能を持つシステムが必要となる. また, イオン項スペクト ルは計測レーザー波長周辺に現れるため, 計測レーザー波長に極近い波長域で, 十分 な迷光除去を, システムに持たせる必要が生じる. 本研究ではこのような課題を, 新 たなトムソン散乱計測システムを構築することで克服した. 本研究では DPP, LPP ど ちらに対してもトムソン散乱計測を行った. 実験は同時並行に進められたものではな く, まず初めにDPPに適用を試み, その結果を踏まえてLPPへの適用が行われた. こ のような経緯から, DPPのトムソン散乱計測では測定原理の確認といった要素が強く, 計測システムは一波長計測を前提とした構造となっている [95]. これに対して LPP では, 全波長同時計測に加え, 計測レーザー方向の一次元空間分布を一度に計測でき るシステムとなっている [96]. このためデータ量もLPPの方が豊富であり, 解析もよ り詳細に行うことができた. 以下, 4.2節ではDPPについて, 4.3節ではLPPについて 述べる.
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