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企業とそのサプライチェーンにおける実際及び潜在的害悪の特定

スコーピング

衣類・履物サプライチェーンで操業する多くの企業において、長時間労働の最大のリス クは、衣類・履物の製造工程においてみられる。国によってリスクの高低は異なるが、

長時間労働は大抵の調達国に蔓延している。長時間労働は、そのセクターに移民労働者 を雇用している場合増大することがあるが、この指標のみを使って長時間労働の高リス ク状況を判定すべきではない。

サプライヤー評価

労働時間の評価方法に関して、企業は信頼できる組織の既存の手引きに準拠するよう奨 励される。以下のような事項が含まれる。

企業は国内法と国際基準を用いてサプライヤーの遵守を評価すべきである。特に、企業 は次のことを評価することが奨励される。

● 残業状態と限度に関する法的取決めまたは団体協約の遵守

● 病気休暇と年次休暇を含め、個人的休暇に関する法的取決めまたは団体協約の 遵守

● 産休、授乳休憩、父親産休に関する法的取決めまたは団体協約の遵守52。妊娠 中の労働者は、地域法に基づく出産手当の受給資格を得る前に契約終了される 短期間契約という高いリスクの恐れがある。

52 Better Work, “Guidance Sheet 8, Working Time”, Better Workウェブサイトを参照。

129 上記に加えて、企業は、過剰労働時間の引き金となる原因を理解することが奨励される。

ボックス11の例を参照。

労働者との面談がサプライヤー評価の中心的要素になるべきである。評価者は、例えば 参加型面談方法を通じて、労働者が事前に要請されたとおりに答えるリスクを緩和すべ きである53

ボックス11. 製造業における長時間労働の要因

衣類・履物サプライチェーンの製造段階では、長時間労働の原因となる多くの要因があ る。最も一般的なもののうち 3 つは、低賃金、非効率的生産計画及び粗末な購買行動で ある。

• 低賃金:労働者が極めて低賃金である状況では、労働者は副収入を稼ぐために残 業を好む。これは、母国の家族に送金する責任がある移民労働者に多い事例であ る。

• 粗末な購買行動:一部の事例で、小売業者やブランドの行動は過度の残業の原因 となる。この例は、土壇場のスタイル変更と法外なリードタイムの設定、特に追 加発注の場合である。ボックス4を参照。

• 非効率な生産計画:オーバーブッキング、粗末な生産計画、生産の非効率も過度 の残業を生じることがある。オーバーブッキングは、注文の一貫性がないために 依然としてこのセクターの課題である。サプライヤーは高い需要の継続に懐疑的 で、生産能力拡大を渋る。不確定さを解決するために、サプライヤーは正規労働 者として限られた人数の熟練労働者を雇い、需要の変動をやりくりするために残 業時間、臨時契約労働者及び下請に頼る。

53 例えば労働者に丸1日のスケジュールを話すように求めることができる。

130 企業の操業における害悪の中止、防止または緩和

長時間労働はこのセクターに蔓延するリスクである。企業は現実的な解決策を特定する ために、協力すべきである。是正措置計画の構成要素の例を以下に述べる。

● 最初のステップとして、企業は労働者ごとの労働時間数を追跡することが奨励 される。人事担当者に、過度の残業のリスクを合図して警告する責任を課すこ とができる。

● 低賃金が長時間労働の需要を促している場合、企業は賃金に関する社内デュー・

デリジェンスを行うべきである。モジュール7を参照。

● 労働時間、残業、産休及び関連報酬に関して労働者に研修を施すべきである。

企業はオリエンテーションに研修を組み込み、定期的研修を行うことが奨励さ れる。労働組合と代表的労働者組織は、労働者の研修に重要な役割を果たすこ とができる。

● 企業は、すべての形の差別に反対する方針を確立すべきである。妊婦、移民労 働者、民族的マイノリティ及び他の集団に対する差別は、残業、産休などへの 不十分な報酬の原因となり得る。

● 生産システムの設定と工学技術の変更など、より効率的なプロセスは残業を減 らすことができる。

企業が原因であるサプライチェーンの害悪の防止

● 企業は、生産プロセスを改善する技術指導などを通じて、サプライヤーを支援 することが奨励される。

● 低賃金が長時間労働への需要を駆り立てている場合、企業は賃金のデュー・デ リジェンスの実施に注意を集中してもよい。モジュール7を参照。

● 責任ある購買行動についてはボックス4を参照。

131 適切な場合の改善の提供または協力

適切な救済措置の形態の決定

報酬は、救済措置の最も適切な形態であることが多い。しかし、救済措置を提供するプ ロセスは、セクション6.3 のガイダンスを満たすべきである。企業は、報酬に関する既 存の手引きを見直し、労働時間に対する公正な報酬を支払われていない労働者へ未払賃 金を支払うことが奨励される。労働者が休暇を拒否された場合の救済措置の形態は、さ らに判定が難しいが、企業と労働者の間の対話を通じて合意されるべきである。

選択された国際協定書と基準

• Hours of Work (Industry) Convention, 1919 (No.1)

• Weekly Rest (Industry) Convention, 1921 (No. 14)

• Forty-Hour Week Convention, 1935 (No. 47)

• Holidays with Pay Convention (Revised), 1970 (No. 132)

• Reduction of Hours of Work Recommendation, 1962 (No. 116)

• Night Work Convention, 1990 (No. 171) and its Recommendation, 1990 (No. 178)

• Maternity Protection Convention, 2000 (No. 183) and its Recommendation, 2000 (No. 191).

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