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企業方針と管理システムに責任ある企業行動を組み込む

方針

企業とそのサプライチェーンにおいて、強制労 働に関する毅然とした方針の採択が奨励され る。企業は、そのリスクの性質に見合った追加 方針の確立が奨励される。例えば、企業は、民 間の求人代理店と下請の使用に関する方針を 採択できる。下請方針に関する情報は、ボック ス2を参照。

重要な用語

強制労働-国際的に認知された強制 労働の定義は、ILO条約139 (No.29) において「処罰の脅威によって強制 され、また、自らが任意に申し出たも の で な いす べ ての 労 働の こ と であ る。」

企業とそのサプライチェーンにおける潜在的及び実際の害悪の特定

スコーピング

強制労働は複雑で多くの形態があり、その性質上隠ぺいされている。この状況で、企業 はスコーピングの際に、下記の手引きを考慮すべきである。

● 自社及びサプライチェーンにおいて強制労働のリスクのスコーピングを行う従 業員は、強制労働の構成要素、一般的な形態の強制労働、弱い労働者、国際基 準を理解すべきである51

51 ILO(2015)を参照。

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● 企業は、市民社会組織を含む政府、国際組織、信頼できる機関の既存の報告を 調査し、強制労働に関連する原材料と生産プロセスを特定し、強制労働の高い リスクとしてマークされている調達地域を特定することが奨励される。

● 企業は、利害関係者、国際組織、市民社会組織、専門家から、強制労働のリス クの高い国に関する情報を求めることが奨励される。

● 強制労働に関する高リスクの行動と地域を特定するために、企業は、セクター 全体において、政府、労働者、国際組織、利害関係者及び現場で運営する市民 社会組織(適切な場合)と協力することが奨励される。

● このセクターの強制労働の性質、規模及び範囲を理解する際に、不十分で不正 確なデータは依然として課題である。セクター間に渡る企業は、データ収集の ギャップを特定し、情報の調整と収集の改善に取り組むことが奨励される。

衣類・履物サプライチェーンにおける強制労働のリスク要因の例は、表11を参照。

表11. 衣類・履物セクターにおける強制労働のリスク要因

リスク要因 セクターとの関連性

国家ぐるみの強制労働

国家ぐるみの強制労働は、特定セクターで 政府自体が市民に労働を強制する場合であ る。

綿花

一部の国で、綿花生産での強制労働は国家 ぐるみである。この状況で、地方当局は収 穫ノルマを満たすために、公務員と民間企 業の従業員を綿摘みに従事させている。

民間の求人会社と職業紹介所

労働者求人会社とその代理店を活用する場 合、雇用者と労働者の間に乖離が生じる。

雇用者は求人会社の雇用慣行を知らず、労 働者を搾取されるままに放置する1

衣類・履物及び繊維製造では、国内・国際移 民労働者雇用のために民間求人会社と職業 紹介所を使うことが多い。

輸送

労働者は労働者仲介業者または職業紹介所 を通じて雇用されることが多い(船で輸 送)。一部の状況で、これらの仕事は高額な 人材斡旋料と借金を負わせるのに好都合と 見なされる。

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リスク要因 セクターとの関連性

信用貸し取決めと借金の存在

人は借金を払うために労働を提供する。金 利は当人の支払能力を損ない、支払条件は 不確定なことが多い。

綿花

一部で、農民は一般的に翌年の材料を購入 する十分な資金がないまま作付け周期を終 え、さらに高金利の借入を行うことが一般 化している。

製造

信用貸し制度は、時々奉公制度に組み込ま れる。信用貸しの利用は、民間の求人・雇用 代理店を通じて雇用される移民労働者の間 でも見られる。児童と青少年も奉公制度を 通じて雇用され、搾取されることが多い。

職場の児童と青少年

職場の児童と青少年は一層強制労働に使わ れやすい。

児童と青少年は、衣類・履物セクターのす べての段階で頻繁に雇用されている。

移民労働者の雇用

移民労働者、特に非正規労働者は強制労働 に曝され、搾取されることが多い。例えば、

移民労働者は書類(パスポート等)の差押 えを通じた強制をされやすい。書類や他の 貴重な所有物の差押えは、労働者が自主的 にそれらにアクセスできず、その書類を失 うリスクなしに雇用を離れられないと感じ る場合、強制労働の指標と見なすことがで きる2。また移民労働者は、労働者仲介業者 に負う人材斡旋料の借金のために、強制労 働にさらに使われやすい3

綿花

一部の事例で、子供は綿花プランテーショ ンで働くために家族と一緒に移住する。し かし、子供は自発的に移住するが、到着と 同時に搾取される。

製造

多くの国で、衣類・履物セクターは国内・国 際移民労働者に大幅に依存している。一部 の状況では、国際移民労働者は労働力の 75%を占めている。

現場の労働者寮

現場の寮に住む労働者は、労働時間以外に 職場や雇用者の運営する住居に物理的に閉 じ込められるリスクが更に高い4

多くの衣類・履物の輸出経済圏全域で、労 働者を収容する寮は極めて一般的である。

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リスク要因 セクターとの関連性

囚人労働

裁判所で有罪判決を受けていない囚人が当 局のモニタリングのない状況で非自発的に 労働する場合、強制労働と見なされる。同 様に、囚人が民間事業の利益のために行う 非自発的労働も、強制労働と見なされる5

一部の国では、軍服に関する連邦契約を含 めて衣類の生産に囚人労働が用いられ、強 制的囚人労働のリスクを増大している。

下請

下請の使用は説明されない場合、サプライ ヤーの労働基準が見えにくくなり、強制労 働のリスクが増大する。

下請は世界的にカット・メイク・トリムと 仕上げ(捺染業者への外注など)における 一般的な慣行である。

非正規労働者

内職従事者や辺鄙な農村地域の労働者等、

非正規の企業に雇用される労働者は強制労 働、とりわけ借金故の強制労働に使われや すいとみなされている6

非正規雇用は、衣類・履物セクターのサプ ライチェーンの多段階で一般的である。

綿花収穫には、非正規季節労働者が高い伊 比率で頻繁に雇用される。

非正規雇用は、特に刺繍や縁飾りなどの皮 革縫製と複雑な手仕事に蔓延している。

生産への圧力

ノルマの設定や注文変動のある労働集約型 産業で働く労働者は、強制労働に更に曝さ れることがある。

長時間労働は、衣類・履物のカット・メイ ク・トリムの全域で一般的である。すべて の長時間労働が強制労働とは見なされない が、理由に関係なく、長時間労働を義務付 け、法律で認められる毎週または毎月の限 度を超える場合、強制労働となる6

1. 米国国務省(2015)を参照。

2. ILO (2015)を参照。

3. 借金が誘因となる強制労働は、一般的に借金による束縛とも称される。

4. 労働者は労働時間中または労働時間外でも、閉じ込められたり、収監されたり、職場ま たは雇用者が運営する住居に拘留されるべきではない。労働者の移動の自由の違法な制 限は禁止されている。ILO (2015)を参照。

5. 刑務官が課す労働は、一般的に国際法に基づいて強制労働とは見なされない。しかし、

表11に引用する事例は強制労働と見なされる。したがって、囚人労働は、常に強制労働 のリスクがあると見なされるべきである。特定の管轄の法律と実施次第で、このリスク は増減する。詳しくは、(2015)強制労働の排除:雇用者と企業のためのハンドブック、

ILOを参照。

6. ILO(2015)を参照。

資 料 : 主 に 次 か ら 採 択 さ れ た :Verite (2015)、“Strengthening Protections Against Trafficking in Persons in Federal and Corporate Supply Chains”;Clean Clothes Campaign (2009), “False Promises, Migrant Worker in the Global Garment Industry Discussion Paper”, Amsterdam.

123 サプライヤー評価

企業は、強制労働の評価方法に関して、信頼できる組織の既存の手引きに頼り、評価に は次のことを考慮に入れることが奨励される。

● 強制労働は多くの形態を取ることを認識して、評価は、調達状況や生産集団及 び特定の強制労働のリスクに合わせて行うべきである。例えば、

- 奉公制度が一般的な状況では、サプライヤー評価には、その地域の奉公制度に 関連する独特の強制労働のリスク(例えば移動の自由)を考慮に入れるべきで ある。

- 民間の求人代理店を用いる場合、調査対象範囲を代理店まで拡大したり、適切 な場合、その代理店に関するサプライヤーのデュー・デリジェンスの評価を組 み込むべきである。

- サプライヤーが移民労働者を雇用している場合、サプライヤー評価には、海外 移民者の書類差押えなど、移民労働者が直面しうる特有の強制労働を含むべき である。

● 一般的に、従来の書類評価は強制労働を評価するのに不十分であることを認識 し、サプライヤー評価は労働者、経営者及び他の利害関係者との面談を重視す べきである。

● 企業は、一部の労働者が恐れて強制労働に関する質問に正直に答えないことを 考慮に入れ、例えば現場外で評価を行ったり、またはフォーカス・グループ・

ディスカッションと参加型評価方法などの非従来型方法を用いるなど、適切な 措置を講じるべきである。

● 強制労働が上流のプロセス(例えば綿花栽培)に関連する場合、企業は、上流 のサプライヤーを評価していることを実証できるべきである。ボックス3を参 照。

企業の操業における害悪の中止、防止または緩和

強制労働を防止する最適な方法を決定するには、広範な利害関係者への関与が必要であ る。このモジュールは、リスクが特定された場合、強制労働を防止する方法に関する技 術的手引きを提供しているわけではない。