企業方針と管理システムに責任ある企業行動を組み込む
方針
児童労働に関する方針公約を採択する際、ILO条約138と182に基づき、企業とそのサ プライチェーンの操業に児童労働を容認しない旨の公約を明記すべきである。企業の児 童労働に関する方針は、原材料分野を含むサプライチェーン全体に有効であると述べる べきである。
● 児童労働に関する方針は、国内法と国際法に整合し、危険と見なす労働の種類 の記述を含むべきである36。
● 国内法令が国際基準ほど厳格でない場合、企業は国際基準を支持すべきである
(有害な児童労働、最悪の形態の児童労働、最低年齢に関する例)37。
● 国内法が国際条約より高い基準を設定している場合、企業は国内法を優先すべ きである。
36 多くの国で、危険な児童労働は、国家法令または労使組織と政府を含む社会的対話を通 じて定義されている。危険作業のリストがない場合、企業はILO、医療従事者または安 全衛生の専門家に相談することが奨励される。
37 国内法と規則が、本行動指針の原則と基準に一致しない国では、会社は、国内法に違反 しない限度までそのような原則と基準を守る方法を求めるべきである。会社が国の法的 要件に勝る最低年齢基準を守る場合、矛盾する要件に直面する可能性はほとんどない。
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● すべての基準は、少年少女に等しく適用されるべきである38。 企業とそのサプライチェーンの潜在的及び実際の害悪の特定
スコーピング
児童労働のリスク要因とセクターへの適切さについては表9を参照。
表9. 衣類・履物セクターにおける児童労働のリスク要因*
リスク要因 説明 セクターの考慮
管理
最低年齢及び最悪の 形態の児童労働に関 する国の法律が、ILO の基準に一致しない:
政府は国内法と ILO 条約を一 致させることで、児童労働に関 する ILO 基準を支持する意図 を示している。これは政府が子 供を児童労働から保護しよう とする最低の保証である。
衣類・履物の生産及び輸出を行 う多くの国において、児童労働 に対処する法の枠組みと法令 施行能力に大きなギャップが あり続けている。
管理
政府が児童労働法を 施行していない:
児童労働法は、施行されて初め て有効である。児童労働法の施 行に関する指標は、児童労働が 法令範囲内で高リスクかどう かを決めるために、恐らく最も 重要である。児童労働法の施行 と違反の調査に費やす資源、違 反者に対する訴訟事例、法的決 定の執行に関する指標は、上記 のことを判定する際に役立つ
1。市民社会、労働組合及び国際 組織からの報告は、同様に有益 な情報源である。
38 例えば国内法令が国際基準に劣る場合、企業は国際最低年齢基準を支持すべきである。
国内法が国際基準より高い最低年齢を設定している場合、企業は国内法を優先すべきで ある。
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リスク要因 説明 セクターの考慮
管理
教育を受けられる機 会が少ない、教育の質 が劣る:
児童労働のリスクは、児童が通 学できない場合増大する。これ は近くに学校がないか、授業料 が高額、または出生証明書など の行政上の障害などの障壁に よる。学校制度も、以前働いて いた児童を再入学させる方針 がないことがある。移民労働者 の子供は、教育を受ける際に独 特の障害に直面することがあ る。例えば、彼らは現地語を話 せないかもしれない。
教育の質が劣る場合、両親は子 供を通学させるよりも働かせ ることに大きな価値を置くこ とがある2。
衣類・履物の製造、仕上げ及び 原材料生産に依存する国の多 くは、普通教育を達成するのに 大きな障害に直面し続けてい る。
衣類・履物サプライチェーンが 存在する一部の国では、義務教 育年齢に達しない児童が労働 している。
管理
政府が教育法に十分 な差別禁止を含めて いない、教育法の施行 不足:
一定の(マイノリティ)集団が 教育を受けることへの差別と 排除は児童労働のリスクを増 す。
衣類・履物セクターでは、マイ ノリティ集団や移民労働者の 子供は就学率が低く、一部の状 況で児童労働に従事している ようである。
セクター
非正規雇用:
児童労働は非公式経済部門に 最も蔓延し、公式経済部門が児 童労働を用いた非公式で規制 のない部門に下請させること がある。
非正規雇用は、衣類・履物サプ ライチェーンの多くの段階で 一般的である。
綿花収穫では非正規の季節労 働者の雇用率が高い。
非正規雇用は、特に皮革縫製及 び刺繍と縁飾りなどの複雑な 手仕事に蔓延している。
セクター
子供の方が作業に長 けていると見なされ る:
一部のセクターでは子供が一 定の仕事に長けているという 根拠のない説がある。
一部の状況では、子供が複雑な 裁縫、皮革刺繍、縁飾り、刺繍 などに長けているという根拠 のない説がある。
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リスク要因 説明 セクターの考慮
セクター
移民労働者:
移民労働者の子供は両親と一 緒に移民することが多く、特に 児童労働に従事させられる。季 節労働者は、学校や他のサービ スから疎外され、季節ベースの 入学は問題がある。
子供の移住者は虐待されやす い-孤立、暴力、低水準の労働 条件、賃金不払、当局へ報告さ れる脅威3。
綿花の収穫では、しばしば非正 規の季節移住労働者を多く雇 用している。
一部の状況では、国際移民労働 者が労働力の 75%を占めてい る。同様に、都市・田舎間の移 住は、輸出の多い国で一般的に 見られる。
セクター
賃金が労働者とその 家族の基本的ニーズ を満たさない
低賃金に加えて他の家族のメ ンバーがまともな仕事に就け ないので、世帯の収入が減り、
児童労働への経済的動機をも たらす。
賃金の不遵守は、労働集約的で 低所得の労働者を雇う衣類・履 物セクターのすべての段階の リスクである。
セクター
奉公制度の使用:
奉公と見なされる子供は、十分 な報酬を受け取らず、彼らの教 育を邪魔する長時間労働に従 事させられることがある。
奉公制度はこのセクターの多 くの状況で用いられている。
セクター
下請:
下請の使用は労働基準の認識 を減らし、従って児童労働のリ スクが増す。
製造(紡績を含む)
下請は、カット・メイク・トリ ムと仕上げ(例えば捺染業者へ の外注)の世界的に一般的な慣 行である。
セクター
民間の求人会社また は職業紹介所の使用:
労働者求人会社やその代理店 の使用は、雇用者と労働者の間 を分離させる。雇用者は彼らの 雇用方法に気付かず、労働者は 搾取されるままに放置される
4。
製造(紡績を含む)
民間の求人と職業紹介所は、国 内・国際移民労働者を雇うため にしばしば採用される。
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リスク要因 説明 セクターの考慮
セクター
信用貸し取決めと借 金の存在:
信用貸し制度または前貸し制 度の使用が子供に適用される 場合、子供は強制労働、借金へ の束縛、危険な作業、不十分な 支払いの対象になる。
信用貸し制度は、時々奉公制度 に組み込まれている。
信用貸しは、民間の求人会社や 職業紹介所を通じて雇われる 移住労働者の間で使用される ことがある。
1. 全米アカデミーの国際労働基準をモニタリングする米国研究評議会委員会 (2004)、 Monitoring International Standards: Techniques and Sources of information、全米ア カデミープレスから採択
2. Jensen (2000)、Development of Indicators on Child Labor、児童労働撤廃国際計画を参照。
3. 児童労働撤廃国際計画、移民と児童労働ウェブサイト
4. 米国国務省 (2015)
サプライヤー評価
● サプライヤー評価には、労働者(経営者の同席なし)、経営者及び他の利害関係 者との面談を重視すべきである。
● 企業は、評価を職場環境内のみとするか、または現場外でも行われるべきかに ついて、労働者と他の利害関係者に相談することが奨励される。
● 従来の面談は児童への関与が必ずしも効果的でなく、児童は応答に関して教え られることがあることを認識して、企業は、児童労働の高いリスクが警告され る場合、参加型評価方法を取り入れることが奨励される39。
39 参加型査定方法の例はロールプレイを含む。子供に絵を描かせ、その説明を求める。子 供に写真を見せてコメントを引き出す。書き方を知っている子供に物語や説明を共有す るように求める。子供に図形や地図を見せ、それについて質問する(図形や地図の見方 は、習得能力であることも常に忘れてはならない)。SIMPOC (2005)を参照。
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● 最悪の児童労働形態のリスクが警告される場合、有資格専門家が現場評価に従 事し、確実に児童を保護すべきである。
現地の状況の理解
特定地域内の児童労働を排除するには、政府、業界及び市民社会を含めて利害関係者全 体にわたる協力が必要である。世界的に児童労働に取り組むために、国家・国際レベル で大きな注目と資源が投じられている。例えば、子供に正式な教育を授けるプログラム の形成や、児童労働をモニタリングする地域社会の醸成等がある。この状況を踏まえて、
適切で実行可能な場合、企業はその是正措置計画を現場の既存の戦略に結び付け、児童 労働を防止することが奨励される。さらに、児童労働は衣類・履物セクターに特有では なく、地域の多くのセクターに蔓延していることを認識して、その地域内で児童労働の リスクがある他のセクターを特定し、適切であれば協力を促すことが奨励される。
企業の操業における児童労働の中止、防止または緩和
子供が危険な労働に従事している場合、その子供は直ちに危険な作業から排除されるべ きである。企業は操業における児童労働を中止し、防止方法に関する既存の手引きを実 施することが奨励される。是正措置計画の構成要素の例は次を含む。
● 労働者と経営者の認識を高める。例えば、研修、情報源(小冊子など)、ワーク ショップ及び継続的支援等を行う。労働者に提供される研修と情報は次を含む。
- 児童労働に反対する企業方針
- 児童労働の定義
- 危険作業の定義(法定最低労働年齢を超える児童のみに関するもので、そ の年齢未満の児童はそもそも一切働いてはならない)
- 国際・国内の規範と法令
- 子供への児童労働の悪影響