このモジュールは、有害な化学物質の環境への影響に的を絞っている。安全衛生のリス クに関する情報は、モジュール5.労働安全衛生を参照。
企業とそのサプライチェーンの潜在的または実際の害悪を特定すること。
スコーピング
企業は以下のことを行うべきである。
● サブセクター内の商品生産に一般的に用いられる化学物質を調べ、有害で危険 な化学物質と取扱制限化学物質の特定に重点を置く。企業は、既存の資料に頼 ることが奨励される。
● 有害で危険な化学物質及び取扱制限化学物質の使用に関して、企業の操業とそ のサプライチェーンの高リスクの段階を特定する。衣類・履物サプライチェー ンで操業する大部分の企業では、最大のリスクは繊維生産と皮なめし工場に見 られる。
● 化学物質の使用を適切に制限しないか、または既存の規則を実施しない国を含 め、有害な化学物質使用のリスクが高い国を特定する。
● 企業の製品の生産と製造に用いる化学物質の目録を作る(リスクベースの方法 を取る)。
- 手始めとして、企業は、製品の生産に用いる最も一般的な化学物質類を特 定し、さらに総合的な化学物質の目録に組織的に取り組む。
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- 多種多様な製品品目を有する企業は、最初にリスクの高い有害な化学物質 に関連する製品の評価を優先し、さらに総合的な化学物質の目録の作成に 組織的に取り組む。
サプライヤー評価
● リスクの高い国のサプライチェーンでは、企業は危険で有害な化学物質の高リ スク段階で操業するサプライヤー(例えば繊維生産と皮なめし工場)の特定に 取り組むべきである。
● サプライヤーを評価するために、企業は既存の手引きに頼り、既存の信頼でき る業界イニシアティブに関与することができる。
● サプライヤー評価には現場査察、化学物質試験及び品質証明書を含むべきであ る。
● 適切な場合、企業は、サプライヤーまたは下請業者が危険有害な化学物質を用 いた高リスクの捺染や他の加工を自社で行っているかどうかを判定することが 奨励される。
企業の操業の害悪の中止、防止または緩和
是正措置計画の一部として、企業は以下を行うことが奨励される。
● 信用できる科学ベースの有害性評価(環境リスク評価と健康リスク評価)に基 づいて、セクターに向けた業界全体に共通する製造時使用制限物質リスト
(MRSL)の開発を支援し、採択する63。
63 環境リスク評価は、有害性の特定、有害性特性評価、暴露評価、リスク判定を含む。最 初の2つのステップは、有害性評価のプロセスと見なされる。環境リスクの評価方法 は、OECDガイダンスに整合すべきである。OECDの環境リスク評価ツールキットを 参照。
人の健康リスク評価も、有害性の特定、有害性特性評価、暴露評価、リスク判定を含 む。健康リスク評価の方法は、世界保健機関の手引きに整合すべきである。化学物質の 安全性に関する国際プログラム、WHOヒトの健康リスク評価ツールキット:化学物質 の有害性を参照。健康リスクはモジュール5.労働安全衛生でも取り組んでいる。
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● 規則でまだ制限されず、実用的な代替品が見つかっていない既知の危険有害化 学物質に関しては、業界全体に共通のリサーチリストの開発を支援し、採択す る。企業はリサーチリストに記載される危険有害化学物質を決して用いるべき ではないが、実用的な代替品が妥当な時間枠内に確認された場合、化学物質の 使用を徐々に廃止することを目指すべきである。リサーチリストは、化学物質 のサプライヤーに知らせるべきである。
是正措置計画の一部として、企業は次のことを行うべきである。
● MRSLで禁止された化学物質の使用を直ちに中止する。
● 有害性評価に関する科学的データ及び国際的に許容される方法に基づいて、
MRSLの化学物質に代わる代替品を特定し、使用する。企業は、信頼できる既 存の代替品リストを使用できる。企業は、他の潜在的影響(水またはエネルギ ー)との比較検討を評価した後で、代替品を採用すべきである。
● セクターまたはサブセクターに対して、「利用可能な最良の技術基準文書」に定 義される利用可能な最善の処理技術(BAT)を実行する64。
● 現場レベルで厳格な化学物質管理計画を実施する。これは、化学物質の安全保 管、化学物質のラベル表示、身体保護具、化学物質を取扱う者が誰でも利用で きる安全データシートを含む。例えば、有害物質と作業者の間に暴露経路が存 在する場合、まず、有害物質を除去、交換、または局所排気装置を通じて完全 に隔絶することにより害悪を防ぐ。次に、それができない場合、障壁、隔絶、
防御、遮蔽または効果的な局所換気による有害物質管理を通じて害悪を防ぐ。
最後の手段として、身体保護具を通じて害悪を防ぐ。化学物質の管理に関して、
企業は既存の手引きと基準に頼ることが奨励される。
64 統合的汚染防止管理、繊維産業のための利用可能な最良の技術基準文書(2003)を参 照。
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● 化学物質の使用、保管等に関して、経営者と労働者に十分な教育を施す。
企業は、そのビジネスモデルがノウハウの交換と資源の有効利用を促進するか、または、
逆に資源の過剰消費と化学物質の誤用を誘発するかを評価できる。企業は、適切な場合、
有害な化学物質の使用を減らすための革新的ビジネスモデル(例えば化学物質のリース)
を実施することができる。
企業のサプライチェーンの害悪の防止または緩和の努力
企業は次のことを行うことが奨励される。
● 有害物質に関する科学ベースの評価(環境リスク評価と健康リスク評価)に基 づき、そのセクターに共通のMRSLの開発を支援し、採択する。
● MSRL及び化学物質使用に関する追加的な期待を、サプライチェーンの高リス ク段階で操業するすべてのサプライヤーに、彼らの所在地に関係なく知らせる。
● 科学的データ及び有害性評価に関する国際的に許容される方法に基づいて、
MRSLの化学物質に代わる代替品を特定し、使用する。企業は、既存の信頼で きる代替品リストを使用できる。企業は、他の潜在的影響(水またはエネルギ ー)との比較検討を評価した後で、代替品を採用すべきである。
● 是正措置計画の実施に際して、サプライヤーを支援する。化学物質の管理に関 してサプライヤーに関与する一方、企業は、化学物質管理のための連絡先を指 定し、サプライヤーに伝えることが奨励される。見返りにサプライヤーは、化 学物質管理に関する企業への連絡先を設けるべきである。
● (下請慣行が一般的な場合)下請受注するサプライヤーが関わる害悪のリスク を緩和するために、下請に関する方針を確立する。下請に関してはボックス 2 を参照。
企業は、是正措置計画の実施中、サプライヤーに関与し続けることが奨励される。しか し、そのサプライヤーがMRSLの有害な化学物質に関する制限または使用禁止に従わな い場合、サプライヤーがそれらの化学物質の使用をやめるまで、企業は発注を中止する か契約解除すべきである。
159 選択された国際協定書と基準
• OECD Guidelines for the Testing of Chemicals
• OECD Principles of Good Laboratory Practice (GLP)
• OECD Recommendation of the Council on Implementing Pollutant Release and Transfer Registers (PRTRs)
• OECD Guidelines for Multinational Enterprises, Chapter VI. Environment.
資料
• Environmental Risk Assesment Toolkit, OECD.
• Enterprise-level indicators for resource productivity and pollution intensity, UNIDO / UNEP RECP Programme.
• World Health Organization (WHO) Human Health Risk Assessment Toolkit.
• OECD (2011), “Chapter 2: SIDS, The SIDS Plan and the SIDS Dossier” in the Manual for Investigation of HPV Chemcial, OECD.
• UN (2011), The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS), Fourth revised edition, United Nations, New York and Geneva.
• OECD eChem Portal
• OECD Pollutant Release and Transfer Register
• OECD Portal on Perfluorinated Chemicals
• OECD, “OECD Substitution and Alternatives Assessment Toolbox (OECD SAAToolbox),” OECD, Paris.
• European Chemical Substances Information System (ESIS)
• Environment and Climate Change Canada, Clearing House, Textile Mills and Clothing Manufacturing
• OECD, Emission Scenario Documents (ESD)
• OECD Substitution and Alternatives Assessment Toolbox (OECD SAAToolbox)
• OECD, Frameworks and Guides for Substitution of Chemicals, OECD Meta- Review (OECD)
• Chemical Leasing Programme (UNIDO)
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