第2章 研究皿
第2節 方法
1.実施場所
特別養護老人ホームA(以下特養A)の和室(個室)にセラピーマットを敷き実施
2.介入時期
2006年6月から8月末まで
3。対象者
研究対象者は、特養Aの職員で「GHQ30の得点(2006年2月実施)」と個人属性である「性別」
「年齢」「職種」が各群均等になるよう人選し、SART介入群12名、漸進性筋弛緩法介入群12名、
不介入群8名の計32名に協力を依頼した。なお個人属性は研究1の結果より、ストレス反応に影 響の大きかった項目である「性別」「年齢」「職種」を選択し、各群の条件がほぼ同等になるように分 配した(Table8)。
Tabb8に表記した群
・SART介入群:SARTによるストレスマネジメント教育プログラムに参加した被験者群。
・漸進性筋弛緩法介入群 :漸進性筋弛緩法によるストレスマネジメント教育プログラムに参加 した被験者群
・不介入群 =ストレスマネジメント教育プログラムに参加せず、通常勤務に従事していた対象者 で、質問紙のみに答えた被験者群。
Table8 対象者の個人属性内訳
個人属性
SART群
漸進性筋弛緩法群 不介入群被験者数(n) 12 12
8
GHQ30の得点平均
9.0 9.2 9.2
性差
男
5 6 3
女
7 6 5
職種
介護・看護
4 4 4
事務
4 4 2
相談員
4 4 2
年齢
20歳代 3 5 3
30歳代 3 4 3
40歳代 3 2 0
50歳以上 3 1 2
被験者数(n)
4.使用した尺度及び生理学的指標測定時期・方法
1)使用した尺度及び生理学的指標 (1)セッション前後
①POMS短縮版(日本版編著:横山)
②血圧、脈拍(テルモ製アームイン電子自動血圧計)
(2)介入前後
①日本版GHQ30(日本版著者:中川)
②自覚症調べ(佐藤ら,2002)
③バーンアウト尺度(MasIach&Jackson,1981)
④職業性ストレス簡易調査票(下光,2000)
⑤ストレス対処スケール(冨永,2000)
2)質問紙の測定時期及び方法
(1)セッション前後の質問紙「POMS短縮版」と血圧、脈拍測定方法
毎回セッション前後に、実施場所において被験者に質問紙「POMS短縮版」の記入と、
血圧、脈拍測定をし、データをその場で回収する。
(2)介入前後の5種の質問紙の測定方法
「日本版GHQ30」「自覚症調べ」「職業性ストレス簡易調査票」「バーンアウト尺度」「ストレ ス対処スケール」
記名した封筒に5種の質問紙をセットして入れ、自宅で記入後、設置したアンケートボ ックスで回収する。
・介入前 研究1のデータ
・介入後 3回目のセッション終了後
※ただし、研究1で質問紙を回収できなかったが、ストレスマネジメントプログラ ムに参加希望をした対象者においては、介入前に質問紙を実施した。
5.質問紙の内容
・POMS短縮版(日本版編著=横山)
POMS(Pro石Ie ofMood States)は、気分を評価する質問紙の一つとして、McNairらにより米 国で開発され、対象者がおかれた条件により変化する一時的な気分、感情の状態を測定でき る。主にスポーツ選手の心身チェックやコンディションづくり・リラクセーショントレーニングでの 効果測定、介護・福祉場面での気分・疲労度・状態チェックや改善に使用され、緊張 抑うつ・
怒り・活気・疲労・混乱の6因子が同時に測定できる。
評定方法は、提示された30項目ごとに、5件法で記入し5項目ずつの6因子ごとに合計得 点を算出し、標準化得点(丁得点)を「性年齢階級別の換算表」を用いて算出した。
・その他の質問紙は研究1と同じ質問紙を使用した。
6.プログラム実施の流れ
1)介入前に「日本版GHQ30」「自覚症調べ」「職業性ストレス簡易調査票」「バーンアウト尺 度」「ストレス対処スケール」の5種の質問紙を実施
2)リラクセイション教育プログラムのセッションの実施 ほぽ週1回、約30分の個人セッションを、3回実施。
※なお、介護職においては変則三交替勤務のため、週1回の実施は変則的になった が、セッション間は最低5日間以上あけるようにした。
(1)質問紙rPOMS短縮版」を実施場所にて記入、その場で回収。
血圧・脈拍を測定し記録後、その場で回収。
(2)リラクセイション技法のプログラムを実施(約20分)
(3)質問紙rPOMS短縮版」を実施場所にて記入、その場で回収。
血圧・脈拍を測定し記録後、その場で回収。
7.リラクセイション教育プログラムの内容
1)SART教育プログラム(SART主動型リラクセイション療法二大野博之著による)
・実施前に仰臥位でボディスキャンを行い、身体の痛みこり等をセルフチェックし、身体に意識 を向ける。SARTセッション終了後、もう一度仰臥位でボディスキャンを行い、実施前の身体と 実施後の身体の変化をセルフチェックする
・SARTは側臥位姿勢で行い、脱力は吐くタイミングで行うように教示する。
(1)SARTの手続き1
系列I l上体に関する課題
①腕の動き(前・後)の課題
セルフ技法として、腕の後ろの動きの時に腰の位置に座布団(またはクッション)
を置いて固定する。
②腕の伸ばし・縮めの課題
③肩の動き(上・下の課題)④胸開き・閉じの課題
セルフ技法として、胸の開きの課題時に腰の位置に座布団(またはクッション)を 置いて固定する。
系列n l下体に関する課題
⑤腰の前後の動きの課題
セルフ技法として、腰の後ろの動きの時に肩甲骨の位置に座布団(またはクッシ ョン)を置いて固定する。
系列皿1からだ全体に関する課題 ⑥からだの伸ばし・縮めの課題
⑦からだのひねりの課題
(2)セッションごとの目標と手続き セッション1回目
目標1動作法を初体験し、からだの力の抜き方や主体感を経験する。
手続き=
1.SARTの手続きの①〜⑤まで実施する
2.身体の部位や身体感覚1ご意識を向けられるように丁寧に言葉と手による十分 な援助と教示を行う
3.次のセッションまでの期間、自宅で行いやすいようにするため、自宅で行う場合 の注意点などを説明する。
セッション2回目
目標=セルフでSARTを行えるように指導する 手続き:
1.SARTの手続きの①〜⑤まで実施する
2.セルフ技法の補助具として座布団(またはクッション)の使用方法と当てる身体 の部位を教示
3.手で行う援助は少なめにし、自分で主動的に動かし身体の部位や身体感覚に 意識を向けられるよう言葉で教示する
次のセッションまでの期間、自宅で行いやすいようにするため、自宅で行う場 合の注意点などを説明
セッション3回目
目標:セルフでSARTを行えるように自宅でのやり方の確認と指導
手続き11.SARTの手続きの①〜⑦まで実施する
2.自宅で行ったSARTの方法を再現していただき、補助具としての座布団(または クッション)の使用方法と当てる身体の位置が的確であるか確認し、修正する。
3.セルフケアとしてのSARTの最終チェックと、自分で主動的に動かし身体の部位 や身体感覚に意識を向けられるよう言葉で教示し、今後のストレスマネジメント のセルフリラクセイション技法として実施できるよう指導。
2)漸進性筋弛緩法教育プログラム
・各部位の緊張を10秒間促し、その後ゆっくり弛緩させ、その後15〜20秒間身体が緩んだ感 じや暖かくなる感じを味わう。
・仰臥位姿勢で行う
(1)漸進性筋弛緩法の手続き
①手=手を力いっぱい握り、開いて脱力(右手→左手→両手)
②足:足首を力いっぱい曲げて、弛めて脱力(右足→左足→両足)
③肩1肩を力いっぱい上げて、降ろして脱力(2回)
④顔=ロ、目、顔全体を力いっぱいギューッとすぽめ、ゆっくり力を抜く
⑤背中:肩甲骨を力いっぱい内側に入れて、弛めて脱力
⑥お腹=お腹に手をあて、その手を押し返すつもりで力を入れ、その後ゆっくり力を抜く
⑦全身1全身にカを入れる(1〜6まで順番に力を入れていく)、その後ゆっくり力を抜く
⑧イメージをする
1.ゆったりした状態で、プールに浮かんでいるイメージ 2.そのまま、布団に入っている
3.朝のすっきりした寝覚めのイメージとともに入眠する
(2)セッションごとの目標と手続き セッション1回目
目標二漸進性筋弛緩法を初体験し、リラックス感を経験する。
安眠を促すイメージを取り入れてイメージ誘導をする 手続き:
1.漸進性筋弛緩法の手続きの①〜⑧まで実施する 2.言葉による教示を行う
3.次のセッションまでの期間に、自宅で行う場合の注意点などを説明し安眠のイメ ージをする練習をする。
セッション2回目
目標1セルフで漸進性筋弛緩法が行えるように援助する 手続き1
1.漸進性筋弛緩法の手続きの①〜⑧まで実施する 2,言葉による教示を行う
3.次のセッションまでの期間に自宅で行う場合の注意点などを説明 セッション3回目
目標=セルフで漸進性筋弛緩法を行えるように自宅でのやり方の確認と援助。
手続き=
1.漸進性筋弛緩法の手続きの①〜⑦まで実施する
2.自宅で行っている漸進性筋弛緩法を再現してもらい、注意点等を確認をする。
3.最終チェックと、今後のストレスマネジメントのリラクセイション技法としてセルフで 実施できるように教示する
3)不介入群
通常勤務を行いストレスマネジメント教育プログラムに参加しないで、質問紙のみ回答する