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シミュレーション結果:太陽電池特性

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 30-33)

第 3 章 シミュレーションを用いた c-Ge ヘテロ接合太陽電池特性の検討

3.3 c-Ge ヘテロ接合太陽電池の基板伝導型及びエミッタ層材料の影響

3.3.3 シミュレーション結果:太陽電池特性

AM1.5G照射下でのIV特性のシミュレーション結果を表 3-4及び図 3-4に示す。図 3-3と同様に 表 3-3 拡散電位と各種物性値のシミュレーション結果

(a) a-Si:H(n) /c-Ge(p)

(b) c-Si(n) /c-Ge(p)

(c) a-Si:H(p) /c-Ge(n)

(d) c-Si(p) /c-Ge(n)

イオン化エネルギー(eV) エミッタ 0.45 0.00 0.45 0.00

c-Ge 基板 0.09 0.09 0.10 0.10

仕事関数(eV) エミッタ 4.35 4.05 5.17 5.12

c-Ge 基板 4.57 4.57 4.10 4.10

仕事関数差(eV) (エミッタ-基板) -0.22 -0.52 1.07 1.02 バンドオフセット(eV)

(c-Ge 基板内のキャリア基準)

伝導帯 0.10 -0.05 0.10 -0.05

価電子帯 0.96 0.45 0.96 0.45

c-Ge 基板の拡散電位(eV)

(c-Ge 基板基準)

Ditなし Ditあり Ditなし Ditあり Ditなし Ditあり Ditなし Ditあり -0.17 -0.11 -0.49 -0.43 0.64 0.63 0.63 0.63

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実線はDit=0cm-2、破線はDit=4.0×1012cm-2の結果であり、(c)のa-Si:H(p)/c-Ge(n)の結果はDit有 無の結果が重なっている。c-Ge(p)基板を用いた(a)と(b)ではともに Ditありで太陽電池特性が大きく低 下しており、特に(a)a-Si:H(n)/c-Ge(p)の低下が顕著である。Ditなしでは差は大きくないが、Ditありと同 様に(a) a-Si:H(n)/c-Ge(p)の特性が低い。一方、c-Ge(n)基板を用いた(c)と(d)では、明確にIV特性が 異なる。a-Si:H(p)をエミッタ層に用いた(c)では Dit有無にかかわらず電流が 1mA/cm2以下であり、バ ンドオフセットが価電子帯の障壁となり電流が取り出せていないと考えられる。c-Si(p)をエミッタ層に用

表 3-4 各種構造のIV特性シミュレーション結果

項目 単位

(a) a-Si:H(n) /c-Ge(p)

(b) c-Si(n) /c-Ge(p)

(c) a-Si:H(p) /c-Ge(n)

(d) c-Si(p) /c-Ge(n) Ditなし Ditあり Ditなし Ditあり Ditなし Ditあり Ditなし Ditあり 短絡電流密度(JSC) mA/cm2 46.9 29.0 47.7 47.7 0.802 0.798 47.3 47.3

開放電圧(VOC) V 0.233 0.091 0.233 0.114 0.499 0.491 0.254 0.233 曲線因子(F.F.) - 0.634 0.288 0.669 0.503 0.480 0.480 0.688 0.669 変換効率(Eff.) % 6.93 0.762 7.42 2.73 0.192 0.188 8.27 7.37

0 10 20 30 40 50

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Current Density (mA/cm2)

Voltage (V)

a-Si:H(n)/c-Ge(p) Without Dit

With Dit

a-Si:H(n)/c-Ge(p)

0 10 20 30 40 50

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Current Density (mA/cm2)

Voltage (V)

a-Si:H(p)/c-Ge(n) Without Dit

With Dit

a-Si:H(p)/c-Ge(n)

0 10 20 30 40 50

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Current Density (mA/cm2)

Voltage (V)

c-Si(n)/c-Ge(p) Without Dit

With Dit

c-Si(n)/c-Ge(p)

0 10 20 30 40 50

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Current Density (mA/cm2)

Voltage (V)

c-Si(p)/c-Ge(n) Without Dit

With Dit

c-Si(p)/c-Ge(n)

(a) a-Si:H(n)/c-Ge(p) (b) c-Si(n)/c-Ge(p)

(c) a-Si:H(p)/c-Ge(n) (d) c-Si(p)/c-Ge(n)

図 3-4 各種構造のIV特性シミュレーション結果。(a) Si:H(n)/c-Ge(p)、(b) c-Si(n)/c-Ge(p)、(c) a-Si:H(p)/c-Ge(n)、(d)c-Si(p)/c-Ge(n)。実線は Dit=0cm-2、破線は Dit=4.0×1012cm-2 の結果を示す。

(c) a-Si:H(p)/c-Ge(n)の結果はDit有無の結果が重なっている。

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いた(d)は、Ditなしの変換効率が 8.27%と今回比較した構造の中では最も高く、Ditによる特性低下も 非常に小さい。

図 3-5にDit=4.0×1012cm-2、AM1.5G照射下、短絡状態でのヘテロ接合近傍の電子正孔密度、図 3-6に同条件下でのヘテロ接合近傍の再結合速度を示す。図 3-3及び表 3-3の拡散電位とバンドオ フセットのシミュレーション結果より、電流が取り出せていない(c)を除き、拡散電位が大きいほど VOC

F.F.が高く変換効率が高い。図 3-5 及び図 3-6 より、拡散電位が大きい(b)、(c)、(d)は界面近傍で電

子正孔密度が反転しており、電流が取り出せていない(c)を除き、c-Ge 基板中での再結合速度及び界 面での再結合が低く抑制されていることが分かる。(a)の a-Si:H(n)/c-Ge(p)は拡散電位が小さく、電子 と正孔の密度が近いため再結合速度が非常に速く、太陽電池特性が低い要因になっている。電流が 取り出せていない(c)の a-Si:H(p)/c-Ge(n)は、暗状態の拡散電位は大きいが、ヘテロ接合界面のバン ドオフセットによる障壁によりc-Ge基板内の正孔密度、界面近傍の電子密度が増加し、生成された電 子正孔対が再結合し消失している。

上記のシミュレーション結果より、c-Geを用いたヘテロ接合太陽電池特性の向上には以下の3点が 重要であることが示唆された。

① 拡散電位が大きいこと

電子正孔対の分離に必要。拡散電位が大きく、界面近傍の電子正孔対密度が反転している場 合、界面近傍の再結合速度が低下し、変換効率が向上する。

② 界面の欠陥密度が低いこと

図 3-5 Dit=4.0×1012cm-2、AM1.5G照射下でのヘテロ接合近傍の電子正孔密度。(a) a-Si:H(n)/c-Ge(p)、(b) c-Si(n)/c-Ge(p)、(c) a-Si:H(p)/c-Ge(n)、(d)c-Si(p)/c-Ge(n)。の結果を示す。

1.E+00 1.E+04 1.E+08 1.E+12 1.E+16 1.E+20

0 50 100

Energy (eV)

Distance (nm) 1.E+00

1.E+04 1.E+08 1.E+12 1.E+16 1.E+20

0 50 100

Electron / Hole Density (cm-3)

Distance (nm) hole

electron electron

hole (c) a-Si:H(p)/c-Ge(n) (d) c-Si(p)/c-Ge(n)

1.E+00 1.E+04 1.E+08 1.E+12 1.E+16 1.E+20

0 50 100

Energy (eV)

Distance (nm) 1.E+00

1.E+04 1.E+08 1.E+12 1.E+16 1.E+20

0 50 100

Electron / Hole Density (cm-3)

Distance (nm) electron

electron

hole hole

(a) a-Si:H(n)/c-Ge(p) (b) c-Si(n)/c-Ge(p)

図 3-6 Dit=4.0×1012cm-2、AM1.5G照射下でのヘテロ接合近傍の再結合速度シミュレーション結果。

(a) a-Si:H(n)/c-Ge(p)、(b) c-Si(n)/c-Ge(p)、(c) a-Si:H(p)/c-Ge(n)、(d)c-Si(p)/c-Ge(n)の結果を示す。

1.E+10 1.E+12 1.E+14 1.E+16 1.E+18 1.E+20 1.E+22 1.E+24

0 50 100

Energy (eV)

Distance (nm) 1.E+10

1.E+12 1.E+14 1.E+16 1.E+18 1.E+20 1.E+22 1.E+24

0 50 100

Recombination Rate (cm-3s-1)

Distance (nm)

(d) c-Si(p)/c-Ge(n) (c) a-Si:H(p)/c-Ge(n)

1.E+10 1.E+12 1.E+14 1.E+16 1.E+18 1.E+20 1.E+22 1.E+24

0 50 100

Energy (eV)

Distance (nm) 1.E+10

1.E+12 1.E+14 1.E+16 1.E+18 1.E+20 1.E+22 1.E+24

0 50 100

Recombination Rate (cm-3s-1)

Distance (nm)

(b) c-Si(n)/c-Ge(p) (a) a-Si:H(n)/c-Ge(p)

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ヘテロ接合界面での再結合抑制に必要。その他にも、c-Geの欠陥準位がVBM付近に存在す るため、c-Ge(p)を用いた場合、欠陥密度が高いとフェルミレベルが VBM 側に引き戻されるた め、拡散電位の低下も招く。

③ ヘテロ接合界面の障壁が少数キャリアの捕集の妨げにならないこと

a-Si:H(p)/c-Ge(n)のように1eV近い障壁が存在すると生成した電子正孔対を電流として取り出

しが不可能になる。

最も高い変換効率を示した(d) c-Si(n)/c-Ge(n)は上記の条件を満たす特性が得られており、高効率 な太陽電池太陽電池が得られる構造の候補として挙げられる。

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 30-33)