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シミュレーションを用いたホスフィン暴露処理の検証

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第 4 章 界面処理の a-Si:H/c-Ge(p)ヘテロ接合太陽電池特性への影響

4.4 シミュレーションを用いたホスフィン暴露処理の検証

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している。セル作製条件の改善により、VOCが0.2Vを越える太陽電池を得た。

ヘテロ接合適用による温度特性改善効果の確認のため、温度特性の計測を行った(図 4-10 のセ ルのうち、ARCなしセルに対して計測を実施)。比較対象となるc-Geホモ接合太陽電池の計測結果を 調査したが、文献値を見つけることができなかったため、理論計算値[26]を引用した。なお、引用した 文献の理論計算では AM1.0 の放射強度で計算を行っていたため、本研究の評価条件である AM1.5 と異なっていた。同条件での比較とするため、25℃でのJSCを図 4-10に示すセルと同じJSCに補正し た計算結果を用いて温度特性を補正した。理論計算では、単結晶c-Geを用いた理想的なホモ接合太 陽電池について計算を行っているため、図 4-10 のセルよりも高効率なセル(25℃に於いて VOC: 0.246V、変換効率:8.21%)と比較を行っている。

図 4-12 にc-Geヘテロ接合太陽電池の実測値と、c-Ge ホモ接合太陽電池の温度特性を示す。c-Ge ホモ接合太陽電池の変換効率の温度特性が-1.11%/℃であるのに対して、c-Ge ヘテロ接合太陽 電池の温度特性は-0.91%/℃であり、VOCが低いにもかかわらず、良好な温度特性を示した。ヘテロ接 合適用によって、逆方向飽和電流が抑制された結果であると考えられる。

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面欠陥密度Ditの適用にも使用)にドナー欠陥密度(Dd)を適用した。活性化エネルギーは0.012eVと し[27]、Ddは以下の式で定義した。

Dd (cm-2) = Nd (cm-3) × dit (cm)……… (数式 4-1) ここで、Ndは界面欠陥層のドナー欠陥密度を、ditは界面欠陥層の厚さ(1nm)を示す。

界面欠陥密度Ditは3.3項での検討と同様に4.0×1012 cm-2とし、a-Si:H(n)/c-Ge(p)ヘテロ接合太 陽電池に対して、ドナー欠陥密度Ddを変更してバンドダイヤグラムと太陽電池特性を確認した。

4.4.2 シミュレーション結果

太陽電池特性のDd依存を図 4-13 に示す。3.3項のシミュレーションでは、Dit=0 cm-2からDit=4× 1012 cm-2に界面欠陥が増加すると、変換効率は6.93%から0.762%に悪化し、界面欠陥が太陽電池 特性に与える影響は非常に大きい。Ddが小さい領域(<1011cm-2)では、3.3項のDit=4×1012 cm-2の シミュレーション結果と同等の太陽電池特性であり、太陽電池特性に影響していない。Ddが Ditに近づ くと主にVOCが低下し、変換効率が低下、その後Dd増加に伴い、太陽電池特性は急激に改善し、さら にDdを増加させても変換効率はあまり低下しない。

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

1.0E+10 1.0E+11 1.0E+12 1.0E+13 1.0E+14 1.0E+15 VOC(V)

Interface Doping Density (cm-2)

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

1.0E+10 1.0E+11 1.0E+12 1.0E+13 1.0E+14 1.0E+15

F.F. (-)

Interface Doping Density (cm-2)

0 10 20 30 40 50

1.0E+10 1.0E+11 1.0E+12 1.0E+13 1.0E+14 1.0E+15 JSC(mA/cm2)

Interface Doping Density (cm-2)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

1.0E+10 1.0E+11 1.0E+12 1.0E+13 1.0E+14 1.0E+15

Efficiency (%)

Interface Doping Density (cm-2)

図 4-13 太陽電池特性のドナー欠陥密度(Dd)依存シミュレーション結果

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図 4-14 に Dd=1.0×1010cm-2、2.5×1012cm-2、1.0×1014cm-2でのヘテロ接合界面近傍のバンドダイ ヤグラムを示す(光照射なし時)。(a)Dd=1.0×1010cm-2では、エミッタと基板の仕事関数差が小さいこと に加え、VBM 付近に存在する欠陥準位によるフェルミレベルのピニングにより、ヘテロ接合界面の拡 散 電 位 は 非 常 に 小 さ い 。Dd 増 加 に 伴 い 、 界 面 の ド ナ ー が 増 加 し 、 拡 散 電 位 が 増 加 、 (c)Dd=1.0×1014cm-2までDdが増加すると、フェルミレベルはCBMにまで達する。

図 4-15 に各 Dd でのヘテロ接合近傍の電子正孔密度を示す(AM1.5 光照射、短絡状態)。

(a)Dd=1.0×1010cm-2では、拡散電位が小さいため、ヘテロ接合界面近傍の電子正孔密度は反転して

いないが、(c)Dd=1.0×1014cm-2まで Ddが増加すると、完全に電子正孔密度の反転が生じ、密度差が 大きいため、界面での再結合が起こりにくい状態であることがわかる。この結果は、3.3 項のシミュレー ションで、Ditによる太陽電池特性低下の影響が最も小さかった c-Si(p)/c-Ge(n)の組み合わせと同等 の電子正孔密度であり、PH3暴露処理を適用することで、a-Si(n)/c-Ge(p)の組み合わせを用いた場合 でも、良好な太陽電池特性が得られることが示唆された。なお、図 4-13 で Dd=2.5×1012cm-2近傍で VOCの低下が認められるが、これは欠陥として振る舞う Dd が増加することに加え、図 4-15 の

(b)Dd=2.5×1012cm-2に示す通り、電子正孔密度が界面欠陥の多数存在するヘテロ接合界面で同等と

なり、界面再結合が促進されるためである。

以上より、PH3暴露処理は c-Ge(p)基板を用いたヘテロ接合太陽電池に於いて、変換効率を向上さ せる非常に有効な手段であることを確認した。また、a-Si:H(i)バッファ層を適用し、界面欠陥密度を抑 制すれば、更なる変換効率向上が期待できる。

-6.5 -6.0 -5.5 -5.0 -4.5 -4.0 -3.5

0 20 40 60 80 100

Energy (eV)

Distance (nm)

EC

EF

EV

-6.5 -6.0 -5.5 -5.0 -4.5 -4.0 -3.5

0 20 40 60 80 100

Energy (eV)

Distance (nm)

EC

EF

EV

-6.5 -6.0 -5.5 -5.0 -4.5 -4.0 -3.5

0 20 40 60 80 100

Energy (eV)

Distance (nm)

EC

EF

EV

図 4-14 各Ddでのバンドダイヤグラムシミュレーション結果(光照射なし時)

(a) Dd=1.0×1010 cm-2 (b) Dd=2.5×1012 cm-2 (c) Dd=1.0×1014 cm-2

1.E+00 1.E+04 1.E+08 1.E+12 1.E+16 1.E+20

0 50 100

Electron/Hole Density (cm-3)

Distance (nm) hole

electron

1.E+00 1.E+04 1.E+08 1.E+12 1.E+16 1.E+20

0 50 100

Electron/Hole Density (cm-3)

Distance (nm) hole

electron

1.E+00 1.E+04 1.E+08 1.E+12 1.E+16 1.E+20

0 50 100

Electron/Hole Density (cm-3)

Distance (nm) hole

electron

図 4-15 各Ddでの電子正孔密度シミュレーション結果(M1.5光照射、短絡状態)

(a) Dit=1.0×1010 cm-2 (b) Dit=2.5×1012 cm-2 (a) Dit=1.0×1014 cm-2

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