2 簡易な屋内平面図を利用した3次元地理空間情報データベースの構築
2.3 流通フォーマットの構築概要
2.3.2 アンカーポイントについて
(1) アンカーポイントの扱い
空間参照系データベースは、建物代表点、フロア代表点、施設代表点などに、世 界測地系座標(WGS84)を割り当てている。ベクトル形式のSVGを採用した昨年度の 流通フォーマットにおいては、SVG の仕様が備える座標変換の仕組みを利用し、
CAD図面の座標から世界測地系座標を求めることが実現できた。
一方、本事業で対応したラスタ形式の地図についても、世界測地系座標の割り当て が必要と考えられる。対応方針としては、ラスタ画像にも2次元の座標系(直交座標系)
が存在する。この座標系を世界測地系座標に変換することで、世界測地系座標を割り 当てることが可能である。技術的には、SVG が備える座標変換の仕組みをラスタ画像
70 に応用することで対応可能である。
また、本事業で対応したアンカーポイントの扱いに関する要件は、「複数設置するこ とが可能なこと」、「設置場所について制限を設けないこと」等が挙げられ、流通フォー マットでの扱いの要件に関しては、上記に加え、「アンカーポイントであることがわかる こと、かつ、様々な情報が格納できること(属性の定義)」、「世界測地系座標を定義で きること」が挙げられる。
以上の観点から、対応候補を示す。
表 2-10 対応候補一覧
案 対応策
(1) 屋外出入口点にアンカーポイントであることの属性を持たせる。
(2) 新規にアンカーポイントとしての要素を追加する。
案(1)に関しては、現行の流通フォーマットの出入口点の記述方法を応用し、アン カーポイントに該当する屋外出入口点に対し、アンカーポイントであることを示す属性 値を与えるものである。しかし、アンカーポイントは建物の隅など、必ずしも屋外出入口 と同じ場所に設置するとは限らない点を考慮すると、上記要件を充足できない。
案(2)に関しては、新規にアンカーポイントとしての要素を追加するため、世界測地 系座標や属性の定義は無論のこと、設置する場所や設置数にも制限されることなく対 応が可能である。
以上の検討の結果、本事業では、案(2)の「新規にアンカーポイントとしての要素を 追加する」を採用した。
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(2) アンカーポイントの属性情報
新規にアンカーポイントの要素を追加するにあたり、属性情報のプレースホルダ―
を定義する。対応候補は以下の通りである。
表 2-11 対応候補一覧
No 項目 課題
(1) スタンドアロン方式 全ての情報をSVG/RDFに記述する。
G-XML などのように、単独での情報流通を想定
したもの。
(2) 分散型方式 SVG/RDF から、外部で管理しているアンカーポ イント情報を参照する。
例えば、国土地理院などが「アンカーポイントサー バ」などを運営して、外部参照のインフラがあるよ うなケースを想定したもの。
(3) ハイブリッド方式 スタンドアロン/分散が混在する形式。
案(1)に関しては、全ての情報をSVG/RDFに記述する方法で、G-XMLなどのよう に、単独での情報流通を想定したものである。SVG/RDF 内で完結するので、外部因 子が阻害要因(アンカーポイントサーバに接続できないケースなどが想定される)にな らないメリットがある。他方で、必要な情報はコピーしてインポートするので、情報の更 新が困難になる可能性がある。
案(2)に関しては、SVG/RDF から、外部で管理しているアンカーポイント情報を参 照する方式で、アンカーポイントサーバなどの外部参照用のインフラがあるケースに有 効である。他方で、外部参照用のインフラが必須となることや、参照の解決が煩雑にな る可能性があることが懸念される。
以上の検討の結果、現時点では方式の優劣はつけられないと判断し、本事業では、
案(1)と案(2)が混在する方式(ハイブリッド方式)を採用した。
以下に実装例を示す。
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図 2-41 スタンドアロン形式を使用したエンコード例
(参考)
・ 基準点ごとにgeo:Point要素が作られる
・ 緯度、経度、名前を指定
・ Foaf:depiction によって、この文書内の要素(id=”anchor1”の要素)が基準点に
対応することを宣言
・ comformsToによって、この基準点が何らかの標準に準拠していることを宣言
・ RDF構文によってバリエーション多数
<svg>
…
<metadata><rdf:RDF>
<cc:Work>
<!–図面全体のメタデータ ‐‐>
</cc:Work>
<geo:Point foaf:name="東側出入り口前基準点” geo:lat="35.00”
geo:long="139.00">
<foaf:depiction rdf:resource="#anchor1"/>
<dcterms:conformsTo rdf:resource=“{uri‐to‐specify‐standard}"/>
</geo:Point>
</rdf:RDF></metadata>
…
<use x=“100” y=“200” id=“anchor1” xlink:href=“#point”/>
</svg>
73
図 2-42 分散(外部参照)形式を使用したエンコード例
(参考)
・ 基準点ごとにgeo:Point要素が作られる
・ 基準点の固有属性は記載しない
・ Geo:Point/@rdf:resource属性によって、外部の基準点定義の URI を指定する
(外部参照の基本構造)
・ 基準点と文書内要素は、foaf:depiction要素によって規定される。
<svg>
…
<metadata><rdf:RDF>
<cc:Work>
<!–図面全体のメタデータ ‐‐>
</cc:Work>
<geo:Point rdf:resource=“{基準点の URI}”>
<foaf:depiction rdf:resource="#anchor1"/>
</geo:Point>
</rdf:RDF></metadata>
…
<use x=“100” y=“200” id=“anchor1” xlink:href=“#point”/>
</svg>
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(3) アンカーポイントの構成要素
アンカーポイントは、実世界の座標(緯度、経度:地理座標系)と、簡易平面図の座 標(図面上の x, y:図面座標系)を関連付け、簡易平面図上においても実世界と同じ 座標として地図構成要素を取り扱うための重要な座標点となる。
地理座標系と図面座標系の対応付けのみを考慮するのであれば、地理座標系と図 面座標系の情報だけがあればよい。しかし、より正確かつ信頼性の高い地理座標と図 面座標の対応を取ることを考慮した場合、地理座標の取得情報(測量を行った際の情 報)をメタデータ(諸元情報)として付与することで、地理座標の正確性や信頼性を保 証できると考えた。したがって、アンカーポイントの構成要素としては、大きく①地理座 標系の情報、②図面座標系の情報、③メタデータ、の3つが必要であるとした。
上記の観点から、流通フォーマットにおけるアンカーポイントの構成要素については、
以下の通りとする(表 2-12)。
表 2-12 アンカーポイントの構成要素
構成要素 詳細
地理座標系 緯度、経度、高さなどの一般的な地理座標系情報。
一つのアンカーポイントについて、それぞれ唯一の数値を持 つ(1:1対応)
図面座標系 アンカーポイントに対応する図面上の描画要素。
一つのアンカーポイントに対して、図面ごとに描画要素が存在 しうる(1:n対応)。
描画要素は論理的にはIDあるいは代表点座標で特定できる が、RDFの制約からID参照を前提とする。
メタデータ 日付、作成者などの一般的な情報。
これもアンカーポイントに対して唯一のデータを持つ(1:1)。
「種別」ではアンカーポイントの種別を定義することを想定す る。公的/私的、また、アンカーポイントの等級のようなデータ の受け皿となることを想定する。
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図 2-43 アンカーポイントの構成要素
基準点
地理座標系
緯度
経度
高さ
図面座標系 描画要素へ の参照
ID 座標
メタデータ
名称
日付 設置主体な
ど 種別 1:1
1:n
1:1
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