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より正確な第2声の生成法の考案とその効果試験のための実験の実施と 結果

1.2.1筆者による仮説と実験の実施

前記の仮説を証明するため、平成20年2月から7月にかけて実験を行なった。まず第 2声の発出に問題がある学習者に被験者になってもらい、『簡明実用漢語課本』(東方書店

『簡明実用漢語課本』編集部、2006、pp.227-228)中の、下記のようなテキストを読ま せ、それをテープレコーダーに録音した。被験者12名は、それまでにすでに中国語学習 をある程度行なったことがあるが、学習の方法、時期、時間、場所は様々である。下記中、

下線のついた字が検査対象の第2声である。

①下了一上午的雨,下午天晴了。今天帕兰卡给丁云的妈妈写了一封信,问她们什 么时间有空儿。她想去看他们。古波也要给南京的朋友寄一封信。他们一起去 邮局。

②六点多了,邮局的门还开着呢。邮局里人很多,有的坐着写信,有的等着寄东西。

③他们到了一个窗口前边,那儿挂着一个牌子,牌子上写着‘邮票、挂号’。柜台里 放着很多漂亮的邮票和明信片。帕兰卡跟营业员说:‘我要这些介绍北京的明信片,

我想让家里人也看看北京。’

次に被験者に対し以下のような筆者の「クリニック」を行なった。

1.起点が調値3くらいで、最初細く後の方で次第に太くなる線で表示されている第2 声の簡単な模式図を提示する。

2.「マーという音を、最初は普段出しているまん中くらいの声の高さで軽めに始め、後 半音程を高くすると同時に強くするよう注意して発音してください」という。

3.実際に筆者が、上昇調は満たしているものの最初強く入って音声が尻すぼみになっ てしまう例と、最初軽く始めて後半力強く上昇する例を提示する。

4.「マー」という単音で第2声を練習させる。

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1番N.K.氏が①部分、2番T.M.氏が③部分、3番E.Y.氏が①②③部分を読んだ以外、全

員②③部分を読んだ。クリニックは上記説明を含み「マー」で10~20分ほど行なった 後、テキストの第2声の音節(下線)を取り出し、5分ほど練習させた。2つ目の文の5 字目“卡”は第3声で次の“给”も第3声であるが、“卡”は必ずしも2声化しなくて良い と判断し対象から外した。被験者が取り出し練習をする際、新しく獲得した情報をなるべ く調音に生かすよう依頼した。音節レベルで大体できるようになったら、次にテキストに もどって再度読み上げてもらい、またそれを録音した。この録音を、ネイティブの中国人

(女性、当時51歳)に聴いてもらい、クリニック以前とクリニック以後の発音を評価し てもらった。この中国人は、北京出生、北京大学日本語科卒業、31歳まで北京在住、

31歳の時来日、現在も日本在住である。クリニック以前と以後の発音評価の結果が表1B である。後日クリニック以前と以後の録音はCDに移し、その番号は被験者イニシャルと 同じ欄に<>をつけて表示してある。表の一番左の欄は被験者1~12番を配し、その右 の欄には「被験者がそれ以前発音を獲得した主な方法・場所」を記した。

被験者には第2声以外の問題であっても、筆者がその場で短時間で指導できるものはで きるだけ指導をした。そのため、「第2声と第4声の混同」「第3声上がってしまう」など 第2声以外の問題点を表示してあるところもある。9番S.I.氏は第2声を生成した時その音 節時間長が短かった。また、たとえば2番T.M.氏のように無気音であるべき音を有気音で 発音してしまうなど、声調以外の問題が耳につくこともあったが、このクリニックの目的 は第2声の矯正であるので、声調以外の問題は今回無視し、別の機会に譲ることにした。

1.2.2 実験の結果

実験の結果、12名中12名全員に効果があった。1番、8番、11番の3氏は2段階 改善した。特に1番N.K.氏は、時間の余裕がありクリニックも2回できたので、第2声の 音高幅が改善して2段階も良くなった上、第3声も改善した。これは第2声の明確なイメ ージが確立したことにより第3声との区別ができたからだと考える。6番K.T.氏は、第2 声は1段階改善のみであったが、第3声の改善もあり、やはり第2声と第3声の区別が可 能になったからだと考える。また、最初は筆者が被験者に「普段通りに読んでください」

と要求したが、クリニック後は被験者自身声調に注意しようという気持ちが出てきたため か、全体を通じクリニック以後は読み上げる速度が遅くなった。特に第2声の矯正、もし くは第1声および第2声の矯正に重点を置いたため、その音節が不自然に大きく重くなっ てしまっていることは否めないが、このことは中国語学習の成長段階として避けられない ことである。練習を積んで第2声や第1声が容易に生成できるようになるに従い、速度や 滑らかさも出てきて周囲と馴染んだより自然な発音が獲得できると信じる。筆者の仮説に つき、今回の被験者12名全員が、第2声生成の場合調値3くらいで始めて後半を力強く すると生成し易くなる可能性があることを知らなかった。

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表1B ×-良くない △-あまり良くない ○-まあまあ良い ◎大変良い ネイティブによる発音の評価(筆者コメント)

番号 イニシャル 性別、専攻の場合 など <CD>

被験者が発音を獲得した

主な方法・場所 クリニック以前 クリニック以後

1 N.K.

<12>

大学で約1年 第2声 × 第2声 ○ +2段階 第3声も改善。ピッチ幅改善

2 T.M.

<3>

中国語教室で週1を2か月 上海の大学に留学2年半

第2声 ○ 第2声 ◎ +1段階

3 E.Y.

<4>

中国人個人教授週2を4か月 北京の大学留学2年

第2声 △ 第2声 ○ +1段階

4 S.K.

<5>

中国で個人教授週2を3か月 北京の大学留学1年半

第2声 ×

(第2声上がらない)

(第2声第4声混同)

第2声 △ +1段階

5 Y.K.

<6>

大学で2年

都内の中国語教室で3年

第2声 △

(上がり方弱い)

第2声 ○ +1段階 第1声後半も改善

6 K.T.

<7>

都内の中国語教室で2年 (但し発音の時期抜けた)

第2声 △

(上がり弱い起点低い)

(第3声上がる)

第2声 ○ +1段階 (第3声も改善)

7 E.U.

<8>

独習半年、カルチャーセンター3か月 都内中国語教室2年半

第2声 △ (後半弱い)

第2声 ○ +1段階

8 N.W.

<9>

大学で2年、短期留学2回 都内中国語教室半年 上海留学約1年

×

(第2声連続後半弱)

第2声 ○ +2段階 効果特に良い

9 S.I.

男、専攻 <10>

大学で4年

(第2声音節時間長短)

(第2声後半弱)

第2声 ○ +1段階

10 K.K.

<11>

大学で2年 第2声 △

(上り弱い)(時長短)

第2声 ○ +1段階

11 M.K.

<12>

大学で2年、中国語教室で3年 第2声 ×

(第2声上がり弱い)

(第1声後半弱(第4声 下がり弱い)

第2声 ○ +2段階

12 K.N.

女、専攻<13>

大学で1年、中国人個人教授 1年3か月、北京留学2年

第2声 △ (上がらない)

第2声 ○ +1段階 起点上昇

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