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第4章 アイオノマの不可逆的な吸着を利用した触媒層スラリー調整

4.2 実験方法

第3章と同様に,触媒粒子として白金担持カーボンPt/C(TEC10V30E,Tanaka

Kikinzoku Kogyo,白金担持率30 mass%,カーボン担体:バルカン),アイオノマ

(DE1021,Dupont,アイオノマ固形分濃度 10 mass%,溶媒:水)を使用した。

溶媒はイオン交換水,エタノール,及び水とエタノール混合溶媒(エタノール濃 度7.5, 15, 22.5, 30 mass%)を用いた。

4.2.2 カソードスラリーの調製及び触媒層作製方法

スラリーは1step法と2step法の2通りの手順にて調製した。Fig.4.1に模式図 を示す。

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Fig.4.1 Slurry preparation procedures.

Table 4.1にスラリーの配合を示す。1step法では,Table 4.1に示す組成で所定

量の Pt/C 粒子,アイオノマ,溶媒を混合し,自転公転ミキサーで処理すること によって,粒子濃度8.0 mass%のスラリーを調製した。処理条件は,自転2000rpm

公転800rpm 処理時間 15min とした。撹拌したスラリーは,4 日間,室温で静

置した。

Table 4.1 Slurry composition.

一方で2step法では,Table 4.2に示すように,まずエタノールを除いた組成で

水系スラリーを調製した(Table 4.2 手順1)。所定量のPt/C,アイオノマ,イオ ン交換水を混合し,自転公転ミキサーで処理した。その際の処理条件は,自転

2000rpm 公転800rpm 処理時間15min とし,3日間,室温で静置した。その

後,所定量のエタノールを追加することで,最終的にTable 4.1 で示す組成のス

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ラリーとなるようにした(Table4.2 手順 2)。このときスラリーは自転公転ミキ サーで処理条件は,自転2000rpm 公転800rpm 処理時間15min のもとで処理 し,1日,室温で静置した。

Table 4.2 Slurry composition for the two-step method.

さらに,アイオノマの吸着量に及ぼす粒子濃度及び溶媒組成の影響を検討す るために,以下の方法でもスラリーを調製し,吸着量測定を実施した。まず,

Table 4.3の手順1で示したように,混合溶媒中のエタノール濃度がTable 4.1の

スラリーと同じ7.5, 15, 22.5, 30 mass%として,Table 4.1の粒子濃度8 mass%より も高い粒子濃度でスラリーを調製した。次に,Table 4.1と最終的な粒子濃度及び 混合溶媒の体積比率がほぼ等しくなるようエタノール濃度 7.5, 15, 22.5, 30

mass%の水-エタノール混合溶媒を用いて,手順 1 で調製したスラリーを希釈し

た(Table4.3 手順2)。

Table 4.3 Slurry composition for the discussion of the dilution effect on the adsorbed ionomer amount.

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1step法と2step法で作製した同一組成のカソードスラリーは,ドクターブレー

ド法により単位面積当たりの白金目付量が0.15 mg/cm2となるようブレードのギ ャップを調整し,移動速度0.60 m/minにてPTFE(polytetrafluoroethylene)シート に塗布した。塗布した触媒層は,常温で1時間程度静置し乾燥させた。

また,アイオノマの吸着平衡を確認するために,Table 4.2のエタノール濃度

30mass%について,エタノールを除いた組成にて,水系スラリーを調製した

(Table 4.2 手順1 エタノール濃度30mass%)。その際の処理条件は,自転2000rpm

公転800rpm 処理時間15minで実施した。スラリー調製直後から静置した日数と

アイオノマの吸着量の関係をFig.4.2に示す。静置時間が1日目で,わずかに吸着 量が上昇するが,吸着量はほぼ一定であり,経時変化は見られなかった。そのた

め,2step法のTable4.2 手順1にて,水系スラリーを調製後に3日静置しているが,

アイオノマの吸着平衡に達しているものと思われる。

0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

0 1 2 3 4 5

A d so r ti o n ra ti o [ - ]

Setting time [day]

Fig.4.2 Adsorbed amount of Ionomer for several days

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4.2.3 スラリー特性/触媒層特性/発電特性

4.2.3.1 スラリー特性

スラリー特性評価項目として,アイオノマのサイズ分布,アイオノマ吸着量,

スラリーの充填率を評価した。

スラリーの遠心分離条件(遠心加速度,時間)は,アイオノマ吸着量測定にお いては,遠心加速度1060G,1日,充填率測定においては,遠心加速度180G,20 日間とした。詳細な手順は,2.2を参照されたい。

アイオノマのサイズ分布測定用の溶液作製手順を以下に示す。Table 4.1 及び

Table 4.2に示す1step法及び2step法のスラリー組成より,Pt/C粒子を除いた溶

液を調製した。1step法では所定量のアイオノマ,水,エタノールを混合し,自 転公転ミキサーでスラリー調製と同様の条件(自転 2000rpm 公転 800rpm 処

理時間15min)で処理した。2step 法ではまず,手順 1 に記載する所定量のアイ

オノマを水と混合し,自転公転ミキサーで処理(自転2000rpm 公転800rpm 処

理時間15min)した後に,手順2に記載した所定量のエタノールを追加し,再び

自転公転ミキサーで処理した(自転 2000rpm 公転 800rpm 処理時間 15min)。 調製した溶液は,2.2に記載したように,動的光散乱粒子径分布測定装置で分析 し,アイオノマのサイズ分布を求めた。

4.2.3.2 触媒層特性

1step法及び2step法の各配合にてスラリー調製し,成膜したカソード触媒層の

断面は,SEMにより観察した。

4.2.3.3 発電特性

1step法及び2step法の各配合にてスラリー調製し,成膜したカソード触媒層を 用いて,2.3に記載した実験手順にて,MEAを作製し,I-V性能,酸素輸送抵抗,

プロトン輸送抵抗を評価した。

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