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第5章 触媒層のアイオノマ付着率と発電特性の関係

5.2 実験方法

5.2.1 カソードスラリーの調製と触媒層作製方法

カソード層の構成部材として,白金担持カーボン(TEC10F50E,52.3mass%-Pt, Tanaka Kikinzoku Kogyo)とアイオノマ(D2020,Du pont )を使用した。スラリ ー中の白金担持カーボンとアイオノマの総重量(固形分濃度)を 12mass%で一 定とし,アイオノマのカーボンに対する添加量(I/C)を1.0,1.2,1.4,1.6,1.8 と変化させた。秤量した白金担持カーボンは,水とエタノールの混合溶媒(6: 4)に投入後、自転公転ミキサーにて撹拌した(公転2000 rpm,自転800 rpm,

処理時間2 min)。その後で所望のI/Cとなるようアイオノマ溶液を添加後,再度

自転公転ミキサー(公転2000 rpm,自転800 rpm,処理時間 2min)にて撹拌し た。撹拌したスラリーは,超音波ホモジナイザーにて氷冷しながら, 5min分散 処理した。I/C = 1.4にて調製したスラリーについては,分散処理時間を 5,15,

30,60minと変えて分散処理した。

調製したスラリーは,ドクターブレード法により単位面積当たりの白金目付

量が0.25 mg/cm2となるようブレードのギャップを調整し,移動速度0.60 m/min

にてPTFE(polytetrafluoroethylene)シートに塗布した。塗布した触媒層は,常温 で1時間程度静置し,乾燥させた。その後,作製したカソード触媒層は,2.3に 記載する手順にて,MEAを作製した。

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5.2.2 スラリー特性/触媒層特性/発電特性

5.2.2.1 スラリー特性

スラリー特性評価項目として,アイオノマ吸着量とスラリーの充填率を評価 した。スラリーの遠心分離条件(遠心加速度,時間)は,アイオノマ吸着量測定 においては,遠心加速度1060G,数日間,充填率測定においては,遠心加速度180G, 20日間とした。詳細な手順は,2.2を参照されたい。

5.2.2.2 触媒層のアイオノマ付着率

ガス吸着量測定装置(BET3000,Quantachrome Instruments.)を用いて,BET 1 点法により,触媒層の比表面積を計測した。すべての計測サンプルは,150℃に て,1日前処理を実施し,液体窒素温度77Kにて,N2ガスとHeガスの混合気体(3:7) を通過させ,吸着したガス容積より,比表面積を求めた。

アイオノマの付着率を算出するための手順は,Fig.5.1に示した。まず,PTFE シートより,触媒層を削り取り,触媒層の比表面積Sを計測し,次に Fig.5.2に 示す熱処理装置にて,白金担持カーボンよりアイオノマを除去した。熱処理条件 を以下に示す。まず,120℃に熱したN2ガスを供給しながら,電気炉を10℃/min で昇温し,550℃で30min保持し,冷却速度5℃/minで冷却した。冷却時は,供 給するN2ガスは25℃に設定をし,常温になったところで,サンプルを取り出し た。取り出したサンプルの比表面積を計測し,焼成後の触媒層の比表面積 S0

し,(5.1)式にてアイオノマ付着率θを算出した。

0 0

S S S

  (5.1)

ここで,触媒層の比表面積S[m2/g-particle],焼成後の触媒層の比表面積S0 [m2

/g-particle] アイオノマ付着率θ [-]とした。

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Fig.5.1 Schematic of measuring method of specific surface are and adhesion ratio of ionomer.

Fig.5.2 Schematic of heat treatment devise.

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なお,触媒層のアイオノマ除去条件についての予備検討は,熱重量測定により 実施しており,その結果を以下に記す。

・N

2

ガス雰囲気におけるアイオノマ熱重量変化

熱重量測定装置(TGA-50,Shimadzu CO.,LTD)を使用し,N2雰囲気にて,10℃ /minにて昇温した際の,アイオノマの熱重量変化をFig.5.3に示す。この結果よ り,アイオノマは,約450℃にて分解することがわかる。

Fig.5.3 TG curve of ionomer in a N2 atmosphere.

・N

2

ガス雰囲気における Pt/C の熱重量変化

同様に,Pt/Cにおいてもガス雰囲気を変え,熱重量測定を実施した。まず,N2

雰囲気にて,10℃/minで550℃まで昇温後10min保持し,その後200℃まで冷却 をし,10min 保持した。次に,ガスを Air に切り替え,再度 10℃/min で昇温し た。その際の,熱重量変化をFig.5.4に示す。本検討で使用した白金担持カーボ

ンは52.3mass%-Ptであり,分解量が仕込み量のおよそ 50%であったことから,

カーボンが分解したものと思われる。この結果より,Pt/CはN2雰囲気では分解 せず,Air雰囲気で約400~500℃に達した時点で,分解することがわかった。

以上の検討から,触媒粉末に付着するアイオノマは,N2雰囲気にて焼成するこ

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とで,アイオノマのみを分解することができると考える。加熱焼成前後における 比表面積は,加熱処理前359.8m2/g,加熱処理後は358.2m2/gであることから,加 熱処理による比表面積の差はないものと考える。

Fig.5.4 TG curve of Pt/C powder in a N2 and air atmosphere.

5.2.2.3 触媒層の細孔径分布

各スラリー条件で作製したカソード触媒層について,水銀ポロシメータ(Auto

Pore 9510,Shimadzu Corp.)を用いて,触媒層の細孔径分布を評価した。

5.2.2.4 発電特性

各スラリー条件で作製したカソード触媒層を用いて,2.3に記載した実験手順 にて,MEAを作製し,酸素輸送抵抗,プロトン輸送抵抗を評価した。

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