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また合理的選択理論の観点からは、相手国の不可分な選好に対する尊重がある一方の アクターによって履行された時、非合理的帰結は回避できるとされるが、これを踏まえ ると米側には北朝鮮の生存と自主権の尊重、北朝鮮側には米国の安全と余分の安全の尊 重する行動の検討が必要となる。ただ、米朝間には核開発問題以外に領土問題などの不 可分性を帯びた問題が見当たらないことは、緊張形成の根本解決の可能性を感じさせる。

しかしながら、米朝間に

MAD

が確立されたとしてもそれは朝鮮半島における緊張形 成の根本的改善にはならない点には留意が必要であろう。冷戦体制崩壊以後における米 朝間の緊張の再発を予防するためには誤認とそれに伴う合理性の変質の発生を予防す る協調政策の完遂が必要となる。そうするとやはり、米朝間における平和協定と米朝国 交正常化の締結、そして北東アジアにおける経済協力の深化と並行して地域安全保障体 制の構築がなされることが不可欠であると考える。

最後に今回の理論的事例研究を通じて、第

1

に北朝鮮の核兵器保有による米朝間の緊 張の変化に対する分析(安定-不安定性パラドックスとゲーム・チェンジャー)、第

2

に米 中関係の変化が米朝関係に及ぼす影響、第

3

に米朝間の緊張形成要因となりうる新たな 事象―サイバーテロ―の検討、そして最後に北東アジア地域安全保障体制構築の模索、

などの課題が得られたことは非常に有益であった。以上の課題については、今後研究を 継続しながら着実に克服していきたい。

あとがき

本研究を進めるにあたっては、主指導教官である中戸祐夫教授、副指導教官である文京 洙国際関係学部学部長、そして中逵啓示国際関係研究科研究科長よりご指導、ご鞭撻をた まわった。とりわけ博士論文を執筆するにあたり、しごくお忙しい中、草稿を通読し、か つ一章ごとに貴重なコメントをくださったことには、ただただ頭が下がる思いである。心 より感謝申し上げる。

また、日本国際政治学会および現代韓国朝鮮学会における

2

度の学術発表において、コ メンテーターを務めていただいた道下徳成政策研究大学院大学教授には、非常に真摯に発 表を聞いていただいたばかりか、丁寧かつ有益なご助言をいただいた。この場をお借りし て、お礼申し上げたい。

なお、本研究はコリア・ファウンデーション(Korea Foundation)フェローシップの支援 を得て実施したものである。その支援がなければ、本研究をここまで深めることは到底で きなかったであろう。

最後に、戦争の時代を懸命に生き抜き命をつないでくれた祖父母と、至らない小生をあ らゆる面で支えてくれた人生の師である両親と、いつも笑顔を絶やさずに信じてついてき てくれる妻と娘たちに本論文を捧げる。

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年代 米韓合同軍事演習

米国の認識:例年的・自衛的

北朝鮮の認識

:核侵略演習

1954 フォーカス・レン

ズ合同軍事演習

→平和的解決法案を論 議する政治会議、破綻

1961

フォールイーグ ル合同軍事演習

(1961~)

1969 ウルチ演習

1976

チームスピリット合同 軍事演習 (1976~

1993)

ウルチ・フォーカ ス・レンズ合同軍

事演習(1976~

2007)

→7.4共同声明以後の対 話プロセス、破綻

1984 チームスピリット拡大

→米朝平和協定と南北 不可侵宣言採択のため の三者会談、破綻

1992 チームスピリット中断

→第1次核危機

1993 チームスピリット再開

1994

チームスピリット中 断。連合戦時増員演

習(RSOI)、開始

2002

連合戦時増員演習とフォールイーグルを 統合(フリーダム・ベナー04と韓国総合訓

練計画も同時実施)

→第2次核危機

2006 RSOI&フォールイーグル →第18次南北上級会

談、破綻

2007 キー・リゾルブへ改称 ウルチ・フリーダ

ム・ガーディアン へ改称

→10.4南北首脳会談以 後の対話プロセス、破綻

2013 キーリゾルブ&フォールイーグル(B52、

B2、F22、史上初動員) →第3次核危機へ

2014

キーリゾルブ&フォールイーグル、ウルチ・フリーダム・ガー

ディアン、双竜連合上陸訓練、

マックスサンダー連合空中戦闘訓練、2014護国演習

→2月南北高級会談、中 止

(表8-2) 「米韓軍事演習の歴史と米朝双方の認識」

出典:以下資料を参考に筆者作成。①조선중앙통신 (201529일)「북남관계개선과 통일을 가로막는 미국의 흉악한 범죄적책동은 절대로 용납될수 없다」, http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieve NewsViewInfoList.kcmsf;jsessionid=51A766C3AC1E0503ABE614171DC0418C, アクセス日:2015 3 8 ; Global Security.Org., “Exercises Pacific Command”, http://www.globalsecurity.org/

military/ops/ex-pacom.htm, accessed on Mar. 8. 2015.

192

(図8-1)「冷戦体制崩壊以後の米朝間の緊張形成における合理性の変質過程」 出典:筆者作成

危機

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