第4章 日本のマネーロンダリング対策
4.5 おわりに
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対策室)、エグモント・グループとのコミュニケーションの充実と、積極的なタイ ポロジーレポートの還元を提案した。以下の知識フローがグローバルなナレッジマ ネジメントの視点から、疑わしい取引届け出制度に関して、筆者が提言した知識プ ロセスのワークフロー図である。(八坂 2017)
図 4.10 疑わしい取引報告のグローバルな流れ
出典:八坂 (2017:307)
タイポロジ-94
図 4.11 疑わしい取引報告制度をもとにしたグローバルなマネーロンダリング対策の概念図
出典:筆者
すなわち、グローバルな社会現象のなかで形成された知識が、現地化され、活用 された結果新たな付加価値を得て還元されたと考えることができる。
本章では、日本政府のマネーロンダリング対策を取り上げその対応状況を確認し た。まず確認できたことは、FATF の第三次対日審査結果の分析により、日本のマネ ーロンダリング対策は不十分であることがデータでも裏付けられた一方、グローバ ルな知識の現地化には知識の認識ギャップを超えた知識の移転プロセスが必要であ ることである。法整備における対応が米国・英国と比較した場合、本邦は十分とは 言えなかったが、FATF からの追加指摘を受けて、犯罪収益移転防止法の更なる改正、
共謀罪関連の法整備等を矢継ぎ早に実施しており、枠組みは整いつつある。国際的 な基準のナショナルレベルでの迅速な受け入れ(共時性)が社会環境の変化が著しいな かでのナレッジマネジメントの課題であるといえる。
本邦の疑わしい取引報告の実態を捉えると、他国と比較しても金融犯罪等の複雑 な犯罪への情報開示が限られている実態を捉えると必ずしもデータマニング手法や、
国際的な組織 4 0 の勧告
対日審査 (ソフトロー)
疑わしい取引報告の流れ
法整備・ 現地化 (ハードロー)
疑わしい取引報告制度と利害関係者 FATF
日本政府
金融庁 警察庁
民間金融機関
エグモントグループ
疑わしい取引
取引C]
取引A[
取引B
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AI などの最新技術を駆使したナレッジマネジメントのレベルが十分とは言えない。
マネーロンダリング対策の実務面では、疑わしい取引報告制度における「疑わしい 取引」のソフト・ハード両面での高度化が課題である。
更に、グルーバルなナレッジマネジメントの視点から見ると、マネーロンダリン グ対策における、国境を超えた多種多様な疑わしい取引報告の活用が重要である。
疑わしい取引報告制度の活用は、マネーロンダリング対策の要であり、取引単位レ ベルでのデータ→情報→知識→知恵のナレッジマネジメントの深堀とタイポロジー のきめ細かな還元が、マネーロンダリング対策には効果的であると考える。
最後に知識の視点から、本章で検証したことを踏まえて知識のダウンロードと アップロードの概念を提案したい。
FATF はソフト・ローである 40 の勧告を提案し、この内容を咀嚼した上で、日本 政府は法整備を行った。これは、概念的な知識を現場仕様に変換して、実用化しよ うとしたことである。疑わしい取引報告は、現場の個別の事例をデータから知恵に 昇華し、更に上部組織に報告した。この繰り返しが知識を高度化し、普遍化するこ ととなった。インターナショナルからナショナルに移転した知識は、その知識を基 盤としたデータの収集により、更なる情報→知識→知恵と体系化される。そして、
この体系化を知のプロセスの中で繰り返すことで、マネーロンダリング対策の社会 現象の中で生まれた専門性の高い知識は、グローバルなナレッジマネジメントとし て形成されていくと考える。
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