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ドキュメント内 第4章スピーチレベル:文レベルからの分析 (ページ 57-63)

会話

図18実質的発話文からNMを除いた場合の、対話相手の性別に応じた発話文末のスピーチレベルの 使用割合

 べ一スの性別ごとに、対話相手の性別による、実質的発話文から丁寧度を示すマー カーのない発話(NM)を除いた発話文末のスピーチレベルの使用を見ると、ベースの

性別を問わず、敬体(P)は、日本語・韓国語ともに、男性の対話相手に対して、その 使用割合がやや高くなっている。また、常体(N)は、日本語・韓国語ともに、女性の 対話相手に対して、その使用割合がやや高くなっている。このことから、日本語・韓 国語ともに、ベースの性別を問わず、発話文末のスピーチレベルの選択においては男 性の対話相手に対してより丁寧な言語形式を使う傾向にあることが分かる。

4.3.2.2発話文全体のスピーチレベル

 「発話文全体のスピーチレベル」は、発話文末とともに重文や複文において使われ る発話文末以外の敬体や常体の使用をともに分析することにより、スピーチレベルの 使用の全体像をより明確に捉えるためのものである。本研究では、 「発話文全体のス

ピーチレベル」として、全ての発話文を以下の「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧 度を示すマーカーのない発話(NM)」の3つの項目に分け、日本語と韓国語それぞれ、

べ一スの性別、対話相手の性別・年齢という要因別にその分析結果を示し、考察を行

う。

 ここでは、 「実質的発話文における発話文全体のスピーチレベル」まず、その全体 像が分かるように、日本語と韓国語におけるべ一スの総発話文数に占めるスピーチレ ベルの「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)」の使 用割合の平均値と使用頻度を、以下の図19に示す。

言語 J

K

72.5(1808) 129(321) 14.6(364)

68.1(2064) 20.8(631) 11」(338)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

図19実質的発話文における発話文全体のスピーチレベルの使用割合の平均値と使用頻度

 実質的発話文における発話文全体のスピーチレベルの使用を見ると、日本語・韓国 語ともに敬体(P)の使用割合が68%以上でもっとも高く、ディスコース・ポライトネ ス理論の観点からは、敬体(P)が初対面社会人二者間会話における無標スピーチレベ ルと言えよう。日本語は韓国語に比べ、敬体(P)と丁寧度を示すマーカーのない発話

(NM)の使用割合がやや高く、韓国語は日本語に比べ、常体(N)の使用割合がやや高 い。なお、分散分析の結果、常体(N)と丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の使 用において、両言語間に有意差が見られた(常体(N):F値=10.094、p<0.01、丁寧度を 示すマーカーのない発話(NM):F値二8.304、 p<0.01)。

 以下に、日本人同士と韓国人同士の会話の中で、女性べ一スと年下の女性との会話 の例の一部を挙げ、 「実質的発話文における発話文全体のスピーチレベル」の使用様 相を見る。

日本人同士の会話例(女性べ一スと年下の女性との会話)

発話

カ番

発話

カ終

話者 発話内容 発話

カ全

発話 カタ Cプ

19 YFO3〈割と世田谷〉{〉}の割には(ええ)あの一、いい場所にあるし、(そうで キね一)で、緑もあるし、(ええ)建物もきれいだし、いいなと思うんで キけどね〈笑い〉。

P SB

20 BF12そうですね一、交通の便もいいし…。

NM

SB

21 BF12入ってきたときのイメージがね、中央の通りがすごく広いですよね。 P SB

22 YFO3あっ、はい。 BA

23 BF12で、講堂もあるし、あそこは有名だし…〈笑い〉。 N SB

24 YFO3う一ん。 BA

25 BF12何か、ん一、こ一、周りをこうきょろきょろしながら入って来るんです ッどね〈笑いながら〉。

P SB

26 YFO3〈笑い〉あの講堂有名ですよね一。 P SB

27 BF12有名ですね。 P SB

28 BF12いろんなものやりますね、〈バレエとか〉{〈}。 P SB

29 YFO3〈やりますね〉{〉}。 P SB

韓国人同士の会話例(女性ベースと年下の女性との会話)

発話

カ番

発話

カ終

話者 発話内容 発話

カ全

発話 カタ Cプ

135 KBFO2司司≡曾ロ}音○日{三皇.

iわたくしたちは娘だけ二人です。)

P SB

136−1 KBFO2刈7}せ・1ユ,(。ト)望旦呈・ヰ号想。1謀三司,誓叫七号王 走、オ。}1dフ}〈妾旦旭神〉叫。1零刻1想4音く戴奴亡司

r{〈},,

iわたくしが長女で、(あ一)下に妹がいて、小さいときは二人も多く ネいのか〈笑いながら〉こんなに思って〈いたけど〉{〈},,)

137 KYFO1〈o『g,oll oll Oj1一〉{〉},吾咀司早暑智蚕良(寸皇.

i〈あ、えええ一〉{〉}、小さいときは本当に騒がしかったです。)

P SB

136−2 KBFO2ヨユ斗L研,〈曽叫フ}〉{〈},,

i大きくなると、〈母が〉{〈},,)

138 KYFO1 〈到晋互?〉{〉}.

i〈さびしいでしょうね?〉{〉}。)

P SB

136−3 KBFO2 皇せ叫歪フ『叫旦フ},。1刈曽叫フ}司早土司音吐尋 I。トd升,♀司叫司司神〈音・1妾昔〉.

iもっと産んでくれたらよかったのに、これがママが頑張らなかった じゃないのか、わたしたちに関して〈二人で笑い〉。)

N SB

139 KBFO2叶早①匡♀巳,る瞥早.

iとても寂しいです、本当に。)

P SB

140 KBFO2 暑但司午,神社芒忍♀芒刈升・閂召吾音吐斗干(。ト

j,吾刊{≧召吾音哀財{三皇?.

i二人だけど、わたくしの場合はわたくしがまだ結婚をしていなくて iあ一)、妹は結婚したんです。)

P SB

141 KYFO1 叫一.

iはい一。)

BA

142 KBFO2 己司1,亡博司。例吾想入閂司同日個暑司r『裂干,神

i召{三司句1ス}≡司1(aj1 一).

iでも、幸いなことに妹の旦那さんの実家で気を使ってくれて、うち フ近くに住んでいるけど(え一)。)

N SB

143 KBFO2ユ司王『入1・例君吾き}r鯉,ユ召叫干月ηL(△古)司,計 S}昊司叫包せol書叫,司1司干フ}鉄叫く苦フ1子フ1呈(弓

S叫升ス1干…〉{〈}.

iでも、やはり結婚するとその家の家族だから、(うん)何か、せめて ィ正月みたいなときは、3人の家族が座って、そろって〈座って…〉

メp。)

N SB

 以上の会話例から分かるように、日本語・韓国語ともに初対面会話という場面上の 特徴もあり、ベースの側も、年下の対話相手の側も、敬体(P)がもっとも多く使われ ている。ただ、この会話例では、年下の対話相手は年上に当たるべ一スに対して、敬 体(P)と丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の2種類のスピーチレベルを使ってい るのに対し、年上に当たるべ一スは年下の対話相手に対して常体(N)も使っており、

年齢という上下関係が言語形式に表れていることが窺える。さらに、日本人同士の会 話例の発話文番号23と韓国人同士の会話例の143の場合は、発話文末のスピーチレベ ルは、丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)ではあるが、発話文中に常体(N)が使 われており、発話文全体のスピーチレベルは常体(N)となっている。これは、年下の 対話相手に対し、発話文末に直接常体(N)を使わず発話文中に常体(N)を使うことで、

初対面会話という場面の特徴上、対話相手への配慮を表しながらも、心的距離を縮め るという1つのポライトネス・ストラテジーの機能を果たしているものと言えよう。

(1)ベースの性別による「実質的発話文における発話文全体のスピーチレベル」

の比較

 以下では、ベースの性別ごとの「実質的発話文における発話文全体のスピーチレベ ル」の「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)」の使 用割合と使用頻度を表29と図20に示す。

表29ベースの性別ごとの実質的発話文における発話文全体のスピーチレベルの使用割合と使用頻度

       話者

ュ話文全

JBF

JBM KBF KBM

P 80.1(1073) 63.7(735) 62.3(970) 74.1(1094)

N

9.6(129) 16.7(192) 24.6(383) 16.8(248)

NM

10.3(138) 19.6(226) 13.0(203) 9.1(135)

合計%(頻度) 100(1340) 100(1153) 100(1556) 100(1477)

100%

80%

60%

40%

20%

0%

10.3 19.6 13.0 9.1

9.6 16.8

16.7 24.6

80.1

63.7 62.3

74.1

JBF JBM KBF KBM

話者

図20ベースの性別ごとの実質的発話文における発話文全体のスピーチレベルの使用割合

 ベースの性別ごとの、実質的発話文における発話文全体のスピーチレベルの使用を 見ると、日本語の場合、全ての発話文における発話文全体のスピーチレベルの傾向と 同じく、女性べ一スは、男性べ一スに比べ、敬体(P)の使用割合が高く、常体(N)と 丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の使用割合が低い。韓国語は日本語と反対の 傾向を示しており、男性べ一スが女性ベースに比べ、敬体(P)の使用割合が高く、常 体(N)と丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の使用割合が低い。分散分析の結果 においても、日本語・韓国語ともに3つのスピーチレベル全てに女性と男性の間に有

意差が見られた(日本語の敬体(P):F値=14.552、p<0.001、日本語の常体(N):F値=4.

970、p<0.05、日本語の丁寧度を示すマーカーのない発話(NM):F値二18.926、 p<0.001、

韓国語の敬体(P):F値二47.002、p<0.001、韓国語の常体(N):F値二18.436、 p<0.001、

韓国語の丁寧度を示すマーカ・一一一一のない発話(NM):F値=6.709、 p<0.05)。この結果か

ら、日本語においては女性が、韓国語においては男性が、言語形式の丁寧度の高い表 現をより多く使っていると言えよう。

(2)対話相手の年齢による「実質的発話文における発話文全体のスピーチレベル」

の比較

 ここでは、 「実質的発話文における発話文全体のスピーチレベル」の「敬体(P)」、

 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)」が対話相手の年齢に応じ てどのような分布を示しているかをべ一スの性別という要因と合わせて調べてみる。

 以下では、べ一スの性別ごとの、実質的発話文における対話相手の年齢に応じた発 話文全体のスピーチレベルの「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカー のない発話(NM)」の使用割合と使用頻度を表30と図21に示す。

表30実質的発話文における対話相手の年齢に応じた発話文全体のスピーチレベルの使用割合 と使用頻度

       会話

ュ話文全

JBF

JBM KBF KBM

0 S

Y

O S

Y

0 S

Y

0 S

Y

P 79.6

i339)

85.6 i380)

75.3 i354)

67.9 i248)

67.3 i264)

56.3 i223)

66.4 i269)

62.4 i380)

59.2 i321)

76.5 i315)

75.7 i402)

70.6 i377)

N

10.1

i43)

6.5

i29)

12.1

i57)

12.1

i44)

13.5 i53)

24.0 i95)

20.0 i81)

25.5 i155)

27.1

i147)

13.1

i54)

17.7 i94)

18.7 i100)

NM

10.3

i44)

7.9

i35)

12.6 i59)

20.0 i73)

19.1

i75)

19.7 i78)

13.6 i55)

12.2 i74)

13.7 i74)

10.4 i43)

6.6

i35)

10.7 i57)

合計%

i頻度)

 100

i426)

 ユ00 i444)

 100

i470)

 100 i365)

 100 i392)

 100

i396)

 100 i405)

 100

i609)

 100

i542)

 100 i412)

 100 i531)

 100

i534)

100

 80

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