團
会話
図6対話相手の性別に応じた実質的発話文(SB)とあいつち的発話文(BA)の使用割合
べ一スの性別ごとに、対話相手の性別に応じた実質的発話文(SB)とあいつち的発 話文(BA)の使用割合を見ると、日本語・韓国語ともにべ一スの性別とは関係なく、
男性の対話相手に対してあいつち的発話文(BA)の使用割合がやや高くなっている。
これは話者が女性より男性に対して心理的な負担を多く感じているためであるとも解 釈でき、後述する発話文末のスピーチレベルの敬体(P)の使用において、日本語・韓 国語ともに、べ一スの性別を問わず、男性の対話相手に対して、その使用割合がやや 高くなっていることも説明できると考える。
あいつち的発話文(BA)の使用は、対話相手との心理的距離を縮め、対話相手の発 言を促進するための対話相手への配慮となり、円滑なコミュニケーションを図るため の1つのポライトネス・ストラテジーとして働いていると解釈できる。
4.3.2スピーチレベル
発話に現れる諸要素が、ディスコース・ポライトネスを構成する一要素として、総 合的にどのように働いているかを捉えるため、スピーチレベルは、以下の「発話文末 のスピーチレベル」、 「発話文全体のスピーチレベル」、 「語彙レベルのスピーチレ ベル」の3つの観点から、日本語と韓国語それぞれで、対話相手の性別・年齢という 要因をべ一スの性別という要因と合わせ、その分析結果を示し、考察を行う。まず、
発話文末のスピーチレベルの分析結果から示すが41、その前にスピーチレベルの全体 の分析項目を再度提示する。
41 カ字化作業の際、BTSJとBTSKでは、聞き取り不能であった部分には、その部分の推 測される拍数に応じて、#マークをつけている。スピーチレベルのコーディングの際、聞 き取り不能のためにスピーチレベルの判断ができない発話文にはコーデイングセルにも#
マークをつけ、その発話文はスピーチレベルの集計から除き、表と図には反映しないこと
にした。
表11スピーチレベルの分析項目
分類項目 発話文末 発話文全体 語彙レベル
S:Super−polite form / / 尊敬語、謙譲語、美
サ語(韓国語の場合 ヘ、尊敬を表す先語
膜齡 「入1[si]」)な
ヌを含む発話文
P :Polite−form 敬体:「です/ます」体
A 「豆}し1τ斗[hapnita]/
i且[hayy・]」体
「です/ます」体、
u哲1qτ斗[hapnita]/
i皇[hayyo]」体な ヌの敬体を含む発話
カ
ひとの名前+ 「さ
」/人の名前+
u列[ssi]」、 「です
ゥら」類の接続詞な ヌを含む発話文
N :Non−polite form 常体:「だ/である」体/
u尋τ干[hanta]/司 mhay]」体
「だ/である」体/
uむ亡}[hanta]/司
mhay]」体などの 岺フを含む発話文
「だから」類の接続 撃ネどを含む発話文
NM:No−marker 丁寧度を示すマーカーの ネい発話:上記の敬体、
岺フのどちらかに分類す 驛}ーカーを含まない発 b文。 「ええ」、 「は
オ、」 / 「O刊[ey]」 、 「(司
myey]」などのあいつち 撃竕椏嚴戟A中途終了型 ュ話文など
丁寧度を示すマーカ [のない発話:上記 フ敬体、常体のどち 轤ゥに分類するマー Jーを含まない発話
カ
丁寧度を示すマーカ [のない発話:上記
フ 「S」、 「P」、
uN」のどちらかに ェ類するマーカーを ワまない発話文
4.3.2.1発話文末のスピーチレベル
「発話文末のスピーチレベル」は、言語形式に反映された話し手の対話相手に対す る待遇態度を検討するためのものである。本研究では、 「発話文末のスピーチレベ ル」として、全ての発話文を以下の「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマ ーカーのない発話(NM)」の3つの項目に分け、日本語と韓国語それぞれ、べ一スの性 別、対話相手の性別・年齢という要因別にその分析結果を示し、考察を行う。その際、
スピーチレベルのそれぞれの項目の機能をより総合的に捉えるため、 「全ての発話文
の発話文末のスピーチレベル」、 「実質的発話文の発話文末のスピーチレベル」、
「実質的発話文からNMを除いた発話文末のスピーチレベル」という3つの観点から考 察を進める。
4.3.2.1.1全ての発話文の発話文末のスピーチレベル
ここでは、 「全ての発話文の発話文末のスピーチレベル」の分析結果を示すが、ま ず、それの全体像が分かるように日本語と韓国語におけるベースの総発話文数に占め
るスピーチレベルの「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカーのない発 話(NM)」の使用割合の平均値と使用頻度を、以下の図7に示す。
言語 J
K
54.6(1695) 7」(221) 38.2(1186)
54.1(2034) 10.8(407) 35.1(1319)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
閨
図7全ての発話文における発話文末のスピーチレベルの使用割合の平均値と使用頻度
全ての発話文の発話文末のスピーチレベルの使用を見ると、日本語・韓国語ともに 敬体(P)の使用割合が54%以上ともっとも高い。ディスコース・ポライトネス理論の 観点からは、敬体(P)が初対面社会人二者間会話における無標スピーチレベルである
と言えよう。また、日本語は韓国語に比べ、丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)
の使用割合が相対的に高く、韓国語は日本語に比べ、常体(N)の使用割合が相対的に 高い。特に、分散分析の結果、常体(N)の使用においては、日本語と韓国語の間に有 意差が見られた(F値=5.227、p<0.05)。韓国語の常体(N)の使用が日本語に比べて多い
ことから、韓国語においては日本語に比べ、年齢などの対話相手との上下関係が言語 行動により影響を与えていると解釈できる。
以下に、日本人同士と韓国人同士の会話の中で、女性べ一スと年上の男性との会話 の例の一部を挙げ、 「全ての発話文の発話文末のスピーチレベル」の使用状況を述べ
る。
日本人同士の会話例(女性べ一スと年上の男性との会話)
発話
カ番
発話
カ終
ケ
話者 発話内容
発話
カ末
36 * OMO11月生まれ?。[↓]
NM
37 * BFO3 12月生まれなんくですけど〉{<}。 P
38 * OMO1 〈ああ、そうですか〉{〉}。 P
39 * BFO3 ええ。[小声で]
NM
40 * OMO1 12月の押し迫った頃に?。[↓]
NM
41 * BFO3 ちょうど真ん中あたりですねえ、〈ええ〉{<}。 P
42 * OMO1 〈ああ〉{〉}そうですか。 P
43 * OMO1やっぱりそうなのかなあ。[ひとりごと的] N
44 * BFO3 どちら、rJOMO1姓」さんは、どちらが…?。[→]
NM
45 * OMO1ぼくは、8月生まれなんです。 P
46 * BFO3 あ一、じゃあ、夏がお好きな〈ほうですか?〉{〈}。 P
47 * OMO1 〈ええ、夏の方が〉{〉}好きなんですね。 P
48 * OMO1で、僕は、北海道の出身ですから、寒い所の出身なんですけれども、
iう一ん)う、寒いの弱いんです。 P
49 * BFO3 ああ、そうですか。 P
50 * OMO1〈ええ一〉{<}。
NM
韓国人同士の会話例(女性べ一スと年上の男性との会話)
発話 発話 発話
文番 文終 話者 発話内容 文末
号 了
ズ1司叫神ロ1司旦叫号せ叶叡象艮番叫且.
84 * KBFO2 P
(あの後ろにそのミネルバ丘を全部なくしましたね。)
音,ユ・‖召吾辺音銀・司皇,
85 *
KOM1
P(うん、その話きいたことはあります。)
叫一.
86 * KBFO2
NM
(え一。)
。ト,叶叡叫ゑ干叫,
87 *
KOM1
N(あ、全部なくなったな。)
叫,已司升且忍書殼(男皇.
88 *
KOM1
P(あ、でも行ってみてはいなかったです。)
叫,旦入1望]司刈香,香含く司且〉{<}.
89 * KBFO2 P
(え、見ると少し、少しかな〈しいです〉{〈}。)
〈入じノ、トー1,「〉{〉}斗叫斗烈司,ユ司曽.
90 *
KOM1
N(〈さく、さく〉{〉}索漠しただろう、そしたら。)
叫司社昔吾司{言・司神望暑吾司正≡剖司菩。悟1ス1呈
旦烈≡司,〈叶早…〉{<}.
91 * KBFO2
NM
(はい、何か建物がたてられるとしたら、もちろん学校はもっとよくなるか
しれないけど、〈あまりにも…〉{〈}。)
〈司フ1亡〉{〉}司音司翌叩フ}叶司銀司皇,入レ豊書?〈妾音〉.
92 *
KOM1
P(〈ここは〉{〉}何か立てるところがありますかね、本当に?〈笑い〉。)
♀司酔丑叫望叫且,且フ1,皇フ1,皇註司叫フ1甚吾書句1(all)
召斗叶奴銀(ヰ且,升岳司.
93 *
KOM1
P(私たち学校通ってたときに、ここ、ここ、この前にこの運動場に(はい)家 が一軒ありました、真ん中に。)
。ト,〈早会る101皇?〉{<}.
94 * KBFO2 P
(あ一、〈何の家ですか?〉{〈}。)
〈書フ『誓,璽]フ『暑〉{〉}せ司フ}ス1ヱ7胆召奴銀司且.
95 *
KOM1
P(〈撤去を、撤去を〉{〉}しなくて個人の家がありました。)
〈臭旦屯神〉書書且?.
96 * KBFO2 P
(〈笑いながら〉本当ですか?。)
ユ自司,る。1竿音・ヰ升里叫殼・『且,
97 *
KOM1
P(だけど、家がへこんでいて下にありました。)
・}一.
98 * KBFO2(あ一。)
NM
以上の会話例から分かるように、日本語・韓国語ともに初対面会話という場面上の 特徴もあり、会話参加者同士の心理的距離が大きく、べ一ス側も、年上の対話相手の 側も敬体(P)がもっとも多く使われている。ただ、この会話例では、べ一スの方は、
年上の対話相手に対し、敬体(P)と丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の2種類の スピ・一一一・チレベルを使っているのに対し、年上の対話者の方は年下に当たるべ一スに対
して常体(N)も使っており、年齢という上下関係が言語形式に反映されていることが
窺える。
(1)ベースの性別による「全ての発話文の発話文末のスピーチレベル」の比較 以下では、べ一スの性別ごとの「全ての発話文の発話文末のスピーチレベル」の
「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)」の使用割合 と使用頻度を表20と図8に示す。
表20ベースの性別ごとの全ての発話文における発話文末のスピーチレベルの使用割合と使用頻度
話者
ュ話文末
JBF
JBM KBF KBM
P 64.6(1017) 44.4(678) 51.2(960) 57.0(1074)
N
5.9(93) 8.4(128) 12.7(238) 9.0(169)NM
295(465) 47.2(721) 36.1(677) 34.1(642)合計%(頻度) 100(1575) 100(1527) 100(1875) 100(1885)
100%
80%
60%
40%
20%
0%
47.2 36.1
29.5 34.1 T.9
U4.6
127 9.0
8.4
444 512 57.0
JBF JBM KBF KBM
話者
図8べ一スの性別ごとの全ての発話文における発話文末のスピーチレベルの使用割合
べ一スの性別ごとの、全ての発話文の発話文末のスピーチレベルの使用を見ると、
日本語の場合、女性べ一スは、男性べ一スに比べ、敬体(P)の使用割合が高く、常体
(N)と丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の使用割合が低い。韓国語は日本語と 反対の傾向を示しており、男性べ一スが女性べ一スに比べ、敬体(P)の使用割合が高
く、常体(N)と丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の使用割合が低い。なお、分 散分析の結果、日本語においては敬体(P)と丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の 使用に女性と男性間に有意差が見られ(敬体(P):F値=27.322、p<0.001、丁寧度を示 すマーカーのない発話(NM):F値=23.774、 p<0.001)、韓国語においては敬体(P)と常