閨
会話
図26実質的発話文における対話相手の性別に応じた語彙のスピーチレベルの使用割合
ベースの性別ごとに、実質的発話文における対話相手の年齢に応じた語彙のスピー チレベルの選択を見ると、日本語は謙譲語・尊敬語など(S)、敬体(P)、常体(N)の使 用において男女べ一スともに同性の対話相手に対してその使用割合がやや高くなって いることが分かる。このことから、日本語は語彙のスピーチレベルにおいては、同性 の対話相手に対して、より丁寧度の高い言語形式とより砕けた言語形式がともに多く
使われることが分かる。それに対して韓国語の場合は、謙譲語・尊敬語など(S)の使 用において、男女べ一スともに異性の対話相手に対してその使用割合がやや高くなっ ており、異性に対してより丁寧度の高い言語形式を使うということが分かる。
4.3.2.4発話文末が丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の場合のスピーチレベル ここでは、発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーがない発話(NM)の
場合、発話文末以外の部分のスピーチレベル、つまり、発話文全体と語彙のスピーチ レベルの使用様相を見ることによって、対人関係の調節が主に示されるとされている 発話文末に丁寧度を示すマーカー一一がない場合、対人配慮がどのように現れるかを調べ
る。
4.3.2.4.1発話文末が丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の場合の、実質的 発話文の発話文全体のスピーチレベル
ここでは、 「発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマ・一一一 カーがない発話(NM)
の場合の、実質的発話文の発話文全体のスピーチレベル」の使用割合を見ることによ って、対人関係の調節が主に示されるとされている発話文末に丁寧度を示すマーカー がない場合、対人配慮がどのように現れるかを調べる。以下では、 「発話文末のスピ ーチレベルが丁寧度を示すマーカ・一一一一・のない発話(NM)の場合の、実質的発話文の発話 文全体のスピーチレベル」の分析結果を示す。まず、その全体像が分かるように、日 本語と韓国語におけるベースの総発話文数に占めるスピーチレベルの「敬体(P)」、
「常体(N)」の使用割合の平均値と使用頻度を、以下の図27に示す。
言語 J
K
14.2(82) 22.6(130) 63.2(364)
4.1 38.9(227) 56.9(332)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図27発話文末がNMの場合、実質的発話文における発話文全体のスピーチレベルの使用割合の 平均値と使用頻度
日本語・韓国語ともに、発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーのない 発話(NM)である場合、実質的発話文における発話文全体のスピーチレベルも丁寧度 を示すマーカーのない発話(NM)である割合は56%以上ともっとも高くなっている。
このことは、発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の 発話文の56%以上が、発話文末以外でも述語として働く動詞を含んでいないことを意 味する。日本語の方は韓国語に比べ敬体(P)、韓国語の方は日本語に比べ常体(N)の 使用割合が高くなっており、分散分析の結果においても、敬体(P)と常体(N)の使用 において両言語間に有意差が見られた(敬体(P):F値二19.321、p<0.001、常体(N):F 値=20.391、p<0.001)。これは、韓国語の複文や重文などにおける従属節や前節には、
日本語に比べ、敬体(P)が来にくい文構造となっていることとも関係があると考えら
れる。
(1)ベースの性別による「発話文末が丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の場 合、実質的発話文の発話文全体のスピーチレベル」の比較
以下では、発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーがない発話(NM)の 場合の、べ一スの性別ごとの、実質的発話文の発話文全体のスピーチレベルの「敬体
(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)」の使用割合と使用 頻度を表35と図28に示す。
表35発話文末がNMの場合、べ一スの性別ごとの実質的発話文における発話文全体のスピーチ レベルの使用割合と使用頻度
話者
ュ話文全体
JBF
JBM KBF KBM
P 17.8(41) 11.8(41) 2.5(9) 6.6(15)
N
22.2(51) 22.8(79) 40.6(145) 36.3(82)NM
60.0(138) 65.3(226) 56.9(203) 57.1(129)合計%(頻度) 100(230) 100(346) 100(357) 100(226)
100%
80%
60%
40%
20%
0%
60.0 65.3 56.9
S0.6
57」
R6.3 22.2
22.8
17.8 1t8
JBF JBM KBF KBM
圏
話者
図28発話文末がNMの場合、ベースの性別ごとの実質的発話文における発話文全体のスピーチ レベルの使用割合
発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーがない発話(NM)の場合の、ベ ースの性別ごとの、実質的発話文の発話文全体のスピーチレベルを見ると、日本語で は、女性べ一スが男性ベースに比べ、敬体(P)の使用割合が高く、常体(N)と丁寧度 を示すマーカーがない発話(NM)の使用割合が低い。韓国語は日本語と反対の傾向を 示しており、男性べ一スが女性べ一スに比べ、敬体(P)の使用割合が高く、常体(N)
の使用割合が低い。なお、分散分析の結果、韓国語においては敬体(P)の使用に女性 と男性間に有意差が見られた(F値二4.716、p<0.05)。以上のことから、発話文末のス ピーチレベルが丁寧度を示すマーカーがない発話(NM)の場合も、発話文全体におい ては、日本語は女性が、韓国語は男性が、言語形式の丁寧度の高い表現をより多く使
う傾向にあることが分かる。
(2)対話相手の年齢による「発話文末が丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)の 場合、実質的発話文の発話文全体のスピーチレベル」の比較
ここで、発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーがない発話(NM)の場 合、実質的発話文の発話文全体のスピーチレベルの「敬体(P)」、 「常体(N)」、
「丁寧度を示すマーカーのない発話(NM)」が対話相手の年齢に応じてどのような分 布を示しているかを、べ一スの性別という要因と合わせて調べてみる。
以下では、べ一スの性別ごとに、発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカ ーのない発話(NM)の場合、実質的発話文における対話相手の年齢に応じた発話文全 体のスピーチレベルの「敬体(P)」、 「常体(N)」、 「丁寧度を示すマーカーのない 発話(NM)」の使用割合と使用頻度を表36と図30に示す。
表36発話文末がNMの場合、実質的発話文における対話相手の年齢に応じた発話文全休の スピーチレベルの使用割合と使用頻度
会話
ュ話文全
JBF
JBM KBF KBM
0 S
Y
0 SY
0 SY
0 SY
P 15.4
i12)
21.7 i13)
17.4 i16)
21.0 i25)
8.3
i9)
5.9
i7)
3.1
i3)
1.5
i2)
3.3
i4)
13.2 i9)
4.6
i3)
3.2
i3)
N
28.2i22)
20.0 i12)
18.5 i17)
17.6 i21)
22.9 i25)
28.0 i33)
40.2 i39)
44.5 i61)
36.6 i45)
32.4 i22)
41.5 i27)
35.5 i33)
NM
56.4i44)
58.3 i35)
64.1 i59)
61.3 i73)
68.8 i75)
66.1 i78)
56.7 i55)
54.0 i74)
60.2 i74)
54.4 i37)
53.8 i35)
61.3 i57)
合計%
i頻度)
100
i78)
100
i60)
100
i92)
100
i1ユ9)
100
i109)
100 i118)
100
i97)
100
i137)
100
i123)
100
i68)
100
i65)
100
i93)
図29発話文末がNMの場合、実質的発話文における対話相手の年齢に応じた発話文全体の スピーチレベルの使用割合
べ一スの性別ごとに、発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーのない発 話(NM)の場合、実質的発話文における対話相手の年齢に応じた発話文全体のスピー チレベルの使用を見ると、敬体(P)の場合は、日本語・韓国語ともに男性べ一スの場 合は、対話相手の年齢に比例している。なお、分散分析の結果、日本語の敬体(P)の 使用においては、年上と年下の間に有意差が見られた(F値=4.598、p<0.05)。また、
日本語の男性べ一スは有意差は見られなかったが、常体(N)の使用割合が対話相手の 年齢に反比例している。以上のことから、日本語・韓国語ともに、男性べ一スは、通 常、対話相手の待遇を表すとされている発話文末に「丁寧度を示すマーカー」がない
場合に年上に対してより丁寧度の高い言語形式を使うという「敬語使用」の規範に 従っていることが分かるが、その傾向は日本語の男性べ一スに顕著であると言えよう。
以下に、日本人同士と韓国人同士の会話の中で、男性べ一スと年上の男性との会話 の一部を挙げ、 「発話文末のスピーチレベルが丁寧度を示すマーカーのない発話(N M)の場合、実質的発話文における発話文全体のスピーチレベル」の使用例を見る。
日本人同士の会話例(男性べ一スと年上の男性との会話)
発話
カ番
発話
カ終
ケ
話者 発話内容 発話
カ末
発話
カ全
フ
発話 カタイ
@プ
155 * OMO1 〈ね、〉{〉}もうね、あの一、安く、(はい)だからデフレに ヒ、(はい)加担してく笑いながら〉ますよ。
P P SB
156 * BMO1 や、デフレは〈笑いながら〉、なかなか嬉しいことですか 轤ヒ、(え一)われわれ消費者にとってみれば。
P P SB
157 * OMO1 え一、ね、それはいいんですけどね、景気が悪くなると ヒ、良くないですよね一。
P P SB
158 * BMO1 〈あ一〉{<}。
NM NM
BA159 * OMO1 〈だから〉{〉}ものの値段がさがるのは(はい)いいんで キけどもね、(はい)給料まで下がるとね、やまないんです 謔ヒ〈笑い〉。
P P SB
160 * BMO1 ま、確かにく二人笑い〉。
NM NM
SB161 * BMO1 ですけど、給料はまあ、物価指数変更、連動している部 ェもありますから、(え一え一)そういう意味で、切り下げら 黷トも(うん)実賃金が維持できれば…。
NM
P SB162 * OMO1そうですね、ま、だからま一、最悪維持してればね、(はい)
「いと思うんですよね。
P P SB
韓国人同士の会話例(男性べ一スと年上の男性との会話)
発話
カ番
発話
カ終
ケ
話者 発話内容 発話
カ末
発話
カ全
フ
発話 カタイ
@プ
12 * KBMOl 。ト,菩入1号里章1畏・1銀旦但くフ}、且?〉{<},
iあ一、もしかして特別な意味がありま〈すか〉{〈}。)
P P SB
13 *
KOMO2
〈・L>{>B…王叡音月叫=.i〈あ、〉{〉}意味もないです=。)
P P SB
14 *
KOMO2
=ユ珪司暑音・1ス回手杢1・悟。1〈」社〉{<}.i=ただ上の人に作っていただいた名前な〈ので〉{<}。)
N N SB
15 * KBMO1 〈「KOMO201号」〉{〉}.
i〈「KOMO2の名前」〉{〉}。)