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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 知ね んたかし 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第658号

学 位 授 与 年 月 日 令和4年3月23日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 ビッグデータを用いた高齢者切除不能・再発胃癌一次化学療法の有用性 に関する後方視的研究

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 菅 原 斉

(委 員) 教 授 田 中 大 介 准教授 三重野 牧 子

論文内容の要旨

1 研究目的

高齢者進行胃癌一次治療の有効性と安全性を、リアルワールドデータを用いて明らかにする。

2 研究方法

この研究は、後方視的コホート研究であり、熊本県の2012年〜2017年と栃木県の2014年〜2019 年の後期高齢者医療制度と国民健康保険の診療報酬請求のレセプトデータを組み合わせた、約170 万人分のデータベースを使用した。

オキサリプラチンとシスプラチンのレジメンを受けた進行胃癌の患者を組み入れた。オキサリプ ラチンが選択される傾向スコアを求め、その overlap weightingの重み付けを実施し、オキサリ プラチンの治療群とシスプラチンの治療群群の間で、化学療法期間中の、全生存期間と顆粒球コ ロニー刺激因子製剤の使用を比較した。

3 研究成果

242人の患者が、研究対象となった。傾向スコアの重み付け後、カプランマイヤー分析では、両 群間で全生存期間に有意差は示されなかった(ハザード比1.06、95%信頼区間 0.56-1.99、p = 0.86)。

しかし、顆粒球コロニー刺激因子製剤を投与された患者の割合は、オキサリプラチン群の方がシ スプラチン群よりも有意に低かった(オッズ比0.09、95%信頼区間0.002-0.70、p = 0.01)。

4 考察

先行研究の結果と本研究の結果に一貫性がなかったが、プラチナ製剤の投与量を適切に減量する ことが生存期間に良い影響を与えた可能性があり、高齢者への害が少ないため全生存期間が延長 された可能性がある。外来で施行可能なオキサリプラチンのレジメンが、高齢者には好ましい可 能性がある。

5 結論

高齢者進行胃癌の実臨床において、オキサリプラチンのレジメンは、シスプラチンのレジメンと

(2)

比較して、生存時間に有意な差はなく、顆粒球コロニー刺激因子製剤の使用が少なかった。この 結果は、高齢者胃癌を治療する上でレジメン選択をする際に有用な情報となる。

論文審査の結果の要旨

申請者は、はじめに、臨床研究を志した理由について、2つの副論文を題材にして説明した。

学位論文においては、熊本県と栃木県のレセプトビッグデータを解析した。その結果、70歳以 上の高齢者の切除不能・再発の進行胃癌の化学療法において、オキサリプラチンのレジメンは、

シスプラチンのレジメンと同等の生存期間であり、G-CSFの使用が少なかったことを示した。こ の新知見は、今後の高齢者の進行胃癌の化学療法に有益な情報をもたらすと考えられるため、学 位論文として相応しいと評価できた。

審査員からとの質疑応答においても、適切に回答していた。また、約170万人分に上るビッグ データを扱いながらも最終的な解析対象者数が242人に留まった理由も、精緻な考察を行うため 厳密に除外基準を適用したことによるものであり、申請者が示したデータ取得上の研究限界も含 めて統計的な比較検証の有意性を損ねるものではないことが確認された。学位論文の英文版は、

既にBMC Cancer誌 に投稿中である。

論文審査の結果は合格とする。しかし、学位論文については、その精緻性を担保するために、

審査員から指摘された部分に対する学位論文の改訂、または、改訂しない場合にはその回答を要 請する。修正された学位論文と回答を審査員3名で精査した後に、「試験の最終結果」を報告する ことにする。

Major points

1) 表題の「高齢者胃癌」を論文内容に相応しい表現に修正して下さい。

例:高齢者切除不能・再発胃癌? 進行胃癌? 切除不能進行再発胃癌?

2) レセプトの「死亡」の抽出条件を記載して下さい。レセプトデータの「死亡」の確からしさ を検証した論文があれば引用して下さい。

3) P10 検討した共変量のデータに関する欠測状況について言及してください。もし多いよう であれば、結果への影響について考察する必要があります。

4) Line 17 死亡例のうち、「レセプト最終日を打ち切りとした」割合を記載して下さい。打ち切

り例は、死亡例としましたか、それとも打ち切り例としましたか。

5) P12 擬似集団の作成にあたって34番の文献は適用例として参考になるものの、対象疾患も 違うため、本研究の対象者に対して用いた方法の選択根拠として引用するには不十分と考え ます。より適切な論文を引用してください。

6) P18 重み付け前の対象者で、熊本県と栃木県の組み入れ率を示して下さい。

7) P19 「追跡期間」は、生存期間と考えられます。カプランマイヤー生存曲線のパラメーター として、累積生存率、1年生存率を記載して下さい。

8) 表1の重み付け後の症例数と、図2の時点0の症例数の不一致について、確認してください。

9) P21「調査した最初の研究」とのことですが、次の論文を引用するべきではないでしょうか。

Zhong DT, Wu RP, Wang XL, Huang XB, Lin MX, Lan YQ, Chen Q. Combination Chemotherapy with S-1 and Oxaliplatin (SOX) as First-Line Treatment in Elderly

(3)

Patients with Advanced Gastric Cancer. Pathol Oncol Res. 2015 Sep;21(4):867-73. doi:

10.1007/s12253-015-9903-1. Epub 2015 Feb 4. PMID: 25648439.

10) 異なる2地域(2県)のデータベースを利用しているが、共変量や最終データセット、考察 等の中で地域差の検討について全く言及されていないので、追記して下さい。

Minor points

1) P3 「毒性が少ない」→具体的にどんな毒性なのかを記載して下さい。

2) P4 「様相が異なっている」→具体的に記載して下さい。

3) P6, P7を含めて、 全ての初出において、Abbreviationsを記載して下さい。

4) P7 Lines 9-13 わかりにくいので、短い文章で改訂して下さい。

5) P7 静脈認証とは? 指ですか、手掌ですか、その他ですか?

6) P7 Line 17 「データの授受は行われず」→「何処とのデータの授受」ですか?

7) P8 Line 4 「目的とするもの」を具体的に示して下さい。

8) P9 Line 5 「結腸切除後」を含んでいる理由は? 「シスプラチン」を含んでいな

い理由は?

9) P9 Line 8 「70歳未満」をはじめに除外しなかった理由は?最初の抽出段階で、70 歳以上を選ばなかった理由は?

10) P9 Line 16 S-1投与の有無を確認していますか。

11) Lines 15-16 正 規 分 布 で は な い と 考 え ら れ る の で 、 中 央 値 と 四 分 位 ま た は

2.5-97.5%タイルにするべきではないでしょうか。

12) P18モデルから除外された「その他(%)」を学位論文にも付記して下さい。

最終試験の結果の要旨

学位論文においては、熊本県と栃木県のレセプトビックデータを解析し、70歳以上の高齢者の 切除不能・再発の進行胃癌の化学療法において、オキサリプラチンのレジメンは、シスプラチン のレジメンと同等の生存期間であり、G-CSFの使用が少なかったことが示された。なお、約170 万人分に上るビッグデータを扱いながらも、最終的な解析対象者数が242人に留まった理由も、

精緻な考察を行うため厳密に除外基準を適用したことによるものであり、申請者が示したデータ 取得上の研究限界も含めて統計的な比較検証の有意性を損ねるものではないことが確認された。

最終的な学位論文の改訂も適切になされ、BMC Cancer誌に投稿中であることを確認した。この 研究の新知見は、今後の高齢者の進行胃癌の化学療法に有益な情報をもたらすと考えられるため、

学位論文として相応しいと評価できた。

審査員との質疑において、申請者は適切に回答できた。同一データベースを利用したキノロン 薬とアキレス腱断裂に関する副論文、また、化学療法におけるジェネナラル・プラクティショナ ーの役割のアンケート調査による副論文は既に国際ジャーナルに掲載されており、臨床研究に対 する熱意も評価でき、周辺領域の知識も充分であった。

学位論文、国際誌に掲載された2つの副論文、大学院で臨床疫学の習得状況も評価し、審査員 の全員が一致して、候補者の科学的素養と態度は、学位に値するものと判断した。

参照

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