• 検索結果がありません。

論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2025

シェア "論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

氏 名 前田ま え だ 章光あきみつ 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 698号

学 位 授 与 年 月 日 平成 27年 2月 23日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 クロピドグレルとチクロピジンの抗血小板効果に及ぼす CYP2C19 遺伝 子多型の影響の相違に関する研究

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 岩 本 禎 彦

(委 員) 教 授 西 村 智 准教授 緒 方 信 彦

論文内容の要旨

1 研究目的

クロピドグレルは経皮的経血管的冠動脈形成術後の心血管系イベント抑制のために使用が推奨 されているチエノピリジン誘導体の抗血小板薬である。その薬効発現には、主にシトクロムP450

(CYP)2C19による代謝が必要であることから、CYP2C19機能喪失型対立遺伝子保持者はその 抗血小板効果が減少し、ステント血栓症などの心血管イベントの発症リスクが増大することが報 告されている。日本人では CYP2C19 遺伝子多型の頻度が高いことから、CYP2C19 遺伝子多型 に基づく個々の効果的な抗血小板療法を確立する必要がある。

わが国で使用されてきたもう1つのチエノピリジン誘導体であるチクロピジンは、クロピドグ レルと同様の抗血小板効果を有し、ステント血栓症など重大な心血管イベントを抑制する効果が 認められているが、その薬効にCYP遺伝子多型が影響を及ぼしたとの報告はなく、CYP2C19遺 伝子多型患者に対して有効な治療法となる可能性がある。

そこで本研究では、日本人の冠動脈疾患患者に対するクロピドグレルとチクロピジンの血小板 凝集抑制効果に及ぼす CYP2C19 遺伝子多型の影響を明らかにすることで、チクロピジンが

CYP2C19機能喪失型対立遺伝子(CYP2C19*2, *3 )保持者においても充分な薬効が得られるか

否かを検討した。

2 研究方法

愛知県立循環器呼吸器病センターの入院・外来患者のうち、アスピリン(100 mg/日)単剤を服 用中の成人患者と、アスピリン及びクロピドグレル(75 mg/日)またはチクロピジン(200 mg/

日 分2)を4週間以上併用している成人の冠動脈疾患患者を対象とした。なお、対照群として健 康人からも検体採取を行った。また、高度の貧血(ヘモグロビン濃度<8 g/dL)を有する者、採 血前 7日以内の服薬コンプライアンスが不良の者、7日以内に血液凝集に影響のある薬物を服用 した者は対象より除外した。文書により同意を取得後、静脈血を採取し ADP(5、20 µM)によ る血小板凝集能(最大血小板凝集及び10分後の残存凝集)を測定するとともにCYP2C19遺伝子 多型解析(*2, *3)を行った。

(2)

3 研究成果

被験者は日本人計 165名であり、アスピリン+クロピドグレル併用群は 97名、アスピリン+

チクロピジン併用群は47名、アスピリン単剤服用群は21名、健康人は9名であった。CYP2C19 遺伝子多型の割合はCYP2C19 *1/*1, *1/*2, *1/*3, *2/*2, *2/*3, *3/*3 がそれぞれ 33%, 36%, 14%, 8%, 8%, 0.6%と過去の本邦における構成比率と同程度であった。

抗血小板薬併用群は両群とも、アスピリン単剤服用群と比較し、有意に血小板凝集能は低下し ていた。しかし、CYP2C19 遺伝子多型別のクロピドグレル群の血小板凝集能は、CYP2C19 extensive metabolizer (EM):CYP2C19*1/*1、intermediate metabolizer (IM):CYP2C19*1/*2,

*1/*3、poor metabolizer (PM):CYP2C19*2/*2, *2/*3, *3/*3の順に高値であり、特にPM患 者の最大凝集能はアスピリン単独群と同等であった。一方、チクロピジン群では血小板凝集能に

対するCYP2C19遺伝子多型の影響は認めず、いずれの遺伝子型の患者でも血小板凝集能はクロ

ピドグレル群のPM患者より有意に低値であった。さらに、クロピドグレル群のPM患者7名に おいてクロピドグレルをチクロピジンに変更したところ、すべての患者で血小板凝集能の低下を 認めた(残存凝集:33.4±9.4% v.s. 17.3±5.6%、p<0.01)。

4 考察

本研究の結果、日本人においても過去の海外での報告と同様に、CYP2C19 機能喪失型対立遺 伝子(CYP2C19*2 or/and *3)を保持している患者では、その他の患者と比較してクロピドグレ ルによる抗血小板凝集効果は小さいことが明らかとなった。一方、チクロピジン服用患者の血小 板凝集能は、CYP2C19 のすべての遺伝子多型において有意な抗血小板凝集効果を認めた。この ことは、in vivoにおいて、チクロピジンの活性代謝にはCYP2C19活性が必須ではないことを示 唆している。また、CYP2C19 PM患者においてクロピドグレルからチクロピジンへ服用薬を変更 したところ、すべての患者で血小板凝集能が低下した。この結果より、クロピドグレルの効果が

減弱するCYP2C19 PM患者においても、チクロピジンは強い血小板凝集抑制効果を有しており、

CYP2C19 PM 患者に対するチクロピジン投与は心血管イベントのリスク軽減に寄与するものと

考えられた。

5 結論

冠動脈疾患を有する日本人患者において、CYP2C19 機能喪失型遺伝子を有する場合にはクロ ピドグレルの抗血小板凝集効果が減弱することが明らかになった。一方、チクロピジンはクロピ ドグレルとは異なり、抗血小板作用発現にCYP2C19遺伝子多型の影響はなく、CYP2C19 PM患 者においても有効であることが示唆された。

(3)

審査の結果の要旨

論文は、薬学系の雑誌として評価の高い「Clinical Pharmacology & Therapeutics」に2011年 発表した内容を中心に、さらに症例を増やして雑誌「医療薬」に発表した内容を加えて良くまと められていた。しかし、口頭試問における発表に比べ、研究の背景と方法についての説明が不十 分と感じられ、この点、修正を求めた。この求めに対し、発表者は、適切に論文を修正し、審査 委員会は全員一致でこれを博士論文として十分な内容であると判定した。

試問の結果の要旨

発表は、チェノピリジン誘導体薬物であるクロピドグレルあるいはチクロピジンを使用してい る成人の冠動脈疾患患者を対象に、それらプロドラッグの活性化に関わるシクロトム P450

(CYP2C19)の機能喪失型多型が血小板凝集能に及ぼす影響に関する研究の背景、研究デザイン、

対象者のリクルート、実験方法、そして、その成績を中心に紹介された。研究の背景を含め丁寧 かつ明快に行われ、発表後の質問に対しても適切に応答し、当該分野に対する深い見識を示した。

また、CYP2C19の関与なく直接血小板P2Y12受容体を抑制する薬剤の臨床応用が進んだことに

よる、本研究の限界についても紹介した。これらの発表と質疑応答に対し、審査委員は満場一致 で合格と判定した。

参照

関連したドキュメント

づく補正を行うことができるため、移植後生存については QOL に影響を与える活動性移植片 対宿主病GVHDの有無によって割り当てる期待効用を区別した QOL 補正ありの解析となしの 解析の二通りで行った。これらの結果はすべての移行確率と活動性 GVHD を伴った移植後 10 年生存の期待効用に関して、変動の合理的範囲内で値を動かして感度分析を行うことで、そ

使用量について検討した。有効性については病理学的な評価が十分に行える検体を提出できるこ ととし、一括切除率・R0切除率について検討した。安全性については偶発症の有無、特に穿孔と 後出血について検討した。熟練医と非熟練医の施行したESDで有効性・安全性に違いがあるか についても検討した。切除標本径、剥離速度、術者が熟練医かどうか、腫瘍の深達度はヒアルロ

4 考察 IL-21 遺伝子導入は T 細胞において STAT3 のリン酸化を惹起したが、CD19-CAR の抗腫瘍 効果を増強しなかった。その理由として、第一世代と異なり、CD28 を構造内に含む第二世代 CD19-CARは T 細胞を十分に活性化できるため、サイトカインによる追加シグナルを必要とし ない可能性が挙げられる。また、IL-21

はいずれに対しても有効であることが確認できた。ヒトNAFLDの自然史を模倣する動物モデル を用いて、かつ肝発癌まで含めてProbioticsの有効性を確認したのは筆者の知る限り今回が初め てである。また Probiotics により酸化ストレスの低減を確認でき、これまでの NAFLD への Probiotics

を施行)。これらの項目を変数として測定し、次の2つの研究を実施した。 ① CDI と実際の健康状態変化との関連 健康状態変化に対する代替的なアウトカムとして「搬送後入院の有無」を用いた。3 ヶ月の研究 期間(2011 年 9-11 月)における全 20 施設の介護記録をレビューし、「医療機関に救急受診した

2.薬物の効果について明確な道筋を示した研究ではないことをLimitationに明記する 3.仮説の図から今回は検討されていない「慢性痛」を削除する 4.神経結紮マウスの運動量が低下していないことを検証できていないことはLimitationに記載 し,過去の報告から運動量低下の可能性が低いことを考察する.また,結紮した神経以外の領

の遺伝子発現が低下した。よってReal-time PCR での解析結果と同様、ストレスがmBD-3の 遺伝子発現を低下させることが明らかとなった。また、免疫組織化学染色では mBD-3 のタン パク発現が角化層に認められたのに対し、in situ hybridizationではmBD-3の遺伝子発現は

リスク因子として同定された(T; OR 7.65, 95% CI 1.70-34.5, P =0.00812, 癌部rSAT; OR 2.76, 95% CI 1.06-7.16, P =0.0368)。 今回の対象の中には、BRCA変異を代表とする遺伝的要因が関わる患者が含まれていると考えら