• 検索結果がありません。

論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2025

シェア "論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

氏 名 山本やまもとけい 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第775号

学 位 授 与 年 月 日 令和 元年 8月 22日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 リハビリプログラムを包括した新たな急性心筋梗塞のリスク分類につい ての検討

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教授 苅 尾 七 臣

(委 員) 教授 宮 下 洋 教授 石 川 鎮 清

論文内容の要旨

1 研究目的

昨今の治療法の進歩により急性心筋梗塞(AMI)の臨床予後は劇的に改善したが、リスク別に おけるリハビリテーションプログラムは十分に確立されていない。また、限られた医療資源から、

急性心筋梗塞患者の安全に入院期間を短縮できるプログラムが必要である。我々は実際の臨床の 中で院内リハビリテーションに準じた独自の AMI のリスク分類を導入した(novel AMI Risk

Stratification;nARS)。この研究の目的は、nARSによるリスク別の入院中および中期臨床予後

を比較すること(研究1)、またnARS開始前と開始後の入院期間を比較すること(研究2)により、

nARSによるリスク分類の正当性を示すことである。

2 研究方法

研究1:2015年4月から2016年6月まで当施設で治療したAMIの患者を対象とした。さら

にそれらの患者を低リスク群(Lリスク)(n=108)、中リスク群(I リスク)(n=72)、高リスク群 (H リスク)(n=112)に nARS に沿って分けた。主要エンドポイントは主要有害心臓イベント (MACE)であり、それらは全死亡、心臓死、非致死性心筋梗塞、ステント血栓症、虚血性標的病 変血行再建、虚血性標的血管血行再建を含み、リスク別にMACEを比較した。

研究 2:2014 年 4 月から 2016 年 9 月まで当院で治療した AMI 患者のうち、nARS 開始前

(pre-nARS群)、nARS開始後(nARS群)に分類し、それぞれのCCU滞在日数、総入院期間、

院内イベントを比較した。また、研究1で分類したL、I、Hリスクをpre-nARS群に当てはめ、

それぞれequivalent L (eL)リスク群、equivalent I (eI)リスク群equivalent H (eH)リスク群とし、

各リスク別(eL vs Lリスク群、eI vs Iリスク群、eH vs Hリスク群)においてもCCU滞在日数、

総入院期間、院内イベントを比較した。

3 研究成果

研究1:MACEはHリスクでもっとも多く(26.8%)、Iリスクで次いで多く(5.6%)、Lリスクで

(2)

もっとも少なかった(1.9%)(P <0.001)。CCU滞在日数、総入院日数はLリスクで最も短く(CCU 滞在日数 1.0±1.0日; 総入院日数 5.6±3.2日)、Iリスクが続き(CCU滞在日数 2.3±1.8日; 総入院 日数 8.1±2.7日)、Hリスクが最長であった (CCU滞在日数、5.1±5.0日; 総入院日数、14.6±12.6 日) (CCU滞在日数、 P <0.001; 総入院日数、 P <0.001)。

研究2:CCU 滞在期間は、nARS 群(2.8±3.5日)がpre-nARS群(4.4±5.4 日)と比較して有意に 短かった(P <0.001)。全入院期間も同様にnARS群(9.4±8.9日)がpre-nARS群(13.4±12.8日)と比 較して有意に短かった(P <0.001)。Lリスク群(1.1±1.0日)のCCU滞在期間は、eLリスク群(2.2±1.1 日)と比較して有意に短く(P <0.001)、全入院期間においてもLリスク群(5.5±3.0日)がeLリスク 群(8.0±2.5日)と比較して有意に短かった(P <0.001)。Iリスク群(2.8±3.5日)のCCU滞在期間は、

eI リスク群(4.4±5.4 日)と比較して有意に短く(P <0.001)、全入院期間においても I リスク群 (8.0±2.5日)がeIリスク群(11.7±4.3日)と比較して有意に短かった(P <0.001)。Hリスク群(5.0±4.8 日)のCCU滞在期間は、eHリスク群(7.1±7.8日)と比較して有意に短く(P <0.001)、全入院期間に おいてもHリスク群(14.6±12.7日)がeHリスク群(20.1±18.3日)と比較して有意に短かった(P = 0.002)。

4 考察

研究1において、CCU滞在日数、総入院日数ともにLリスクで最短であり、Iリスクが続き、

Hリスクが最長であること、またMACEの割合はHリスクが最も高く、Iリスクが続き、Lリス クが最も低かったことより、nARS による重症度分類が妥当であると思われた。日本のガイドラ

インではKillip 1の軽症と思われるAMI患者でも14日のリハビリプログラムを推奨しており、

本研究では特にLリスク患者において入院期間を短くできると思われる。研究2においてnARS 導入前と比較してnARS導入後で有意にCCU滞在期間、そう入院期間を減少でき、加えて28日 以内の予定外の心血管由来の再入院も同等であることより、安全性を損なうことなくリハビリお よび退院できることも示すことができた。

これまでのAMI後リハビリテーションのエビデンスは退院後、もしくはAMI発症1週間後の ものが多く、本研究の nARS のような超急性期から導入したものは少なく、超急性期から cardiopulmonary exercise testing (CPX)までの架け橋となりうる。また日本の都市部や非都市部 いずれもAMI患者の病床は限られており、入院期間を減少させるnARSにより多くのAMI患者 の病床を確保できると思われ、地域医療システムのために貢献できると考える。

5 結論

我々はnARSに沿ってAMI患者をLリスク、Iリスク、およびHリスクに分類した。全入院 期間、CCU滞在期間は有意にLリスク、Iリスク、Hリスクの順に短かった。MACEはHリス クに最も多く認められ、ついでIリスク、最も少なかったのはLリスクであった。さらに、CCU 滞在期間および全入院期間はpre-nARS群と比較してnARS群で有意に短縮でき、これらは各リ スクにおいても同様であった。これらの結果によりnARSによるリスク分類の妥当性が示された。

(3)

論文審査の結果の要旨

本学位論文は、急性心筋梗塞患者のプラクティカルな指標に初期治療を加味したリスク層別化 を新規に考案し、その層別化に基づき心臓リハビリテーションプログラムを変え、その効果を予 後と入院期間の観点から明らかにした。 本研究で提示した層別化した分類は主に入院中の予後 予測と入院期間の短縮に寄与した。

本研究の独自性は従来の患者特性と病態に基づくリスク層別化分類に加えて、初期治療と入院 中のリハビリテーションによる治療経過を加味した点にある。さらに、リスク層別化に選択した 個々の項目の妥当性とその検証に今後の発展性がある。

本研究論文は実地臨床に即したユニークな臨床研究であり、今後の急性心筋梗塞患者の急性期 診療に役立つ点が大きく評価され、本学学位論文に値すると判断した。

試問の結果の要旨

申請者は、急性心筋梗塞患者のプラクティカルな指標に初期治療を加味したリスク層別化を新 規に考案し、その層別化に基づき心臓リハビリテーションプログラムを変え、その効果を予後と 入院期間の観点から検討した研究内容を発表した。

本研究は、臨床に即したユニークな臨床研究であり、申請者は、下記の質問に対しても、第一 線で実地臨床を精力的に行い、自立した医学研究者の視点からその客観的評価と改善を試みてき た努力が十分にわかる受け答えであり、全員一致で合格とした。

1.リスク層別化に選んだ項目の選択コンセプトは何か?

2.心不全、糖尿病、人工透析、他の心血管イベントなども重要ではないか?

3.新リスク層別化に応じたリハビリテーションスケジュール決定の根拠は何か?

4.リハビリ過程で分類が変更されたグループの特徴と、この群を含めた最初の層別化群で ITT 解析の結果はどうか?

5.Kaplan-Meyer曲線では予後はごく初期に決定されている。短期予後の層別化に役立つ研究

か? 長期的には役立たない?

6.28日以内に再入院となった患者の特徴とトリガー疾患は? 特にL群とI群でどうか?

7.研究 2では、時期の異なる対象群では、心筋梗塞の定義、薬物治療の構成、その他の治療な どは、かなり異なる可能性がある。

8.新リスク層別化による入院期間短縮のアウトカムで、安全性評価に関わる比較が有意ではな いものの新リスク層別化後の方に再入院が多いことに関する考察はどうか?

参照

関連したドキュメント

た。さらに、horseradish peroxidase HRP を血漿成分のトレーサーとして静注した後に、 diaminobenzidine DAB 発色させた試料を透過型電子顕微鏡で観察した。 3 研究成果 肺水腫群は左肺の再膨張直後から10秒以内に左肺全体に斑状発赤が出現した。再膨張性肺水腫は

唆される。 SHRにおいて、リラグルチドの反復投与2週間後に、孤束核でc-Fos発現が亢進し、尿中ノル エピネフリン排泄量が低下した。リラグルチド脳室内投与による慢性の血圧上昇抑制作用は、孤 束核活性化を介した交感神経抑制による可能性が示された。この際、血漿レニン活性に変化はな く代償性の活性がみられなかったことから、腎交感神経も抑制されレニン活性が抑制されたまま

2 研究方法 CRに表面処理を行うために使用するMPCポリマーを自ら合成して得た.得られたMPCポリ マーに対してフーリエ変換赤外分光法FT-IR,核磁気共鳴分光法NMRを用いてMPCポリマー の有する官能基と構造の解析を行った. MPCポリマーと重合開始剤カンファーキノンをエタノールに溶解させた溶液をCR表面に小

を用いてヒト T 細胞を選別し、FACS、電子顕微鏡、リアルタイム定量 PCR、細胞外フラックスア ナライザーを用いて解析した。 統計解析 t検定または一元配置分散分析とボンフェローニの事後比較検定を、PrismまたはEZRソフトウ ェアを用いて行った。 3 研究成果 MHC+/+ NOGとMHC-/-

アンドロゲン遮断状態で培養し,AR経路の下流で発現制御されるPSAの蛋白発現をウェスタン ブロットで評価した. 第三に,RBM14 とARとの相互作用を検証するため,HEK293T細胞にFLAG標識RBM14 とARを共発現させて免疫沈降法を行った.さらに,RBM14とlong non-coding RNAとの相互

INVOS 5100C 無侵襲混合血酸素飽和度監視システム(Covidien Japan、Tokyo、Japan)を用 いて利き手と反対側の優位半球と考えられる前額部で脳内局所酸素飽和度を測定した。脳内rSO2 値を測定した同日の臨床検査値を解析に使用し、認知機能は Mini-Mental State Examination (MMSE)を用いて評価した。

亡(non relapse mortality:NRM)を評価し、ROC曲線を用いてCRP値の適切な閾値と感度、 特異度を検討する。 2リンパ腫と多発性骨髄腫に対する自家末梢血幹細胞移植施行前CRP値による感染症発症予測 前処置施行前の血清CRP値を測定し、その後の感染症発症予測をROC曲線を用いて評価する。

値として鋭敏に反映する可能性がある。そのため、新生児期の方がそれ以降の時期よりも、FPIES 診断におけるMHb測定の有用が高いと推測された。 ただし、本研究のFPIES症例は重症例のみで軽症例は含まれず、またMHb値が上昇しない症 例もあったため、MHb値が正常でもFPIESの除外はできないと考えられる。 5 結果