解析学 B 演習問題 (No. 4)
11/May/2005
1
z “x`iy px, y PRqと表したとき、fpzqをpx, yqの関数と見て、upx, yq “<fpzq, vpx, yq “=fpzqとおく。fpzq が z “z0 “x0`iy0 で微分可能なとき、f1pz0q “ uxpx0, y0q `ivxpx0, y0q “ vypx0, y0q ´iuypx0, y0q
が成立つことを示せ。
2
z “x`iy px, yPRqに対して、exppzq:“expcosy`isinyqと定める。(右辺のex, cosy, siny は実数値関数。ここでは、ex と区別するために exppzqという記号を用いた。) (1) exppz`wq “ exppzqexppwq, expp´zq “ 1{exppzq を示せ。(2) exppzq “1 をみたす複素数z をすべて求めよ。
(3) k P Z とする。写像 w “ exppzq は、Dk “ tz | ´π`2kπ ă =z ă π `2kπu から Ω“ tw|w‰0, ´πăargwăπuへの全単射になることを示せ。
板書用問題 以下では、上記
2
の exppzq を ez で表す。16.
z P C に対して、cosz “ eiz `e´iz2 , sinz “ eiz ´e´iz
2i , tanz “ sinz
cosz と定める。
このとき、次を示せ。
(1) cosz “cosxcoshy´isinxsinhy, sinz “sinxcoshy`icosxsinhy (2) cos2z`sin2z “1
(3) cospz˘wq “coszcosw¯sinzsinw (4) sinpz˘wq “sinzcosw˘sinwcosz (5) tanpz˘wq “ tanz˘tanw
1¯tanztanw
17.
z P C に対して、coshz “ ez`e´z2 , sinhz “ ez´e´z
2 , tanhz “ sinhz
coshz と定め る。このとき、次を示せ。
(1) coshz “coshxcosy`isinhxsiny, sinhz “sinhxcosy`icoshxsiny (2) cosh2z´sinh2z “1
(3) coshpz˘wq “coshzcoshw˘sinhzsinhw (4) sinhpz˘wq “sinhzcoshw˘sinhwcoshz (5) tanhpz˘wq “ tanhz˘tanhw
1˘tanhztanhw
解析学 B 演習問題 (No. 4) 解答
11/May/2005
1
hPRとする。f がz0 “x0`iy0 で微分可能であるので、極限 limhÑ0
fpz0`hq ´fpz0q h
が存在する。従って、fpz0`hq ´fpz0q
h の実部、虚部の極限も存在して、
lim
hÑ0
fpz0 `hq ´fpz0q
h “ lim
hÑ0<
ˆfpz0 `hq ´fpz0q h
˙
`ilim
hÑ0=
ˆfpz0`hq ´fpz0q h
˙
が成立つ。hP Rに注意すると、
<
ˆfpz0`hq ´fpz0q h
˙
“ upx0`h, y0q ´upx0, y0q
h ,
=
ˆfpz0`hq ´fpz0q h
˙
“ vpx0`h, y0q ´vpx0, y0q h
となるので、以上のことからf1pz0q “uxpx0, y0q `ivxpx0, y0qが示せた。
同様にして、
f1pz0q “ lim
hÑ0
fpz0`ihq ´fpz0q ih
“lim
hÑ0<
ˆfpz0`ihq ´fpz0q ih
˙
`ilim
hÑ0=
ˆfpz0`ihq ´fpz0q ih
˙
“lim
hÑ0
ˆvpx0, y0`hq ´vpx0, y0q h
˙
´ilim
hÑ0
ˆupx0, y0`hq ´upx0, y0q h
˙
“vypx0, y0q ´iuypx0, y0q.
2
(1) z “x`iy, w“u`iv px, y, u, vP Rqとすると、定義と加法定理より exppz`wq “ ex`upcospy`vq `isinpy`vqq“exewpcosycosv´sinysinv`isinycosv`isinvcosyq
“expcosy`isinyq ¨ewpcosv`isinvq
“exppzqexppwq.
これを用いると、exppzqexpp´zq “ exppz ´zq “ expp0q “ 1 となるので、expp´zq “ 1{exppzq が示せた。
(2) exppzq “expcosy`isinyq “1より、excosy“1かつsiny“0. これより、cosyą0 なのでx“0かつy“2nπ pnPZqを得る。よって、exppzq “ 1をみたすz は、z “2nπi pnPZq である。
(3) fpzq “ exppzq とおく。先ず、f が Dk を Ω にうつす、すなわち、fpDkq Ă Ω を示 す。z “x`iy PDk をとる。(1) の結果から、exppzq ‰0. また、定義より2π を法とし て arg exppzq “ y が成立つので、´π`2kπăyăπ`2kπ より´πăarg exppzq ăπ と 取れるので、f は Dk を Ω にうつしている。
つぎに、f が Dk から Ω への単射であることを示す。z1, z2 P Dk とし、exppz1q “ exppz2qが成立っているものとする。(1) の結果より、exppz1´z2q “1と変形できるので、
(2) の結果を用いるとz1´z2 は 2π の整数倍に等しくなることが分かる。z1, z2 P Dk よ り、´2π ăz1´z2 ă2π となるので z1 “z2. よって、f は単射である。
最後に f が全射であることを示す。@w P Ω をとる。w ‰ 0 より、|w| ‰ 0 なの で、x0 “ log|w|, y0 “ argw`2kπ, z0 “ x0 `iy0 とおくと、z0 P Dk かつ exppz0q “ elog|w|pcospargw`2kπq `isinpargw`2kπqq “ |w|pcospargwq `isinpargwqq “ wが成立 つので、全射が示せた。
感想.
1
では、fpzq ´fpz0qz´z0 において、z を実軸に平行な方向から近づける
pz “x`iy0 として x Ñx0q 場合と、虚軸に平行な方向から近づける pz “x0`iy とし て yÑy0q 場合の2つを考えればよいことに気付いた人は出来ていた。「f は微分可能だ から、f1pz0q “fxpz0q “fypz0q」とした答案や、Bf
Bz “ Bf Bx ¨Bx
Bz “ Bf By ¨By
Bz と書いた答案も あったが、これらは正しくない。それから、「fpzq “ <fpzq `=fpzq」と書いている答案も 複数あったが、正しくは、fpzq “<fpzq `i=fpzqです。iを忘れないようにしましょう。
2
(1)はよく出来ていた。解答例のように三角関数の加法定理を使って証明できる のであるが、加法定理を使う部分を省略してしまった答案が少なからずあった。ここを 省略してしまうと、単にexppz`wq と exppzqexppwq の定義を書いているだけになって しまうので、この問題の場合は省略するのはマズイ。また、「ド・モアブルの定理より、pcosy`isinyqpcosv`isinvq “cospy`vq `isinpy`vq」とした答案があったが、ド・モ アブルの定理は、pcosy`isinyq のn乗に関するものです。
(2) では、「z “ 2nπi pn P Nq」とした答案が多かったが、n が負の整数の場合も exppzq “1 をみたすので、正しくは,nPZ である。
(3)は、時間の関係もあって手をつけていない人が多かった。単射を示す際に、「@w1, w2 P Ω をとる。」から始まる答案が複数あったが、これはおかしい。exppzq は Dk から Ω への写像なので、z1, z2 P Dk, exppz1q “ exppz2q からスタートしないといけない。ま た、全射を示す際に、「@wPΩ をとる。w“expcosy`isinyq をみたす z “x`iy が存 在するので...」とした答案があったが、これでは証明するべき事柄を使って証明したこと になってしまう。このような z “ x`iy が存在することを示せ、というのが、この問題 で要求されていることなのだから。