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幾何学 I  演習問題 No.5 略解

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全文

(1)

幾何学

I

 演習問題

No.5

略解

問題

47

 点

p

での接空間

T p M

を点

p

を通る曲線の同値類と考える見方で示そう.

c: ( ϵ, ϵ) M

p

を通る

(c(0) = p)M

上の

C

級曲線とする.

d p f

M

の曲線

c

の同値類を

f c

同値類に写す.さらに

d f(p) g

は曲線

f c

の同値類を

g (f c) = (g f) c

の同値類に写 す.これは曲線

c

の同値類の

d p (g f )

による像である.

問題

48

p M

について,

df : T p M T f (p) N

及び

d(f 1 ) : T f (p) N T p M

は互いに逆 写像の関係にある線形写像であり,同型である.特に

T p M

T f(p) N

の次元は等しく,

M

N

の次元も等しい.

問題

49

(1)

正しい.

φ 1

は同相写像であり

(

特に連続写像なので

)

,コンパクト集合

A

の像

φ 1 (A)

はコンパクト.

(2)

との比較のため,もう少し丁寧に論証するならば次の通り.上で示したのは

φ

1

(A)

U

の部分位相空間としてコンパクト,ということである.ここで

φ

1

(A)

U

からの相対位相を 入れたものと

φ

1

(A)

M

からの相対位相を入れたものは位相空間として一致する

(なぜな

U

には

M

からの相対位相が入っているから).従って,結局

φ

1

(A)

M

の部分位相空間 としてもコンパクトである.

(2)

反例がある.例えば

M = R, U = U = (0, 1)

φ : U U

を恒等写像,

A = U

とす る.

A

U

全体であるから

U

の閉集合であるが,

φ 1 (A) = U

M

の閉集合ではな い.他にも,

A = [ 1 2 , 1)

としてもよい.

φ

は連続なので,当然

φ

1

(A)

U

の閉集合である.Uの閉集合だからといって

M

の閉集合 とは限らない,というのがポイント.

注:「コンパクト集合の連続写像による像はコンパクト」,また,「閉集合の連続写像による 逆像は閉集合」という事実とは一見異なるようにみえますが,矛盾ではありません.

採点基準  

2

点.

(1)

(2)

1

点ずつ.

(1)

φ 1

が同相

(

あるいは

φ

が同相,あるいは

φ 1

が連続

)

であるから,という理由が説明されていれば可.

(

あるいはコンパクトの定義 に戻って正しく証明しているのももちろん可.

) (2)

は正しい反例が与えられていれば

OK

(

反例であることの証明が間違っていても,

(2)

で減点はしない.

)

問題

50

 まず

f

C

級写像であるから,

p

の座標近傍

(U; x 1 , . . . , x m )

および

f (p)

の座 標近傍

(V ; y 1 , . . . , y n )

であって

f (U ) V

であるものが取れる.また座標を平行移動するこ とにより

x i (p) = 0, y j (f (p)) = 0( i, j)

と仮定してよい.

座標によって

U, V

をユークリッド空間の開集合,

f : U V

とみなすことにする.沈め こみの仮定から

(J f) 0

の表す線形写像は全射である.即ち

(J f) 0

のランクは

n

であり,

(J f ) 0

n

個の行ベクトルは一次独立.これに適当なベクトル

a n+1 , . . . , a m

を加えて

R m

の基底 とすることができる.つまり

 

 

(J f) 0 a n+1

.. . a m

 

  (1)

が正則行列となるような行ベクトル

a n+1 , . . . , a m

をとることができる.

C

級写像

φ: U R m

φ(x 1 , . . . , x m ) =

 

 

f (x 1 , . . . , x m ) (a n+1 , x)

.. . (a m , x)

 

 

1

(2)

で定める.ただし

x = (x 1 , . . . , x m )

(·, ·)

は標準的なスカラー積である.

φ(0) = 0

に注意 する.

φ

の原点での

Jacobi

行列

(J φ) 0

は上の式

(1)

で与えられるので正則である.逆関数 定理により原点の開近傍

W U , W R m

が存在して

φ(W ) = W

であり

φ : W W

C

級同相写像である.

x W

に対して

x = φ φ 1 (x) =

 

 

f φ 1 (x) (a n+1 , φ 1 (x))

.. . (a m , φ −1 (x))

 

 

両辺の最初の

n

成分を見れば

(f φ 1 )(x 1 , . . . , x m ) = (x 1 , . . . , x n )

が得られる.これは座標

(W, φ)

に関して

f | W

を表示したものである.

採点基準  

2

点.

(

この解答以外にも方針はあるだろうが

1 )

正しい方針でできていれば開 近傍の取り方など細かいところは大目に見たい.授業では逆関数定理と陰関数定理は同値で あることを説明したので,逆関数定理ではなく,陰関数定理から導いている解答があったと しても

OK

とする.基本的には

2

点か

0

点で,部分点を出すかどうかは個別に判断する.

問題

51

R n

の開集合

U

で定義された

C

級関数

f : U R n

det((J f) 0 ) ̸= 0

を満たす

とする.

0 U

かつ

f (0) = 0

として,

0

の近傍で逆関数があることを示そう.

g(x, y) = x f (y)

を考える.これは

R n × U

上で定義された

R n

値関数で,

det ∂g i

∂y j (0, 0)

̸

= 0

を満たす.したがって陰関数定理から

0 R n

の開近傍

V , W

および

C

級写像

φ : V W

が存在して,

W U

であり,

(x, y) V × W

に対して

g(x, y) = 0 ⇐⇒ y = φ(x)

このとき

φ

f

の逆関数

(

逆写像

)

になっている.

V = f 1 (W ) V

とおくとき,

V

0

の開 近傍であり,

f (V ) W

.また

φ(V ) W

は明らかである.上のことから

(x, y) V × W

に対して

x = f (y) ⇐⇒ y = φ(x)

ゆえ

f

φ

は互いに逆写像で

f | V

: V W

は微分同相写像.

問題

52

S n

を問題

15

のチャート

(U i ± , φ ± i )

で覆う.例えば

U n+1 +

での包含写像

i

の座標表 示は

i + n+1 ) 1 (x 1 , . . . , x n ) =

x 1 , . . . , x n , q

1 x 2 1 − · · · − x 2 n

である.このヤコビ行列が単射になることは容易にチェックできる.

d p i: T p S n T p R n+1

は単射であるので,

T p S n

T p R n+1 = R n+1

の部分空間と見なす ことができる.

(

ベクトル空間

V

に対して

T x V = V

であることは問題

43

で示した.

)

問題

53

f(z) = f ( z)

であり,

f

は単射でないので当然微分同相写像ではない.

f

の微分 が同型になることは容易.

問題

54

f

は全単射なので逆写像

f −1

が存在する.逆関数定理により,

f −1

C

級であ ることが分かる.

(

各点での局所的な議論で分かる.詳細略.

)

1

[

松本幸夫

]

の定理

10.3

の証明はすこし違う方針で行っているようである.

2

(3)

問題

55

 存在しない.

f = (f 1 , f 2 )

とおく.ただし

f i

S 2

上の

C

級関数.

S 2

はコンパ クトなので

f 1

はどこかの点

p S 2

で最大値をとる.そのような点で

f 1

の座標表示の偏微 分係数は全て消えている.従ってそのような点で

f

の座標表示のヤコビ行列は

0 0

∗ ∗

の形であり,正則でない.つまり

f

ははめ込みでない.

問題

56

p = (z 1 , z 2 ) S 3

で沈めこみであることを示そう.

z 2 ̸ = 0

とする.写像

g : C S 3

g(z) = 1

| z 2 | p

1 + | z | 2 (z 2 z, z 2 )

とおくとき,

| z 1 | 2 + | z 2 | 2 = 1

より

g(z 1 /z 2 ) = (z 1 , z 2 ) = p

である.また

g

は明らかに

C

級写像であって

f g = id C

.これから

d p f d z

1

/z

2

g = id

.従って

d p f

は全射である.

次に

z 2 = 0

とする.このとき

| z 1 | = 1, f (p) =

である.

の周りの

C b

の座標近傍

(U 2 = {∞} ∪ C × , φ 2 )

φ 2 (z) = 1/z

で定義する.また座標

φ 2 (z)

w

で表すことにする.

写像

h : U 2 S 3

(

座標

w

を用いて

)

h(w) = 1

p 1 + | w | 2 (z 1 , z 1 w)

と定める.

h

C

級写像で,

h(0) = p, f h = id U

2 を満たすから,前半と同じ理由によ

d p f

が全射であることが分かる.

問題

57

(i)

座標の平行移動により

p = 0, f(p) = 0

としてよい.また

f (x)

(J f) p 1 f (x)

で置き 換えて

(J f) p = E n

と仮定できる.

(ii)

ある

δ > 0

に対して

f(x)

B δ (0)

で定義されているとしてよい.

Taylor

の定理から

f(x) = (J f) 0 x + o( | x | ) = x + o( | x | )

であり,特にある

0 < ϵ < δ

が存在して

|f (x) x| ≤ 1 2 |x|

B ϵ (0)

上で成立する.

| y | ≤ ϵ 2

とすると,

x B ϵ (0)

に対して

g y (x)

は定義され,

| g y (x) | = | y f (x) + x | ≤ | y | + | x f (x) | ≤ ϵ 2 + | x |

2 ϵ 2 + ϵ

2 = ϵ.

つまり

g y : B ϵ (0) B ϵ (0)

を定める.

(iii)

ヒントより

| g y (x 1 ) g y (x 2 ) | = Z 1

0

d

dt g y (tx 1 + (1 t)x 2 )dt

= Z 1

0

(E n (J f) tx

1

+(1 t)x

2

)(x 1 x 2 )dt

Z 1

0

(E n (J f ) tx

1

+(1 t)x

2

)(x 1 x 2 ) dt

Z 1

0

(E n (J f) tx

1

+(1 t)x

2

) |x 1 x 2 |dt

3

(4)

f

C 1

級で

(J f ) 0 = E n

だから,

ϵ

を小さく取り直せば

x B ϵ (0)

に対して

E n (J f ) x ∥ ≤ 1 2

となる.ここで

x 1 , x 2 B ϵ (0)

に対して上の計算から

|g y (x 1 ) g y (x 2 )| ≤ Z 1

0

1

2 |x 1 x 2 |dt = 1

2 |x 1 x 2 |.

すなわち

g y

は縮小写像.縮小写像の原理から

|y| ≤ ϵ/2

のとき,

g y (x) = x

を満たす

x B ϵ (0)

が一意に存在する.

(B ϵ (0)

は完備距離空間であることを使った.

)

(iv) y 1 , y 2 B ϵ/2 (0)

とし,

x 1 , x 2 B ϵ (0)

x 1 = f 1 (y 1 ), x 2 = f 1 (y 2 )

とする.この とき

|y 1 y 2 | = |f (x 1 ) f (x 2 )| ≥ |x 1 x 2 | − |f (x 1 ) x 1 (f (x 2 ) x 2 )|

= | x 1 x 2 | − | g 0 (x 1 ) g 0 (x 2 ) |

≥ | x 1 x 2 | − 1

2 | x 1 x 2 | = 1

2 | x 1 x 2 |

ここで

(iii)

で得た評価を使った.これは

f 1

が連続であることを示す.

(v) y B ϵ/2 (0)

をとる.十分小さい

a R n

に対して

x = f 1 (y), x + b(a) = f 1 (y + a)

とおく.

(x, x + b(a) B ϵ (0)

)

ここで

(iv)

より

| b(a) | ≤ 2 | a |

であることに注意する.

f

は全微分可能なので,任意の

ϵ > 0

に対してある

δ > 0

が存在して,

|b| < δ

のとき

| f (x + b) f (x) (J f ) x b | ≤ ϵ | b |

従って

b = b(a)

とおけば,

| a | < δ/2

のとき

| b(a) | ≤ 2 | a | < δ

であって,

| f (x + b(a)) f (x) (J f ) x b(a) | ≤ ϵ | b(a) | ≤| a |

すなわち,

| a (J f ) x (f 1 (y + a) f 1 (y)) | ≤| a |

がわかる.これを書き換えると

| f 1 (y + a) f 1 (y) ((J f) x ) 1 a | ≤ ((J f ) x ) 1 ∥ · | a |

これは

f 1

y

で全微分可能であり,

(J f 1 ) y = ((J f) x ) 1

であることを示す.

(vi)

逆関数を

h = f 1

とおく.

(J h) y = ((J f) h(y) ) 1

より

h

の偏微分係数は逆行列の係数 を与える有理関数

R jk ( { a i,j } )

を用いて

∂h j

∂y k (y) = R jk

∂f i

∂x j

(h(y))

の形に書けることが分かる.したがって

h

の偏微分係数は全て連続であり,

h

C 1

級.

この式から帰納的に,

h

r

階偏微分可能で,その偏微分係数は

f

r

階までの偏微 分係数

J f, J 2 f, . . . , J r f

h

r 1

階までの偏微分係数

J h, . . . , J r 1 h

の有理関数 として表されることが示せる.

r h j

∂y k

1

· · · ∂y k

r

(y) = R j,k

1

,...,k

r

(J f(h(y)), . . . , J r f (h(y)), J h(y), . . . , J r 1 h(y))

従って

h = f −1

C

級.

4

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