3. LP ガス市場の現状
3.2 LP ガス取引状況及び商品先物取引所への上場に関する国内ヒアリング
ヒアリングを実施した各企業の属する業種・分野ごとに、その内容を整理し、まとめ る。
(1)元売・卸売業者・小売事業者
1)元売企業
・LPガス取引について:
-LPガスの輸入先の多様化を図っている。
-中東からの輸入を減らし、米国からの輸入を増やしている。
-中東からの輸入が全国平均の約8割に対し、現在50~60%前後で、更なる 低減を目指している。
-元売同士でのスワップ取引が多い。
-国内生産のLPガスを系列の石油精製企業から購入している。
・LPガスの値決めについて:
-中東は、毎年、1年契約で、量を決め、値決めは前月末に通告されるCPで 一発値決め。米国は、複数年契約で、量を決め、モント・ベルビュー(MB)
価格の毎日/毎月の平均で決める。
-国内のLPガス価格はCPリンクで出来上がっている。
-CIF売りをCP売りに変更し、前月CPと当月CPを50:50で売っている。
-米国産LPガスの生産が増え、どんどんアジア(日本、韓国、中国など)に 入ってきており、現状は、着ベースで幾らという風になってきている。即ち、
日本着の価格からフレイト(船賃)を引いて、中東産LPガスは幾らくらい、
米国産LPガスは幾らくらいというようになってきており、それが産ガス国 への影響力になってきている。重要なのは、最大の需要地であるアジアに幾 らで持って来られるかである。
-米国産LPガス等が入ってくることによって、今ではサウジアラビアも発表 の直前までの需給関係・スポットマーケットの状況を反映しながらCPを出 してきている。
・LPガスの先物取引について:
-海外取引で金融、商社、トレーダー、ブローカーとOTC相対で先物取引を やっている。
-LPガスの価格指標として、Argus社のFar East Indexが使われており、
Argusのウインド・タイムにLPガスの現物、ペーパー取引が活発化する。
-先物取引は、金融機関とはやっている。あくまでも相対で現物の先物ヘッジ が目的である。
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-中東産のCPリンクは続くだろう。むしろ、CPの変動をいかにヘッジする かということが重要になってくる。今は、金融機関との相対取引でしかでき ない。
-国内取引でも一部で銀行経由の相対で先物取引がされている。
・東京でのLPガス先物市場について:
-既に海外先物市場において個別相対でCPを取引しており、サウジもこの先 物の動きなどを見てCPを発表している。
-LPガスに関しては、プレーヤーが少なく、他の石油やナフサなどと違い、
同じような上場は考えられない。認知度が高くないので、一般投資家を集め られないのではないか。参加者の数が流動性に繋がる。
-海外市場における取引ロットや金額規模の大きさから、個人や普通の銀行な どの参加は無理で、関係者が限られるのではないか。
-既存のシンガポールなどと違う差別化が必要。取引所の手数料や国としての 軽減税率など魅力あるものにする必要がある。
-販売先・顧客の要求として、単価を固定したいというとき、先物市場に上場 されていればヘッジニースは出てくる。
-透明性、流動性を増し、CPに影響を与えるというのは分かるが、投機家に よりLPガス価格が投機的な動きをするのは、現物を扱う企業にとっては問 題。
-東京市場のメリットが多く、産ガス国(CP、MB)に影響を与えるようにな れば使う。そうでないと現在やっている他の市場での取引をそのまま継続す る。
-元売は、輸入業者として、備蓄義務があり、大きなリスクを抱えているので、
リスクがヘッジできる機能を持たせられれば使うだろう。
-日本の市場は、依然として約80%がCPリンクであり、輸入(オフショア)
市場で、CPを売ったり買ったりする先物市場にするのか、CP(FOB)や CFR(船賃込み)極東で商うのか、また、国内市場で、主要輸入基地からの ローリー積み価格で取引するのかなど、どういうものをイメージしているの かによる。
-LPガスの先物市場ができれば、(クリアリングハウスを使うので)相対取引 で発生する担保も不要になるので、一般市場として使うだろう。
2)卸売業者(小売事業者)
・LPガス取引について:
-LPガスは元売りから買っている。
-同業社からも購入する。
-LPガス事業の統合について、実際に統合されて、新体制になってみないと 分からないが、統合後の元売から購入することになるだろう。
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-販売先は、LPガス販売店・一般小売ユーザー、工場への販売を中心に、オ ートガス業者や、たまにガス増熱用にガス会社にも販売している。
・LPガスの値決めについて:
-元売企業からは、CP +α(船賃・諸掛)のCPリンクで購入しており、毎 月変動する。一方、販売は、元売企業からのCPリンク価格に卸売の諸掛(利 益を含む)を加えた価格で販売しており、実質CPリンクでの販売である。
ただ、CPの小さな変動については、価格はそのままとし、大きな変動につ いては、販売先に価格改定を通知し、了解を得る。
-米国産のシェール随伴のLPガス(MBモント・ベルビュ価格ベース)が増 えてきているが、国内販売は、以前としてCPリンクでの販売である。MB や他の価格が増えて、CPとMBを合わせたような別の価格指標が出てくれ ばいい。またCIFベースに戻ることも考えられるが、元売はCIFベースに は戻さないだろう。
・LPガスの先物取引について:
-現在既に、商社や証券会社経由で、CPスワップをやっている。銀行もCP スワップをやっているが、当社は銀行経由はやっていない。これは、現物を 伴わないペーパー取引であるが、取引単位が、基本は1000トン以上であり、
プレーヤーは少ない。
・東京でのLPガス先物市場について:
-LPガスの国内先物市場ができれば、参加する可能性はある。
-現在の東京商品取引所のガソリンや灯油の取引単位は大きくはないはずで、
LPガスの取引単位も小さめに100 トンとか200トンにすれば、参加者が 増えるだろう。
(2)石油精製企業
・LPガスは、石油精製過程で分離・抽出したもののうち、自家使用分を差し引い た量を系列の元売企業に販売している。
・LPガスの先物取引はやっていない。
・LPガス事業の統合の話は、新聞報道の範囲でしか明らかにできない。
(3)石油化学企業
・LPガス取引について:
-LPガスは元売りから買っている。
-購入量や使用量、買値などの情報は明らかにできない。
-LPガス(ブタン)をナフサ代替原料として、ナフサの価格状況や下流の製 品マーケット状況等を勘案して、スポット的に購入する。定期的・恒常的な 購入はしていない。
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-燃料として、LPガスのミックスガス(プロパン30%、ブタン70%)やプロ パンだけを購入している工場もあるが、ほとんど都市ガスに変わり、量は少 なく、各工場が地元の販売会社からタンクローリー単位で購入している。
・LPガスの値決めについて:
-ナフサ代替用のLPガスの元売企業との値決めについては詳しくはコメント できないが、ナフサリンクでCIF条件で購入している。
-燃料としてのLPガスについては、各工場が地元の販売会社とローリー単位
で値決めしている。この時の値決めはCPリンクの価格フォーミュラに基づ いている。
-サウジアラムコもCPを、欧州の北海ブレントとの比較や、ナフサ価格とマ
ーケットを参考にして決めているようだが、それでもジャパン・プレミアム という感じであり、米国シェール随伴のLPガスが増えることで、変化が出 てくることを期待している。ソースの多様化が重要である。
・東京でのLPガス先物市場について:
-LPガスの先物市場ができても、そこに参加していくことはない。
-先物取引のニーズは余り無く、先物市場ができても参加することはないと思 うが、市場において流通量が増えて透明性が高かまり、自由度が増せば、
LPガスの購入者としてはありがたい。産油国が勝手に価格を通告してくる マーケットなので、市場の価格形成力が付いてくるのは良いことであり、そ れなりにありがたいし、値決めの参考にできる。
-元売りとの値決めの仕方にもよるが、現物到着まで1か月近く掛かるし、在
庫評価の観点からも、先物ヘッジの必要性はあるかもしれないと。
(4)商社
主要商社は、石油元売企業/石油精製企業と合弁でLPガスの元売企業を創って、
LPガス事業を商社本体から切り離し、基本的に合弁企業の管理のみをしている。
既述のように、アストモスエネルギー社は、出光興産と三菱商事の合弁企業であ り、ENEOSグローブ社は、JX日鉱日石エネルギーと三井物産、丸紅の合弁企業 である。また、ジャパンガスエナジー社は、JX日鉱日石エネルギーと日商LPガ スと伊藤忠エネックスの合弁企業である。2015年4月には、コスモ石油ガス、昭 和シェル石油、東燃ゼネラル石油に住友商事が加わり、4社によるLPガス部門の 統合が予定されている。
このLP事業統合については、新聞報道の範囲でしか明らかにできないとの回答で あった。