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正常好中球の染色性と比較して判定を行う 細胞分 類において白血球を 200 細胞分類することを基本と する 2 骨髄穿刺 骨髄塗抹標本は末梢血と同様に May-Giemsa また は Wright-Giemsa 染色を行い 有核細胞を 500 細胞 分類するが 骨髄巨核球は異形成を示すものも含め て

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総 説

造血器腫瘍―近年の急性白血病の現状―

坂場 幸治

1) 1) ピーシーエルジャパン病理・細胞診センター細胞診検査部(〒 350-1101 川越市的場 1361-1)  要 旨 急性白血病は白血球などの自律性増殖を特徴とする造血器の腫瘍性疾患で,多能性幹細胞からの成熟・分化が特定の段 階で停止し前駆細胞レベルでがん化した病態と考えられている。白血病発症には複雑な遺伝子が関与するが,近年多くの 研究により,特徴的な染色体転座あるいは遺伝子変異が急性白血病発症の病因として判明してきた。2001 年に発表された WHO分類第 3 版は血液学的悪性腫瘍の新しい分類基準として世界中に広く普及した。その後,細胞遺伝学的研究などの 更なる進歩により,血液学的悪性腫瘍の病態解明に新たな知見が加えられ,2008 年に WHO 分類第 4 版として発表され た。このうち急性白血病については急性骨髄性白血病および関連前駆細胞腫瘍(acute myeloid leukemia and related precursor neoplasms),分化系統不明瞭な急性白血病(acute leukemias of ambiguous lineage),前駆型リンパ球系腫瘍(precursor lymphoid neoplasms)に大別されている。本稿では造血器腫瘍のうち主として急性白血病について WHO 分類第 4 版を中心に,それ らの形態学的所見,免疫表現型,細胞遺伝学所見,臨床所見について記載する。 キーワード WHO分類,急性白血病,血液形態学,免疫表現型,細胞遺伝子 はじめに 急性白血病は白血球などの自律性増殖を特徴とす る造血器の腫瘍性疾患で,多能性幹細胞からの成熟・ 分化が特定の段階で停止し前駆細胞レベルでがん化 した病態と考えられている。白血化した細胞は骨髄 内で異常増殖するため正常細胞の造血を抑制し,貧 血,白血球減少による感染症,血小板減少に伴う出 血傾向などをしばしば合併する。白血病には種々の 病型があり治療方法や予後が異なるため適切な診断 (分類)が必要となる。2001 年に発表された WHO 分 類第 3 版は形態学,免疫表現型,細胞遺伝学,臨床所 見などを取り入れた血液学的悪性腫瘍の新しい診断 基準として広く普及してきた1)。その後,細胞遺伝 学的研究などの更なる進歩により,造血器腫瘍の病 態解明に新たな知見が加えられ,2008 年に WHO 分 類第 4 版として発表された2)。本稿では血液学的悪 性腫瘍のうち主として急性白血病について概説する。 I 急性白血病など造血器腫瘍全体:総論 急性白血病の分類は未治療の状態で,形態学,細 胞化学,細胞表面形質により腫瘍細胞の系統と成熟 度を判定し,形態学的異形成や無効造血の有無,さ らに,末梢血,骨髄あるいは組織の芽球比率に基づ いて分類される。これらに加え染色体・遺伝子検査 は遺伝子異常を基本とした疾患の診断や病態の把握 に欠かせないものである。 1.形態 1)末梢血 塗抹標本は May-Giemsa または Wright-Giemsa 染 色を行い,白血球,赤血球,血小板の形態異常を観 察する。異形成の観察にはできるだけ新鮮な血液を 用いることが必要であるが,抗凝固剤を使用する場 合は少なくとも 2 時間以内に塗抹標本を作製するこ とが望ましい。また,染色状態が良好な標本を作製 することが重要で,特に好中性顆粒の減少,消失は (平成 28 年 1 月 20 日受付)

(2)

正常好中球の染色性と比較して判定を行う。細胞分 類において白血球を 200 細胞分類することを基本と する。 2)骨髄穿刺 骨髄塗抹標本は末梢血と同様に May-Giemsa また は Wright-Giemsa 染色を行い,有核細胞を 500 細胞 分類するが,骨髄巨核球は異形成を示すものも含め て分類には含まない。dry tap で穿刺液が得られない 場合,生検のスタンプ標本は細胞の形態学的変化を 観察するには有用であるが,芽球の比率を求めるに は不適とされる。 3)骨髄生検 骨髄生検は骨髄のストローマや細胞密度,成熟 状態を評価するのに適している。また,免疫細胞 化学染色にも利用でき,診断や予後の判定に重要な 情報が得られる。特に骨髄線維化の認められる myeloproliferative neoplasm(MPN)では疾患の診断 には重要とされている。 4)芽球 骨髄系腫瘍の診断には芽球の比率が重要となるた め,末梢血では 200 細胞分類,骨髄では 500 細胞分 類を行う。また,骨髄塗抹標本の芽球比率は骨髄生 検で得られた芽球比率と比較することが重要である。 CD34の免疫細胞化学染色も相関を示すが,一部の 疾患では陰性となることがあるので注意が必要であ る。フローサイトメーターによる芽球比率の測定は, CD34陰性芽球の存在や末梢血による希釈の影響も あり正確性には乏しい。 芽球とするものは骨髄芽球,アズール顆粒を含む 骨髄芽球,単芽球,巨核芽球,リンパ芽球とし, acute monoblastic and monocytic leukemia(AMoL),

acute myelomonocytic leukemia(AMMoL),chronic

myelomonocytic leukemia(CMML)などの前単球を 芽球とする。しかし,異常分葉を示す単球は芽球と はしない。特に AMoL,AMMoL,CMML との鑑別 において,前単球と異常分葉を示す単球とは区別が 難しいので注意を要する。小型の異形性を伴う巨核 球や微小巨核球は巨核芽球とはしない。また,acute

promyelocytic leukemia(APL)の異常前骨髄球, pure

erythroid leukemia の幼若赤芽球も芽球と定義して いる。 5)細胞化学染色 芽球の系統を決定するためフローサイトメーター や塗抹標本による細胞化学染色が用いられる。 myeloperoxidase(MPO)の検出は骨髄系細胞とリン パ系細胞を鑑別する上で非常に有用な手段であるが, 陰性であっても極幼若な骨髄芽球や単芽球は陰性を 示すので注意する。Sudan Black B(SBB)染色は MPO染色と同等であるが特異性に欠ける。非特異的 エステラーゼ染色と NaF 阻害は単球系の同定,特異 的エステラーゼ染色は好中球系の同定に利用される。 また,PAS 染色は異常赤芽球系の同定,Fe 染色は環 状鉄芽球の同定に有用である。 2.細胞表面マーカー フローサイトメーターを用いた方法での検出は, 前方散乱光と側方散乱光で細胞の大きさなどにより 芽球と推定できる分画をゲーティングし,各細胞の 抗原に蛍光色素で標識した特異的なモノクローナル 抗体を組み合わせることで,芽球の細胞系列や成熟 度を判定する。acute myeloid leukemia(AML)では CD13,CD33 が特徴的であるが,AML においても CD7,CD19,PAX5 などのリンパ系マーカーをしば しば認めることがある。acute lymphoblastic leukemia (ALL)の T 細胞系では CD3,細胞質 CD3(cyCD3), B細胞系では CD10,CD19,CD20 が特徴的である が,ALL においても骨髄系マーカーである CD13, CD33を認めることがあるので注意する。また,芽 球が骨髄系ともリンパ系とも判定困難な急性未分化 型白血病,1 つの芽球に骨髄系とリンパ系の抗原を 有する場合,あるいは骨髄系とリンパ系が混在する 急性混合型白血病も存在するので注意を要する。さ らに,CD34 は芽球の同定に,グリコフォリン A や ヘモグロビンは赤芽球系の同定に,また,CD41 や CD61は異常骨髄巨核球の同定に有用である。急性 白血病の分類に用いられる細胞表面マーカーを Table 1に示す3)。 急性白血病の分類に用いられる細胞表面マーカー3) 未分化細胞 CD34,HLA-DR,TdT,CD45 骨髄系 CD13,CD33,CD117,細胞質 MPO 単球系 CD11c,CD14,CD15 赤芽球系 glycophorin A 巨核球系 CD41,CD42,CD61 B細胞系 CD10,CD19,CD20,cyCD22,CD79a T細胞系 CD2,CD3,CD4,CD5,CD7,CD8 Table 1 

(3)

3.細胞遺伝学的検査 WHO分類第 4 版の多くは染色体転座や特異的な 遺伝子異常により分類されている。染色体・遺伝子 検査は診断を決定するため発症時に行い,その後, 一定の間隔で検索する。染色体検査では構造異常(転 座,逆位,欠失など),数的異常(モノソミー,トリ ソミーなど),遺伝子検査のうち PCR 法は制限酵素 を用いて目的とする DNA 断片を作製後,それらを 大量に増幅し変異遺伝子の同定や定量化を行う。RT-PCR法は目的とする m-RNA から逆転写酵素を用い て cDNA を合成し PCR 法を行うものである。染色体 検査と同時に遺伝子検査を行う目的は,染色体検査 では不明であった遺伝子異常や微小残存白血病を検 出することが可能であり,RT-PCR 法や FISH 法が用 いられる。特に myeloid and lymphoid neoplasms with

PDGFRA rearrangement の PDGFRA-FIP1L1 fusion

は 染 色 体 検 査では正常となるため RT-PCR 法や

FISH法 が 有 用 と な る 。 MPN や myelodysplastic/

myeloproliferative neoplasm(MDS/MPN)における

JAK2,MPL,NRAS,NF1,PTPN11,KIT,また,

AML に お け る NPM1 , CEBPA , FLT3 , RUNX1 ,

KITなどは診断と同時に予後判定にも重要となる

(Table 2)3)。

II 急性骨髄性白血病および関連前駆細胞

腫瘍:総論(acute myeloid leukemia and related precursor neoplasms) 急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia; AML) は全世界では 10 万人に 2.5~3 人の割合で発症し, 発症年齢の中央値は 65 歳で男性にやや多い。15 歳 未満の小児では AML は急性白血病の 15~20%を占 め,発症のピークは 3~4 歳までである4)。白血病発 症には複雑な遺伝子が関与するが,近年多くの研究 により,特徴的な染色体転座あるいは遺伝子変異が AMLの病因として判明してきた。それらの分子異常 は FLT3 や c-KIT などのレセプター型チロシンキナー ゼや ABL などの非レセプター型チロシンキナーゼの 変異とそれに基づく恒常的活性型,t(15;17),t(8;21), inv(16)などでみられる転写因子の機能異常による分 化成熟障害,RAS に代表される GTP 結合タンパク 質の異常活性化,p15,p21 などの細胞増殖の停止や 分化に必要な遺伝子の発現抑制などが代表的なもの である。しかし,これらの異常は単独で起こっても 白血病の発症には至らず,更なる変異(second hit) が付加されて発症することが多いとされている。白 血病発症に関与する遺伝子変異は 2 つのグループに 分類され,クラス I 変異は FLT3-ITD,RAS 活性型変 異,p53 不活性型変異など,増殖誘導あるいはアポ トーシス抑制に関与する遺伝子である。クラス II 変 異は RUNX1-RUNX1T1,PML-RARA などで造血細胞 分化を抑制すると考えられていて,クラス II 変異は 転座によるものが多いのが特徴である。すなわち, クラス II 変異によって分化を抑制された造血幹細胞 や前駆細胞が,クラス I 変異によって自律増殖また は細胞死の抑制が白血病の本体と考えられている (Figure 1)5)。 一方,近年の研究では細胞遺伝学的に正常核型 AMLにおいても,遺伝子変異が認められるものが多 く存在することが明らかとなり NPM1,CEBPA など の転写因子や FLT3,NRAS/KRAS などのシグナル伝 達に影響を与える遺伝子の変異が報告されている (Table 2)3)。これらの変異は白血病発症の解明にも 重要であるが,正常核型 AML の重要な予後因子に なり得ることも判明してきた。AML における遺伝子 異常の解析は AML の病態を明らかにするとともに, 臨床的には予後情報を提供し,さらには近年注目さ れている分子標的療法の開発へと種々の可能性を秘 急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群で認められる主な遺伝子異常3) 遺伝子異常 機序

転写因子などの異常 RUNX1変異,CEBPA 変異,EVI 1 過剰発現,PU-1 変異,MLL 過剰発現,NUP

98転座 分化抑制

刺激受容体の異常 FLT3変異,c-KIT 変異,PDGFR 転座,MPL 変異,CSF 1 R 変異 細胞増殖

シグナル伝達系の異常 RAS変異,RAF 変異,NF 1 変異,PTPN 11 変異,JAK 2 変異,c-CBL 変異 細胞増殖

DNA損傷後チェックポイント TP 53 変異 異常細胞排除不能

細胞周期制御因子 p 15ink4bプロモーターメチル化 細胞増殖

エピジェネティック異常 TEL 2変異,IDH 1/2 変異,EZH 2 変異,ASXL 1 変異,DNMT 3 A 変異 異常メチル化に関与?

(4)

めている。

WHO分類第 4 版のうち AML and related precursor

neoplasmsの分類を Table 32)に,また,WHO 分類

2008における AML の診断過程を Figure 2 に示す。

1. 反 復 性 遺 伝 子 異 常 を 伴 う AML ( AML with

recurrent genetic abnormalities

反復性遺伝子異常を伴う AML は WHO 分類第 3 版では 4 種類の遺伝子異常であったものが 9 種類に 増加された。

1) ~ 3 ) AML with t(8;21)(q22;q22) ;

RUNX1-RUNX1T1,AML with inv(16)(p12.1q22) or t(16;16)

(p13.1;q22) ; CBFB-MYH11 , acute promyelocytic

leukemia(APL)with t(15;17)(q22;q12);PML-RARA これらは芽球の比率が 20%未満であっても AML と 診断され予後良好である。これら以外の後述の遺伝 子異常を持つ疾患に関しては,末梢血または骨髄の 芽球比率は 20%以上が AML の診断基準であるが, 20%未満の症例においては骨髄検査を繰り返し行い 慎重に経過観察すべきとされている。AML with t(8;21)(q22;q22)は RUNX1-RUNX1T1 融合遺伝子のみ BCR-ABL1,FLT3 変異,KIT 変異

RAS 変異,JAK2 変異 PML-RARA,RUNX1- RUNX1T1CBFB-MYH11,MLL 融合遺伝子

CEBP 変異,NPM1 変異

classⅠ変異 classⅡ変異

細胞増殖/生存能亢進 細胞分化障害

AML発症までの多段階の原因5)

Figure 1 

Acute myeloid leukemia and related precursor neoplasms2)

急性骨髄性白血病と関連前駆細胞性腫瘍

・AML with recurrent genetic abnormalities 反復性遺伝子異常を伴う AML AML with t(8;21)(q22;q22); RUNX1-RUNX1T1

AML with inv(16)(p13.1q22) or t(16;16)(p13.1;q22); CBFB-MYH11 acute promyelocytic leukemia with t(15;17)(q22;q12); PML-RARA AML with t(6:9)(p23;q34); DEK-NUP214

AML with inv(3)(q21q26.2) or t(3;3)(q21;q26.2); RPN1-EVI1 AML(megakaryoblastic) with t(1;22)(p13;q13); RBM15-MKL1 AML with mutated NPM1

AML with mutated CEBPA

・AML with myelodysplasia-related changes 骨髄異形成関連変化を伴う AML ・therapy-related myeloid neoplasms 治療関連骨髄性腫瘍

・acute myeloid leukemia, not otherwise specified 急性骨髄性白血病,非特異型 AML with minimal differentiation 最未分化型 AML

AML without maturation 未分化型 AML AML with maturation 分化型 AML

acute myelomonocytic leukemia 急性骨髄単球性白血病 acute monoblastic and monocytic leukemia 急性単球性白血病 acute erythroid leukemia 急性赤芽球性白血病

acute megakaryoblastic leukemia 急性巨核芽球性白血病 acute basophilic leukemia 急性好塩基球性白血病

acute panmyelosis with myelofibrosis 骨髄繊維症を伴う急性汎骨髄症 ・Myeloid sarcoma 骨髄肉腫

・Myeloid proliferations related to Down syndrome ダウン症候群関連骨髄増殖 transient abnormal myelopoiesis 一過性異常骨髄造血

myeloid leukemia associated with Down syndrome ダウン症候群関連骨髄性白血病 ・Blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasms 芽球型形質細胞様樹状細胞性腫瘍

(5)

では発症しないと考えられていて,付加的遺伝子異 常として受容体型チロシンキナーゼ刺激伝達経路の

KIT,FLT3,RAS などの遺伝子変異が報告されてい

る。AML with inv(16)(p12.1q22) or t(16;16)(p13.1;q22) は両者ともに CBFB-MYH11 融合遺伝子を有してい る。しかし,これらも単独ではマウスに AML を発 症させることができず second hit が必要とされてい る。FLT3-ITD 変異は予後不良因子とされているが

APLでは FLT3-ITD 変異を 1/3 に認める。APL にお

ける FLT3-ITD の予後はまだ確立されていない。 細胞形態から APL と診断される中に,t(15;17)以 外 の 転 座 を 有 す る 例 が 少 数 み ら れ る 。 t(11;17) (q23;q12);ZBTB16(PLZF)-RARA,t(11;17)(q13;q12); NUMA1-RARA,t(5;17)(q35;q12);NPM1-RARA,およ び 17 番染色体異常を伴う STAT5B-RARA である。こ れらは AML with a variant RARA translocation といわ れ て い て , t(15;17) と は 同 一 に は 分 類 し な い 。 t(11;17),t(5;17)では一般的にアウエル小体を認めな いが,STAT5B-RARA では faggot 細胞がみられる。 t(5;17)(q35;q12) ; NPM1-RARA お よ び t(11;17) (q13;q12);NUMA1-RARA では ATRA が有効とされる が,t(11;17)(q23;q12);ZBTB16-RARA および STAT5B-RARAでは ATRA は無効とされている。 4)AML with t(9;11)(p22;q23);MLLT3-MLL は 11q23 (MLL 遺伝子)の転座を伴う AML である。MLL 遺 伝子の相手は 50 種類以上が同定されているが,この うち MLLT3-MLL キメラ遺伝子を一疾患単位として 独立させた。この疾患は特に小児に多くみられ(小 児 9–12%,成人 2%),通常 AMoL または AMMoL と 診断されることが多い。AMoL の単芽球は大型で核 は円形のことが多く,核クロマチンは繊細である。 細胞質は好塩基性でアズール顆粒や空胞を認めるこ ともある。MLLT3(AF9)以外の転座を有するもの は variant MLL translocation in acute leukemia とされ, その転座相手は MLLT2(AF4),MLLT1(ENL),

MLLT10(AF10),MLLT4(AF6),ELL などがある。

これらの転座相手が断定できれば,その遺伝子異常 を用いた疾患単位として診断する(例:AML with t(11;19)(q23;p13.3);MLL-ENL)。

5)AML with t(6;9)(p23;q34);DEK-NUP214 は,し ばしば好塩基球の増多と多系統の異形成(顆粒球系 および赤芽球系)を伴う AML で,発症時の白血球 数は低値傾向である。AML with maturation あるいは

AMMoLとして発症する。芽球比率は 20%未満のこ

ともある。

6)AML with inv(3)(q21;q26.2) or t(3;3)(q21;q26.2);

RPN1-EVI1は RPN1 プロモーターの供与を受けて

EVI1遺伝子の異所性発現が起こるとされる。de novo

化学療法・放射線療法の既往 therapy-related myeloid neoplasms

なし

染色体・遺伝子検査 AML with recurrent genetic abnormalities

正常 or 特異的異常なし

MDS or MDS/MPD からの AML 骨髄異形成に関連する染色体異常 多系統の形態学的異形成

AML with myelodysplasia-related changes

なし

AML, not otherwise specified M0, M1, M2, M4, M5, M6(a,b), M7 acute basophilic leukemia

acute panmyelosis with myelofibrosis myeloid sarcoma

blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasms あり あり 特異的異常あり WHO分類 2008 における AML の診断過程 Down症候群に関連した骨髄増殖症は発症の段階で決定されるためこの診断過程からは除外。 Figure 2 

(6)

もしくは MDS を経過して発症する AML で,しばし ば末梢血の血小板数が正常~増加を示す。骨髄では

3系統の細胞に異形成を伴い,特に巨核球系の異常

が著しく,小型で単核あるいは 2 核の巨核球が正 常~増加を示す。AML without maturation,AMMoL あるいは acute megakaryoblastic leukemia(AMKL) として発症する。芽球比率は 20%未満のこともある。 7)AML(megakaryoblastic)with t(1;22)(p13;q13);

RBM15-MKL1は未熟で分化傾向のみられない芽球が

主体の例から,小型および大型の巨核芽球の混在す る例とさまざまで,末梢血と骨髄中の芽球は acute

myeloid leukemia, not otherwise specified ( AML,

NOS)の AMKL の芽球に類似している。主に 3 歳以 下の乳児,特に 6 ヶ月以下の非 Down 症乳児に de novo AMLとして発症する。肝脾腫を伴い,骨髄は dry tapのことが多いため骨髄生検が有用となる。芽 球比率は 20%未満であることも多く,進行が早い症 例もあり,細胞遺伝学的所見が合致すれば本カテゴ リーに分類される。 8)と 9)について,AML では FLT3,NPM1, CEBPAなどに遺伝子異常が生じており NPM1 と CEBPA遺伝子変異は今回の改訂で暫定的に以下のグ ループに追加された。しかし,FLT3 遺伝子変異は他 の病型と関連しており,今回の改訂では独立した病 型とはならなかったが,FLT3-ITD は AML における 予後不良因子であることから,診断時に解析を行う ことが推奨されている。

8)AML with mutated NPM1 における NPM1 遺伝子 変異は通常 exon12 の変異で細胞質内に NPM 発現の 変化がみられる。小児 AML の 2~8%,成人 AML の 27~35%に認められ,染色体正常核型の成人 AML では 45~64%と高頻度に認められる。海外では AMoL,AMMoL として発症するとされ,特に AMoL の 80~90%に NPM1 遺伝子変異が認められると報告 されているが,JALSG の成績では 47.3%である。ま た,海外では染色体正常核型で NPM1 遺伝子変異 かつ FLT3-ITD 陰性の若年成人 AML の予後は AML

with t(8;21)(q22,q22)などと同等とされている6),7)。

9)AML with mutated CEBPA は de novo AML の 6~15%にみられ,染色体正常核型 AML の 15~18% に認められる。CEBPA 遺伝子異常を伴う AML の 70%は染色体正常核型であり,22~23%の症例で FLT3-ITDとの重複変異を認める。また,染色体正常 核型で CEBPA 遺伝子変異の成人 AML の予後は AML with t(8;21)(q22;q22)などと同等とされる。正常 核型 AML 患者における NPM1(FLT3-ITD 陰性), CEBPA遺伝子変異の Kaplan-Meier 生存曲線では無 病生存率,全生存率ともに予後良好な結果が得られ ている8)。 2.骨髄異形性関連変化を伴う AML(AML with myelodysplasia-related changes) 骨髄異形性関連変化を伴う AML は放射線や化 学療法の治療歴がなく,以下に示す 3 項目のうち 少 なくても 1 項目以上を満たすものである。1) myelodysplastic syndrome(MDS),MDS/MPN から AMLに移行したもの。2)MDS に関連する遺伝子異

常を持つ AML(AML with MDS-related cytogenetic abnormalities)。3)多系統の異形成を持つ AML(AML with multilineage dysplasia)多系統の異形成について は 2 系統以上で 50%以上の細胞に異形成が存在し, 異形成の種類は MDS と同様である(Table 4)9)。 WHO分類第 4 版では MDS に特徴的とされる染色体 異常が定義され,それに伴い形態学的異形成の有無 にかかわらず染色体検査のみで定義されるグループ が新たに追加された(Table 5)10)。また,形態学的に 多系統の異形成を示し,染色体正常核型の例につい ては FLT3,NPM1,CEBPA の遺伝子検索が推奨され ている。治療関連白血病は形態学的異形成が認めら れてもこのカテゴリーには属さない。AML with

myelodysplasia-related changesの診断基準を Table 6

に示す10)。

3.治療関連骨髄性腫瘍(therapy-related myeloid

neoplasms

治療関連骨髄性腫瘍は腫瘍性もしくは非腫瘍性疾 患に化学療法や放射線療法を実施後に発症した,治 療関連 AML(therapy-related AML; t-AML),治療関 連 MDS(therapy-related MDS; t-MDS),治療関連 MDS/MPN(therapy-related MDS/MPN; t-MDS/MPN) である。しかし,MPN の急性転化症例で,その臨床 経過で進展したのか治療が関連しているのかが判別 できないような症例は除く。t-MDS と t-AML は全 MDS,AML の 10~20%を占め,t-MDS/MPN も全 MDS/MPNの 10%程度を占めるとされる。 既往歴として血液悪性腫瘍と固形腫瘍がほぼ半数

(7)

骨髄異形成関連変化を伴う AML における染色体 異常10) 複合染色体異常* 不均衡型染色体異常 均衡型染色体異常 -7/del(7q) t(11;16)(q23;p13.3)** -5/del(5q) t(3;21)(q26.2;q22.1)** i(17q)/t(17p) t(1;3)(p36.3;q21.2) -13/del(13q) t(2;11)(p21;q23)** del(11q) t(5;12)(q33;p12) del(12p)/t(12p) t(5;7)(q33;q11.2) del(9q) t(5;17)(q33;p13) idic(X)(q13) t(5;10)(q33;q21) t(3;5)(q25;q34) * 3つ以上関連のない異常で特徴的な遺伝子異常を有する AML を 除外。 ** これらの異常は治療関連骨髄性腫瘍に生じるため,それらを除 外。 Table 5  骨髄異形成関連変化を有する AML の診断基準10) 末梢血または骨髄の芽球が 20%以上に加えて下記いずれか 1 つ ・MDS,MDS/MPN の既往 ・MDS に関連した染色体異常 ・多系統の異形成 ただし下記の両者ともなし ・他疾患に対する細胞毒性を伴う治療 ・特定の遺伝子異常を伴う AML にみられる染色体・遺伝子 異常 Table 6  とされ,治療関連骨髄腫瘍の大半の例は多系統にわ たり形態学的異形成を示す。このような例の多くは アルキル化剤や放射線治療の既往があり,5 番ある いは 7 番の染色体異常や複雑核型を伴う。均衡型染 色体転座を認める例においても形態学的異形成がみ られる場合がある。治療関連の腫瘍を発症させる薬 剤や治療法を Table 7 に示す11)。アルキル化剤,放射 線治療,トポイソメラーゼ II 阻害薬,その他(代謝 拮抗剤,抗微小管剤など)の 4 種類が原因として挙 げられている。また,治療関連 AML については例 えば t(9;11)がある場合は therapy-related AML with t(9;11)(p22;q23)と表記する。

4.急性骨髄性白血病,非特定型(acute myeloid

leukemia, not otherwise specified; AML, NOS) AML,NOS は前述の条件を満たさない AML で, 形態学,細胞化学染色,細胞表面マーカーなどによ り 9 種類に分類され,診断基準に関しては WHO 分 類第 3 版とほとんど同じ条件である。このグループ は全ての AML の 25~30%を占めており,今後,さ らに遺伝子変異によるグループが同定されるに従い, このカテゴリーに属する AML は減少することが予 想される。 WHO分類第 4 版では赤芽球系細胞が骨髄全有核 細胞の 50%以上を占める場合の分類については明確 各血球系における細胞異形成の形態学的特徴(文献 9)より一部改変引用) 顆粒球系 赤芽球系 巨核球系 小型または巨大好中球 核辺縁不整 微小巨核球 偽 Pelger 核異常 核間架橋 単核または低分葉巨核球 過分葉好中球 核クロマチン崩壊像 分離多核巨核球 好中性顆粒減少または顆粒消失 多核赤芽球 偽 Chédiak-Higashi 顆粒 過分葉赤芽球 Auer小体 巨赤芽球様変化 環状鉄芽球 空胞形成 PAS陽性赤芽球 太字の異形成は造血障害研究班ではカテゴリー A に分類され診断的意義はより高いとされる。 Table 4  治療関連造血器腫瘍に関する細胞障害性の要因11) アルキル化剤 melpharan,cyclophosphamide,nitrogen mustard,chlorambucil,busulfan,carboplatin,cisplatin, dacarbazine,procarbazine,carmustine,mitomycin C,thiotepa,lomustine など 放射線治療 活動性骨髄を含む広範囲 トポイソメラーゼ II 阻害剤 etoposide,teniposide,doxorubicin,daunorubicin,mitoxantrone,amsacrine,actinomycin トポイソメラーゼ II 阻害剤は治療関連リンパ芽球性白血病の場合もある その他(通常は他剤と併用される)代謝拮抗剤:thiopurines,mycophenolate,fludarabine 抗微小管剤:vincristine,vinblastine,vindesine,paclitaxel,docetaxel Table 7 

(8)

な定義がなされた(Table 8)12)。芽球の比率が末梢血 あるいは骨髄(全有核細胞)で 20%以上の場合は急 性白血病と診断される。芽球の比率が末梢血かつ骨 髄(全有核細胞)で 20%未満の場合は,骨髄中の非 赤芽球系細胞(赤芽球系細胞,リンパ球,形質細胞 を除く)のうち芽球の占める比率が 20%以上の場合 は急性赤白血病と診断される。しかし,骨髄中の非 赤芽球系細胞のうち芽球の占める比率が 20%未満の 場合は MDS と診断される。ただし,MDS の病型を 診断する場合は全有核細胞に占める芽球の比率から 求めるのが有力とされている。一方,WHO 分類第

3版で acute erythroid leukemia,AMKL と分類されて

いた一部は AML with myelodysplasia-related changes に,AMKL と分類されていた一部は染色体異常に よって AML with recurrent genetic abnormalities にそ れぞれ分類し直されることがある。 5.骨髄性肉腫(myeloid sarcoma) 骨髄性肉腫は WHO 分類第 3 版では AML,NOS に組み込まれていたが,小分類から独立し 1 カテゴ リーとして中分類に変更された。myeloid sarcoma は 骨髄以外の部位に発生する骨髄芽球由来の腫瘤で, 分化傾向の有無は問わないとされている。白血病の 患者で浸潤などにより腫瘤を形成するものは含まれ ない。臨床的には AML と同様とされ,また,以前 に AML と診断された患者の再発時の最初の兆候と して,あるいは,MDS,MDS/MPN,MPN と診断さ れた患者の急性転化の兆候としても認められる。形 態学的には骨髄芽球の増殖がみられるが,前骨髄球 や好中球への分化傾向もみられることもある。また, 症例によっては単球や骨髄単球性の形態をとるもの もみられる。   6.Down 症候群に関連した骨髄増殖症(myeloid

proliferations related to Down syndrome

Down症候群に関連した骨髄増殖症は今回新しく 加えられた疾患で,Down syndrome(DS)に関連し た TAM,MDS,AML が独立した病型として定義さ れ,さらに 2 つのサブタイプが示された。 1) 一 過 性 異 常 骨 髄 造 血 ( transient abnormal myelopoiesis; TAM)は DS の 10%にみられ,新生児 期に発症する疾患である。TAM または transient myeloproliferative disorderを発症すると数週間から 3ヶ月のうちに自然治癒するが,1~3 年の間に 20~ 30%は AMKL を発症する。TAM は臨床的にも形態 学的にも AMKL と区別できないとされるが,芽球比 率は骨髄より末梢血の方がしばしば多い。芽球は形 態学的および細胞表面マーカーも巨核球系を示し, CD34,CD56,CD117,CD13,CD33,CD7,CD4

(dim), CD41 , CD42 , TPO-R , IL-3R , CD36 ,

CD61,CD71 が陽性,MPO,CD15,CD14,glycophorin

Aは陰性である。免疫細胞化学染色において CD41,

CD61は巨核球系のマーカーとして有用である。

2)Down 症候群に関連した骨髄性白血病(myeloid

leukemia associated with Down syndrome) は 通 常

AMKLとして発症する。5 歳以下の小児において DS 症例では AMKL を発症する確率は健常者の 50 倍と いわれていて,50%は新生児期に発症するが TAM か らの発症もある。DS での MDS と AML には診断・ 治療・予後に関して明確な違いが無いため,このカ テゴリーには MDS と AML の両者を含める。一方, 赤血球,巨核球の発生・分化に不可欠な転写因子で ある GATA1 の変異は TAM と DS 関連 AMKL のほぼ

全例において認められ13),TAM は AMKL に先行す る一種の前がん状態と言われている。 赤芽球比率 50%以上における AML 等の診断基準12) 骨髄中の赤芽球比率 末梢血・骨髄における芽球比率 他の所見 診断 50%以上 末梢血または骨髄全有核細胞のうち 20%以上 骨髄異形成関連変化を有する AML の 診断基準に合致 骨髄異形成関連変化を有する AML 未熟赤芽球系前駆細胞 が 80%以上で成熟傾向 に乏しい 骨髄芽球はあってもわずか 顆粒球系はあってもわずか 未分化型純粋赤血病 M6b 50%以上 末梢血:20%未満 骨髄全有核細胞:20%未満 芽球は骨髄非赤芽球系細胞のうち 20%以上 急性(分化型)赤白血病 M6a 50%以上 末梢血:20%未満 骨髄全有核細胞:20%未満 芽球は骨髄非赤芽球系細胞のうち 20%未満 MDS(病型分類は骨髄全有核細 胞より芽球比率を求める) Table 8 

(9)

7. 芽 球 性 形 質 細 胞 様 樹 状 細 胞 腫 瘍 ( blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasms

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍は新たに加えられ た分類で,形質細胞様樹状細胞の前駆細胞由来とさ れる。樹状細胞には骨髄系前駆細胞を起源とするも のと,リンパ系前駆細胞を起源とするものがあり,

CD4+CD56+血液皮膚腫瘍はリンパ系前駆細胞を起源

とする plasmacytoid dendritic cell(pDC; professional type 1 interferon producing cell or plasmacytoid monocytes)の前駆細胞が腫瘍化したものと考えられ

ている14),15)。WHO 分類第 3 版では blastic NK-cell

lymphomaの亜型として記載されているが,NK 細胞 由来ではなく pDC 由来であり WHO 分類第 4 版では AMLの特殊な亜型として取り扱われた。 稀な疾患で男性の高齢者に多く,高率に皮膚およ び骨髄に浸潤し白血化する。生存期間は 12~14 ヶ月 と予後不良である。細胞表面マーカーは CD4, CD43,CD45RA,CD56,CD123,BDCA2/CD303, TCL1,CLA,MxA が陽性を示す。CD56 が陰性であ れば否定的である。CD68 は正常な plasmacytoid dendritic cellに発現しているマーカーであるが,約 50%に認められる。 III 分化系統不明瞭な急性白血病:総論

(acute leukemias of ambiguous lineage)

分化系統不明瞭な急性白血病は WHO 分類第 3 版

では大分類の AML の中に中分類として組み込まれ ていた疾患であるが,今回は新しく大分類として

AML,ALL から独立した(Table 9)2)。急性白血病

ではあるが AML や ALL などの単一 lineage に合致 しないものがここに含まれる。すなわち,明確な分 化傾向を示さない急性白血病(未分化急性白血病),

2系統以上の分化を併せ持つ急性白血病(混合表現

型 急 性 白 血 病 mixed phenotype acute leukemia ; MPAL)が含まれる。MPAL には 2 種類以上の芽球 集団が存在する acute bilineal (or bilineage) leukemia と単一の芽球集団が 2 系統以上の分化を持つ acute

biphenotipic leukemiaが存在する。MPAL は経過中

(再発時など)に acute biphenotipic leukemia から acute

bilineal leukemiaへ,あるいはその逆の変化を示した

り,単なる AML や ALL に変化する,いわゆる lineage

changeを起こす場合もある。種々の遺伝子異常が報 告されているが,MPAL には t(9;22)(q34;q11.2);BCR-ABL1や t(v;11q23);MLL rearranged がしばしば認め られる。 MPALのカテゴリーに属するものは以下に示す 3 条件のうち 1 つを満たす必要がある。また,これら の条件のうち 1)の場合は acute bilineal leukemia,2) または 3)の場合は acute biphenotipic leukemia とさ れる。acute biphenotipic leukemia の診断基準には European Group for Immunologic classification of

Leukemiaのスコアが使用されていたが,この診断基

準は lineage の特定が緩やかなため,今回大幅な改定

がなされた(Table 10)16)。

Acute leukemias of ambiguous lineage 分化系統不明瞭な急性白血病2)

・acute undifferentiated leukemia 急性未分化白血病

・mixed phenotype acute leukemia with t(9;22)(q34;q11.2); BCR-ABL1 t(9;22)(q34;q11.2);BCR-ABL1 を有する混合表現型急性白血病 ・mixed phenotype acute leukemia with t(v;11q23); MLL rearranged

t(v;11q23)を有する混合表現型急性白血病

・mixed phenotype acute leukemia, B/myeloid, not otherwise specified

B細胞性/骨髄性の混合表現型急性白血病,非特異型

・mixed phenotype acute leukemia, T/myeloid, not otherwise specified

T細胞性/骨髄性の混合表現型急性白血病,非特異型

・mixed phenotype acute leukemia, not otherwise specified-rare types 混合表現型急性白血病,その他稀少型

・other ambiguous lineage leukemias その他の系統を特定できない白血病

・natural killer (NK) cell lymphoblastic leukemia/lymphoma

NK細胞性リンパ芽球性白血病/リンパ腫

(10)

1)2 つもしくはそれ以上の白血病細胞集団がみら れ,そのうちの 1 つに細胞表面マーカーなどで AML と診断でき得る区別可能な集団が認められる。骨髄 系と診断するには MPO,非特異的エステラーゼのい ずれかが陽性。陰性の場合は通常 CD13,CD33, CD117のいずれかが陽性である。また,それらの集 団の芽球比率は有核細胞の 20%以上でなくてもよい とされる。 注:骨髄系マーカーである CD13,CD33,CD117 の 適 応 に つ い て は acute leukemias of ambiguous

lineage の総論には記載はないが,各論の mixed

phenotype acute leukemia, B or T/myeloid, NOSの部分

で記載されている。しかし,これは acute bilineal

leukemiaに限り適応されるものである。

2)B acute lymphoblastic leukemia(B-ALL)または T acute lymphoblastic leukemia(T-ALL)の条件を満 たす 1 集団の芽球が MPO も発現している。通常は フローサイトメーターで MPO とリンパ系マーカー が共に発現している状態で検出される。骨髄系マー カーの CD13,CD33,CD117 は acute biphenotipic leukemiaの診断には用いないと明記されている。 3)B-ALL または T-ALL の条件を満たす 1 集団の 芽球が,単球系細胞の特異的マーカーである非特異 的エステラーゼがびまん性陽性の場合,または, CD11c,CD14,CD36,CD64,リゾチームこれらの うち 2 つ以上が陽性を示す場合。

T cell lineageのマーカーは胞質内 CD3(cyCD3)

が強陽性を示すことで特徴付けられるが,細胞表面 CD3も稀に認められるため,どちらかが陽性であれ ばよい。フローサイトメーターを用いた cyCD3 の検 出は最も良い方法であるが,サンプル中に存在する 正常 T cell と同程度の蛍光強度を持たなければなら ない。また,骨髄生検標本では CD3 を免疫組織化学 染色によっても検出可能であるが,ポリクローナル 抗体を使用すると NK 細胞の CD3 zeta chain とも反 応するため特異性は低いとされている。一方,B cell lineageは 1 種類のマーカーで決定することはできな いため,以下の 2 つの条件のうち,どちらかを示す 場合に特定できる。 ①CD19 が強陽性である場合には,同時に CD10, CD79a,cyCD22 のうち少なくとも 1 種類以上が強く 発現していること。 ②CD19 が弱陽性である場合には,同時に CD10, CD79a,cyCD22 のうち少なくとも 2 種類以上が強く 発現していること。 1. 未 分 化 急 性 白 血 病 ( acute undifferentiated leukemia) 未分化急性白血病は非常に稀な疾患で予後不良と され,stem cell acute leukemia とも言われている。こ の芽球は MPO,SBB,非特異的エステラーゼの細胞 化学染色は全て陰性である。骨髄系,リンパ系の特 異マーカーが認められず,また,plasmacytoid dendritic

cell precursorsや NK-cell precursors,好塩基球,非血

液細胞腫瘍のマーカーも検出されない。細胞表面マー カーでは HLA-DR,CD34,CD38,TdT がしばしば 陽性を示す。

2.Ph 染色体(BCR-ABL1)を伴う混合表現型急性

白血病(mixed phenotype acute leukemia with t(9;22)

(q34;q11.2): BCR-ABL1) これらは予後不良な疾患で,形態学的にはリンパ 芽球類似(小型で細胞質に乏しい)と骨髄芽球類似 (細胞質は豊富だが明確な骨髄系の分化形態は示さ ない)の形態を示す 2 集団としてみられることが多 い。しかし,2 種類の形態を示す芽球集団は両者と もに骨髄系とリンパ系の抗原を発現していることが ほとんどであり,acute biphenotipic leukemia の像を

Biphenotypic acute leukemiaの lineage 特定のための新基準16)

系統 必須条件 特異的とはいえない抗原 骨髄系 MPO(FCM,免疫組織化学染色,細胞化学染色などの陽性所見は どの方法でもよい) CD13,CD33,CD117 骨髄系(単球系) 非特異的エステラーゼ び慢性陽性または CD11c,CD14,CD36, CD64,リゾチームこのうち 2 つ以上のマーカーが陽性 T細胞 細胞質 CD3 陽性(FMC のみ免疫染色は不可)または表面 CD3 陽性 CD3免疫染色(特異的とはいえない CD3zeta抗原にも反応する) B細胞 CD19強陽性かつ CD79a,cyCD22,CD10 このうち 1 つ以上が陽性 CD79a,CD10 の単独陽性 CD19弱陽性かつ CD79a,cyCD22,CD10 このうち 2 つ以上が陽性 Table 10 

(11)

呈する。CML からの急性転化例はこのカテゴリーに は含まれない。

3.MLL 遺伝子再構成を伴う混合表現型急性白血病

(mixed phenotype acute leukemia with t(v;11q23);

MLL rearranged

非常に稀な疾患で,小児に多く予後不良とされて いる。多くの症例において芽球は 2 種類のことが多 く,一方はリンパ芽球類似,他方は単芽球類似で acute bilineal leukemia の像を呈する。リンパ芽球様 細胞は B-ALL の特徴を持ち CD19 陽性,CD10 陰性 で CD15 はしばしば陽性であり,単芽球様細胞は骨 髄系マーカーのうち主として単球系マーカーが陽性 となる。主な MLL の転座は t(4;11),t(9;11),t(11;19) である。11q23 の欠損のみを認める場合はこのカテ ゴリーには含まれない。 4.混合表現型急性白血病,B/骨髄系,非特定型

(mixed phenotype acute leukemia, B/myeloid, not

otherwise specified

5.混合表現型急性白血病,T/骨髄系,非特定型

(mixed phenotype acute leukemia, T/myeloid, not

otherwise specified

B-ALLまたは T-ALL と骨髄系の特異マーカーを有

するものである。本カテゴリーにはそれぞれ以下の

2 病型が含まれ,bilineal acute leukemia, B or T/

myeloid, NOS,biphenotipic acute leukemia, B or T/

myeloid, NOSが示されている。前者は白血病細胞が

2集団,後者は 1 集団からなり,それぞれ B または

T細胞系と骨髄系の表現型を有するものである。形

態学的には AML と ALL の形態を示すものがそれぞ れ存在する。bilineal acute leukemia では AML,ALL それぞれの特徴を有する白血病細胞が混在する例が 約半数であり,骨髄系は大型でリンパ系は小型とさ れている。(9;22)(q34;q11.2)や t(v;11q23)の遺伝子異 常がみられる疾患はこのカテゴリーには含まれない。

6.混合表現型急性白血病,その他稀少型(mixed

phenotype acute leukemia, not otherwise specified-rare type) 極めて稀な疾患と考えられていて,B-ALL と T-ALLの両方の細胞表面形質を持つ場合,あるいは, B-ALLと T-ALL および骨髄系の特異マーカーを有す る trilineage の特徴をもつ疾患などがこのカテゴリー に含まれる。しかし,B-ALL と T-ALL の形質を持つ MPALあるいは骨髄系の特異マーカーも含めた 3 系 統の MPAL の報告例はこれまでに無く,あっても極 めて稀な疾患と考えられる。同様に B-ALL または

T-ALLと赤芽球系,B-ALL または T-ALL と巨核球

系の MPAL も報告例は無い。このカテゴリーは上記 のような B/myeloid, NOS,T/myeloid, NOS 以外の

MPALのために設定されている。

7.その他の系統を特定できない白血病(other

ambiguous lineage leukemias

MPALの lineage 特定のための新基準(Table 10)

を満たさないが,複数の lineage にまたがった抗原の 発現がみられる場合,このカテゴリーに含まれる。 具体的には cyCD3 陰性であるが CD5,CD7 陽性で, かつ CD13,CD33 陽性であるが MPO 陰性などであ る。 8. NK 細 胞 性 リ ン パ 芽 球 性 白 血 病 / リ ン パ 腫

( natural killer(NK)-cell lymphoblastic leukemia/

lymphoma

このカテゴリーは NK 細胞マーカーなどを有する 白血病の暫定的疾患として設定されている。NK-cell

progenitorのマーカーとして用いられている CD56 は

plasmacytoid dendritic cell neoplasmのマーカーであ

り,CD7,CD2,C5,cyCD3 は T-ALL のマーカーと オーバーラップしているため,特異的マーカーは現 在存在しない。今後,NK の特異的マーカーが killer immunogloburin-like receptorも含めてみいだされるこ とが期待されている。 IV 前駆型リンパ球系腫瘍:総論(precursor lymphoid neoplasms) 悪性リンパ腫の REAL 分類から WHO 分類第 3 版 へ の 移 行 に 伴 い リ ン パ 芽 球 性 白 血 病 ( acute lymphoblastic leukemia; ALL)がリンパ芽球性リンパ 腫(lymphoblastic lymphoma; LBL)と統合され B・T-ALL/LBLとして B・T 前駆細胞の腫瘍化と定義され た。さらに WHO 分類第 4 版では 7 群の反復性遺伝 子異常を伴うものは別項として分類されている (Table 11)2)。 ALLは主として小児に多い白血病であり 75%は 6 歳以下である。世界的な発生頻度は 10 万人あたり 1 ~4.75 人であり,2000 年時に米国で診断された新規

(12)

ALLは 3,200 人で,そのうち 80~85%は B-ALL が占 めていた17)。そして,残り 10%程度が B-LBL であ り,5~10%は T-ALL で男性優位の傾向にある。 リンパ芽球性白血病は骨髄性白血病とは異なり ALLと診断するための芽球の%は設定されていな い。しかし,芽球 20%未満の ALL は稀であり,治 療抵抗性などの予後不良となる根拠が明らかでない ことなどにより,芽球 20%未満であれば白血病の診 断は避けたほうが良いとされる。LBL では腫瘤性病 変が主体であり,骨髄や末梢血に腫瘍細胞の広範な 浸潤を認める場合には,ALL の診断が適正とされ, 骨髄や末梢血への浸潤がないか,ほとんど認められ ない場合に限り LBL と診断する。腫瘤性病変と骨髄 浸潤の双方が広範な場合には個々の症例において判 断される18)。多くの治療プロトコールでは骨髄中の リンパ芽球比率が 25%以上であれば ALL と定義さ れている。なお,今回の分類から B-ALL という用語 は急性 B リンパ芽球性白血病を表し,FAB 分類 L3 に相当する Burkitt leukemia/lymphoma には用いては ならないと明記されている。 1.B リンパ芽球性白血病/リンパ腫,非特定型(B

lymphoblastic leukemia/lymphoma, not otherwise specified; B-ALL/B-LBL-NOS) Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫は B 細胞系の前 駆細胞(リンパ芽球)の腫瘍である。B-ALL では骨 髄浸潤は全例に認められ,通常は末梢血にも白血病 細胞の浸潤を認める。中枢神経,リンパ節,脾臓, 肝臓,精巣などの髄外造血への浸潤の合併頻度は高 い。B-LBL の浸潤部位は皮膚,軟部組織,骨,リン パ節であるが縦隔浸潤による腫瘤形成は稀である。 形態学的にはリンパ芽球は小型で細胞質に乏しく, 均一で凝縮した核クロマチンと不明瞭な核小体を有 する細胞から,大型で淡い青から好塩基性に染まる やや豊富な細胞質を有し,分散した核クロマチンと 複数の核小体を有する細胞まで種々の特徴を有して いる。核は円形,不整形,あるいは切れ込みを有し, 偽足を有するものもみられる。また,患者の約 10% に粗造なアズール顆粒を認める。 リ ン パ 芽 球 の 細 胞 表 面 マ ー カ ー は CD19 , cyCD79a,cyCD22 は常に陽性であるが,いずれの マーカーも単独では特異的ではなく,いくつかのマー カーが陽性であることが B 細胞系腫瘍であるとされ る。B-ALL は芽球の分化段階により early B-precursor

ALL(pro-B-ALL),common ALL,pre-B-ALL,mature

B-ALLに分類される(Table 12)3)。また,骨髄系マー カーである CD13,CD33 が陽性の場合もある。 B-ALLのうち小児 B-ALL は予後良好であり,完 全寛解率は 95%以上で約 80%は治癒が期待できる。 成人 B-ALL では完全寛解率は 60~80%で治癒率は 50%にとどまる。B-LBL も予後良好であるが,B-ALL

Precursor lymphoid neoplasms 前駆型リンパ球系腫瘍2)

・B lymphoblastic leukemia/lymphoma,not otherwise specified

Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫,非特定型

・B lymphoblastic leukemia/lymphoma with recurrent genetic abnormalities 反復性遺伝子異常を伴う B リンパ芽球性白血病/リンパ腫

B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(9;22)(q34;q11.2); BCR-ABL1

BCR-ABL1を伴う B リンパ芽球性白血病/リンパ腫

B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(v;11q23); MLL rearranged

MLL再構成 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫

B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(12;21)(p13;q22); TEL-AML1(ETV6-RUNX1)

TEL-AML1(ETV6-RUNX1)を伴う B リンパ芽球性白血病/リンパ腫

B lymphoblastic leukemia/lymphoma with hyperdiploidy 高 2 倍体 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫 B lymphoblastic leukemia/lymphoma with hypodiploidy 低 2 倍体 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫

B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(5;14)(q31;q32); IL3-IGH

IL3-IGH転座 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫

B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(1;19)(q23;p13.3); E2A-PBX1(TCF3-PBX1)

E2A-PBX1(TCF3-PBX1)転座 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫

・T lymphoblastic leukemia/lymphoma

Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫

(13)

と同様に小児の成績は成人に比較し良好である。

2.反復性遺伝子異常を伴う B リンパ芽球性白血

病/リンパ腫(B lymphoblastic leukemia/lymphoma

with recurrent genetic abnormalities; B-ALL/LBL-RGA) 反復性遺伝子異常を伴う B-ALL/LBL-RGA には特 徴的な染色体転座や染色体数の異常を伴う ALL が 含まれる。この群には 7 種類の異常がみられ,これ らの疾患は特徴的な臨床像や表現系を有し,予後予 測や白血病細胞の生物学的特徴は他の ALL と明確 に区別できる19)。 1)BCR-ABL1 を伴う B リンパ芽球性白血病/リン パ腫(B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(9;22) (q34;q11.2); BCR-ABL1)は 22 番染色体上の BCR 遺 伝子と 9 番染色体上の ABL1 遺伝子間の転座を有す る B 細胞性リンパ芽球性腫瘍である。成人 ALL の 20~30%に認められ,成人では最も高頻度遺伝子異 常であるのに対し,小児では 3%にとどまる。形態 学的特徴は他の ALL と同様である。細胞表面マー カーでは CD19,CD10,TdT が陽性で,時に骨髄系 の CD13,CD33 が陽性となる。BCR 領域の切断点の 違 い に よ り p210kD ABL1 と p190kD BCR-ABL1の 2 種類の融合蛋白がみられ,小児 ALL では ほとんどが p190kD BCR-ABL1 であるのに対し,成 人 ALL では p210kD BCR-ABL1 が約半数を占める。 かつては予後不良白血病の代表であったが,現在で はチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)イマチニブや第 2世代 TKI ニロチニブ,ダサチニブが CML や Ph 陽 性 ALL の治療に用いられ,特に化学療法と併用する ことで治療成績が向上している19)。 2)MLL 再構成 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫 (B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(v;11q23);

MLL rearranged)は 11 番染色体上の MLL 遺伝子と他 の染色体上の遺伝子間の転座を有する B 細胞性リン パ芽球性腫瘍である。11q23 欠失のみで MLL 遺伝子 再構成を伴わない ALL についてはこのカテゴリーに は含まれない。1 歳未満乳児 ALL の 70~80%が MLL 遺伝子再構成を伴うのに対し,1 歳以上や成人では 5~10%と稀である。形態学的特徴は他の ALL と同 様 で あ る 。 細 胞 表 面 マ ー カ ー で は CD19 陽 性 , CD10,CD24 陰性の pro-B 細胞の免疫学的特徴を有 し,CD15 も陽性となる。11q23 遺伝子は 40 種類以 上の異なる遺伝子と転座を起こすことが知られてお り,t(4;11)(q21;q23) MLL-AF4 が最も高頻度で,t(4;11) を有する ALL は乳児に多く発生し,典型的な臨床像 は白血球著増(しばしば WBC > 100,000/μL)と診断 時の中枢神経浸潤が多いことである。その他 t(11;19) (q23;p13) MLL-ENLや t(9;11)(p22;q23) MLL-AF9 など が比較的頻度が高いとされる。予後は不良であり, 成人では 3 年生存率 10~20%,小児では 5 年生存率 10~35%で,高頻度の t(4;11) を有する ALL では小 児,成人ともに予後不良とされる。 3)TEL-AML1(ETV6-RUNX1)を伴う B リンパ芽 球性白血病/リンパ腫(B lymphoblastic leukemia/ lymphoma with t(12;21)(p13;q22); TEL-AML1

(ETV6-RUNX1))は 12 番染色体上の TEL(ETV6)遺伝子と 21番染色体上の AML1(RUNX1)遺伝子間の転座を 有する B 細胞性リンパ芽球性腫瘍である。小児 ALL で高頻度な転座であり乳児,成人では稀である。形 態学的特徴は他の ALL と同様である。細胞表面マー カーでは CD19,CD10 陽性であり,CD34 も陽性の ことが多く,CD9,CD20,CD66c は陰性の場合が多 い。大多数の症例では通常の染色体分析では転座を 検出されないが,FISH 法,RT-PCR 法により検出可 急性リンパ性白血病の各病型と細胞表面マーカー3)

B細胞性 ALL TdT CD34 HLA-DR cyCD79a CD19 CD10 cy Ig Sm Ig CD20

early B-precursor-ALL + + + + + – – – –

common ALL + – + + + + – – +/–

pre-B-ALL + – + + + + + – +

mature B-ALL – – + + + +/– +/– + +

T細胞性 ALL TdT CD34 CD7 cyCD3 CD5 CD1a CD3 CD2 CD4 CD8

early T-precursor-ALL + + + + – – – – – –

pre-T-ALL + – + + + – – +/– – +/–

cortical T-ALL + – + + + + – + + +

medullary T-ALL + – + + + – + + +/– +/–

(14)

能である。白血球数や年齢などのリスクファクター がみられない小児では,90%を超える治癒率が得ら れており予後は極めて良好である。高い治癒率を維 持しながら晩期毒性の軽減を図るのが今後の課題で ある。 4)高 2 倍体 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫(B lymphoblastic leukemia/lymphoma with hyperdiploidy) は染色体数が 50 本以上の異常を有する B 細胞性リ ンパ芽球性腫瘍であり,多くは染色体数 66 本未満で ある。小児 B-ALL では 25%と高頻度な遺伝子異常 として認められる。乳児では認められず,年長小児 では年齢とともに発生頻度は低下し,成人では稀で ある。形態学的特徴は他の ALL と同様である。細胞 表面マーカーでは CD19,CD10 陽性であり,CD34 も陽性のことが多い。細胞遺伝学的特徴は典型例で は染色体数の異常は認めるが,染色体の相互転座や 構造異常は認められない。染色体増加には一定傾向 があり 21 番,X,14 番,4 番染色体が多く 1 番,2 番,3 番染色体の発生頻度は低い。4 番,10 番,17 番染色体のトリソミーを伴う例では予後良好とされ る。高 2 倍体 B-ALL は白血球数や年齢など,他のリ スクファクターも良好であれば 90%を超える治癒率 が得られている。 5)低 2 倍体 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫(B

lymphoblastic leukemia/lymphoma with hypodiploidy)

は染色体数が 46 本未満の異常を有する B 細胞性リ ンパ芽球性腫瘍である。臨床像との相関を考慮する と染色体数 45 本未満または 44 本未満が典型的な低

2倍体 B-ALL とされる,低 2 倍体 B-ALL は ALL 全

体の約 5%に認められるが,染色体数 45 本未満の典 型例は 1%と稀である。成人にも認められるが,染 色体数が 23~29 本のほぼ 1 倍体性(haploid)ALL は小児のみ認められる。形態学的特徴は他の ALL と 同様で,細胞表面マーカーでは CD19,CD10 陽性で ある。細胞遺伝学的特徴では染色体数は 1 本以上の 欠損を有し,45 本~23 本(1 倍体性)までの異常を 認める。染色体の構造異常は欠損していない染色体 で認めることもあるが,このグループに特徴的な異 常は認められない。ほぼ 1 倍体性 ALL では染色体の 構造異常は稀である。低 2 倍体 B-ALL の予後は不良 であるが,染色体の数により異なる。染色体数 44~ 45本の場合が最も予後良好で,1 倍体性の場合が最 も予後不良とされる。 6)IL3-IGH 転座 B リンパ芽球性白血病/リンパ腫 ( B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(5;14) (q31;q32);IL3-IGH は 5 番染色体上の IL3 遺伝子と 14番染色体上の IGH 遺伝子の転座により,IL3 遺伝 子の過剰発現をきたす B 細胞性リンパ芽球性腫瘍で ある。ALL 全体の約 1%未満と非常に稀で,小児と 成人に罹患率の差は明らかでない。形態学的特徴は 他の ALL と同様で,細胞表面マーカーでは CD19, CD10陽性である。無症候性の好酸球増多症が特徴 的で,この好酸球増多は反応性である。好酸球増多 を認め骨髄中の芽球比率が少なくても免疫学的形質 と遺伝学的特徴から診断は可能とされる。非常に稀 な疾患のため予後や治療反応性は不明とされている。 7)E2A-PBX1(TCF3-PBX1)転座 B リンパ芽球性 白 血 病 / リ ン パ 腫 ( B lymphoblastic leukemia/ lymphoma with t(1;19)(q23;p13.3); E2A-PBX1

(TCF3-PBX1))は 19 番染色体上の E2A(TCF3)遺伝子と 1 番染色体上の PBX1 遺伝子間の転座を有する B 細胞 性リンパ芽球性腫瘍である。転座により産生される 融合タンパクは転写を活性化する癌遺伝子として機 能し,E2A と PBX1 にコードされる転写因子の正常 な機能を抑制する。E2A 遺伝子の転座パートナーは 稀に HLF 遺伝子の関与する t(17;19)が認められるた め,E2A 遺伝子再構成のみでの診断には注意する必 要がある。また,高 2 倍体 B-ALL などにおいて E2A, PBX1の関与しない t(1;19)を認める症例は,本疾患 群とは表現型が異なるためこのカテゴリーには含ま れない。この白血病は成人より小児に多くみられ B-ALLの約 6%を占める。形態学的特徴は他の ALL と 同様である。細胞表面マーカーでは CD19,CD10, 細胞質 μ 重鎖陽性の Pre-B 細胞の免疫学的特徴を有 する。当初 E2A-PBX1 融合遺伝子異常は予後不良と されていたが,最近の強力な併用化学療法により治 療成績の向上が得られている。 3. T リ ン パ 芽 球 性 白 血 病 / リ ン パ 腫 ( T

lymphoblastic leukemia/lymphoma; T-ALL/LBL

Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫は T 細胞系の前

駆細胞(リンパ芽球)の腫瘍である。T-ALL では骨 髄浸潤は全例に認められ,末梢血の白血球数は著明 に増加する。T-LBL は縦隔(胸腺)への浸潤頻度が 高いが,リンパ節や髄外臓器(皮膚,扁桃,肝臓,

(15)

脾臓,中枢神経,精巣)への浸潤も認める。小児 ALLの 15%が T-ALL で幼児よりも思春期の小児に 多く,成人 ALL の 25%が T-ALL であり,また,全 LBLの 85~90%が T-LBL である。 形態学的にはリンパ芽球は小型~中型で細胞質に 乏しく裸核様で,核クロマチンは繊細で不明瞭な核 小体を有する細胞を認める。細胞表面マーカーでは 通常 TdT 陽性で,CD1a,CD2,CD3,CD4,CD5, CD7,CD8 は陽性率が一定でない。CD7,cyCD3 は 多くの症例において陽性である。CD3,cyCD3 が T 細胞系列の決定に特異的とされる。CD4,CD8 はし ばしばともに陽性で,CD10 も陽性になることもあ る。CD79a 陽性は約 10%に認められる。また,骨髄 系マーカーである CD13,CD33 も 19~32%に陽性と なる。ALL/LBL は胸腺内での分化により early T-precursor-ALL(pro-ALL),pre-ALL,cortical

T-ALL,medullary T-ALL に層別化される(Table 12)3)。

遺伝学的特徴では T 細胞受容体遺伝子の再構成がほ とんどの症例においてみられるが,20%に免疫グロ ブリン重鎖の再構成もみられる。染色体検査では 50 ~70%の症例に染色体異常を認め,最も頻度の高い 特異的染色体異常は,T 細胞受容体関連の 14q11.2 (TCRα,TCRδ),7q35(TCRβ),7q14-15(TCRγ) と他の遺伝子との相互転座である。小児の T-ALL は B-ALLに比較し予後不良因子を有する症例が多く一 般的に予後不良である。成人 T-ALL は B-ALL に比 較し予後良好である。 おわりに 急性白血病について WHO 分類第 4 版を中心に記 載した。ここ数年の間,遺伝子検査の詳細な研究は 飛躍的に進歩し WHO 分類の基礎を構築した。その 結果,骨髄系,リンパ系において反復性遺伝子異常 を伴う疾患が新たに追加され,また,暫定疾患とし て NPM1 変異,CEBPA 変異などに代表される遺伝子 異常が追加された。さらに細胞表面形質に関して WHO分類第 4 版では細胞系統の特異マーカーが明

確に規定されたため acute leukemias of ambiguous

lineageの診断が著しく向上した。しかし,一部の細 胞系統,NK-cell などは特異マーカーが同定されてい ないため,その診断は困難となる可能性がある。今 後,新たな遺伝子異常および細胞表面形質特異マー カーの発見は,更なる WHO 分類を進化させるもの と考える。 ■文献

 1) Jaffe ES et al. : World Health Organization Classification of Tumours: Pathology and Genetics of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, IARC Press, Lyon, 2001.

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(blastic NK-cell lymphoma) originates from a population of CD56+ precursor cells related to plasmacytoid monocytes,” Am J

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Hematopoietic tumors: Recent trends in acute leukemia

Yukiharu BAMBA1)

1)Department of Cytology, Pathology & Cytology Laboratories(1361-1, Matoba, Kawagoe, Saitama 350-1101, Japan)

Summary

Acute leukemia is a malignant hematopoietic disorder primarily characterized by deregulated leukocyte proliferation. Its pathogenesis involves maturation arrest during multipotent stem cell differentiation, resulting in neoplastic hematopoietic progenitors. The etiology of leukemia involves a complex network of gene regulation. Recent studies have identified a causal relationship between this malignant disease and specific chromosomal translocations and gene mutations. The 2001 World Health Organization (WHO) classification of tumors of hematopoietic and lymphoid tissues (3rd edition) was widely accepted as a basis for categorizing hematological malignancies. Later in 2008, WHO published an updated version (4th edition) incorporating new pathophysiological findings obtained from advancements in cytogenetic and other research. In the updated edition, acute leukemias have been divided into i) acute myeloid leukemia and related precursor neoplasms, ii) acute leukemias of ambiguous lineage, and iii) precursor lymphoid neoplasms. In this article, we describe the morphologic, immunophenotypic, cytogenetic, and clinical characteristics of acute leukemia, taking note of the 2008 WHO classification.

Key words: WHO classification, acute leukemia, morphological hematology, immunophenotype, cytogenetics

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