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障害の概念

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Academic year: 2022

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(1)

障害の概念

(2)

本日の目標

• さまざまな「障害者」の定義に ついて知る

• 定義を通して、「社会モデル」

を理解する

(3)

障害者の定義

(4)

「障害者の権利宣言」( 1975 )

「先天的か否かにかかわらず、身体的ま たは精神的能力の不全のために、通常 の個人または社会生活に必要なことを

確保することが、自分自身では完全にま

たは部分的に出来ない人 」

(5)

「障害者基本法」( 1993 )

「身体障害、知的障害または精神

障害があるため、長期に渡り日常

生活または社会生活に相当な制限

を受ける者

(6)

「精神保健福祉法」( 1995 )

「統合失調症、精神作用物質による

急性中毒またはその依存症、知的

障害、精神病質、その他の精神疾

患を有する者 」

(7)

障害者差別解消法( 2013 )

• 身体障害、知的障害、精神障害(発達障 害を含む)その他の心身の機能の障害 ( 以下「障害」と総称する)がある者であっ て、障害及び社会的障壁により継続的

に日常生活または社会生活に相当な制

限を受ける状態にあるもの。

(8)

ADA (障害を持つアメリカ人法) 1990

主な生活活動の一つまたは

それ以上に実質的に制限を課す肉 体的または精神的障害を持つ者、

かかる障害の記録のある者、または

かかる障害を持つと見なされる者

(9)

ADA の対象

1)現に障害がある人

2)過去に障害があった人

3)他者から障害があると見なされる人

(それが事実かどうかは問わない)

「みなし規定」=ADAの先見性、革新性の象徴

障害は個人の問題 社会の問題

(10)

オーストラリアの障害差別法 (1992)

(The Commonwealth Disability Discrimination Act 1992: DDA)

現存する

過去に存在したが現在は存在しない

未来において存在するかもしれない

その人が持っているとみなされている

以上、全ての場合を含むとされる

(11)

障害者権利条約 (2006 採択)

発展する概念であり、並びに障害者 と障害者に対する態度及び環境によ る障壁との間の相互作用であって、

障害者が他の者と平等に社会に完

全かつ効果的に参加することを妨げ

るものによって生ずる

(12)

障害者には、長期的な身体的、精

神的、知的又は感覚的な障害を有

する者であって、様々な障壁との相

互作用により他の者と平等に社会

に完全かつ効果的に参加すること

を妨げられることのあるものを含む

(13)

障害に基づく差別(障害者権利条約)

障害に基づくあらゆる区別、排除または制限 であって、政治的、経済的、社会的、文化的、

市民的その他のあらゆる分野において、他の

者との平等を基礎として全ての人権及び基本

的自由を認識し、享有し、又は行使することを

害し、又は妨げる目的又は効果を有するもの

をいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態

の差別 ( 合理的配慮の否定を含む)を含む。

(14)

合理的配慮(障害者権利条約)

障害者が他の者との平等を基礎とし て全ての人権及び基本的自由を享有 し、又は行使することを確保するため の必要かつ適当な変更及び調整で

あって、特定の場合において必要とさ れるものであり、かつ、均衡を失した

又は過度の負担を課さないものをいう。

(15)

障害概念を考える意義

• 医学的レベルから心理・社会的レベルまで 人間の生活を1つの概念モデルで描く

• 保健・医療・福祉の連携のための共通言語

• さらに教育・労働・都市計画や障害者権利

保障運動などでも活用できる統合的モデ

ルとして発展

(16)

ICIDH 登場まで

・急性疾患→慢性疾患

・疾病分類(ICD)→国際障害分類(ICIDH)

(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)

・上田敏の障害構造

・国際生活機能分類(ICF)

(17)

ICIDH

• 病気( disease )

• 機能障害( Impairments)

• 能力障害( Disabilities)

• 社会的不利( Handicaps)

(18)

ICIDH の課題

障害は単線的に進むものではない

個人が乗り越えるものとしての障害

原因が何かということは社会的不利への対応においては 重要な意味を持つ

社会的・環境的な要因が欠けている

精神障害領域では明確にできない

医学モデルである

生活(ライフ)モデル=人間の成長発達、生活や人生、人 間と環境との相互作用を重視

(19)

医学モデルからスタートすると・・

• 障害者本人がインペアメント・ディスアビリティを克 服すればいい=障害者の責任=障害者は社会的 正常状態から逸脱した「特別」「特殊」な存在

• 障害者向けサービスの目的は、インペアメントの矯 正、機能回復・維持になる

• 障害の矯正については本人より知識と技術を持つ 専門家がサービスを決定

(20)

• 障害者の生活は非障害者である専門家によって決 定される

• 本人の自己選択、自己決定は無視or軽視される

• 自己選択、自己決定する機会を奪われる

• 本人の社会性をどんどん減衰

「運営管理モデル」 by フィンケルシュタイン

(21)

医学モデルと社会モデル

• 医学モデル

障害は個人の問題で、治癒、個人のより良い適応 と行動変容が目標

• 社会モデル

障害は社会によって作られた問題であり、政治的 問題とみなす。社会的行動による社会変化が目標

(22)

上田敏の障害構造

疾患 機能形 態障害

能力障

社会的 不利

体験としての障害

障害

(23)

「疾病と障害の共存」認識の変遷

1981 年、蜂矢英彦が「疾病と障害の共 存」という捕らえ方を提唱。

生活障害を有していることに気付かれな

がらも病者として扱われ、障害福祉的施

策が皆無であることを批判。

(24)

「疾病と障害の共存」認識の変遷

厚生大臣( 1984 年)「精神障害者の場

合は、医学的な保護の下に置く必要が

あり、またその医学的な保護の中から

回復した場合には普通になって社会復

帰できる」(参議院社会労働委員会)

(25)

「疾病と障害の共存」認識の変遷

1986 年、公衆衛生審議会意見具申

「精神障害者が単なる病者というだけで

はなく、社会生活遂行上の困難、不自

由、不利益を有する障害者であるという

点を共通理解する必要がある」

(26)

「疾病と障害の共存」認識の変遷

1995 年、厚生省保健医療局精神保健課

「精神障害者の福祉施策について」では、「精神 障害者については、精神疾患があることにより、

ディスアビリティ(能力障害)があり、日常生活

又は社会生活を営む上でのハンディキャップが

あるために、これを補うための援助を行い、ノー

マライゼーションを図ろうとするものである」

(27)

ICF

(28)

用語の定義

心身機能=身体系の生理的(心理的)機能

身体構造=器官・肢体とその構成部分など、身 体の解剖学的部分

活動=課題や行為の個人による遂行 参加=生活・人生場面のへの関わり

環境因子=人々が生活し、人生を送っている物 的/社会的環境、人々の社会的態度による環境 個人因子=年齢・性別・民族・生活歴など

(29)

ICF の各概念に精神障害をあてはめてみましょう

• 健康条件の悪化

• 心身の構造と機能の制限?

• 活動制限=活動を行うときに生じる難しさ

• 参加制約=個人が何らかの生活・人生場面に関わ るときに経験する難しさ

• 個人因子?

• 環境因子?

(30)

ICFの基本的特徴

• 生命・生活・人生を包括する「生活機 能」

• プラスを重視

• 相互作用モデル

• 環境因子と個人因子

• 疾患・変調から健康状態へ

(31)

ICFの目的

• 当事者に対するサービス場面での 活用

• ICF は「統合モデル」

医学モデル + 社会モデル

• 共通言語

(32)

「活動」と「参加」の分類

1章 学習と知識の応用 2章 一般的な課題と要求 3章 コミュニケーション

4章 運動・移動 5章 セルフケア 6章 家庭生活 7章 対人関係

8章 主要な生活領域

9章 コミュニティライフ・社会生活・市民生活

(33)

ICFの使い方

コードの原則

心身機能・構造=生理的システムや解剖学的構造の変 化によって評価

活動

参加

すべての構成要素は、0「問題なし」、1「軽度の問題」、2

「中等度の問題」、3「重度の問題」、4「完全な問題」、8

「詳細不明」、9「非該当」

評価項目コード.○○○

能力と実行状況という2概念で評価

実行状況 能力(支援なし)

能力(支援あり)

(34)

参加の実行状況

評価

評価 内 容

0 活発な

参加

常に又はしばしば、全面的な参加を実現 している(人的介護の有無は問わない)

1 部分的

な参加

時々又は部分的な参加を実現している (人的介護は受けていない)

2 部分的

制約

部分的な人的介護(※)を受けて、時々 又は部分的な参加を実現している

3 全面的

制限

全面的な人的介護を受けて、時々または 部分的な参加を実現している

4 参加して

いない

禁止の場合を含み参加していない

(35)

参加の能力

評価

評価 内 容

0 活発な参

常に又はしばしば、全面的な参加を実現す ることができる(人的介護の有無は問わな い)

1 部分的な

参加

時々又は部分的な参加を実現することがで きる(人的介護は受けていない)

2 部分的

制約

部分的な人的介護(※)を受ければ、時々又 は部分的な参加を実現することができる

3 全面的

制限

全面的な人的介護を受ければ、時々又は部 分的な参加を実現することができる

4 参加を実

現すること ができない

禁止の場合を含み参加を実現することがで きない

(36)

自分の「参加」について評価してみましょう

d1751 複雑な問題の解決

複合的および相互に関係する問題、いくつかの 関連した問題を含む、複雑な問題の解決法を見 出すこと。問題の同定や分析、解決法の展開、

解決法から予期される効果の評価、選択した解 決法の遂行によってなされる。

d 1751. _ _ _

(37)

自分の「参加」について評価してみましょう

d3551 多人数でのディスカッション

2人以上の人と、議論や討論を開始し、

持続し、形成し、終結すること。

d 3551. _ _ _

(38)

自分の「参加」について評価してみましょう

d6301 手の込んだ食事の調理

多数の材料を用いて、手の込んだ方法で準備や配 膳するような食事を計画し、準備し、調理し、配膳す ること。たとえばフルコースメニューを計画すること。

皮をむいたり、スライスしたり、混ぜたり、こねたり、

かきまぜる行為を組み合わせて食材を加工すること。

その場の状況と文化にふさわしいマナーで食事を提 供し配膳すること。

d 6301. _ _ _

(39)

自分の「参加」について評価してみましょう

d7203 社会的ルールに従った対人関係

社会的相互関係の中で自立して行動し、ほか の人々との対人関係における役割や地位、そ の他の社会的身分を支配している社会的慣例 に従うこと。

d 7203. _ _ _

(40)

ICFの意義

• 「人が生きること」を包括的・総合的に捉える

• リハビリテーションの目指すものは、プラスの 増加・向上であり、マイナスの軽減ではない

• 生活機能に影響する要素として、環境因子、

個人因子をみる視点が重要

• 医学モデルと社会モデルを統合した

「統合モデル」

(41)

ICFの課題

• 医学モデルと社会モデルの妥協の産物

• 3つのレベル間の階層性だけでなく、同一レベル 内の階層性の解明が重要

• 「活動」領域と「参加」領域の違いが把握しにくい

• 主観的次元が表現されていない

• 第三者の障害

• 評価スケール0~4の定義

• 個人因子の分類が必要

(42)

ICIDHとICFの差①

• ICIDHは国際疾病分類(ICD)の補助分類であった が、ICFはICDと並ぶ中心分類

• ICIDHは障害(=生活機能のマイナス面)に関する

分類で、ICFは健康の重要な側面についての分類。

• ICIDHは障害と疾患の因果関係を

みるが、ICFは生活機能モデルとして、

全体像をみる

(43)

ICIDHとICFの差②

• ICIDH は障害の原因を疾患・外傷でしか考

えないが、 ICF は環境因子、個人因子の影 響も含めてみる

• ICIDH は障害・障害のある人にのみ関係す

るが、 ICF はすべての人についての分類。

(44)

もっと詳しく知りたい人は・・

厚生労働省ICFについてのHP

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0327-5l-02.pdf

(「活動」及び「参加」の評価点基準)

(45)

個人モデルと社会モデル

「個人モデル」=既存の障害観

障害者が困難に直面するのは、その人に障害 があるから

⇒その人の責任で克服

「社会モデル」=

社会が「障害・障壁」を作る

⇒それを取り除くのは社会の責務

(46)

社会モデル

障害は、個人のなかにある病理では なく、環境と社会によって押し付けら れた制約の相互作用から生じる

「障害があるから不便」なのではなく、

「障害と共に生きることを拒否する 社会であるから不便」

(47)

社会モデル

• 障害者役割 by 石川准

• 啓発で育てたいのは、「好かれやすい障害者に 共感する市民」ではなく、「どんな人もかけがえ のない生を生きていることを認め、社会のあり 方を問い続け、人権尊重の立場に立つことので きる市民」

(48)

参考文献

八代英太・冨安芳和(1991)『ADA(障害をもつアメリカ人法)の 衝撃』学苑社.

厚生労働省大臣官房統計情報部編(2007)『生活機能分類の 活用に向けて』財団法人 厚生統計協会

上田敏(2005)『ICF(国際生活機能分類)の理解と活用ー人が

「生きること」「生きることの困難(障害)」をどうとらえるか』萌文

ジョン・T・パーデック(2003)『障害者差別禁止法とソーシャル ワーク』中央法規出版.

長瀬修他(1994)『障害差hの権利条約と日本:概要と展望』生活 書院.

(49)

参考文献

上田敏(2005)『ICF(国際生活機能分類)の理解と活用―人が

「生きること」「生きることの困難(障害)」をどうとらえるか (KS ブックレット)』きょうされん.

石川准・倉本智明(2002)『障害学の主張』明石書店.

倉本智明、長瀬修(2001)『障害学を語る』エンパワメント研究 .

山田富秋(1999)「障害学から見た精神障害精神障害の社会 学」石川准、長瀬修編、『障害学への招待社会、文化、ディス アビリティ』明石書店.

デビッド・ジョンストン(2008)『障害学入門 福祉・医療分野にか かわる人のために』明石書店.

参照

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