岐阜県予防接種センター相談窓口
Q&A 集
<平成 23 年度>
平成 24 年(2012)年 3 月 31 日
岐阜県健康福祉部保健医療課
岐阜大学医学部附属病院生体支援センター(NST/ICT)
はじめに 日頃、県の感染症対策行政及び予防接種行政にご理解、ご協力をいただき、誠にありがとうご ざいます。 予防接種につきましては、ここ数年だけでも社会的な注目を集める大規模な施策が次々と実施 されています。 麻しん対策では、平成19年の麻しん流行を契機とする第3期・第4期麻しん定期接種を、平 成20年度から5年間の時限措置として実施しているところです。平成24年度が最終年度であ り、麻しんの流行を阻止するためには、高い接種率を維持する必要があり、特に第3期・第4期 の対象の方には、この機会に接種いただくよう積極的に働きかけてまいりたいと思っております。 積極的勧奨が差し控えとなっていた日本脳炎の予防接種につきましては、積極的勧奨を再開し、 積極的勧奨の差し控えにより接種されていない対象者に順次、積極的勧奨を実施しており、昨年 5月には、接種機会を逃した方(平成7年6月1日~平成19年4月1日生まれ)について、2 0歳未満まで定期予防接種の対象者として実施できるよう予防接種施行令が改正されました。 また、平成23年度末を期限としていた子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎 球菌ワクチンの3ワクチンの助成事業につきまして、国の平成23年度第4次補正予算において、 終期が平成24年度まで1年間延長され、必要な予算が確保されたところです。 これらの個々のワクチンの取り組みに加え、現在、国の厚生科学審議会において、予防接種制 度の抜本的な見直しについての議論が進められており、上記の3ワクチンに水痘、流行性耳下腺 炎などを加えた7つのワクチンの定期接種化に向けた議論や不活化ポリオワクチンへの移行に向 けた検討が進められています。 このように予防接種を取り巻く状況がめまぐるしく変化していることから、県民の方が安心し て予防接種を受けられるよう正しい知識を身につけていただくとともに、予防接種実施前の十分 な相談体制、情報提供体制及び副反応が発生した場合の救急医療体制などの確保がより重要にな っています。 岐阜県では関係する皆様方のご協力をいただき、平成20年度から岐阜大学医学部附属病院生 体支援センター内に岐阜県予防接種センターを設置させていただいております。本Q&Aは、平 成23年度に同センターに寄せられた市町村及び医療機関からの予防接種に関する相談事例をま とめていただいたものです。定期予防接種のみならず、ここ数年で新たに追加となった子宮頸が んや肺炎球菌などの任意接種も含め、接種時期、間隔、可否について、また帰国者等に対する接 種計画など様々な相談に対して非常にわかりやすく、具体的な内容であり、現場での予防接種実 施に際し、大いに参考になるものと思います。この冊子が、より適切な予防接種の実践の指標と なり、有効に活用されることを期待しております。 最後に、本事業に全面的に御協力いただきました、岐阜大学医学部附属病院生体支援センター 長の村上啓雄教授、同院小児科の寺本貴英臨床准教授ほか関係の皆様方に深く感謝申し上げます。 平成24年2月 岐阜県健康福祉部保健医療課長 木下 栄作
★目次
1. MR
Q1 MR2 期の接種年齢の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
Q2 MR 複数回接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
Q3 MR 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
Q4 MR2 回接種間隔 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
2. DPT&DT
Q5 成人の DPT ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
Q6 DPT 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
Q7 DPT 接種間隔が短い場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
Q8 DPT 不規則接種後の DT について ・・・・・・・・・・・ 17
Q9 米国から帰国後の DT ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
Q10 DPT 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
Q11 DPT 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
Q12 DPT1 期初回 4 回接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
Q13 DPT 接種間隔の乱れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
Q14 DPT 減量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
Q15 DPT 任意接種後の DT ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
3. 日本脳炎
Q16 日脳倍量接種 2 歳 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
Q17 日本脳炎不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
Q18 日脳追加接種の意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
Q19 日脳不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
Q20 日脳不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
Q21 米国から帰国後の日本脳炎 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
Q22 JE 接種と避妊指導 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
Q23 日脳不規則(定期と任意の混在) ・・・・・・・・・・・・・ 41
Q24 日脳接種量不足かも ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
Q25 日脳不規則接種と接種量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
Q26 日脳救済接種の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
Q27 中国から帰国後日脳 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47
Q28 日脳 期 4 回接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
Q29 日脳 2 期未接種 10 年 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49
4. BCG
Q30 BCG1 個のみ接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
Q31 BCG 接種後皮膚無反応事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
Q32 ツ反陰性学生の実施前 BCG の要否 ・・・・・・・・・・ 54
Q33 生後 6 か月を過ぎた者への BCG 接種の際 ・・・・ 55
5. 肺炎球菌
Q34 PCV-7 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
Q35 PCV-7 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
Q36 2 歳以下への PPV-23 接種した場合の対応 ・・・・・ 62
Q37 PCV-7 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
Q38 PCV-7 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
6. HIB
Q39 ActHIB 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
Q40 HIB 追加接種のタイミング ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
Q41 HIB 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
Q42 Hib 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
7.
HPV
Q43 HPV 接種部位 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73
Q44 HPV 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74
Q45 HPV 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
Q46 HPV 迷走神経反射⇒今後の接種可否 ・・・・・・・・ 81
Q47 HPV 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
Q48 HPV 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84
8. その他
Q49 ポリオ未接種小学生は OPV か IPV か ・・・・・・・・ 86
Q50 昭和 50 年生まれの
未接種者のポリオ接種の要否 ・・・・・・・・・・・・・・・・
87
Q51 HB 予防接種:新生児期防止しても
HBs 抗体陰性の小学生への対応 ・・・・・・・・・・・・・ 88
Q52 夫婦間 HB 感染予防 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90
Q53 ワクチンにより HBs 抗体獲得者の
HB キャリアとの接し方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
Q54 海外渡航-狂犬病ワクチンについて ・・・・・・・・・・・ 93
Q55 MR と日脳同時接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94
Q56 MR、DPT、JE 未接種の中 1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95
Q57 MR+おたふく+水痘同時接種の可否 ・・・・・・・・・・ 97
Q58 DPT-BCG 同時接種可否 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99
Q59 日脳接種予定者に DPT 接種事例 ・・・・・・・・・・・・ 100
Q60 PCV-7Hib 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101
Q61 PCV-7、HIB、HPV 不規則接種 ・・・・・・・・・・・・・・ 102
Q62 同時接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103
Q63 同時接種のとらえ方 II ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113
Q64 不規則接種例への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114
Q65 中国渡航前接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116
Q66 タイへの渡航予定の 2 カ月児の予防接種計画 ・・・ 117
Q67 ワクチン外来運用方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119
Q68 帰国後の接種計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 123
Q69 中国から帰国後の予防接種計画 ・・・・・・・・・・・・・・ 125
Q70 ガンマグロブリン大量療法後の
ワクチン接種計画
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129
8
9
Q1 MR2 期の接種年齢の考え方
予防接種ガイドラインによると、小学校就学の始期に達する日の 1 年前の日から該 当始期に達する日の前日までとあります。 本自治体はその年度の3 月 31 日までに接種をするように決めていますが、就学の 始期とは、どのように考えたらよいでしょうか?例えば、平成 23 年度は、平成 17 年 4 月2 日~平成 18 年 4 月 1 日生まれを対象に定期接種としています。今回、平成 16 年10 月 23 日生まれ(6 歳 5 ヶ月)は、その年度を越えていますが、平成 23 年 4 月 6 日に接種した場合は、定期接種として認められますか?A1
定期の予防接種の対象者については、予防接種法施行令に規定されているため、 自治体の裁量で定期接種の対象者を拡大することは困難です。 MR2 期の対象者は、「5 歳以上 7 歳未満の者であって、小学校就学の始期に達す る日の 1 年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にある者」と規定されてい るため、小学校就学後の4 月 6 日の接種を定期接種とすることはできません。 すなわち、「小学校就学の始期に達する日」とは、小学校就学の年度の 4 月 1 日を 示しますので、MR2 期の対象者は、「5 歳以上 7 歳未満の者であって、小学校就学の 前の年度の4 月 1 日から 3 月 31 日までの間にある者」となります。 なお、任意予防接種として市町村が接種費用の助成を行うことは可能と考えます。10
Q2 MR 複数回接種
H20.6.27 生まれの男児について。 H20.10.14 に第 1 期麻しん風しん混合ワクチンを接種済み。 H23.8(3 歳 1 か月時)に麻しん風しん混合ワクチンを接種。 <質問> ① 生ワクチンは接種を繰り返しても悪い影響はないとのことですが、MR ワクチンを定 期外の年齢で接種しても、副反応等医学的に問題はないでしょうか。 ② このケースの場合、第2 期麻しん風しん混合ワクチンの接種は通常どおり行ってよ いでしょうか。 ③ この後、日本脳炎予防接種(1 期初回)の接種予定ですが、今回の接種から 27 日 以上あければ日本脳炎の接種を開始してよいでしょうか。A2
① 今回の接種において医学的に全く問題ありません。副反応は通常の 48 時間以内 の反応がなければ、生ワクチンですが 2 回目接種ですので、いわゆる感染の副反 応もないと思います。ところでMR1 回目は生後 3 ヶ月の時点で接種されたのでしょ うか? ② 2 回接種すれば、感染防御に十分な免疫が得られるとは思いますが、今回は規定 外の接種であること、2 回既接種者の麻疹発症例の報告もあることから、2 期の接 種も通常通り実施していただきたいと思います。 ③ 生ワクチン接種後の原則どおりで結構です。日本脳炎は中 27 日空ければ通常通 り開始可能です。 なお、今回の事例は被接種者に健康被害が出ていない、あるいは出る可能性が極 めて少ないので、医学的なアクシデントや過誤には当たらないと思います。ただし、医 学的には問題ないものの、規定外の接種ですから、定期接種の制度上はインシデント に当たると思います。したがってなぜこのような事例が発生したのかを当事者と一緒に 十分検討して、今後2 度とこのようなことが発生しないように対策を講じ、またその対策 を担当地域で共有されるように、健康増進課として取り組まれることをアドバイスいたし ます。11
Q3 MR 不規則接種
H18.8.2 生まれの女児です。 1 期 H19.8.3 2 期 H23.8.5 今年度の麻しん風しん2 期の予防接種の対象者は平成 17 年 4 月 2 日~平成 18 年4 月 1 日生まれの者で、本児の対象は来年度でありましたが、2 期を早く接種してし まいました。現在のところ健康被害の報告はありません。 今後の対応ですが、来年度は定期予防接種の対象となるため、麻しん風しんワクチ ンを接種した方がよろしいのでしょうか。A3
今回のケースは、2 回の接種間隔がわずかに短いのみであり、大きな問題はないと 思われます。MR は 2 回接種をしっかり行うことが重要で、そのための措置として現在 の3 期、4 期の接種があるわけです。 なお、来年度の正規のタイミングで接種する必要はないと思います。ただし、今まで 副反応がないのであれば接種すればそれなりにさらに抗体価が上昇するのは確実で あり、今回の接種を接種側のミスと考え、救済として結果的に 3 回目を接種しても問題 はありません。 なお、今回のケースでは免疫獲得に影響はないものの、不規則接種であることは問 題です。接種担当医とその原因を話し合い、適切な接種スケジュールで接種できるよ うにインシデント予防策を策定し、貴自治体内の医療機関と情報共有してください。12
Q4 MR2 回接種間隔
13 才で 9/21 に MR を初めて接種しました。 1 期、2 期の接種をしていないため、自費で 2 回の接種を希望しています。 接種間隔を教えて下さい。A4
MR は 4 週以上の間隔を空けて 2 回接種すれば 99%以上の免疫獲得率であると いわれています。10 月 20 日以降であればいつでもよいと思われます。13
14
Q5 成人の DPT
現在28 歳の女性です。過去に一度も DPT を接種しておりません。 ご本人が、DPT 接種を希望しているのですが、そもそも接種の必要性はあるのでし ょうか。接種の必要性がある場合、どのような接種方法(回数、スケジュール)をすれば よろしいでしょうか。また、効果はあるのでしょうか。A5
今まで、さまざまな回答をして、かえって混乱させてしまった点、その後回答に対す る再質問などもいただき、ご迷惑をおかけしました。実はこのご質問自体に対する回答 は、以下に記載する内容と異なり、百日咳の既往も考慮に入れた複雑なものとなって いました。専門家の先生とご相談もして、この冊子が編集されている H23 年度末の回 答として修正して記載しますことをまずはお断りし、ご了承いただきたいと思います。 今回のようなケースでは、DPT 接種の必要性は十分あると思います。とくに成人の 地誌的ではありませんが、百日咳は診断が難しく、つらい咳が長く継続しますので、予 防の意義は高いと思われます。わが国で完全にコンセンサスが得られた方法とは言い 切れませんが、百日咳の既往に関わらず以下を提案いたします。 ① DPT を今まで 1 回も接種していない人: 年齢を問わずDPT 0.5mL で 1 回、1 か月後 2 回目、その 6 か月~1 年後に 3 回 目で完了。 さらに、ご参考までに過去に不規則あるいは不完全にDPT 接種してある人につい ては、 ② DPT の不規則接種で、過去に基礎免疫がきちんとできていない人: 年齢を問わず全部で3 回になるように DPT0.5mL で追加。2 回追加なら 2 回目と 3 回目は6 か月~1 年空けて接種。 ③ 基礎免疫ができている場合の海外渡航などの追加: 接種は、30 歳未満であれば 0.2mL で 1 回追加、30 歳以上であれば 0.5mL で 1 回追加。若年者での副反応、局所反応を考慮しての年齢分けです。15
Q6 DPT 不規則接種
H15.8.2 生まれのお子さんで DPT1 回目:H16.5.25、2 回目:H16.6.22 に接種してい ますが、3 回目と追加の接種がありません。百日咳の既往はありません。今後の接種 方法についてご指導いただけますようお願いいたします。 接種時の状況として、1 回目の接種後に発熱し、2 回目においても発熱があったそう ですが、発疹も見られたため熱発だろうと主治医に言われたそうです。A6
残念ながら先月 90 ヶ月を超えた状態となりましたので、定期接種の枠組みでなく、 任意接種になりますが、DPT 0.5mL を 1 回追加接種して下さい。それをもって 1 期は 完了とみなして結構です。 1 回目の発熱、2 回目の発熱については詳しい情報はありませんが、たとえワクチン の副反応であったとしても追加接種の禁忌にはならないと思いますので、接種してい ただいて構わないと考えられます。 11 歳から 13 歳の時期が来たら、2 期の DT 0.1mL を、こちらは定期接種として実施 願います。16
Q7 DPT 接種間隔が短い場合
三種混合1 期初回の接種において、1 回目と 2 回目が 16 日間隔、2 回目と 3 回目 が 14 日間隔とそれぞれ 20 日に満たない間隔で接種してしまった場合の免疫効果と 副反応について教えてください。A7
今回のケースのように、間隔が短くなった場合通常の場合とどの程度の違いが出て くるかはデータがありません。しかし、通常の接種でも間隔は厳密なものではなく 3~8 週間という大きな幅があるわけです。今回のケース程度の事では大きな影響はないと 考えてよいと思います。 予防接種全般に言えることですが、1 週間に 3 回接種してしまったなどの極端なこと がない限り、回数さえ確保できていれば、免疫獲得効果は十分得られると思いますし、 DPT は不活化ワクチンですから局所の硬結などの反応以外の長期的な副反応はあり ません。 したがって、今回のケースでは神経質に考える必要はないでしょう。 ただし、規定の間隔からは外れており、ルール違反、インシデントであることは事実 ですので、どうしてこのような事例が発生してしまったか、接種担当者と一緒に検証し、 今後このようなことが起きないように対策を必ず立てておいて下さい。しかし、今回のケ ースは定期接種ルール違反だから一切公費負担は難しいと判定する等、自治体とし て杓子定規な対応で保護者に迷惑がかかることのないようにご配慮願います。17
Q8 DPT 不規則接種後の DT について
H11.4.22 生まれのお子様で DPT を 1 回目 H11.9.28、2 回目 H11.12.21 に接種後、 3 回目までの間隔が空いてしまったため、3 回目を追加として H12.7.4 に接種して DPT の接種を終了しています。 現在DT の時期になるのですが、DT を通常通り 1 回接種で大丈夫でしょうか?A8
社団法人細菌製剤協会発行の「予防接種に関するQ&A 集」によれば、今回のケー スのような場合には、基礎免疫は完了していると考え、通常通り2 期として DT を 0.1mL 接種することとしており、問題ないものと思われます。 1 期追加接種がしてあったとして、その接種から現在までの期間が長ければ今回の ケースとほぼ同じような免疫状態にあると思われ、2 期 DT 0.1mL の追加で十分なブー スター効果が得られると思われます。百日咳については、1 期追加してあった方が免 疫の持続は長かっただろうとは想像されますが、以後に実際に罹患したとしても、基礎 免疫があることと、年齢のことも考慮すれば重篤化することはないと思われ、神経質に なる必要はないと思います。18
Q9 米国から帰国後の DT
平成11 年 6 月 12 日生まれの男子(小学 6 年) 米国に 2004 年 3 月から 2007 年 12 月まで滞在(平成 16 年~平成 19 年) DPT の接種暦 日本で接種 平成12 年 8 月 8 日 1 回目 平成12 年 8 月 29 日 2 回目 平成12 年 10 月 17 日 3 回目接種 追加接種として 平成13 年 10 月 17 日接種 規定の予防接種を終了しているが米国への渡航のため 平成15 年 12 月 6 日に DPT 接種 某院にて実施 この場合は、小学校でのDT の接種は実施した方がよろしいですか?A9
米国滞在中にはDPT 等の接種がなかったものとしてご回答します。 このケースではDPT の接種開始がやや遅めであったものの、1 期初回 3 回および 追加1 回を適切に接種され、基礎免疫は確立しているところへ、さらに DPT を 1 回追 加され、非常に有効な感染防御免疫を獲得された上で渡米されたと考えられます。 ただし、5 回接種したからといって一生有効な免疫が得られるわけではありません。 最後の接種からすでに7 年半が経過しており、今回ブースターとして DT 0.1mL の接 種を行うべきと考えます。もちろん標準的接種者よりいっそう有効なブースター効果が 期待できると思います。 なお、海外からの帰国者について、海外での接種についてはわが国の予防接種法 の関知するところではありませんので、仮に米国で DPT 等の接種がこの間にあったと しても、今回の2 期 DT は当然定期接種として受ける権利はあります。5 回目の某院で の接種も任意接種と思われますので同様です。19
Q10 DPT 不規則接種
平成16 年 5 月 14 日生まれの 6 歳 11 か月のお子さんです。 3 種混合 1 回目を平成 17 年 10 月 21 日、2 回目を平成 18 年1月 16 日に接種し、 その後3 回目と追加が未接種のまま現在に至っていらっしゃいます。 今後(7 歳 6 か月までに)3 回目と追加を接種するに当たり、どの時期に接種すべき か、効果があるか教えていただきたいと思います。A10
2 回目の接種からすでに 5 年経過していますが、免疫のメモリがあるため今回速や かにまず 1 回接種すれば極めて良好なブースター効果がかかり、基礎免疫が完成す るものと思われます。 その後2 期の時期に至るまで長くはありませんので、この間しばらくは免疫が維持さ れ感染予防効果は続くとは思います。したがって仮に追加接種をせずに2 期の時期を 迎えても大きな問題はありませんが、せっかく定期接種の枠組みでもう1 回権利がある のですから、7 歳 6 か月の期限直前に追加接種をされてもよいと思います。そうすれば さらに良好な免疫がつくものと考えられます。20
Q11 DPT 不規則接種
平成11 年 9 月 2 日生の現在 11 歳のお子さんです。 第1 期初回 1 回目を平成 13 年 12 月 14 日、2 回目:平成 14 年 5 月 23 日 のよう に、第1 期初回 2 回接種してあるお子さんで、DT 第 2 期の接種対象となったお子さ んの今後の接種方法についてご相談します。(百日咳には罹患していない) Q&A には、 ①DPT を任意で 1 回接種すればよい。10 歳以上であるため 0.3ml、局所反応が強く なければ0.5ml 接種。 また、 ②基本的に基礎免疫はついていない可能性が大きいので最初からやり直す。やり 直すつもりがないなら、基礎免疫があると仮定してDPT0.5ml 接種を任意で 1 回、 その後3~8 週あけて DT0.1ml 接種というスケジュールになる。 また、 ③気付いた時点で、1 回 DPT の追加接種を行う。定期接種として受ける年齢を過ぎ ているため、この規定にはあてはめられないが、百日咳の有無にかかわらず DPT あるいはDT 接種を選択できる。 というように、同じような症例に対し違う答えがありましたので、保護者の方にどのように お答えしたらよいか困っています。A11
さまざまな不規則接種のケースで、それぞれデータがあるわけではありませんので、 明確な回答をクリアカットにしていないことをまずはお詫びします。そのうえで、その後 県外の専門家の先生等とも相談させていただいた現在の回答をお示しします。 今回のケースでは確かに基礎免疫はできていなかったと考えられますが、2 回の接 種歴があり免疫のメモリがあるため、今回速やかに DPT 0.5mL を 1 回接種すれば十 分な感染防御免疫が得られると思われます。任意接種の対応にならざるを得ないのが 残念ですが。。。 その後 2 期の時期が終了するまでしばらくは十分な免疫が継続されるものとは思わ れますので、今回のDPT1 回で完了してもよいのですが、定期 2 期の権利もありますの で、13 歳になる直前くらいに DT 0.1mL の追加接種をされてもよろしいかと思います。 そうすればさらに免疫が長く持続すると考えられます。21
Q12 DPT1 期初回 4 回接種
H22.11.6 生まれの男児です。 1 期 1 回目 H23.2.10 1 期 2 回目 H23.3.4 1 期 3 回目 H23.6.10 1 期追加 H23.8.17 1 期追加ですが、1 期 3 回目との接種間隔が 2 ヶ月ほどしかなく接種してしまいまし た。現在のところ副反応等の報告はありません。 この対象者の今後のDPT、DT 予防接種の対応、副反応・身体的影響、保護者へ の指導について教えていただければ幸いです。A12
以前にも(H21 年度)同様な事例がありましたので、その Q&A をご参照いただければ よいと思いますが、同様な内容を再掲いたします。 まず、今回の接種で今のところ副反応がないということであれば、被接種者に悪い 影響は全くありません。 通常、1 期 3 回接種後は感染防御に必要な抗体ができます。抗体価は 3 回接種後 2-3 カ月で最高値に達してから、1 年後にやや低下して安定します。このタイミングで 1 期追加接種をするとその後 10 年間は感染防御レベルを維持できるとされており、した がって初回3 回接種後 6~18 カ月の間に追加接種をするように定められています。 今回の事例では、3 回目接種後 2 カ月ということですから、まだ抗体がピーク近くの 高さを保っていた状態で接種したことになります。基本的には 4 回接種により現在のと ころ基礎免疫は十分出ていることとは思いますが、厳密にいえば3 回接種後 2 カ月で 追加接種して、上記のようなその後10 年間の免疫維持ができるかどうかのデータはな いと思われます。 したがって、今まで4 回の接種で、特別な副反応がなければ、12~18 カ月後に改め て追加接種(4 回目は任意になるはずですので定期接種扱いが可能)を行ってもよいと は思います。 DT2 期は通常通りであることは言うまでもありません。 一方、今回の事例は被接種者に健康被害が出ていない、あるいは今後も出る可能22 性がないと言ってよいので、医学的なアクシデントや過誤には当たらないと思います。 ただし、医学的な問題はないものの、規定外接種ですから、定期接種制度上はインシ デントに当たると思います。したがってなぜこのような事例が発生したのかを当事者と 一緒に十分検討して、今後2 度とこのようなことが発生しないように対策を講じ、またそ の対策を担当地域で共有されるように、貴保健センターとして取り組まれることをアドバ イスいたします。 なお保護者への指導という言葉ではなく、規定外であったことについては正式に陳 謝し、ただし、医学的には問題ないこと、正式な追加接種は定期接種として扱いつつ 時期が来たらお知らせするように配慮してください。
23
Q13 DPT 接種間隔の乱れ
年齢: 平成23 年 4 月 21 日生まれ 5 ヶ月 7 日 男児 DPT を 1 回目 平成 23 年 9 月 6 日 接種 2 回目 平成 23 年 9 月 13 日に接種 間隔 7 日で 2 回目を接種した。 この場合の、3 回目の接種は規定道りに 4 週間~8 週間の 3 回目を接種してよろし いか?A13
DPTⅠ期初回の 1 回目と 2 回目を 1 週間間隔で接種した場合の抗体上昇の経過を 通常の3 週間以上の間隔で接種した場合と比較したデータはおそらくないと思われま す。しかし、ベストではありませんが免疫獲得に大きな影響はないものと思われます。 したがって、Ⅰ期初回3 回目は 9 月 13 日から 3~8 週(20 日~56 までの間隔)をお いて接種していただければよろしいと思います。もちろんその後のⅠ期追加およびⅡ 期をしっかりスケジュールしてあげてください。 なお、今回のケースでは免疫獲得に大きな影響はないものの、不規則接種であるこ とは問題です。接種担当医とその原因を話し合い、適切な接種スケジュールで接種で きるようにインシデント予防策を策定し、貴自治体内の医療機関と情報共有してくださ い。24
Q14 DPT 減量
三種混合予防接種1 期初回 1 期初回 1 回目:H20.7.8 接種 接種時年齢:0 歳 4 か月 1 期初回 2 回目:H23.5.31 接種 接種時年齢:3 歳 3 か月 1 期初回 3 回目:H23.7.5 接種 接種時年齢:3 歳 4 か月 三種混合1 期初回において、初回 2 回目の接種後、局所反応が強かったという理 由で、接種医の判断により、初回3 回目に接種量を減量し、0.1ml で接種。 その場合の下記の2 点について教えてください。 ① 免疫効果について ② 接種量を減量した初回3 回目は定期予防接種としてみなすことができるのかA14
一般にジフテリアと破傷風に関しては 2 回接種でも感染防御水準以上の抗体価を 獲得するとされますが、百日咳の場合はしっかり初回 3 回接種する必要があると言わ れています。 今回は、すでに不規則接種ですから2 回目と 3 回目をしっかり 0.5mL で接種したか ったところですが、局所反応はどの程度だったのでしょうか? 肘を超えるような強い発 赤・腫脹が予想されるようであれば、今回 0.1mL(ただし皮下深く接種すべきとされま す)~0.3mL もやむを得ないところですが、そもそも DPT の局所反応は 1 期 1 回目で 20~30%、2 回目以降では 40%以上に出現することを考えると、程度によってはあまり 神経質にならず、2 回目と反対側に 0.5mL 接種が可能なことが多いと思います。 もちろん0.1mL に減量されたくらいですから、接種担当医としては 2 回目にそれなり の大きな局所反応を経験されての上でのご判断とは思いますが、そのあたり、もう一度 確認していただき、可能であれば改めて0.5mL 接種を考えてもよいように思います。も ちろん程度が強ければその限りではありません。 いずれの場合も3 回目から 12~18 か月後の 1 期追加接種は必ず行っていただく べきと思います。この場合も減量するなら皮下深く接種願います。 なお、減量接種も当然定期接種とみなすべきと思います。接種担当医の判断で減 量されることはミスでもインシデントでもなく、適切な判断の範囲であると思います。25
Q15 DPT 任意接種後の DT
三種混合予防接種の接種時期 (接種量はいずれも 0.5ml) 1 期初回 1 回目:H21.9.28 接種 接種時年齢:8 歳 9 か月 1 期初回 2 回目:H21.10.19 接種 接種時年齢:8 歳 10 か月 1 期初回 3 回目:H21.12.14 接種 接種時年齢:8 歳 11 か月 1 期追加 :H23.1.5 接種 接種時年齢:10 歳 0 か月 三 種 混 合 予 防 接 種 を 定 期 の 年 齢 で 接 種 せ ず 、 上 記 の と お り 任 意 接 種 し た 児 (H12.12.17 生)に対しての DT2 期の接種時期はいつが望ましいかご教示ください。A15
今回は、初回3 回+1 回追加してあり、免疫状態は十分であると考えられます。この ままDT は追加しなくてもよいと思いますが、接種するのであれば、定期接種扱いにな るように13 歳になる直前あたりで接種したらよいと思います。あえて、13 歳以降に伸ば す理由もないと思いますので、このように提案します。26
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Q16 日脳倍量接種 2 歳
2 歳 8 か月で日本脳炎ワクチン(1 期初回 1 回目)を 0.5mL 接種してしまった場合、 接種後1 か月で接種量の間違いが発覚したが、現在のところ副反応等の訴えはなし。 今後観察が必要なポイントは。 ・1 期初回 2 回目はどのタイミングで何 mL を打つのが医学上一番よいのか? ・1 回目から 6~28 日の間隔で打つ場合、2 歳 9 か月で接種となる。接種量は 0.25mL か0.5mL か? ・1 回目からの間隔が 4 か月近くあくことになるが、3 歳まで待って 0.5mL を打つか。A16
3 歳以上と未満で、すなわち極端に言えば 3 歳の誕生日前と誕生日当日のたった 1 日で倍量に増えるわけですから、比較的おおざっぱに接種量を決めているのではな いかと思います。しかも 6 カ月以降は接種可能ですから、6 カ月の乳児と 3 歳直前の 幼児も体重などずいぶん違うわけですから、それでも0.25mL で同じなわけで、厳密な 医学的根拠で3 歳を境に接種量が決められていないと思われます。 もちろん規定通りに接種していないわけですから、接種担当した医師およびスタッフ は謙虚に反省し、本人およびご家族に謝罪するとともに、今後このようなことが絶対起 きないように、対策を立てる必要がありますが、申し上げたいことは、接種量にあまり神 経質になる必要は医学的にはないということです。 日本脳炎ワクチンを0.5mL 接種した場合の影響を規定通り 0.25mL 接種した場合と 比較した研究はないと思います。ただし、当然副反応という意味での影響は全く同じ ではないと思われますが、不活化ワクチンですので、副反応が出るとすれば遅くとも接 種48 時間以内に出現すると思われます。すでに 1 カ月以上経過していますので、何も 心配ないと思います。 2 回目の接種は 6~28 日後に接種するのが望ましいのですが、すでに過ぎてしまっ ているようですので、早めに接種することをお勧めします。量は医学的には0.5mL でも 0.25mL でも構わないのですが、3 歳前であれば 0.25mL で接種せざるを得ませんね。 3 歳まで待って 0.5mL 接種することも、考え方として大きな問題はないように思います。 要するにあまり長期間(1 年以内)間隔が空かなければ、全体の回数さえ接種すれば十 分な免疫が得られるはずです。28
Q17 日本脳炎不規則接種
相談窓口Q&A 集の Q28 を平成 22 年 10 月にメールさせていただきました。「1 期 の接種を1 回接種済みで差し控えにより接種できていない場合の 1 期不足分の残りの 2 回は 6 日以上の間隔をあけて接種し、その後本来 2 期分の接種をするのに、医学的 にはどのくらいの期間をあけたらよいでしょうか。制度上は 6 日以上の間隔をあけて接 種できるとなっていますが、抗体を高く長い期間維持するには、13 歳になる前のぎりぎ りで接種することをおすすめしたほうがよいのでしょうか。」という質問をしました。その 回答で不規則接種になったとしても合計 3 回接種すれば基礎免疫ができるということ だったので、初回から5 年経っていても残りの 2 回を接種すれば、3~4 年は維持でき るため、12 歳代で 2 期を接種すればよいと解釈していました。ところが、Q&A を読むと、 やはり1 回目を接種してから差し控えにより 5 年くらい経っている現在 9 歳のお子さん は、6 日~28 日間隔で接種しても、抗体価は 1 年後に 10 を下回ってしまい、感染防御 抗体レベルをその後維持することはできず、12 歳代になってから接種をしてもその後 も 3~4 年保てる抗体価にまでは上がらないということになるのではないかと思いまし た。 そうなると、結論としては、1 回接種のみで 1 年以上経過している場合は、全く無効 で、初回からの接種と考えて1 年後に追加の接種をしないと感染防御抗体レベルを維 持できないと考えるべきでしょうか。A17
そのように解釈していただくように回答したのではありません。 確かに初回 1 回だけで数年放置している間は、現在に至るまで十分な免疫レベル を割っている可能性は高いと思います。ただしこのような場合でも 1 回接種すればブ ースター効果でぐんと抗体は上昇します(次頁の図 9.4 の点線の方を見て下さい)し、6 ~28 日間隔で連続接種すれば、初回 2 回と 1 年後に接種した 3 回接種とほぼ同等な 抗体レベルを数年維持できるはずです(ただし、不規則接種それぞれの場合を治験レ ベルで確かめてあるのではないので、もちろん推奨接種スケジュールでの接種よりは 若干良くないとは思いますが、現実的には十分な効果は得られると思います)。 いずれにせよ、不規則接種の場合は様々なパターンがありますが、要するに少なく とも設計された全回数を確実に接種してあげれば、理想の接種スケジュールではなく ても現実的には予防レベルを十分担保できるということをご説明し、保護者の方に安 心していただくとよいと思います。 したがって、2 期接種期間の終わりの方まで待って、すなわち今回 2 回接種して 3~ 4 年経過後に 2 期を接種するので良いと思います。29 ただし、これらの説明は、現行の予防接種に関する Q&A 集(社団法人細菌製剤協 会)および平成 22 年 10 月に改訂された「日本脳炎ワクチン接種に係る Q&A」の中に ある標準的な接種スケジュールに基づいております。 以前のバージョン(2005 年まで)にはご質問の内容のように、少し慎重な考え方をし ていました。それに基づいた記載の文章は文献:小児内科 39(10)、1781-1782、2007 をご参照いただき、参考になさってください。保護者の方が心配されるようでしたら、2 回接種の後1 年後に 1 回追加するこの考え方も一案です。ただし厳密にはデータがあ るわけではないので、絶対的にどちらがよいとは言えません。
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Q18 日脳追加接種の意義
H8.8.12 生まれ 日本脳炎接種歴 初回1 回目 H12.5.10 初回 2 回目 H12.5.19 1 期追加 H13.5.18 第2 期の接種を自費で行おうと思うが、接種した場合の効果があるのか教えてくださ い。A18
平成 22 年度に、日本脳炎ワクチンに関する質問が多く寄せられ、貴センターへも Q&A 集が配布されている(CD-ROM も)はずですので、その内容を参照いただけれ ばよいかと思いますが、以下にほぼ同様に回答いたします。 1 期初回 2 回接種後の約 1 年後に 1 期追加接種を行う根拠については、大変古い データで、現在の細胞培養ワクチンではないという点はご了承頂いた上で、以下の説 明と図(A18 に添付)をご参照ください。(Kanamitsu M, et al:A field trial with an improved Japanese Encephalitis vaccine in a nonendemic area of the disease. Biken J 13:313-328,1970) この文献には、「日本脳炎ウイルスとの接触が全くないと考えられる北海道北部地域 の学童が2 回の初回免疫を受けた場合、1 カ月で中和抗体はピークになるが、それほ ど高くなく、1 年後にはその値は約 10 と下降する。しかし、ここで追加接種を行うと抗体 価は急速に上昇し、1,000~2,000 に達し、3~4 年間は感染防御抗体レベルの抗体価 10 は保持されると推定される。」と記載されています。 すなわち、1 年以上空けると抗体価 10 を切りそうになるので、ちょうどそのころ接種 すれば10 を切らずに済み、また 3~4 年はキープできるということだと思います。なるべ く回数を節約しかつ抗体価を維持するにはよい方法です。 要するに、通常通りの間隔で接種したとしても、日本脳炎ワクチンは一生有効なもの ではありません。十分な抗体価は3~4 年間しか維持できませんので、この方が東海地 方より西に住まれるのであればなおさら、今後のタイミングでの追加接種をしていただ きたいと思います。 さらに、流行地区に住まわれるのであれば4 年に 1 回程度、また日本以外の侵淫地 区なら理想的には毎年接種が必要なものです。31
Q19 日脳不規則接種
日本脳炎Ⅰ期初回を2 回接種(H22.7.6、H22.7.27)終了後、追加接種(H23.4. 1)された 4 歳のお子さんがいます。 町では、医療機関より連絡があり把握しました。 Ⅰ期初回から追加はおおむね 1 年あけての接種とのことですが、今回の方の場合、 初回から追加までが約8ヶ月となっております。町では、今まで 11 ヶ月以上はあけると いう形で、保護者の方、個別医療機関への対応をとっておりました。 ① おおむね 1 年あけるという場合のおおむねとはどこまでの期間ととらえればよいの でしょうか? ② 今回のように 8 ヶ月で接種した方の場合、免疫のつき方等保護者の方からの質問 があった場合は、どのように回答すればよいでしょうか?A19
平成 22 年度にも同様な質問があり、貴センターへも Q&A 集が配布されている (CD-ROM も)はずですので、その内容を参照いただければよいかと思いますが、以 下にほぼ同様に回答いたします。 1 期初回 2 回接種後の約 1 年後に 1 期追加接種を行う根拠については、大変古い データで、現在の細胞培養ワクチンではないという点はご了承頂いた上で、以下の説 明と図(A18 に添付)をご参照ください。(Kanamitsu M, et al:A field trial with an improved Japanese Encephalitis vaccine in a nonendemic area of the disease. Biken J 13:313-328,1970) この文献には、「日本脳炎ウイルスとの接触が全くないと考えられる北海道北部地域 の学童が2 回の初回免疫を受けた場合、1 カ月で中和抗体はピークになるが、それほ ど高くなく、1 年後にはその値は約 10 と下降する。しかし、ここで追加接種を行うと抗体 価は急速に上昇し、1,000~2,000 に達し、3~4 年間は感染防御抗体レベルの抗体価 10 は保持されると推定される。」と記載されています。 すなわち、1 年以上空けると抗体価 10 を切りそうになるので、ちょうどそのころ接種 すれば10 を切らずに済み、また 3~4 年はキープできるということだと思います。なるべ く回数を節約しかつ抗体価を維持するにはよい方法です。 グラフをよく見て頂ければわかりますが、もし1 年たたないうちに接種すればそれなり にグラフが左にスライドし、その結果次回の追加接種までに抗体価が 10 を割りそうに なるまでの時間が、初回から眺めれば短くはなると思います。しかし、どのワクチンでも そうですが、既定の回数を接種していれば、大勢に大きな影響はないと考えていただ いて結構です。繰り返しますがおよそ1 年というのは 1 年以上経過すれば免疫が不十32 分になってしまうので、それまでに接種するべきという意味にとらえてください。数か月 以上経過していれば 1 年たっていなくてもほとんど影響はないと説明いただくとよいと 思います。 ただし、通常通りの間隔で接種したとしても、日本脳炎ワクチンは一生有効なもので はありません。十分な抗体価は3~4 年間しか維持できませんので、このお子さんが東 海地方より西に住まれるのであればなおさら、今後既定の 2 期を接種していただきた いと思います。 さらに、流行地区に住まわれるのであれば4 年に 1 回程度、また日本以外の侵淫地 区なら理想的には毎年接種が必要なものです。
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Q20 日脳不規則接種
平成14 年 3 月生まれ、9 歳の方です。 第1 期に 1 回のみの接種で、今回接種を希望してみえます。 過去の1 回をカウントして、残りの 2 回の定期接種を、1 年の間隔を空けて施行する のが良いでしょうか? それとも、初回免疫を1 回目から施行し直した方が良いのでしょうか? その他に最適な方法があるものと思います。接種のスケジュールもご教示いただける と、大変助かります。A20
社団法人細菌製剤協会発行の「予防接種に関する Q&A 集 2011(平成 22)年版」 のP46 に詳しく記載がありますが、1 期 1 回のみ接種して 1 年~数年経過している場 合は、 ① 1 回接種して次年度 1 回接種する。 ② 1 回接種して 6~28 日までの間隔で 2 回目接種する。 のいずれでもよいことになっています。 すなわち、A18 に添付したグラフをご参照いただきたいのですが、感染防御に有効 な中和抗体価10 を長く維持するために、初回 2 回接種し、1 年後に 3 回目を、数年後 の 2 期に追加接種をすることによって、無駄のないスケジュールが組まれていることが 分かります(実線グラフ)。 一方、点線で示す1 期 1 回しか接種していない場合は、すでに今回のケースでも現 時点で中和抗体価10 は下回っていると考えられるものの、1 回追加しただけで免疫メ モリに十分なブースターがかかることが考えられます。従って、少なくとも振り出しに戻 る必要はないのです。 しかし、1 回だけのブースターでは通常の追加免疫に比べ抗体価の上昇に限界が あるため、さらに 1 回接種するべきという考え方です。分かりやすく言えば、日本脳炎 の場合はある程度接種間隔が乱れても、3 回目の接種の時点で、少なくとも向こう 3~ 4 年までの中和抗体価は維持できるということになります。ただし、その後 3~4 年経過 すれば中和抗体価は 10 を下回ることが予想されるため、西日本を中心とした流行地 区に住まわれるのであれば4 年に 1 回程度、また日本以外の侵淫地区なら理想的に は毎年接種が必要なものであることは申し添えます。このことは 1 期で接種間隔が乱 れずに接種しても中学を卒業する頃までしっかり免疫を維持するために2 期が必要で あるというゆえんでもあります。34 さて、ご承知のように昨年の予防接種実施規則の一部改正により、積極的な接種差 し控えの影響によりスケジュール通り接種できなかった者に対する特例措置が認めら れています。従って今回はあと2 回の接種は定期接種として認められることは言うまで もありません。 【附則第4 条第 1 項関係】 当分の間、平成22 年 3 月 31 日までに日本脳炎の第 1 期の予防接種のうち、3 回 の接種を受けていない者(接種を全く受けていない者を除く。)であり、今般の特例に よる接種を受けようとする時点において予防接種法施行令で定める対象年齢(6 か月 から7 歳 6 か月までの者及び 9 歳以上 13 歳未満の者)に該当するものが、6 日以上 の間隔をおいて残りの接種を受けたときは、同条に規定する日本脳炎の第 1 期の予 防接種を受けたものとみなす特例を規定する。 結論として、残り 2 回の接種を 6 日以上の間隔で接種すればその間隔は任意で問 題ないと思います。どちらかというと、ある程度間隔をおいた方が、中和抗体価を上手 に長く維持できると予想されます。
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Q21 米国から帰国後の日本脳炎
平成11 年 6 月 12 日生まれの男 小学校 6 年生 米国に2004 年 3 月から 2007 年 12 月まで滞在(平成 16 年~平成 19 年) 質問①:米国にいる時に接種しなければならないワクチンはどのようなものがありま すか。 質問②:米国での推奨接種ワクチンの中に日本脳炎はありますか?もしそれを米国 で接種していた場合でも今回対象の2期に接種の対象年齢ですが、接種してもかまい ませんか? 日本脳炎は渡米前にわが国で規定の回終了しています。A21
回答①:別添のCDC が発表した最新(2011 年 2 月)の推奨ワクチンスケジュールを ご参照ください。 回答②:別添資料のごとく、日本脳炎はスケジュールにありません。すでに渡米前に 1 期 3 回接種してあるとのことですが、1 期接種からすでに 7 年以上経過しており、感 染防御抗体価はキープできていない可能性があります。渡米の有無にかかわらず今 回2 期の時期ですので、是非追加接種をお勧めください。40
Q22 JE 接種と避妊指導
平成23 年 5 月 20 日付の改正により、妊娠可能な年齢の女性が日本脳炎予防接種 を受ける可能性がでてきました。 日本脳炎予防接種を受けた場合、避妊についてはどのように指導したらよいでしょ うか。 麻しん風しんについては 2 ヶ月は妊娠を避けることが必要であると「予防接種ガイド ライン」「予防接種必携」に明記されておりますが、日本脳炎については明記された文 献が手元になく判断に迷っております。A22
MR を含め生ワクチンはすべて、現在の妊娠を確認すること、できれば過去 1 カ月 間避妊していることを確認すること、また接種後 2 カ月間は妊娠を避けるよう指導する ことが常識です。生ワクチンなので実際に発病した場合の影響、胎児の先天異常の発 生のリスクを考慮すると当然のことと思います。とくに風しんワクチンが含まれたものに ついては最大限注意が必要でしょう。 一方、日本脳炎も含め不活化ワクチンは、添付の文書には妊娠中は禁忌とはして いないものの、原則接種を見合わせるとしてあると思います。しかし、インフルエンザな ど(これも添付文書の書きぶりは同様ですが、)は妊婦が重症化しやすいので、むしろ 妊婦は積極的に接種すべきである点などはご承知の通りと思います。 日本脳炎については、日本の中でも流行地とそうでない地域があります。これからも しばらく岐阜より東に居住することが分かっていて、すでに妊娠しておられるのであれ ば、慌てて接種する必要はないと思います。今後西の方に居住される、あるいは侵淫 国に居住される予定がある場合は、接種することを考慮してよいと思います。 妊娠していなくて、すでに接種した場合は、避妊の指導は不要です。接種後妊娠し てしまった場合の妊娠継続に問題はありません。 以上のように生ワクチンと不活化ワクチンで分けて考えて下さい。41
Q23 日脳不規則(定期と任意の混在)
残りの接種すべき回数の決め方。 過去の接種歴は原則定期接種として接種したものについて考慮するが、任意で接 種した回数も考慮の上、残りの接種すべき回数を決定して差し支えないとある。 【例1・2】のようなケースの場合、任意接種も含め 4 回接種しているが、①②どちらで判 断すればよいか。 ① 1 回目から 2 回目の間隔が空き過ぎているため、2~4 回目で基礎免疫ができたと し、公費分を 2~3 回しか利用していないので、5 回目を公費分 2 期として接種可 能とする。 ② あくまで 4 回接種しているので、終了とする。 【例1】H14.4.16生まれ 17.5.10(3 歳 0 ヶ月) 1 回目 公費 22.5.18(8 歳 1 ヶ月) 2 回目 任意で実費 22.6.8(8 歳 1 ヶ月) 3 回目 任意で実費 23.5. (9 歳 0 ヶ月) 4 回目 公費 【例2】H13.7.1生まれ 17.5.19(3 歳 10 ヶ月) 1 回目 公費 20.8.15(7 歳 1 ヶ月) 2 回目 公費 20.9.9(7 歳 2 ヶ月) 3 回目 公費 21.7.31 (8 歳 0 ヶ月) 4 回目 任意で実費A23
日本脳炎の場合は、接種間隔が乱れてもまずは3 回接種が完了した時点で基礎免 疫ができたと判断します。今回はさらに 4 回目も接種してありますので、十分な感染防 御免疫を獲得していると判断してよいと思います、例 2 で 4 回目は通常の第 2 期より 早く接種していますが、例 1 も含め少なくとも中学生になるまでの間は大丈夫と思いま す。もともと日本脳炎ワクチンは、流行地に居住するか、侵淫地に渡航する場合には 数年に1 回は追加接種が必要なものですので、今回 4 回接種したからといって一生大 丈夫なものではありませんが、現在の日本脳炎の定期接種の枠組みでの感染予防は これでできていると考えてよいと思われ、したがってそういう意味では任務完了と考え てもよいでしょう。 なお、例2 は 4 回目が任意ですので、13 歳になる直前に第 2 期として定期で接種 するのも一案と思います。例1 も定期の権利は 2 回しか行使していないので、4 回目は 第2 期と考えず、改めて第 2 期として例 2 の提案と同様に考えても良いとは思います。42
Q24 日脳接種量不足かも
平成19 年 8 月 20 日生まれの 3 歳 10 か月のお子さんです。 平成23 年 6 月 27 日に日本脳炎 1 回目を医療機関で接種されましたが、保護者の 方はその時の様子を「医師のうち方が悪く、液がほとんど漏れた。」と言われています。 また、(接種した)医師は、「大丈夫、少しは(?)入っているから。」というようなことを言わ れたようで、本当に抗体ができているのかという疑問を持たれ、やり直しはしてもらえる のか、というお尋ねがありました。 やり直しはできないことをお伝えしましたが、自費でもよいので接種したいという希望 がありました。 そこで、この場合、今後どのようなスケジュールで接種すればよいでしょうか。A24
実際の接種状況は接種医でないと分からないと思いますが、液漏れは明らかならイ ンシデントですので、接種医師の説明の言葉がどうあれ(もう少しよい説明方法があっ たのではとも思います。)、問題であるとは思います。 ① どの程度の液漏れがあったか、接種医師にまずは確かめて下さい。 ② やり直すべきであれば、定期接種1 回目やり直しとして貴自治体で救済してあげて 下さい。 ③ やり直すべき状況ではないということであって、保護者がどうしても接種したい場合 は自費になることは言うまでもありません。 ひとつの考え方として、3 歳未満では 0.25mL、それ以上では 0.5mL と、たった 1 日 で接種量が倍量に増えるのですから、接種量の設定に厳密な根拠はないと言えます。 したがって、接種量が多少減少しても今後しっかり予定通り2 回目と追加接種、また数 年後の第2 期を接種していただければ抗体は問題なくできてくると思いますので、あま り神経質になることはありません。ただし大半が漏れていれば(先生の言葉から想像す るとそういうことではないと思いますが。。。)、その限りではありませんので、先生に確 かめてみて下さい。 いずれにせよ、今回の接種を打ち直すのであれば、今回のものは接種しなかった (副反応もなかった)こととして振り出しに戻って考えればよいと思います。すでに接種 後1 週間経過していますから、現時点以降のいつでも 1 回目接種していただいて結構 です。その後は通常通り6~28 日間隔で 2 回目、約 1 年後に追加、および数年後の 第2 期の合計 4 回接種してください。43
Q25 日脳不規則接種と接種量
平成20 年 4 月 12 日生まれの 3 歳 2 か月のお子さんについてです。 最近転入されたお子さんで、転入前に日本脳炎の第1 期初回 1 回目と 2 回目を接 種していました(1 回目:H22.7.22、2 日目:H22.9.6)。1 回目の接種後、医療機関のほう で年齢が2 歳 3 ヶ月であったことに気付かれたそうですが、法的には問題ないため同 年に2 回目を接種されました。しかし、接種量はそれぞれ 0.5ml 接種されており、接種 量の誤りには今回のお尋ねではじめて気付いたとのことでした。 そこで、このお子さんに対して、日本脳炎初回追加や第 2 期の接種はどのように行 えばよいでしょうか。接種時期や接種量についてなどお伺いしたいと思います。A25
3 歳未満では 0.25mL、それ以上では 0.5mL と、いわばたった 1 日で倍量に増える のですから、接種量の設定に厳密な根拠はありません。また、体重の多い子、少ない 子もいますので、あまり神経質にならなくてよいと思います。情報がないですが、過去2 回の接種の際に局所反応も含め特別な副反応はなかったのであれば、今まで倍量接 種したことで、今後の接種量およびスケジュールには何も影響はないと思われます。 すなわち、1 回目からほぼ 1 年たっていますから、近々追加接種 1 回 0.5mL 接種し て下さい。2 期の時期も同様に接種予定をお願いします。 ただし、1 回目と 2 回目の接種量は杓子定規に言えば規定違反で「インシデント」に あたりますので、貴自治体ではなかったので仕方ありませんが、お互いに情報共有し て、貴自治体でもそのようなミスがないように対策を周知徹底願います。44
Q26 日脳救済接種の考え方
厚生労働省より、平成23年5月20日付け予防接種施行令の一部を改正する政令 及び予防接種実施規則の一部を改正する省令の施行について通知がありました。 これにより、平成7年6月1日~平成19年4月1日までの間に生まれた者で、日本脳 炎予防接種における接種の機会を逸した者を予防接種実施規則附則第5条に基づく 対象者(特例対象者)として当市も実施の予定ですが、住民に指導していくにあたり医 学的にご意見をお聞きしたい事項がありましたので、ご回答をお願いします。 ★質問事項① 参考資料(添付資料)をご覧ください。 1期初回接種のうち過去に1回または2回接種済の者について、接種間隔が最長12 年開いていてもやり直しをせず、未接種分の1回もしくは2回接種をするよう通知され ていますが、通常では1年から1年半の間に行うものに対して、間隔が開き過ぎている ため基礎免疫をつけるのに問題があるのではないかと思われます。この場合、接種間 隔の開きがあっても既定の接種回数を接種していれば、有効な免疫が得られると考え てよいのでしょうか。有効な免疫が得られるための、接種回数と間隔について望ましい 方法をご教示ください。 ★質問事項② 事例:5歳で1期初回1回目を接種後見合わせとなり、1期初回2回目(8歳頃)を自費 にて接種する。1期追加を未接種のまま、2期接種の年齢(10歳)に到達したため、公 費で2期を接種し合計3回の接種である。現在12歳。 今回、特例対象であるため未接種分の接種が出来ますが、該当するのは自費で接種 した1期初回2回目と未接種である1期追加と考えてよろしいでしょうか。国の考え方は 4回のうち接種していない分とありますので、計4回となることが望ましいと考えます。こ の場合の接種スケジュールですが、過去3回接種していますので、1期初回2回目の 分を2期分と見なし概ね5年後(15歳)で接種。これにより計4回の接種となるため、残 り1回分は未接種とするのでしょうか。接種権利はあるため保護者が接種を望む場合、 残り1回分をどの時期に行うとよいのかご教示ください。A26
さまざまなケースがありますので、混乱されることと思います。個々の事例毎に考え るのが良いとは思うのですが、ある程度整理して医学的ならびに総論的にお答えいた します。 (1) 大雑把な考え方 不規則接種のそれぞれの場合にどのような抗体の獲得が得られるかは、厳密にい45 えば全てデータがあるわけではありませんので、明確なエビデンスはないのですが、 大雑把に言えば、極端な間隔が空く場合は除いて 3 回接種が完了した時点で基 礎免疫は完了したものと考えてよいと思います。ただしこの場合も 3 回目が完了し てから数年以上経過すれば抗体価が落ちてきてしまいますから、4~5 年程度を目 処に追加接種をしていかなければならないことはご承知の通りです。とくに今後西 日本や諸外国で侵淫地域に居住されるのであれば、フォローの定期的接種は必 要になってきます。この場合成人でも小児でも同じではありますが、少なくとも成人 前の期間には十分な免疫を確保できるようにスケジュールを考える必要があると思 います。 (2) さまざまなケース(基礎免疫獲得までの接種方法) 1) 全く接種していない場合 通常接種と同様です。初回6~28 日間隔で 2 回接種し、そのおおむね 1 年後に 3 回目を接種して基礎免疫完了とします。 2) 1 回接種して 1 年前後の場合 初回からやり直す必要はありません。6~28 日間隔で 2 回目と 3 回目の接種をし て完了とするか、あるいは 2 回目接種しておおむね 1 年後に 3 回目接種して完 了とする。 3) 1 回接種して複数年以上経過してしまった場合 メモリは残っているはずですから、6~28 日間隔で 2 回目と 3 回目の接種をして 完了とするというのが一つの考え方です。あるいは振り出しに戻り1)と同様に 3 回 接種するとより安心できると思います。とくに数年以上経過している場合はこのよ うに合計4 回目までの接種をもって基礎免疫とするという考え方を推奨します。 4) 初回 2 回接種して 1 年前後の場合 通常のスケジュールと変わりませんので、3 回目を 1 回接種して完了です。 5) 初回 2 回接種して複数年以上経過してしまった場合 3 回目接種して完了するか、あるいはさらにおおむね 1 年後に 1 回追加する方法 があります。とくに数年以上経過している場合はこのように合計 4 回目までの接 種を推奨します。 (3) 基礎免疫獲得後の追加接種の必要性 1) 5 年前後の場合:1 回接種します。 2) それ以上経過している場合:6~28 日間隔で 2 回接種しても良いと思います。 (4) お尋ねのケースの場合 ① のケース:上記(2)-3)の説明をご参照願います。 ② のケース:判断に迷うケースですが、現時点で十分ではありませんが基礎免疫 はほぼできていると考えられます。上記(2)-5)のように、1 年後にもう 1 回接種す ればより安心できるでしょう。